火星シリーズ
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『火星シリーズ』(かせいシリーズ)は、エドガー・ライス・バローズ(Edgar Rice Burroughs,1875年9月1日-1950年3月19日)が著した、架空の火星を舞台にしたSF冒険小説シリーズ。
目次 |
[編集] 概要
バローズが1911年に『デジャー・ソリス、火星のプリンセス』(Dejah Thoris, Princess of Mars)という原稿をパルプマガジン「オール・ストーリーズ・マガジン」に送り採用され、1912年2月~6月にノーマン・ビーン(Norman Bean)のペンネームで連載された『火星の月の下で』(Under the Moons of Mars)が火星シリーズの始まりである。
それを復題書籍化して1917年に刊行された A Princess of Mars(邦題『火星のプリンセス』)を第1巻として火星シリーズは全11巻で構成されている。第10巻 Llana of Gathol(邦題『火星の古代帝国』)の刊行は1948年だが、最終巻 John Carter of Mars(邦題『火星の巨人ジョーグ』)の刊行は死後14年も経った1964年であった。日本では1965年から創元推理文庫(現在の創元SF文庫)その他で刊行された。
当時から太陽系で地球以外に最も生命の存在の可能性が高いとされていた火星を舞台に、体外離脱して地球から火星に瞬間移動した主人公(生まれも育ちも年齢も不詳と自称している)が怪物相手に活劇を繰り広げ、美女を救うという物語は大ヒットとなり、以後多くの追随作品を生んだ。ロバート・E・ハワードの「英雄コナン」シリーズやリン・カーターの〈レムリアのゾンガー〉シリーズ等のヒロイックファンタジーの祖型と目されることもあるが、それらに特徴的な魔術への傾斜はバローズの諸作にはきわめて希薄であり、随所に「科学」による説明がなされていることも特色のひとつである。
バローズはアメリカではターザンの作者として有名だが、日本では、ターザンの映画は多く公開されていたものの、作家としては創元推理文庫から本シリーズが刊行されることによって一気に人気が出たため、まず火星シリーズの作者として認識されている。これは、「火星」が最初に訳出・出版されたという事情に加えて、創元推理文庫版に付された武部本一郎による美麗なカバー絵、口絵、挿絵が読者の絶賛を博したことによる部分が大きい。武部の挿絵には海外にもファンが多く、武部はその後、金星シリーズ、ターザン・シリーズ、ペルシダー・シリーズなど、殆どのバローズ作品の挿絵を描いている。
(以下この項目では、火星の事物の日本語表記は最新の版である創元SF文庫の合本版によるものとする。)
[編集] 作品
| No. | 書名(邦題/原題) | 初出 | 刊行 | 邦訳/日本での刊行 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 火星のプリンセス A Princess of Mars |
1912年2-6月 All-Story誌 |
1917年10月 McClurg |
小西宏 1965年10月8日 |
| 2 | 火星の女神イサス The Gods of Mars |
1913年1-5月 All-Story誌 |
1918年9月 McClurg |
小西宏 1965年11月19日 |
| 3 | 火星の大元帥カーター The Warlord of Mars |
1913年12月-1914年3月 All-Story誌 |
1919年9月 McClurg |
小西宏 1966年2月4日 |
| 4 | 火星の幻兵団 Thuvia, Maid of Mars |
1916年4月 All-Story誌 |
1920年10月 McClurg |
小西宏 1966年3月4日 |
| 5 | 火星のチェス人間 The Chessmen of Mars |
1922年2-3月 Argosy All-Story Weekly誌 |
1922年11月 McClurg |
小西宏 1966年5月27日 |
| 6 | 火星の交換頭脳 The Master Mind of Mars |
1927年7月 年刊Amazing Stories誌 |
1928年3月 McClurg |
小西宏 1966年11月4日 |
