発達障害
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| 発達障害のデータ | |
| ICD-10 | F80 |
| 統計 | 出典:WHO |
| 世界の患者数 | 不明 |
| 日本の患者数 | 不明 |
| 学会 | |
| 日本 | 日本精神神経学会 |
| 世界 | 世界精神医学会 |
| この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています | |
| 発達障害 | |
|---|---|
| 分類及び外部参照情報 | |
| ICD-10 | F80. |
| ICD-9 | 299, 315 |
| プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
発達障害(はったつしょうがい、Developmental Disorder)とは、先天的な様々な要因によって主に乳児期から幼児期にかけてその特性が現れ始める発達遅延であり、自閉症スペクトラム (ASD) や学習障害 (LD)、注意欠陥・多動性障害 (ADHD) などの総称。
目次 |
概説
1980年代以降、知的障害のない発達障害が社会に認知されるようになった。発達障害より知的障害のほうが広く知られているため、単に発達障害という場合は特に知的障害のないものを指すことがある。このうち、学習障害 (LD)、注意欠陥・多動性障害 (ADHD)、高機能広汎性発達障害(高機能PDD)の3つについては、歴史的には「軽度発達障害」と称されてきた。しかし障害度合自体が「軽度」であるとは限らないにもかかわらず、この名称では誤解を招くことから現在では「発達障害」のカテゴリに含んだ上で、便宜的に「(軽度)発達障害」として、かつてのカテゴリを分類している。なお、高機能広汎性発達障害(高機能PDD)については、主に高機能自閉症とアスペルガー症候群の2つからなる(ここでの、「高機能」とは、「IQ70以上であり、知的障害がない」という意味であって、障害そのものの度合いを指すものではない点に注意が必要である)。
本障害に含まれるのは全て「生物学的要因による障害」である。
発達障害は先天的もしくは、幼児期に疾患や外傷の後遺症により、発達に影響を及ぼしているものを指す。対して機能不全家族で育った児童が発達障害児と同様の行動パターンを見せる事がよくあるが、保護者から不良な養育を受けたことが理由の心理的な環境要因や教育が原因となったものは含めない。また、ある程度成長し、正常に発達したあとに、疾患・外傷により生じた後天的な脳の障害は発達障害とは呼ばれず、高次機能障害などと区別される。
明確な判断は、神経科・精神科・心療内科(小児精神科などを含む)を標榜する医師の間でも困難とされ、各都道府県や政令指定都市が設置する、発達相談支援施設(秋田県の場合は秋田県立医療療育センターに設置された「ふきのとう秋田」、仙台市の場合は、仙台市発達相談支援センター(北部アーチル/南部アーチル)等が、該当する)で、生育歴などがわかる客観的な資料や、認知機能試験(IQ検査、心理検査等を含む)などを行って、複数人の相談員や心理判定員などが見立てとなる判断材料を出す形で、医師の下での治療が必要か、SSTが必要かなどの材料を提供する、というケースが多い。
成長してからの発達障害については大人の発達障害を参照のこと。
分類
- 精神発達遅滞(知的障害)- 一般的に、精神発達遅滞のみの症状の場合は、発達障害に含まれない。
- 軽度精神発達遅滞
- 中等度精神発達遅滞
- 重度精神発達遅滞
- 最重度精神発達遅滞
- 精神発達遅滞、重症度特定不能
- 広汎性発達障害 (PDD)
- 高機能広汎性発達障害(高機能PDD)- 広汎性発達障害とされるもののうち、知的障害のないもの。
- 学習障害 (LD)
- 読字障害
- 算数障害
- 書字表出障害
- 特定不能の学習障害
- 運動能力障害
- 注意欠陥障害 (ADD) 及び破壊的行動障害 (DBD)
- 注意欠陥・多動性障害 (ADHD)
- 特定不能の注意欠陥・多動性障害
- 行為障害
- 反抗挑戦性障害
- 特定不能の破壊的行動障害
- コミュニケーション障害
- 表出性言語障害
- 受容―表出混合性言語障害
- 音韻障害
- 特定不能のコミュニケーション障害
現在精神医学で主に使われている国際的な診断基準は2種類あり、WHOによる国際疾病分類であるICD-10では、
- F80-F89 心理的発達の障害
- F90-F98 小児<児童>期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
- 1. 通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害
がほぼ相当する。
これらの分類の他に、自閉症スペクトラムという概念もある(ただし、自閉症スペクトラムには、従来型の自閉症を含め、知的障害があるケースを包括している。そのうえで、知的障害のない「高機能」と呼ばれる状況と連続性があり、知的遅れの有無の切り分けはしづらく、不可分という考え方から、このように考えられている。また、知能指数が70以下のものだけを知的障害とし、IQ70~85程度のボーダ上の人がどこに位置付けるかという点で、議論の対象ともされている)。
歴史
- 1884年、ルドルフ・ベルリン (Rudolf Berlin) によってディスレクシア(読字障害)が報告される
- 1943年、アメリカの精神科医レオ・カナー (Leo Kanner) が「早期幼児自閉症」として自閉症(カナー症候群)を報告する
- 1952年、優生保護法改正で精神薄弱も断種対象とされる
- 1959年、パサマニック (Pasamanick) らによってのちにADHDとよばれるものに対して微細脳障害 (MBD) との用語を導入。
