溶射

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溶射ようしゃThermal spraying)とは、材料を加熱・溶解し、被施工物(基材)に吹き付け皮膜を形成することで、表面処理法の一種。ただし近年、非溶融状態の粒子を高速で吹き付けることで皮膜を形成する技術 (kinetic spray,cold spray) も溶射の一種として研究されている。

溶射施工

この処理法の特徴としては、

  • 被施工物の対象範囲が広いこと。(金属セラミックスプラスチック、木など)
  • 吹き付ける材料の範囲が広いこと。(金属、セラミックス、プラスチック、サーメットなど)
  • 非常に大きな被施工物にも適用できること。(橋梁、鉄塔、ボイラーチューブなど)
  • 厚膜が比較的簡単に作製できること。(他の多くの表面処理法と比較し製膜速度が速い)
  • 現地での施工ができること。
  • 基材に熱影響による変形、歪みを起こさない。(熱影響以外の残留応力、歪みはある。)

などが上げられる。

目次

[編集] 概要

溶射とは、材料を加熱・溶解し、被施工物(基材)に吹き付け皮膜を形成することで、表面処理法の一種である。加熱の熱源としては、高温の燃焼炎・プラズマなどを用いる。この熱源により材料(溶射材料)は液滴化され、基材・皮膜上に吹きつけられる。この溶射材料の液滴は、"溶射粒子"と呼ばれ、この粒子が基材・皮膜上で凝固・密着することで皮膜が形成される。溶射粒子は小さな体積しか持たないため、基材への入熱は小さく、基材の熱影響は小さい。また、基材と溶射粒子の密着強度は溶接などと比較して小さく、ほとんどの溶射法において施工前に基材の表面を荒し、機械的な噛み合わせによる密着強度の向上を図る必要がある(ブラスト処理)。塗装などと同様にマスキングにより対象物の特定の部分のみに施工できる。

[編集] 溶射の歴史

1910年前後にM.U.Schoop博士により発明・開発された。表面処理法としては比較的新しい。日本への導入は1919年、江澤謙二郎により行われた。太平洋戦争前の施工例として、東京株式取引所、三越呉服店、朝鮮総督府、郵船ビルディングなどの建築物や、美術品への施工があった。また、特記すべき施工例として、渡辺長男作の明治天皇の等身大御尊像への施工が上げられる。さらに、海軍関係(潜水艦、魚雷など)でも利用されている。熱源としてプラズマを用いる様になってから、溶射材料の適用範囲が拡大した。近年は超音速の噴流を用いることで、高い密着性、低い気孔率の皮膜の形成が可能となった。

[編集] 溶射法の分類

溶射法は、その用いる熱源と溶射材料の種類により分類されている。

  • フレーム溶射
    • 溶線式フレーム溶射
    • 粉末式フレーム溶射
    • 溶棒式フレーム溶射
  • 爆発溶射(Dガン)
  • 電気式溶射
    • アーク溶射
    • プラズマ溶射(減圧プラズマ式溶射・大気プラズマ式溶射・水プラズマ式溶射)
    • 線爆溶射
  • 高速フレーム溶射(英:HVOF)
高速フレーム溶射は本来フレーム溶射の一種であるが、特徴がかなり異なることから、別扱いになっている。燃焼ガスによる超音速の噴流を作り,この噴流により溶射材料を溶融・加速することで皮膜を形成する。
  • コールドスプレー
材料を溶融またはガス化させること無く不活性ガスと共に超音速流で固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成する技術である。超音速で衝突した材料は、臨界速度に達すると粒子自体が塑性変型し皮膜を形成する。その為、他の溶射方法と違い、熱による材料の特性変化、皮膜中の酸化を最小限にすることが可能とされている。 国内では東北大学、信州大学などで研究されていたが、近年、地方公設試、民間企業でも導入されるようになった。

[編集] 参考文献

  • 加瀬勉 『腐蝕と防蝕法』p.269-p.277 大倉書店、1929年。
  • 日本溶射協会編 『溶射用語事典』、1994年。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年7月30日 (木) 05:56 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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