| 7 | 火星の秘密兵器 A Fighting Man of Mars |
1930年4-9月 Blue Book誌 |
1931年5月 Metropolitan |
厚木淳 1967年7月28日 |
| 8 | 火星の透明人間 Swords of Mars |
1934年11月-1935年4月 Blue Book 誌 |
1936年2月 Burroughs |
厚木淳 1967年9月30日 |
| 9 | 火星の合成人間 Synthetic Men of Mars |
1939年1月 Argosy Weekly誌 |
1940年3月 Burroughs |
厚木淳 1968年5月3日 |
| 10 | 火星の古代帝国 Llana of Gathol |
1941年3-10月 Amazing Stories誌 |
1948年3月 Burroughs |
厚木淳 1968年9月3日 |
| 11 | 火星の巨人ジョーグ John Carter of Mars ■火星の巨人ジョーグ John Carter and the Giant of Mars (息子のジョン・コールマン・バローズ作) ■木星の骸骨人間 Skeleton Men of Jupiter |
(火星の巨人ジョーグ) 1941年1月 Amazing Stories誌 (木星の骸骨人間) 1943年2月 Amazing Stories誌 |
1964年7月 Canaveral |
厚木淳 1968年10月25日 |
- 以上の邦題および日本での刊行日は創元推理文庫(現・創元SF文庫)版に拠る。それ以外で3巻以上シリーズとして刊行されたものは以下の2種類である。第7巻以降は講談社版の方が刊行が早い。
- 講談社
- 01.火星のプリンセス (A Princess of Mars) 亀山龍樹訳、1967年5月28日刊行
- 02.火星の空中艦隊 (The Gods of Mars) 塩谷太郎訳、1967年5月28日刊行
- 03.火星の大将軍 (The Warlord of Mars) 矢野徹訳、1967年5月28日刊行
- 04.火星のまぼろし兵団 (Thuvia, Maid of Mars) 福島正実訳、1967年5月28日刊行
- 05.火星のくも人間 (The Chessmen of Mars) 都筑道夫訳、1967年5月28日刊行
- 06.火星の頭脳交換 (The Master Mind of Mars) 中尾明訳、1967年6月28日刊行
- 07.火星の秘密兵器 (A Fighting Man of Mars) 北川幸比古訳、1967年6月28日刊行
- 08.火星の秘密暗殺団 (Swords of Mars) 野田昌宏訳、1967年6月28日刊行
- 09.火星の合成人間 (Synthetic Men of Mars) 南山宏訳、1967年7月10日刊行
- 10.火星の地底王国 (Llana of Gathol) 内田庶訳、1967年7月10日刊行
- 角川文庫
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
[編集] ストーリー
- 第1巻から第3巻まではジョン・カーター(John Carter)とデジャー・ソリス(Dejah Thoris)の愛の物語である。体外離脱し地球から瞬間移動した風来坊であるジョン・カーターが火星で最も高貴で美しい火星人の王女の愛を勝ち得、文字通り南の果てから北の果てに至る冒険の末、結ばれるまでを描く。末尾にいたってジョン・カーターは国家を超越した「生きた軍神」とも言うべき、「火星の大元帥」”Warlord of Mars”の称号を得る。
- 第4巻はジョン・カーターとデジャー・ソリスの息子カーソリス(Carthoris)を主人公に、タース(Pterth)国の王女サビア(Thuvia)との冒険行と愛の成就を描く。幻影の実体化という秀抜なアイデアを含む。
- 第5巻はジョン・カーターとデジャー・ソリスの娘ターラ(Tara)が主人公。気の強いお姫様と求婚者という組み合わせはありがちな設定であるが、頭部だけの人間と頭部のない人間の組み合わせや命を懸けて戦う人間チェス(「ジェッタン」Jetan、独自のルールまで創作してある)などの奇想天外のアイデアが盛りこまれている。