- 1960年、精神薄弱者福祉法施行
- 1966年、オーストリアの小児科医アンドレアス・レット (Andreas Rett) によってレット症候群が報告される
- 1973年、厚生省の通知により療育手帳が創設される
- 1987年、身体障害者雇用促進法が障害者の雇用の促進等に関する法律に改められ、知的障害者が適用対象になる
- 1987年、微細脳障害が注意欠陥多動性障害に改められる。微細脳障害の項を参照
- 1989年、社団法人日本自閉症協会設立
- 1995年、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行。精神障害者保健福祉手帳制度制定
- 1996年、優生保護法が母体保護法に変わり、強制断種等に係る条文が削除される
- 1999年、精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律により精神薄弱者福祉法が知的障害者福祉法に名称変更される
- 2000年、豊川市主婦殺人事件。自閉症がこの事件の直接の要因ではないが、文部省(当時)に広い範囲における高機能自閉症児に対する早期の教育支援が必要であることを認識させた。
- 2003年、長崎男児誘拐殺人事件。専門家による啓発書の出版などを通じて社会的な関心が広まった。
- 2005年、発達障害者支援法施行
- 2005年、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)施行
- 2006年、障害者自立支援法施行
- 2007年、ノバルティスファーマのメチルフェニデート製剤(商品名リタリン)の不適切処方が表面化した影響で翌年より流通が厳格化、ADHDへの「適応外使用」が事実上できなくなる。
- 2007年、18歳未満のみ対象でヤンセンファーマのメチルフェニデート徐放薬、商品名コンサータが流通の厳格化を前提としてADHD治療薬として承認される。
- 2009年、18歳未満のみ対象で日本イーライリリーのアトモキセチン製剤(商品名ストラテラ)がADHD治療薬として承認される。
- 2010年、総務省行政評価局が厚生労働省に対し「療育手帳を交付する都道府県等の取組がまちまちとなっていることについて改善を図るべき」などの通知をする[1]。
- 2010年、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(通称、障害者自立支援法改正案)が成立。発達障害も対象と明記する[2]
日本における福祉
精神障害者保健福祉手帳
文部科学省側では、厚生労働省では従来より発達障害は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に規定された精神障害者向けの障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳の対象として明記していないが、発達障害は精神障害の範疇として扱っている[3]としている。
厚生労働省側の通知、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」平成18年9月29日改定の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると、その他の精神疾患として「心理的発達の障害」、「小児(児童)期および青年期に生じる行動および情緒の障害」(ICD-10による)と明記し、発達障害の各疾患を対象にしている。同省の通知では申請用診断書にICD-10カテゴリーF80-F89、F90-F98の記入が可能ではある[4]。
一方、書籍によっては二次障害が無ければ取得できないとしているものもある[5]。各自治体によって精神障害者保健福祉手帳の認定基準が異なるためでもある。
療育手帳
知的障害者向けの障害者手帳の療育手帳取得の適法化を求める声も多い[6]とされているが、療育手帳自体が根拠となる法律が無く、1973年に厚生省(現・厚生労働省)が出した通知「療育手帳制度について」や「療育手帳制度の実施について」を参考に都道府県や政令指定都市の独自の事業として交付されているため、地域によっては取得できるところもある[7]。
同省が出した各通知は1999年に地方自治法(施行は2000年4月1日)の改正で、国が通知や通達を使って地方自治体の事務に関与することが出来なくなった(機関委任事務の廃止)影響ですでに効力は失っている。
発達障害者支援法
詳細は「発達障害者支援法」を参照
同法(平成16年12月10日法律第167号)では、知的障害者以外の発達障害者だけを支援対象として規定している。
障害者自立支援法
以前から条文に明記はしていないものの対象である。ただし、2009年7月24日時点では市町村における運用が徹底されていないとの意見がある[3]。よって2010年12月3日、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(通称、障害者自立支援法改正案)を成立させ障害者自立支援法を改正、発達障害を明記させた[2]。
関連団体
発達障害児または者の親らで作る相互扶助等を目的として組織された団体があり、一般に「親の会」と名乗っているほか、自閉症関連団体としては社団法人日本自閉症協会がある。発達障害関係の団体が加盟する組織としては日本発達障害ネットワークがある。
紛らわしい用語
軽度発達障害
アスペルガー症候群や高機能自閉症などを指す高機能広汎性発達障害(高機能PDD)、LD、ADHD等、知的障害を伴わない(すなわち総合的なIQが正常範囲内)疾患概念を指して、「軽度発達障害」という用語が使われることがある(ただし、ADHDについては、別途知的障害を併発するケースがある)。ここでいう「高機能」という語も、「軽度」という言葉同様、知的障害のないという意味でつかわれている。
