皇帝のいない八月
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『皇帝のいない八月』は、小林久三による小説およびそれを原作とする1978年公開の松竹製作の映画。
目次 |
[編集] 概要
松本清張の系譜を受け継ぐ、「社会悪」を抉り出す社会派推理小説の一種にして、鉄道ミステリの変形。新風社文庫版のあとがきによれば、自衛隊のクーデター計画があったと聞かされたことが執筆の原因であると作者は述べている。右翼政権樹立を武力クーデターで一気に目指す自衛隊反乱分子とそれを秘密裏に鎮圧させようとする政府の攻防を描くポリティカル・フィクションとして映画化された。映画の中心は、クーデター当日の夜に藤崎顕正元1等陸尉率いる少数精鋭の部隊に乗客乗員ともども乗っ取られたブルートレイン「さくら」の車内が舞台となり、和製『カサンドラ・クロス』の趣で作られた列車パニック映画ともなっている。
列車が舞台のパニック映画では、東映が『新幹線大爆破』(1975年)、東宝が『動脈列島』(1975年)などを制作していて、この作品はそれらと比較対象されることもある。これら諸作と同様、内容が内容だけに国鉄(当時)の協力は得られず、「さくら」の車内はすべてセットで撮影された。車両などの考証はかなりお粗末で、爆破シーンでは大正時代設計のイコライザ台車TR11らしき台車を装備していた。また「さくら」号を最後に爆破させたということで国鉄は大激怒し、「以後、国鉄は映画には一切協力しない」とまで決定した。
尚、原作ではタイトルの意味は特に明らかにされず、石森の回想でおぼろげに想像させるだけに留まっているが、映画では決起開始を示す暗号として大きな意味を持っている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
[編集] 小説
[編集] あらすじ
4月。青森県の国道4号における謎のトラック事故、その翌日靴メーカーに勤務する石森宏明はブルートレイン「さくら」への乗車を妨害しようとする謎の一団に狙われる。暗躍する一団の靴にはある特徴があった。また車内には突如姿をくらましていたかつての恋人、杏子が乗り込んでいた。姿を現す巨大な陰謀に、石森の脳裏にはかつて「死の商人」ともいうべき総合商社に勤めていた過去の、夏の日の光景が甦るのだった。
[編集] 書誌情報
- (講談社、1978年)
- (講談社文庫、1980年) ISBN 4-06-136210-0
- (日本文芸社日文文庫、1997年) ISBN 4-537-08018-3
- (新風舎文庫、2004年) ISBN 4-7974-9334-8
- マンガ版
- 林ひさお『皇帝のいない八月』(講談社コミックノベルス、1985年) ISBN 4-06-103825-7
[編集] 映画
| 皇帝のいない八月 |
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|---|---|
| 監督 | 山本薩夫 |
| 脚本 | 山田信夫 渋谷正行 山本薩夫 |
| 出演者 | 渡瀬恒彦 吉永小百合 |
| 音楽 | 佐藤勝 |
| 撮影 | 坂本典隆 |
| 編集 | 杉原よ志 |
| 公開 | 1978年9月23日 |
| 上映時間 | 140分 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| allcinema | |
[編集] あらすじ
保革伯仲し与党内でも分裂が危ぶまれる政局不安定な198X年(予告編による)の暑い夏、アメリカに媚を売り、腐敗しきっている自民党の現政権に対して、自衛隊と結んだ右派系の元首相一派が自衛隊の最高幹部とともにクーデターを計画する。目的は自衛隊を国防軍に再編成すること。そのために軍事力で政府を制圧し、内閣総理大臣を拘束、憲法改正を断行する。ここにCIAが戦略・情報・人脈を使って介入してくる。
だが、そこで登場したのが内閣情報調査室室長。彼がすべての情報を探索し、官邸から自衛隊の統帥を指揮し、クーデターを制圧せんとする。だが、実はとんでもない大どんでん返しが待っていた…。
[編集] キャスト
- 藤崎顕正:渡瀬恒彦(元第32普通科連隊一等陸尉・クーデター実行部隊藤崎隊隊長)
- 藤崎杏子:吉永小百合(藤崎顕正の妻)
- 利倉保久:高橋悦史(内閣調査室室長)
- 石森宏明:山本圭(レザー旬報記者・藤崎杏子の元恋人)