- 第6巻の主人公は地球人ユリシーズ・パクストン(Ulyses Paxton)。第一次世界大戦の戦場から火星に瞬間移動した彼が火星随一の科学者/医師ラス・サヴァス(Ras Thavas)の弟子となり、類まれな美女と醜い老婆の頭脳を交換する手術に立ち会う。年刊アメージングストーリーズに一気に掲載された。
- 第7巻は無骨な士官タン・ハドロン(Tan Hadron)とけなげな乙女タヴィア(Tavia)の冒険ロマンス。タヴィアへの自分の気持ち、自分へのタヴィアの気持ちに一向に気づかないハドロンの鈍感さ。これもロマンスのひとつの典型。
- 第8巻の主役は久しぶりにジョン・カーター。秘密暗殺ギルドに潜入したカーターはなんと火星の衛星サリア(Thuria;フォボス)に赴く。そこには透明人間の国があった。
- 第9巻には第6巻以来のラス・サヴァスが登場。少壮士官ヴォル・ダー(Vol Daj)は目的を達成するためあえて醜い合成人間の頭蓋に自らの頭脳を移す。
- 第10巻からは晩年のバローズの特徴である中篇連作の形式となる。死んだことに気づかないまま数百万年を過した古代都市の人々、谷底の都市に人知れず暮らす黒色人貴族など。本作にはカーターの孫(ターラの娘)ラナ(Llana)が登場する。
- 第11巻は中篇2作で構成。『火星の巨人』では身の丈40mの合成人間が暴れまわる。それに対するヘリウム「空軍」の戦い。『木星の骸骨人間』では木星人登場により舞台がついに木星へ。またも誘拐されたデジャー・ソリスを木星に追うカーター。バローズ死亡により未完成作品となったので、結局ジョン・カーターとデジャー・ソリスは今も木星をさ迷っているのである。
[編集] バルスーム(火星)
バローズの火星は火星共通の言語でバルスーム(Barsoom)といい、当時の一般的な火星の知識にしたがって、全土は乾ききり、かろうじて全惑星規模の運河によって灌漑されている世界として描かれている。かつての海底は緋色の苔で覆われ、太古の海岸線に沿って都市の廃墟が並ぶ、滅びかかった世界という設定である。バルスームでは大気すらほぼ失われており、工場によって光線から合成される大気によってかろうじてすべての生命が養われているのだ。
この滅びの予感は特に第1巻において顕著であり、物語に陰影を与えているが、巻が進むにつれて希薄になってゆく。それは、かろうじて第10巻の『火星の古代帝国』での100万年前の古都の住人の感慨によって読者の胸によみがえるのである。
以下、テーマ別にシリーズの背景をなすバルスームの世界を概観する。ちなみに水星、金星、地球、木星は火星語ではそれぞれラスーム(Rasoom)、コスーム(Cosoom)、ジャスーム(Jasoom)、サスーム(Sasoom)という。
[編集] バルスーム(火星)の住人と文化
- 赤色人:地球人型火星人の主流。火星全土に住む。髪は黒い。赤銅色の肌は古代の白色人、黒色人、黄色人の混血の結果である。
- 黒色人:
- 白色人:
- 黄色人:北極に住む。
- 緑色人:赤色人以下の地球人型火星人とは明らかに生物学的起源の異なる人種。4本の腕を持つ。半遊牧民であり、火星の野蛮性の象徴でもある。
- カルデーン(Kaldane):頭部だけの人間。普段はライコールの頭部にある凹みに入り、神経的にこれを操って生活する。
- ライコール:無頭生物。地球人型の外見をしているが、頭部はなく、首にあたる部分が窪んでいる。知性や意志はなく、カルデーンにより飼育されている。
- グーリ人:
[編集] バルスーム(火星)の生物
- アプト(Apt)
- 北極の怪物。6本足の巨大な白い毛皮の動物で、短い4本の肢で雪と氷の上をすばやく進む。長くたくましい首の両側の、肩から前方にむかって生えた2本の前肢の先は、獲物を捕らえたり持ったりする白い毛のない手になっている。頭と口は2本の大きな角をのぞけば、地球のカバに一番よく似ている。角は下顎骨の脇から前方へのびて、かすかに下向きにカーブしている。
- アルシオ(Ulsio)
- ネズミに似た凶暴な動物。足は何本もあり、毛はなく、生まれたばかりのハツカネズミのようにいやらしい皮を持つ。大きなエアデール・テリアぐらいの大きさと体重で、小さな目と目の間隔が狭く、肉の深い切れ目のなかにほとんど隠れている。が、その中でももっとも凶暴でいやらしい特徴は顎にある。顎の骨質の全構造は、肉から数センチも突き出しており、上顎には5本の鋭い、鍬のような形の牙がむき出して、下顎にも同様の同じような牙がある。それら全体の印象は、大部分の肉が脱落してしまった、腐った顔を彷彿とさせる。
