磁気単極子

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磁気単極子(じきたんきょくし、Monopole)とは単一の磁荷を持つとされる仮想的な素粒子モノポールとも言われる。

現在では、宇宙のインフレーションの名残として生み出されたと仮定されるものの一つである。2009年現在に至るまでその存在は観測されておらず、現在でもモノポールを観測する試みがカミオカンデなどで続けられている。

目次

[編集] 概要

磁石にはN極、S極の二つの磁極が必ず存在し、この組み合わせを磁気双極子という。N極のみ、およびS極のみを持つ磁石、磁気単極子(モノポール)は現在まで観測にかからず存在しないと考えられている。例えば両端がそれぞれN極とS極になっている棒磁石があったとして、これを真ん中で二つに折ったとしてしても、同じく両端がそれぞれN極とS極になっている棒磁石が二つできるだけの事であり、N極とS極のみを単純に取り出す事はできない。電磁石を考えれば、この事は容易に理解できる。電磁石は電流を流したコイルであり、これを二つに分割しても、巻き数が半分になった電磁石が二つ生まれるだけである。永久磁石についても、それを構成する物質の原子が電磁石と同じ働きをしているものであり、原理としては同じである。マクスウェルの方程式により代表される古典電磁気学はこの前提のもとに構成されている。

その一方で、電気については、ブラスとマイナスのふたつが存在し、これらは単独で取り出す事が可能である。これは電気の根元がプラスの陽子とマイナスの電子に由来しているからである。そして、古典電磁気学は電気と磁気の関係について対称であり、この関係を逆にする事が可能である。普通は、コイルを流れる電気によって磁力を発生する、言い換えれば円周上を周回する電子の運動によって磁界が生じる。これを、磁気単極子が円周上を周回する事によって電界が生じるというモデルに置き換える事ができるのである。つまり、マクスウエルの方程式は磁気単極子の存在を許すように容易に改変出来る。さらに1931年ディラックは量子力学でも磁気単極子を考えることが可能であり、しかもそれが可能になるための条件から磁荷の最小単位が定まることを示して磁気単極子が一躍注目をあびた。

[編集] 陽子崩壊の触媒作用

予想される大統一理論においては、クォークレプトンは本来同じ粒子の異なった状態であり、インフレーションの際の相転移によって分化したとされ、相互に変換可能であるとされる。陽子内のクォークがレプトンに変化するとバリオン数を保持できなくなり陽子崩壊が発生する。しかし陽子の予想寿命が極めて長いことからもわかるようにクォークからレプトンへの変化は極めて低い確率でしか発生しない。だがモノポールはインフレーション以前のクォークとレプトンが分化する前の空間の位相欠陥であり、その中心部付近においてはクォークとレプトンは分化することができず、分化前の粒子に戻ってしまい、そこから通常空間に復帰した粒子はクォークにもレプトンにも変化する可能性がある。そのため陽子や中性子のクォークがモノポールの磁力で引き付けられ、中心部付近を通過してレプトンに変化すると陽子崩壊が発生する。モノポール自身は外部からのクォークを変換しただけで不変であるので、これを触媒に見立てることができる。これらの作用を予想した人物の名を取ってルバコフ効果と呼ぶ場合もある。

これらの性質のためSFでは磁気単極子を磁場の中に封じ込め、振動させることによって燃料物質の陽子崩壊を誘発してエネルギー源として利用するアイデアが登場している。

[編集] マクスウェルの方程式

ディラックによれば、マクスウェルの方程式は「磁気単極子の存在」により次のようになる。

  • \nabla \cdot \mathbf{E} = \frac{\rho}{\varepsilon_0}
  • \nabla \cdot \mathbf{H} = \frac{\rho_m}{\mu_0}
  • \nabla \times \mathbf{E} + \mu_0 \frac{\partial \mathbf{H}}{\partial t} = - \mathbf{J_m}
  • \nabla \times \mathbf{H} - \varepsilon_0 \frac{\partial \mathbf{E}}{\partial t} = \mathbf{J_e}

磁気単極子は陽子の1016倍程度の質量を持ち、磁気単極子の磁荷gは次式で表される。

g = \frac{n \hbar c}{2e}

ここで、n は任意の整数である。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月23日 (月) 05:17 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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