- 東上正:山崎努(元一等陸尉・クーデター実行部隊東上隊隊長)
- 有賀弘一:森田健作(毎朝新聞政治部員)
- 矢島一曹:永島敏行(藤崎隊隊員)
- 実行部隊一曹:風間杜夫(藤崎隊隊員)
- 小森一尉:三上真一郎(藤崎隊隊員)
- 島一曹:橋本功(藤崎隊隊員)
- 正垣慎吾:神山繁(毎朝新聞政治部長)
- 真野陸将:鈴木瑞穂(陸上自衛隊幕僚監部・クーデター計画首謀者の一人)
- 徳永陸将補:岡田英次(広島第十三師団司令部)
- 野口:大滝秀治(福岡の製靴会社社長)
- 久保:渥美清(さくら号乗客)
- 佐橋総理大臣:滝沢修(民政党)
- 大畑剛造:佐分利信(民政党奥の院・クーデター計画の黒幕)
- 河崎通産大臣:久米明(三村派)
- 浜尾労働大臣:内藤武敏(青志会派)
- 曽根大蔵大臣:浜田寅彦(曽根派)
- 若生文部大臣:松本克平(六月会)
- 山村貞徳:永井智雄(防衛庁長官)
- 黒須忠雄:渥美国泰(内閣官房長官)
- 兵頭重雄:嵯峨善兵(大日本菊花会会長)
- 秘書官:早川純一(佐橋総理大臣秘書官)
- 秘書:浜村純(大畑の側近)
- 波多野憲
- 久米:塚本信夫(内閣調査室室)
- トーマス中佐:デニス・ファーレル(在日米軍G2)
- 氷山行徳:神田隆(日本経営連合会会頭)
- 調査官:小美野欣二(内閣調査室室)
- 調査官:伊東辰夫(内閣調査室室)
- 警務隊員:原田清人(第四師団司令部 警務部)
- 松谷一尉:勝部演之(防衛庁技術研究本部)
- 実行部隊隊一曹:磯部勉(藤崎隊隊員)
- 太田二曹:金親保雄(国分第十二連隊)
- 後藤一佐:伊藤克(第十三師団司令部)
- 高山彰
- 実行部隊一曹:河原裕昌(藤崎隊隊員)
- 松本丈
- 専務車掌:園田裕久(さくら号乗員)
- 調査官:原田君事(内閣調査室室)
- 側近:三島新太郎(大畑の側近)
- ユミの彼氏:山口晴記(さくら号乗客)
- 側近:松野健一(大畑の側近)
- 今井健太郎
- 国務大臣:野口元雄(佐橋内閣)
- 吉田多聞、島大五郎、宮島正俊、大川泉
- 南部純三、大谷進、君塚正純、藤田康之
- 小田草之介、渡辺紀之、喜田晋平、加島潤、志摩琢哉
- 小森英明、土田桂司、城戸卓、山田幸栄
- 羽生明彦、岡本忠幸、長谷川英敏、篠原靖夫、沖秀一
- 高木信夫、高杉和宏、みのわかよこ、志賀真津子
- 紀子:中島ゆたか(バーのホステス)
- ユミ:泉じゅん(さくら号乗客)
- 二村民子
- 事務員:岡本茉莉:(福岡の製靴会社)
- 森愛、橘麻紀
- 石森千秋:香野百合子(石森宏明の妻)
- 中上冴子:太地喜和子(大畑剛造の愛人・バーのママ)
- 金田:岡田嘉子(さくら号乗客)
- 三神陸将:丹波哲郎(防衛庁 統合幕僚会議議長)
- 小山内建設大臣:小沢栄太郎(大畑派)
- 江見為一郎:三國連太郎(陸上自衛隊幕僚監部 警務部長 陸将補・藤崎杏子の父)
※映画クレジット順
[編集] エピソード
- 当初、映画版で主役(原作ではあくまでも脇役)の藤崎役には渡哲也のキャスティングが想定されていたが、所属の石原プロが自ら製作しているテレビドラマ中心に起用する方針を曲げず、そのスケジュールを解放しなかったために断念(同時期の角川映画『人間の証明』も同様の理由で渡の起用を断念)。そして白羽の矢が立ったのが実弟の渡瀬恒彦。それまで東映でヤクザ役やチンピラ役など粗暴な役が多かった渡瀬は、信念を持った元自衛隊エリートの反乱分子のうちなる狂気を見事に演じきった。
- 松竹映画だけに、渥美清が一人旅の途中で、唯一素性を表す台詞「まだ結婚してないんですよ」を述べる『男はつらいよ』の車寅次郎“らしき”人物で出演している。但し、劇中ではかなり内気で上品な言動である。
- 興行成績はそれほどではなかったものの、後にカルト的人気を博す。とくにアニメ監督として著名な押井守に多大な影響を与えた。押井が演出や脚本を手掛けた『機動警察パトレイバー』の自衛隊クーデターものエピソードには、オマージュ以上のものがこの作品から得られている。
- 閣議は本来、円卓のある会議室で行われるが、撮影セットをマスコミの写真撮影用に用意されている、ニュース映像などでおなじみの閣議の控え室を元に作ったため、控え室で閣議をひらいているようなシーンができてしまった。
[編集] 自衛隊の反乱を主題とした作品
最終更新 2009年10月21日 (水) 15:36 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【皇帝のいない八月】変更履歴