- オルラック(Orluk)
- 北極に棲む肉食動物。黄色と黒の毛皮を持つ。
- キャロット(Calot)
- 火星の犬。肩まで1メートルくらいで、短い10本の足を持っている。頭部は、顎に長く鋭い牙を3列そなえている点をのぞけば、ちょっぴりカエルに似ている。
- シス(Sith)
- スズメバチに似た怪物。毛のない頭、ヘレフォード種の牡牛くらいの大きさ頭部にものすごい顎を持ち、尻に毒針を持っている。目は頭の4分の3を覆い、一度に同時にすべての方角をみることができる無数の複眼からなっている。
- ジティダール(Zitidar)
- 象に似た、車を引く巨獣。
- 植物人間(Plant Men)
- ドール谷に棲息する種族。身長は直立すると4、5メートル。腕はきわめて短く、象の鼻に似て、うねうねと動く。体には毛がなく、飛び出した一つの目のまわりが白い以外は、全体が薄気味の悪い青みを帯びている。一つ目は瞳も虹彩も眼球も白一色。鼻は充血した、いびつな丸い孔で、顔の中央にあり、弾丸に当たったばかりでまだ血が流れていない傷跡に似ている。顔には口がない。顔は顔面をのぞいて、長さ20センチから25センチくらいの黒いもじゃもじゃした毛でおおわれ、毛の太さはミミズくらいある。胴体と脚部と足は人間並みの形をしているが、足はくるぶしからつま先まで、ゆうに1メートルはあり、扁平で幅が広い。食物を摂取するさいは、奇妙な形の両手で芝草をなでるようにして、剃刀の刃のような爪で柔らかな植物を刈り取り、左右の手のひらについている二つの口で吸い上げ、、腕のような形の喉に送り込む。このほかに、長さ1メートルほどの太い尾がある。胴体に接する部分は完全に丸いが、しだいに細くなり、先端は平たく薄い刃のようになって、それを地面と直角に引きずっている。
- シリアン(Silian)
- コーラスのロスト海に棲む巨大爬虫類
- ソート(Thoat)
- 緑色人が用いる火星の馬。肩までの高さは3メートル。両側に足が4本ずつ、計8本。根元よりも先端で広がった幅広い平らな尻尾――駆けるときは、これをピンと突き出す。口は、鼻から長いたくましい首に駆けて、頭を切り裂いたようにガッと開いている。毛は1本もなく、黒ずんだ灰色をしており、皮は非常になめらかで、つやつやしている。腹部は白く、肩や尻は灰色なのに、脚部ではそれがしだいに変化して、足の先端では、鮮やかな黄色になっている。足はぼってりとして爪がない。
- ソラック(Sorak)
- 赤色人女性が飼う愛玩用動物で、猫くらいの大きさ。腰抜けの意味もある。
- 大白猿(White Ape)
- 4本腕の白く巨大な猿。
- ダルシーン(Darseen)
- カメレオンのような爬虫類
- バンス(Banth)
- 火星のライオン
- マラゴール(Malagor)
- 巨大な鳥
- ライコール(Rykors):
[編集] バルスーム(火星)の環境・地理
- アルトール山脈 (Artolian Hills):トゥーノルとデュホールの間にある雪をいただいた山脈(『火星の交換頭脳』『火星の合成人間』)
- アンセスター通り (Avenur of Ancestors):ヘリウムの街路。
- イス河 (Iss, the River):死の河。 死を覚悟したものが向かう地。イス河に入った者は生きて戻ってはならない。
- エウロバス (Eurobus):木星人語で木星のこと
- エクサム (Exum):火星の子午線起点(グリニッジ)。(『火星の合成人間』『火星の古代帝国』)
- 応酬神殿 (Temple of Reward):ヘリウムの裁判所
- オツ連峰 (Otz Mountains):ドール谷とコーラスのロスト海をとりまく山脈。
- オメアン海 (the Sea of Omean):地底の海。
- オンプト島 (Ompt):モルバスとファンダルの間、トゥーノル大湿原の島。
[編集] バルスーム(火星)の国・都市
- ヘリウム (Helium):赤色人の王国。デジャー・ソリスの故郷。
- ゾダンガ (Zodanga):ヘリウムの隣国。好戦的な国家で緑色人の孵化器を集中的に狙い攻撃する。
- アアンソール (Aaanthor):古代火星の廃都。ホルツの南50度、東40度。(『火星の幻兵団』)
- アモール(アムホール) (Amhor):赤色人の帝国(公国)。グーリとファンダルの間の一点から北西へ2025ハアド(『火星の交換頭脳』『火星の合成人間』)
