熟字訓

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熟字訓(じゅくじくん)は、日本語において漢字の単字単位ではなく熟字単位で訓読み(訓)を当てたもの。単字に分解してもそれぞれに熟字訓の要素は現れない。また、読みの方でも分節不可能なものが多い。

目次

[編集] 概説

例えば、「明日」に「あす」という訓を当てているが、単字の「明」や「日」に「あす」の要素はない。また読みの「あす」を「あ」と「す」に分けることもできない。漢語においては「明」と「日」を修飾-被修飾の関係で組み合わせて新たな意味を作り出しているのであり、これを単字それぞれのもつ字訓を使わずに、二字まとめて一訓を当てたものである。単字訓で読めば「あくるひ」になる。よく使われる言葉が熟字訓になっている場合が多い。訓には和語ばかりでなく外来語が使われることがある。例えば「煙草」を「たばこ」と訓読みする。熟字が漢語文法に則って作られていることが前提であり、字音や字訓を利用しつつも漢字本来の意味や熟字構造を無視して和語や外来語に漢字を当てる当て字とは異なる。

また、熟字訓と音読みで意味が異なる場合がある。「今日」は、「きょう」と読む場合はある特定の日(本日)を指し、「こんにち」と読む場合には特定の長い期間(最近)を指す。

一般に二三字で特殊な読みをするものをすべて熟字訓と考える人がいるが、それは誤りである。例えば「玄人」「素人」を「くろうと」「しろうと」と読むが、これは「玄」が「くろ」、「素」が「しろ」、「人」が「ひと」と分解でき、その「くろ」+「ひと」のウ音便に過ぎない。

熟字訓も通常の訓読みと同様、最初は個人的な使用(義訓)から生じている。それが慣用的なものとして定着したものが今見る熟字訓である。江戸時代に「閑話休題」を「それはさておき」と訓んでいたことが知られるが、現代には定着していない。

[編集] 日本の地名

日本の地名や人名には熟字訓であるものが少なからずある。その場合、「大和(やまと)」や「飛鳥(あすか)」のように熟字の語義と訓とがかなりかけ離れているものも多い。これは律令制の整備に際し、日本の地名に中国風に漢字2字の名称をつけたとき、もとの和名からかけ離れた漢字熟語を用いたためであり、訓が語義を説明するものというよりも地名に対して漢風の漢字で表記したものと言える。「近江」のように「ちかつあはうみ」から漢字がつけられていても、「おうみ」とだけ読むために元々の関係性が明確でなくなっているものも多い。

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[編集] 暦・季節・時間

熟語 熟字訓 音読み 意味
一昨昨日 さきおととい   本日の3日前の日。
一昨日 おととい、おとつい いっさくじつ 本日の2日前の日(前前日)。
昨日 きのう さくじつ 本日の1日前の日(前日)。
今日 きょう こんにち 「きょう」は本日、「こんにち」は最近。
明日 あす、あした みょうにち 本日の1日後の日(翌日)
明後日 あさって みょうごにち 本日の2日後の日(翌翌日)。
明明後日 しあさって   本日の3日後の日。
一日 ついたち いちにち、いちじつ 1日。
晦日 つごもり、みそか かいじつ 30日または月末、大晦日は12月31日
如月 きさらぎ じょげつ 2月。
弥生 やよい   3月。
五月、皐月 さつき ごがつ(五月) 5月。
師走 しわす、しはす   12月。
今年 ことし こんねん 本年。
今朝 けさ こんちょう 今日の朝。
十六夜 いざよい じゅうろくや 満月の次の日の夜、そのとき出る月を指すことも。
七夕 たなばた しちせき 7月7日またはその日に行われる祭り。
一寸 ちょっと いっすん 「ちょっと」は短い時間、「いっすん」は長さの単位で約3.03cm。

[編集] 人称

熟語 熟字訓 音読み 意味
下手 へた したて、しもて(ともに訓) 「へた」はうまくないこと、「したて」は遜ること、「しもて」は舞台のむかって左側のこと。
大人 おとな だいにん 成人
従兄弟 いとこ   父母の兄弟姉妹の子。
伯父 おじ はくふ 父母の兄。
叔父 おじ しゅくふ 父母の弟。
伯母 おば はくぼ 父母の姉。
叔母 おば しゅくぼ 父母の妹。
玄孫 やしゃご げんそん 孫の孫。
二十歳二十 はたち にじ(ゅ)っさい・にじゅう 20歳。
女将 おかみ じょしょう 旅館料理屋等の女主人。
処女 おとめ、おぼこ しょじょ まだ若い女性、未成熟な少女。
乳母 うば にゅうぼ 子供を育てるための人。

