特別捜査部
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特別捜査部(とくべつそうさぶ)は日本の検察庁の一部門。東京・大阪・名古屋の各地方検察庁に設置されている。特捜部(とくそうぶ)・特捜(とくそう)と略されることが多い。
独自の捜査権限を有している検察庁の中でも、大規模事件など、集中的に捜査を行う必要がある案件に取り組む機関として存在している。検事(副検事)のほかに検察事務官により構成されている。
目次 |
[編集] 概要
第二次世界大戦後、東京・大阪の2特捜部態勢が続いていたが、1996年に名古屋地方検察庁にも特捜部が置かれ全国で3特捜部の態勢となっている。
政治家汚職、大型脱税、経済事件を独自に捜査する。一般的な刑事事件は警察による捜査および被疑者の逮捕が行われるが、この類の事件では最初から特捜部が捜査・摘発する場合が多い[1]。
なお、3地検以外の地方検察庁にもこれに準じた部署として特別刑事部が置かれている。
[編集] 歴史
- 1947年(昭和22年):隠退蔵物資事件を契機に、東京地検で特捜部の前身「隠匿退蔵物資事件捜査部」、通称「隠退蔵事件捜査部」が発足。
- 1957年(昭和32年):大阪地検特捜部が発足。
- 1996年(平成 8年):名古屋地検特捜部が発足。
[編集] 東京地方検察庁特別捜査部
通称「東京地検特捜部」。中央合同庁舎6号館A棟の8階にあり、ここから“「8階が動いている」と言われると永田町に戦慄が走る”と評された。
[編集] 体制
総勢 検事38名・副検事3名・検察事務官84名
[編集] 主な事件
汚職#主な汚職事件のうち、1947年(隠退蔵事件捜査部発足)以降のものを参照。
[編集] 歴代特捜部長
| 代 | 氏名 | 在任期間 | 主な手掛けた事件 | 出身校 | 主な後職 |
|---|---|---|---|---|---|
| 隠退蔵事件捜査部長 | |||||
| 1 | 田中萬一 | 1947年11月 - 1948年1月(心得、兼任渉外部長) | 中央大学 | 最高検刑事部長 | |
| 2 | 山内繁雄 | 1948年1月 - 1948年7月 | 昭和電工事件 | 東京帝国大学 | 最高検検事、弁護士 |
| 3 | 福島幸夫 | 1948年7月 - 1949年5月 | (後掲) | ||
| 特別捜査部長 | |||||
| 1 | 福島幸夫 | 1949年5月 - 1950年1月 | 炭鉱国管疑獄 | (前掲) | 最高検検事 |
| 2 | 岡嵜格 | 1950年1月 - 1953年11月 | 京都帝国大学 | 大阪高検検事長 | |
| 3 | 山本清二郎 | 1953年11月 - 1955年10月 | 造船疑獄及び造船疑獄指揮権発動、保全経済会事件、陸運汚職事件 | 中央大学 | 次長検事、大阪高検検事長 |
| 4 | 天野武一 | 1955年10月 - 1958年12月27日 | 売春汚職事件 | 東京帝国大学 | 大阪高検検事長、最高裁判事 |
| 5 | 布施健 | 1958年12月27日 - 1961年7月15日 | 東京帝国大学 | 検事総長 | |
| 6 | 河井信太郎 | 1961年7月15日 - 1965年9月13日 | 武州鉄道汚職事件、吹原・森脇事件 | 中央大学 | 大阪高検検事長 |
| 7 | 大江兵馬 | 1965年10月1日 - 1967年4月15日 | 田中彰治事件、共和精糖事件 | 京都帝国大学 | 横浜地検検事正 |
| 8 | 木村喬行 | 1967年4月15日 - 1970年3月27日 | 日通事件 | 東京帝国大学 | 仙台高検検事長 |
| 9 | 山根治 | 1970年3月27日 - 1971年4月6日 | 最高検公安部長 | ||
| 10 | 田村秀策 | 1971年4月6日 - 1972年6月29日 | 中央大学 | 大阪高検検事長 | |
| 11 | 大堀誠一 | 1972年6月29日 - 1975年1月25日 | 協同飼料株価不正操作事件、石油ヤミカルテル事件 | 東北帝国大学工学部 | 東京高検検事長 |