- イラール (Illall):オカールの都市。
- インバク (Invak):都市。赤道上にある。透明人間技術を有する。
- オカール (Okar):黄色人の帝国。北極の氷原の内部にある。
- オロバール ():古代の帝国。
- オンバク (Onvak):都市。赤道上にある。
- オンブラ (Ombra):火星の月サリアの村
[編集] バルスーム(火星)の言語
[編集] バルスーム(火星)の度量衡
バローズの作品の魅力の一つに、言語や文化まで創造してしまう異世界がある。敵艦隊との距離が2,000フィート、あるいは600mと表記されるよりは「200アドのところにゾダンガの軍勢が」と書かれていた方がずっと趣がでるというものである。
火星の距離単位の常用基準はアドである。地球のフィートに相当し11.694インチ。わたくし(ERB)は読者の便宜を思って、従来どおり火星の距離単位、時間単位などを地球の尺度に換算してきたのだが、好学心のある読者諸氏には、あるいは火星の尺度に興味があろうかとも考え、次にこれを掲げる。
- 10ソファド=1アド
- 200アド=1ハアド
- 100ハアド=1カラド
- 360カラド=火星赤道円周
- 1ハアドすなわち1火星マイルは2,339フィート。1カラドは火星緯度の1度。1ソファドは1.17インチ。
『火星の幻兵団』第6章より引用
計算してみればわかることだが、、上記には誤りがある。
日本人に理解しやすいように、ヤードポンド法をメートル法に換算してみよう。
- 1ソファド = 1.1694インチ = 2.97cm (火星インチ)
- 10ソファド = 1アド = 11.694インチ = 29.7cm (火星フィート)
- 200アド = 1ハアド = 195フィート = 59.4m
以上のように、1ハアドは2,339フィートのはずが、10倍以上もずれてしまう。1ハアド=2339フィートを起点に計算を続けたとしても、
- 1ハアド = 2,339フィート = 713m (約0.5マイル)
- 100ハアド = 1カラド = 44.6マイル = 71.3km
- 360カラド = 赤道円周 = 16,040マイル = 25,665km
実際の火星の赤道円周は約21,344kmであり、桁はあっているが正確ともいいがたい。
さらに1ハアド=2,339フィートを起点に逆算してみると、
- 1ハアド = 2,339フィート = 713m (約0.5マイル)
- 1/200ハアド = 1アド = 11.7フィート = 3.56m
- 1/10アド = 1ソファド = 1.17フィート = 35.6cm
これでは、「アドは火星フィートである」とする用語辞典と齟齬をきたす。
ただし、『火星の秘密兵器』の「原注」に「1ハアドは地球の1949.0592フィート」そして「1アドは地球の約9.75フィート」とある。換算してみると、1,949フィート=23,388インチとなり、2339の10倍となることから、ここでは「カアド」という単位を設定することで、ジョン・カーターがバローズのペンを通じて発信した数字がすべて当てはまることを確認して、掲示しておきたい。
1ソファド = 1.169インチ = 2.97cm (約1インチ) 10ソファド = 1アド = 11.69インチ = 0.975フィート = 29.7cm (約1フィート) 200アド = 1カアド = 2339インチ = 195フィート = 59.4m 10カアド = 1ハアド = 1949.0592フィート = 0.371マイル = 594m 100ハアド = 1カラド = 37.1マイル = 59.4km 360カラド = 赤道円周 = 13,367マイル = 21,387km (正21,344km)
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 「火星」の前と後
- リチャード・A・ルポフは、バローズは、火星シリーズを著すにあたり、エドウィン・レスター・アーノルドが1905年に書いた小説『ガリバー・ジョーンズ中尉とその休暇(Lieutenant Gullivar Jones: His Vacation)』(あるいは単に『火星のガリバー(Gullivar of Mars)』)の影響を受けていると述べているが、これには異論もある。ルポフはまた、火星シリーズの主人公ジョン・カーターの人物像について、同じくアーノルドの小説『フェニキア人フラの華麗な冒険(The Wonderful Adventures of Phra the Phoenician)』(1890)の主人公フラにその原型が見られるとしている。
