発声法

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発声法(はっせいほう)とは、演劇声楽歌唱などにおいて、声を美しく明瞭に響かせるための発声技術である。演劇などでの台詞まわし、美しい歌声、魅力的な話し方などの基礎となる。

目次

[編集] 基本

劇作家の鴻上尚史は発声に必要な要素として以下の5つを挙げている。

  1. 決して、焦らないこと
  2. などに余計な緊張がないこと
  3. お腹で声を支えていること
  4. 声が前に出ていること
  5. 声のベクトルをイメージすること

特に最初の「焦らないこと」は重要なファクターである。リラックスした状態がよい声の基本である。

また鴻上は声の要素として大きさ高さ速さ音色の5つを挙げている。これらの要素を意識し、調整することにより豊かな声が出せるようになるのである。

[編集] のトレーニング

  • 舌先を左右に動かす
  • 舌先を左右に回転する
  • 舌を前後に押したり引いたりする

[編集] を固定して、舌の上下運動トレーニング

  • 舌先を上下に動かす 「た」「ら」行を発声する
  • 舌の中央を上下に動かす「な」行を発声する
  • 舌の付け根、奥を上下に動かす「か」行を発声する

両奥歯で割り箸を縦にして噛むと、あごを固定できる。このトレーニングを行うと、言葉の発声が良くなる。また、英会話において、日本人が苦手とされる、「L」「R」の発声が良くなる。

[編集] 呼吸法

  • 胸で息をする癖を改め、お腹で息をするイメージの腹式呼吸が効果的である。

[編集] 肺活量のトレーニング

  • 「あーーーー」などひとつの声を長く出し続ける。震えない声で30秒以上を持続。
  • 1.5 - 2リットルのペットボトルをくちびるでくわえ、息を吐ききる。その後息を吸い込んでペットボトルをぺちゃんこにつぶす。そしてまた息を吐きペットボトルを元の形に戻す。
  • トランペットトロンボーンなどの金管楽器を練習すると、短期間のうちに肺活量を増やすことができる。

[編集] 姿勢

はっきりした声を出すには背筋を伸ばした姿勢が適している。

肩の力を抜きリラックスした状態で声を出す。

[編集] 早口言葉

よどみなく発声するための訓練。早ければよいというものではなく、滑らかではっきりとした発声が求められる。以下は早口言葉の例。

むこうのあかかべにあかがえるがかきあがってみかきあがる(向こうの赤壁に赤蛙がかき上がって三かき上がる)
きみじしんいんぎんにいいにいきなさい(君自身慇懃に言いに行きなさい)
かきゃくせんのりょかく ちゅうしょうしょうこうぎょうしんこうかいぎ じょうきゃくのくんれん くりのきのきりくち きかくかかくがかけひきかかくか きけんくいきくかくくいき(貨客船の旅客 中小商工業振興会議 乗客の訓練 栗の木の切り口 規格価格が駆け引き価格か 危険区域区画区域)
しんせつしんさつしつしさつ ひんしのししゃ せいさんしゃのしんせいしょしんさ ぎょうせいかんささっし しんせつなせんせい ぞんしゃひっしのしっそう(新設診察室視察 瀕死の使者 生産者の申請書審査 行政監査察使 親切な先生 存者必死の疾走)
このたけがきにたけたてかけたのはたけたてかけたかったからたけたてかけたのです(この竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけたのです)
おやににぬこはおにご ねりぎぬにひらぎぬ なまむぎなまごめなまたまご とのさまのながばかま きょうのなまだらならのなまのいわし(親に似ぬ子は鬼子 練り絹に平絹 生麦生米生玉子 殿様の長袴 京の生鱈奈良の生の鰯)
ぜぜひひしゅぎ こうほしゃほうそう とうほくちほうのとくはいん ひろしまのひもでひばちをしばる ひゃくしゃくひゃくりひゃくやく(是々非々主義 候補者放送 東北地方の特派員 広島の紐で火鉢を縛る 百尺百里百薬)
まるいまるいまんまるなまりのようにまんまるい(丸い丸いまんまるなマリのようにまん丸い)
やみのやま ようきょくゆや ゆきのやけい ゆずゆのゆめ やつやのよのよまわり よどおしよろよろ(闇の山 謡曲熊野 雪の夜景 ゆずゆの夢 八夜の夜の夜回り 夜通しよろよろ)
らくやきでらんをらくにやきつける(楽焼で欄を楽に焼き付ける) 