| 12 | 川島興 | 1975年1月25日 - 1978年4月1日 | ロッキード事件 | 中央大学 | 大阪高検検事長 |
| 13 | 吉永祐介 | 1978年4月1日 - 1980年6月2日 | ダグラスグラマン事件、KDD事件 | 岡山大学 | 検事総長 |
| 14 | 岡村泰孝 | 1980年6月2日 - 1981年12月1日 | 誠備グループ脱税事件 | 京都大学 | 法務事務次官、検事総長 |
| 15 | 藤永幸治 | 1981年12月1日 - 1983年1月12日 | 芸大事件、三越事件 | 京都大学 | 東京高検検事長 |
| 16 | 河上和雄 | 1983年1月12日 - 1984年11月20日 | 新潟鉄工所ソフトウェア等横領事件、新薬産業スパイ事件 | 東京大学 | 最高検公判部長 |
| 17 | 山口悠介 | 1984年11月20日 - 1987年2月1日 | リッカー事件、撚糸工連事件、平和相互銀行事件、日本共産党幹部宅盗聴事件 | 東京大学 | 札幌高検検事長 |
| 18 | 増井清彦 | 1987年2月1日 - 1987年8月17日(次席検事兼務) | 京都大学 | 大阪高検検事長 | |
| 19 | 松田昇 | 1987年8月17日 - 1989年9月4日 | 明電工脱税事件、リクルート事件 | 中央大学 | 最高検刑事部長、預金保険機構理事長 |
| 20 | 石川達紘 | 1989年9月4日 - 1991年1月21日 | 国際航業事件、稲村利幸脱税事件 | 中央大学 | 名古屋高検検事長 |
| 21 | 五十嵐紀男 | 1991年1月21日 - 1993年7月2日 | 共和汚職事件、東京佐川急便事件・金丸信巨額脱税事件・ゼネコン汚職事件 | 北海道大学 | 横浜地検検事正 |
| 22 | 宗像紀夫 | 1993年7月2日 - 1995年7月31日 | ゼネコン汚職事件中村喜四郎元建設相逮捕、東京協和・安全信用二信組事件 | 中央大学 | 名古屋高検検事長 |
| 23 | 上田廣一 | 1995年7月31日 - 1996年12月3日 | 泉井石油商会脱税事件、関空汚職事件 | 明治大学 | 次長検事、東京高検検事長 |
| 24 | 熊崎勝彦 | 1996年12月3日 - 1998年6月10日 | 野村證券・第一勧銀総会屋利益供与事件、防衛庁調達実施本部背任事件 | 明治大学 | 最高検公安部長 |
| 26 | 中井憲治 | 1998年6月10日 - 1999年9月20日 | 東京大学 | 法務総合研究所長 | |
| 27 | 笠間治雄 | 1999年9月20日 - 2001年6月29日 | KSD事件 | 中央大学 | 次長検事 |
| 28 | 伊藤鉄男 | 2001年6月29日 - 2002年10月7日 | 野村沙知代脱税事件(2001年12月)、鈴木宗男事件 | 中央大学 | 高松高検検事長、次長検事 |
| 29 | 岩村修二 | 2002年10月7日 - 2003年12月5日 | 業際研事件 | 中央大学 | 東京地検検事正 |
| 30 | 井内顯策 | 2003年12月5日 - 2005年4月8日 | 中医協汚職事件(日歯連汚職事件)・日歯連闇献金事件、堤義明証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、インサイダー取引)(2005年3月) | 中央大学 | 最高検刑事部長 |
| 31 | 大鶴基成 | 2005年4月8日 - 2007年1月16日 | ライブドア事件 | 東京大学 | 最高検検事 |
| 32 | 八木宏幸 | 2007年1月16日 - 2008年7月14日 | 緑資源機構談合事件、山田洋行事件 | 中央大学 | 福井地検検事正 |
| 33 | 佐久間達哉 | 2008年7月14日 - | 国立大学の施設発注を巡る汚職事件、西松建設政治資金規正法違反容疑による小沢一郎秘書逮捕 | 東京大学 | |