- バローズの火星シリーズに影響を受けた作品は多く、ひとつの作品として優れたものから、たんに模倣に過ぎないものまで玉石混交といえる。邦訳のあるものを中心にあげると以下のようなものである。(ただし現在ではほとんどが絶版状態である。)
- O・A・クライン『火星の黄金仮面(The Outlows of Mars)』:『火星の無法者』のタイトルで久保書店から刊行され、後日、武部本一郎の挿絵つきで上記の書名で創元推理文庫に収録された。クラインはこの他にも火星や金星を舞台にしたバローズ風の作品を多く書いており、ターザンに類似した作品もある。
- ラルフ・ミルン・ファーリィ『ラジオ・マン(The Radio Man)』:同時代の作品の一つで、金星を舞台にしたもの。日本語には未訳。
- マイケル・ムアコック『火星の戦士(The Warrior of Mars)』シリーズ:『野獣の都』、『蜘蛛の王』、『鳥人の森』の3作からなり、ハヤカワ文庫から刊行されている。
- リン・カーター『緑の太陽(Green Star)』シリーズ:全5巻のうち『緑の星の下で』、『緑の星の招くとき』、『緑の星の暗黒世界で』の3巻がハヤカワ文庫から刊行されている。
- リイ・ブラケット『リアノンの魔剣(The Sword of Rhiannon)』:太古の火星にタイムスリップする冒険譚。ハヤカワ文庫
- リイ・ブラケット『赤い霧のローレライ(Lorelei of the Red Mist)』:金星を舞台にした幻想冒険譚。青心社文庫
- デヴィッド・J・レイク『ジューマ(Xuma)』シリーズ:『ジューマの神々(The Gods of Xuma)』、『ジューマの元帥たち(Warlords of Xuma)』が創元推理文庫から刊行。原題に注目。
- ロバート・A・ハインラインの『獣の数字(The Number of the Beast)』(ハヤカワ文庫)は、名前の一部にジョン・カーター、デジャー・ソリスを持つ主人公が登場するほか、訪れるパラレルワールドの一つに「バルスーム」が含まれている。
[編集] 日本人作家による作品
- 『火星の大統領カーター』:栗本薫による当時のアメリカ合衆国大統領のジミー・カーターにひっかけたパロディ。早川書房 1984年 ISBN 4-15-203273-1
- 『火星の土方歳三』:吉岡平による『火星のプリンセス』へのオマージュ。土方歳三が火星に行き、活躍する。ジョン・カーター本人は名前のみで登場しない。ソノラマ文庫 朝日ソノラマ 2004年 ISBN 4-257-77034-1
- 『南軍騎兵大尉ジョン・カーター』:吉岡平によるジョン・カーターへのオマージュ。火星に行く前のカーターを描く。ソノラマ文庫 朝日ソノラマ 2005年 ISBN 4-257-77061-9
- 『金星のZ旗』:吉岡平により『金星シリーズ』へのオマージュ。変名を用いたジョン・カーターが登場。
[編集] 映画化
映画化の話は数十年にわたって何度も持ち上がっているが、これまで一度も実現していない。ピクサーが2012年に映画を公開するというのが目下の最新情報であり、CGと実写の混成となる予定。赤色人の美女はCGではないことが期待される。
[編集] 参考図書
- リチャード・A・ルポフ『バルスーム バローズの火星幻想』(厚木淳訳、東京創元社)1982年5月
- Clark A. Brady "The Burroughs Cyclopedia" ; McFarland & Company 1996年
- David G.Van Arnam "The Reader's Guide to Barsoom and Amtor" 1963
- Jon Flint Roy "A Guide to Barsoom" 1976
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月30日 (月) 21:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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