[編集] 自然

熟語 熟字訓 音読み 意味
梅雨 つゆ ばいう 春と夏の間に多く雨が降る期間とその雨。
時雨 しぐれ じう 晩秋から初冬にかけて、冬型の気圧配置に伴って日本海側で降る雨。
五月雨 さみだれ ごがつう 梅雨と同じ意味。
雪崩 なだれ   雪が崩れること。
吹雪 ふぶき   風と雪が強いこと。
陽炎 かげろう ようえん 春及び夏に起こる気象現象。
紅葉 もみじ こうよう 秋に起こる落葉樹の葉の色が変わる現象。

[編集] 動植物

熟語 熟字訓 音読み 意味
土筆 つくし   スギナの胞子茎。
女郎花 おみなえし   オミナエシ科の多年草  
山葵 わさび   アブラナ科の植物。
百合 ゆり   ユリ科の多年草。
海月水母 くらげ   浮遊生活を送る刺胞動物
海老 えび   甲殻類の動物。
烏賊 いか   十本の腕の頭足類
小豆 あずき しょうず 餡子の原料の豆。小豆島(地名)の場合は「しょうど」と読む。

[編集] 食べ物

熟語 熟字訓 音読み 意味
心太心天 ところてん   海藻類を煮溶かし寒天質を冷まして固めた食品。
果物 くだもの かぶつ 甘味や酸味の強い果実、特に樹木になるもの。
灰汁 あく   食品に含まれる不快な成分。
河岸 かし かがん 「かし」は魚卸売市場、「かわぎし」は川の岸。
海女 あま   海に潜り海産物を取る女性。

[編集] 生活用品

熟語 熟字訓 音読み 意味
眼鏡 めがね がんきょう 視力を矯正する道具。
足袋 たび   日本固有の伝統的な衣類で足に履く一種の下着。
竹刀 しない ちくとう 竹でできた刀。
団扇 うちわ   扇ぐことで風を起こせるようにした日本の伝統的な冷房器具。
松明 たいまつ しょうみょう 手で持てるようにした火のついた木切れ。
蚊帳 かや   蚊から人を守るための箱状の網。
浴衣 ゆかた よくい 単純な構造の和服。
母屋、母家 おもや   家の主となる建物。

[編集] 文化

熟語 熟字訓 音読み 意味
大和 やまと だいわ 奈良県天理市付近の地域名、奈良県や日本全体を指すこともある。神奈川県大和市(やまとし)がある。企業名では両方の読みがある。
流鏑馬 やぶさめ   疾走する馬上から的に矢を射る弓術の稽古・儀式。
太刀 たち   刀。大きな刀、または、直刀でない刀。
山車 だし   に使われる車輪を持った出し物。大勢で引く。
お神酒 おみき   神に供える
神楽 かぐら   神に奉納するための歌と舞。
祝詞 のりと しゅくし 神に奉納するための言葉。
女形 おやま おんながた(訓) 女性を演じる男性の役者(歌舞伎など)。
土産 みやげ どさん その土地の特産品、旅先で仕入れた品物、記念品。
田舎 いなか でんしゃ 人口がまばらでへんぴな地域(いわゆる地方)。生まれ故郷。
相撲 すもう   日本の伝統的な格闘技。
鍛冶 かじ たんや 鍛造による金属製品の製作。鍛冶屋

[編集] その他

熟語 熟字訓 音読み 意味
欠伸 あくび けんしん 反射的に空気を吸うこと。
九十九 つくも きゅうじゅうきゅう 「つくも」はたくさんあることや99のこと。「きゅうじゅうきゅう」は99のこと。「九十九折」は「つづらおり」と読む。
台詞科白 せりふ だいし、かはく 劇や漫画の登場人物が発する言葉。
二十 はた、はたち にじゅう 20。
八百 やお はっぴゃく 800。たくさんあること
為替 かわせ   金銭を決済する方法。
可笑(しい) おか(しい)   滑稽なまたは奇妙な。
美味(しい) おい(しい) (びみ) 味が良い。
流石 さすが   実力が相応分はあること。
老舗 しにせ ろうほ 歴史の長い店、企業。
相応(しい) ふさわ(しい) (そうおう) (形容詞で)似合っている。釣合っている。

[編集] 関連項目

ウィクショナリー
ウィクショナリー熟字訓の項目があります。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年7月2日 (木) 14:49 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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