[編集] 大阪地方検察庁特別捜査部
通称、「大阪地検特捜部」。1957年4月創設。
[編集] 体制
- 総勢54名 部長、副部長以下検事13名・副検事3名・事務官38名
[編集] 主な事件
- 大阪タクシー汚職事件にかかわる関谷勝利衆院議員逮捕 (1967年4月)
- 阪大ワープロ汚職事件(1984年7月)
- 砂利船汚職事件(1988年1月)
- イトマン事件(1991年7月)
- 牛肉偽装事件(2004年4月)
- 衆議院議員西村眞悟による弁護士法違反事件(2005年11月)
- 和歌山県知事談合・収賄容疑(2006年11月)
- 枚方市第二清掃工場建設工事(仮称)官製談合 (2007年5月)
- 著作権詐欺容疑による小室哲哉逮捕(2008年11月)
- 郵便法違反容疑によるベスト電器および博報堂等への強制捜査(2009年4月)
- 凛の会による郵便法違反容疑にかかわる厚生労働省局長等の逮捕(2009年6月)
[編集] 活動に対する批判
「検察庁#議論」、「検察庁#特捜検察と公安検察の対立」、および「国策捜査」も参照
特別捜査部は汚職を取り締まるために時の政権の意向に左右されやすいと言われている。また、有罪にするために強引な捜査手法が目立つとの批判もある。
最近では、特捜部の捜査手法が公安警察のように、社会の秩序安定を目的に一罰百戒を狙って逮捕することに重きを置くようになった(特捜部の公安化)という指摘がある[2]。かつての特捜部は被疑者が反論できないくらい証拠を固めていて、強制捜査は事件の開始を告げる儀式に過ぎなかったが、現在の特捜部は証拠が固まっていない内から強制捜査に乗り出すため、捜査が行き当たりばったりになっていると指摘されている。ライブドア事件もそういう傾向が表れていたという[3]。この背後にあるのは「国民が望んだ」という意識で、証拠固めよりも世論の空気に動かされて捜査に突入しているという。このことが国策捜査の連発につながっていると指摘されている[4]。
[編集] 脚注
- ^ 東京地方検察庁公式ウェブサイト「Q&Aコーナー」、2009年5月31日閲覧。
- ^ 『マネーゲーム崩壊』 230-234頁。
- ^ 『マネーゲーム崩壊』 232-234頁。
- ^ 『マネーゲーム崩壊』 234頁。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 佐藤優 『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』 新潮社、2005年3月26日。ISBN 9784104752010
- 山本祐司 『特捜検察物語〈上〉政治権力との闘い』 講談社、1998年9月。ISBN 9784062093934
- 山本祐司 『特捜検察物語〈下〉腐敗・汚職との闘い』 講談社、1998年9月。ISBN 9784062093941
- 魚住昭 『特捜検察の闇』 文藝春秋、2003年5月。ISBN 9784167656652
- 藤永幸治 『特捜検察の事件簿』 講談社、1998年10月。ISBN 9784061494183
- 宮本雅史 『歪んだ正義―特捜検察の語られざる真相』 角川学芸出版、2007年5月。ISBN 9784043827039
- 宮本雅史『真実無罪 特捜検察との攻防』角川学芸出版、2005年。ISBN 4046210192
- 須田慎一郎 『マネーゲーム崩壊 ライブドア・村上ファンド事件の真相』 新潮社(原著2006-08-30)、初版。ISBN 9784104597031。2009-06-07閲覧。
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月14日 (土) 14:12 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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