物理量

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物理量(ぶつりりょう、physical quantity)とは、質量長さ体積圧力時間などのような、物体物質エネルギーも含む)などの測定対象に固有な、物理系の性質を記述する、客観的に測定できる、およびその量を用いて算出できる量のこと。

物理量の値は数値と単位の積で表される[1]。物理量の測定とは、等しい次元をもつ2つの物理量をとり、一方を基準として他方がその何倍に相当するかを決めることである。このとき基準とした方の物理量を単位と呼ぶ。 「物理量の値」のことも、「物理量」という。物理量の単位を物理単位という。物理単位については国際単位系が定められ使用が推奨されている。日本国内では計量法により推奨単位が定められている。

物理量の値を知るには測定方法を定めなくてはならない。また、測定方法を定めることにより物理量を定義することもできる。これを操作的な定義という。多くの物理量は測定器により測定されている。

物理量は次元が明確なものに限られる。一般的に、質量、長さ、時間、電流、絶対温度物質量(モル数)、光度の7つを基本量とする国際単位系が採用されている。その他の物理量はこれらの基本量の加減乗除などの演算であらわされる。

物理量には電荷エネルギーといったスカラー量速度といったベクトル量テンソルなどがある。


SI組立単位におもな物理量の単位一覧が掲載されている。


目次

[編集] 物理量同士の演算

以下の説明は、ISO31-0[1], JIS+Z+8202及び機械工学便覧準拠する。

物理量Q(物理量の値)は、単位[Q]と数値{Q}の積

Q={Q}[Q] (1-1)

の形で表わすことが可能である。数値{Q}は通常はただの実数だが、場合によっては実数ベクトル、実テンソルの場合もある。単位[Q]のことを、「物理量Qの単位」と数値{Q}のことを「物理量Qの数値」という。

例えば、

  1. P=10 m
  2. Q=5 s

であるとき、

  1. {P}=10, [P]=m
  2. {Q}=5 , [Q]=s

である。

物理量Qの数値{Q}は、単位[Q]について表現されたものである。このことを強調するべき時には、

Q={Q}[Q][Q] (1-1')

のように書くことができる。例えば、波長λを単位nmについて表現したときの値が、705であったときには、下記1のように書くことができる。しかし、単位系の公理自体を論じるとき以外には、2-4の表記が好まれる。

  1. {λ}[nm]=705
  2. \lambda\ (nm)=705
  3. \lambda=705\ nm
  4. \lambda\ /nm=705

特別な物理量として無次元量といわれるものがある。無次元量の扱いは、通常は(1-1)式のような 表記をしないが、正式な表記法は、一貫性の観点から大変紛らわしい書き方であり、複雑な単位の換算を行う上で 場合によっては重大な誤解を生じさせる場合がある。そのため、 いくつかの権威ある文献でも説明上の便宜として、(1-1)式のような表記を 導入している場合もあり、本記事でもそのようにする。本記事では、必要に応じ無次元量をU であらわし、これも、他の物理量と同様に

U={U}[U] (1-2)

という形で表記する。当然、無次元量Uの数値{U}は、実数1とは限らない。

先述のように、無次元量Uの単位[U]は表記しないルールとなっている。つまり、正式なルールでは(1-2)式は

U={U} (1-2')

と書かねばならない。

物理量P,Qの数値が実数であるとき、これらの積、商もまた、物理量である。 これらの積PQと商P/Qの定義は、以下のように行われる。

  • PQ={PQ}[PQ] (1-3)
  • P/Q={P/Q}[P/Q] 但し、{Q}≠0 (1-4)

ここで、物理量PQの値{PQ}は、

  • {PQ}={P}{Q}

で定義される実数のことで、物理量P/Qの値{P/Q}は

  • {P/Q}={P}/{Q}

で定義される実数のことである。また、単位同士の積、商は、固有の名称をもつ単位が、規則として定められていない限り、最終的に[PQ]、[\frac{P}{Q}]のような形式的な表記でとどめる。言い換えれば、単位[P]と単位[Q]から新たな単位[PQ]や[P/Q]が生成されたのである。無論、複数の物理量同士の積、商を考える場合には、代数学における結合、簡約、場合によっては交換と同様の操作を可能な限り行い、既約の形にするものとする。