[編集] あめんぼの歌

あめんぼの歌は北原白秋が作ったで、50音をバランスよく配しており演劇での発声練習によく用いられる。

あめんぼあかいなあいうえお (水馬赤いなあいうえお)
うきもにこえびもおよいでる (浮藻に小蝦も泳いでる)
かきのきくりのきかきくけこ (柿の木栗の木かきくけこ)
きつつきこつこつかれけやき (啄木鳥こつこつ枯れ欅)
ささげにすをかけさしすせそ (大角豆に酢をかけさしすせそ)
そのうをあさせでさしました (その魚浅瀬で刺しました)
たちましょらっぱでたちつてと (立ちましょ喇叭でたちつてと)
とてとてたったととびたった (トテトテタッタと飛び立った)
なめくじのろのろなにぬねの (蛞蝓のろのろなにぬねの)
なんどにぬめってなにねばる (納戸にぬめってなにねばる)
はとぽっぽほろほろはひふへほ (鳩ポッポほろほろはひふへほ)
ひなたのおへやにゃふえをふく (日向のお部屋にゃ笛を吹く)
まいまいねじまきまみむめも (蝸牛ネジ巻まみむめも)
うめのみおちてもみもしまい (梅の実落ちても見もしまい)
やきぐりゆでぐりやいゆえよ (焼栗ゆで栗やいゆえよ)
やまだにひのつくよいのいえ (山田に灯のつくよいの家)
らいちょうさむかろらりるれろ (雷鳥寒かろらりるれろ)
れんげがさいたらるりのとり (蓮花が咲いたら瑠璃の鳥)
わいわいわっしょいわゐうゑを (わいわいわっしょいわゐうゑを)
うえきやいどがえおまつりだ (植木屋井戸換へお祭りだ)

[編集] 上野式割り箸ボイストレーニング

上野直樹は割り箸を利用したボイストレーニングを指導している。

割り箸を2膳、割り箸の太い方を縦に、両奥歯でくわえて声を出す。の力が抜け、喉や声帯気道が開くため、理想的な口の開け方で(あくびの形)発声ができるようになる。

あごを固定できるため、左右均等にバランスよく口を開けられ、安定する。声帯の歪みが矯正され、しっかりした声が出るようになる。

また、舌や、口の中の筋肉がよく運動するようになるため、発声発音に必要な筋肉が鍛えられ、発声や発音・滑舌がよくなる。

上野直樹は、ピンポン玉やペットボトル、ティッシュをまるめて作ったボールなどを咥えてボイストレーニングする方法など、そのほかにも道具(日用品)を使用した方法を考案している。

[編集] ちょっとしたコツ

  • 前歯を出すようにして話すと簡単に声を良くすることができる。唇を大きく開くことになるからである。また発音の歯切れがよくなる。
  • 声がこもっている人の特徴として母音が「」と「」の音が弱くなっていることがある。「」「」が母音の音を意識的に上がり調子で発声するとハキハキして聞こえる。
  • 蝋燭に向かって声を出し、蝋燭のが揺れるなら、息が漏れているといえる。当然のことながら声の持続時間も短い。張りがあり、よく響く発声を行うには、「イーーー」と声を出しながら、声のよくひびくポジションを探る、という方法もあるが、初心者は適切な指導者の指導の下で行わなければ喉に力を入れる悪い癖がつく可能性もあるので注意が必要である。
  • 高い声を余裕をもって出すには、その直前に十分息を吸っておいて、横隔膜を下げておく。逆に息が残り少なくなり、横隔膜が上がった状態では不安定な声になってしまう。

[編集] 参考文献

  • 『5分間でいい声になる本』 上野直樹 青春出版社
  • 『ここからはじめる発声法』 上野直樹 日本実業出版社
  • 『発声と身体のレッスン』 鴻上尚史 白水社
  • 『声がよくなる本』 米山文明 主婦と生活社

最終更新 2009年11月23日 (月) 16:02 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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