この用語について厚生労働省は、「世界保健機構 (WHO) のICD-10分類に存在しない」、「アメリカ精神医学会のDSM-VIに存在しない」ことを指摘し、「誰がどのような意図で使い始めたのか分からないまま広がった用語である」として注意を促している[8]。また、その語感から、「障害の程度が軽度である」と誤解されがちだが、上述の理由から、必ずしも障害自体が軽度とは限らない[9]。文部科学省[10]も2007年、「『軽度発達障害』の表記は、その意味する範囲が必ずしも明確ではないこと等の理由から、今後は原則として使用しないと発表している[11]。ただし、専門家の間等では、便宜上「(軽度)発達障害」として、かつて呼ばれていたものをカテゴライズする意味で、かっこ付して紹介されるケースは現在でもある。
発達障害をめぐる問題
発達障害に対する誤解
発達障害は、前述のように、先天的もしくは幼少期に生じる軽度の脳障害である。しかし、家庭での子育てが原因であるかのような議論も存在する。2012年には、超党派の議員連盟である親学推進議員連盟[12]が開いた勉強会で、発達障害児の育児環境について「子供への声掛けが少ないため」とした上で、発達障害は「予防可能」などの記載を行っていたことが明らかになっている[13]。
刑事裁判における問題
姉を殺害したとして殺人罪で起訴された、発達障害の一つであるアスペルガー症候群を患った男性被告について、2012年7月30日に大阪地裁の判決は、被告にはアスペルガー症候群が見られ、その影響下で起こされた事件であることは認めつつも、母親ら親族が被告との同居を断っており、出所しても社会に受け皿がないとして、「再犯の恐れがあり、許される限り内省を長期にわたり深めさせることが社会秩序のためになる」として、殺人罪の有期刑の上限であり求刑よりも重い懲役20年とした[14]。
この判決に対し、「共生社会を創る愛の基金」は、「アスペルガー症候群についての認識に重大な誤りがあり、発達障害者の矯正に結びつかない」、「『危険な障害者は閉じ込めておけ』との思想に基づいた判決で、隔離の論理に基づいている」などと批判した[15]。この事件の法廷は裁判員裁判であり、発達障害(者)への差別・無理解・偏見といった「市民感覚」によって裁判の結果が左右され得る点についての疑義が呈された[16]。
2013年2月26日に大阪高裁で出された控訴審判決では1審判決を破棄し、検察側の求刑を2年下回る懲役14年を言い渡した。この際に松尾昭一裁判長は「1審は障害の影響を正当に評価しておらず、不当に重い」と指摘している[17]。
脚注
- ^ 発達障がい者に対する療育手帳の交付について(概要) 平成22年9月13日 総務省行政評価局 2011年6月13日閲覧
- ^ a b 障害者自立支援法:参院で改正案可決・成立 2010年12月3日13時49分 毎日新聞 2010年12月25日閲覧
- ^ a b 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校WG(第6回)議事要旨 平成21年7月24日 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 2009年12月26日閲覧
- ^ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係通知の改正について 障発第0329008号 平成14年3月29日 厚生労働省 2009年12月26日閲覧
- ^ 大人のアスペルガー症候群 佐々木正美 梅永雄二 講談社 2008年 ISBN 9784062789561 p93によると「日本には発達障害のための手帳制度がないため」との理由の記述が見られる
- ^ 筑波技術大学テクノレポート Vol. 17 (1) December. 2009「発達障害を併せ有する聴覚障害学生に対する高等教育支援の構築」筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター 佐藤正幸 石原保志 白澤麻弓 須藤正彦 及川力
- ^ 北海道新聞 2009年6月25日記事『道が2003年度に高機能広汎性発達障害を対象に加えたのを機に(札幌)市児童相談所も04年度、「IQが高くても知的障害と見なすことができる」として対象とした。』
- ^ 雇用均等・児童家庭局母子保健課の冊子「軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル」の第一章
- ^ ちなみに、対義語の「重度」は、「知的障害の度合いが重い」という意味で用いられ、「重度重複障害」などの形で用いられる。
- ^ 同省、初等中等教育局特別支援教育課
- ^ 「発達障害」の用語の使用について(平成19年3月15日) 文部科学省
- ^ その主張・活動は疑似科学と見なされる場合も多い。 会長は、2012年12月より内閣総理大臣をつとめる安倍晋三。
- ^ 親学議連:「発達障害、予防は可能」…抗議殺到し陳謝 毎日新聞 2012年6月12日
- ^ 姉殺害:発達障害の被告に求刑超す懲役20年判決 毎日新聞 2012年7月30日
- ^ 「大阪地裁判決についての意見表明」 共生社会を創る愛の基金 2012年8月3日
- ^ 発達障害のある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話 日本弁護士連合会
- ^ http://ameblo.jp/koko3333/entry-11479722683.html
外部リンク
- 発達障害情報センター(厚生労働省)
- 発達障害教育情報センター(文部科学省)
- 全国の発達障害者支援センター一覧
- 北海道 発達障がい支援情報サイト
- 発達障害 - 脳科学辞典
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