例えば、

  • P=10 m
  • Q=5 s

であるとき、

  • {P/Q}= 10/5=2
  • [P/Q]= m/s

である。

物理量Pには有理数rに対する階乗Pr が、通常の代数法則と同様に定義される。物理量の階乗も又、物理量である。

物理量P,Qの数値が実数であるとき、「物理量PとQが比較可能」とは、P/Qが無次元量となる場合のことである。 「物理量PとQが比較可能」とはすなわち、 1[P] = ξ[Q] (1-5) となるような実数ξが見出せる場合を意味する。このとき、

  • P/Q=ξ{P / Q}[U]=ξ{P / Q} (1-6)

が成立する。このξのことを、「単位[P],[Q]間の換算係数」という。ξが、「単位[P],[Q]間の換算係数」であることを強調するときには、本記事ではξ[P],[Q] のように書く。


例えば、

  • A=5 nm
  • B=7 m
  • C=5 s

としたとき、AとBは比較可能である。AとC、BとCは比較可能ではない。 ここで、

  • 1\ nm={10}^{-9}\ m

である。つまり「nmとmの間の換算係数は、1\times{10}^{-9}である。また、以下が成立する。

  • ξnmm = 10 − 9
  • A\ (m)=5\times{10}^{-9}
  • B\ (nm)=7\times{10}^{9}
  • A/B=(5 nm)/(7\times{10}^{9} nm)=(5/7)\times{10}^{-9}[U]=(5/7)\times{10}^{-9}
  • A/B=(5\times{10}^{-9} m)/(7\ m)=(5/7)\times{10}^{-9}[U]=(5/7)\times{10}^{-9}
  • {A/B}=(5/7)\times{10}^{-9},\ [A/B]=[U]


物理量PとQが比較可能であるときには、以下の方法で、単位の換算が出来る。 以下に、物理量PとQの間に(1-5)式の関係がある場合に、単位を[P]から[Q] に変換する

  1. [P] = ξ[Q]より、1\cdot[U]=\frac{1}{\xi}[Q/P]が成立する。
  2. 従ってP=P\cdot1[U]=P\frac{1}{\xi}[Q/P]が成立する。
  3. 従ってP=\frac{{P}}{\xi}[P][Q/P]=\frac{{P}}{\xi}[Q]が成立する。

物理量P,Qの数値が実数であるとき、物理量PとQが(1-5)式の意味で比較可能であるときには、これらの間に 足し算、引き算が以下のように定義される。

  1. P+Q=(\{P\}+{\xi}_{[P],[Q]}\{Q\})[Q]=(\frac{1}{{\xi}_{[P],[Q]}}\{P\}+\{Q\})[P]
  2. P-Q=(\{P\}-{\xi}_{[P],[Q]}\{Q\})[Q]=(\frac{1}{{\xi}_{[P],[Q]}}\{P\}-\{Q\})[P]

別の見方をすれば、物理量同士の足し算、引き算は、その単位を[P]または、[Q] のいずれかに統一した後にのみ意味をもつ。

[編集] おもな物理量の一覧

質量の次元をMn、長さをLn、時間をTn、電流をAnであらわす。

物理量 次元 標準的な記号 関連する量
質量 M m,μ 密度ρ慣性モーメントI
長さ L l,x 位置r(ベクトル)
時間 T t,T
電流 A I,i
速さ LT-1 v,u 速度v(ベクトル)
加速度 LT-2 a
MLT-2 f,F 運動量p,力積,トルクN
エネルギー ML2T-2 E,U
仕事率 ML2T-3 P 電力
密度 ML-3  
圧力 ML-1T-2 P
電荷 TA q
電圧電位差 ML2T-3A-1 V

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 参考文献

  1. ^ http://buturi.hiro.kindai.ac.jp/basic/buturi2003/unit.pdf

最終更新 2009年11月20日 (金) 08:16 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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