空調服
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空調服(くうちょうふく)とは、夏場の衣服内気候環境を改善することを目的として開発され、株式会社空調服から発売されている、「電動ファン内蔵上着」の商品名である。
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[編集] 概要
- 空調服とは?
- 空調服とは、服を着ることにより「人体が本来備えている生理クーラー」を用いた空調装置であるとされる(公式サイト説明より)。具体的には、人体に備わっている汗による冷却作用を利用する製品である(詳細は原理の項目を参照)。
- 消費される電気エネルギーも、エアコンなどの家電と比較して格段に少なく済み、環境面にも配慮した製品である。また、これまで空調設備の使用できないような工場や屋外といった環境でも、涼しくすごす事ができるようになるのも、大きなメリットであるとうたわれている。[1]。
- 原理について
- 人体には、体が求めている冷却量に対応した量の汗を発汗し、皮膚表面から汗を蒸発させて、気化熱を奪わせる事で身体を冷却して体温を一定に保つホメオスタシスの体温調節機構が備わっている。汗を蒸発させるためには体の表面にそって空気が十分に流れていることが必要である。空調服ではファンを用いる事で、衣服内に強い空気の流れを強制的に起こして、衣服内気候を変えることで汗の蒸発を促して、体が本来持つ汗による冷却効果を高めているとされる。
- 開発の経緯
- ソニーを早期退職した社長「市ヶ谷弘司」が空調服の開発を始めたのは、1998年の東南アジアへの旅がきっかけとなる。「東南アジアの人々がエアコンを使うようになれば、エネルギー危機が起き、環境問題につながってしまう」と考えた社長は、6年がかりで空調服を完成させた。
- はじめは水冷式だったが、改良を経て空冷式に変更。その後、パワフル・省電力な、静音ファンの試作を重ねて、3年後に販売までこぎつけた。
[編集] デザインと機能
空調服には現在、以下のような商品がラインナップされている。価格は、商品により異なるが、おおむね1〜2万円であり、個人でも購入可能な範囲である。
- 作業服 (長袖・半袖)
- ワイシャツ (長袖・半袖)
- ブラウス (女性用)
- ブルゾン (男性用・女性用)
- ライディングウエア(オートバイ用)
空調服の脇下、背中側の左右2箇所に、ミニ扇風機とも言える「ファン」が内蔵されている。このファンを、コントローラーの電源を入れて動作させる事で、外気を空調服内に導入し、体の表面と並行に空気を流すようになっている。空調服内に入ってきた外気は、空調服を膨らませながら、首と袖の部分から外に排気される。
電源は、コントローラー内の電池である。蓄電池を使用する事で、約4〜10時間ほどの稼動が可能である。なお、USB接続ケーブルや、自動車のシガレットから電力を得て動かすことも可能である。別売りの充電セットを購入する事で、6〜20時間の稼動が可能である。
[編集] 効果
実際に使ってみた体験談によると、その効果を確かに実感する事ができるという。また、汗をすべて気化させてしまえば衣服に汗がついて雑菌が繁殖することも少なくなる為、汗の臭いは少なくなり、あせもも防げるという[2]。ただし、使用環境の気温と湿度によって、その効果が大きく変わるとされる。
- 既に十分にエアコンが効いている部屋で空調服を使うと、必要以上に身体を冷却してしまい、寒いと感じられるほどに冷えてしまうことがある。逆に、エアコンが稼働しておらず、書類があるため扇風機も間接的な使い方しかできない事務室での作業(休日出勤や残業など)では、発汗はあるものの運動量が少ないこともあって、効果を体感しやすい。
- 自転車はもちろん、強い風が吹いている山をハイキングするときなど、前方から強い風を受ける状況下では、ファンの力が外気の風圧に負けてしまって、背中側から衣服内に空気を吸い込めなくなり、装着している効果が失われるように感じられることがある。
- 自動車の座席や、御年寄り用のリクライニングする椅子には、座ることが出来ない位置にファンが付いているとの指摘があった。この問題に対処するために、メーカーは自動車運転用の空調服を開発した。
- 気温と湿度が非常に高い場合は、空調服の冷却効果が及ぶ有効範囲を超えてしまい、空調服の効果も低くなってしまう。気温が高すぎる状態では、風が当たっている事が実感できても、逆に空調服のファンをつけない時よりも暑く感じてしまう事がありうる。ただしメーカー側は、体温よりも高い40度前後の気温になって体感的に涼しく感じられない場合でも、有効性が認められるといった説明を行なっている。
- 使用環境によっては、体温で暖められて、なおかつ湿度が高くなった衣服内の空気が、首筋から頭の方向に抜けることで、脳の冷却にとって最も重要な首筋から後頭部にかけての部位の体表面の温度が上昇してしまうため、かえって暑苦しく感じたり、のぼせることがあるといった、使用者からの指摘もある。これについては、より電圧を上げて、風量を増加させることによって、熱気が衣服内にこもらないようにしたり、空気の流路を確保するインナースペーサーを開発するといった、メーカー側の努力が認められる。より「人体が本来備えている生理クーラー」が有効に機能する具体的解決策として、空気を取り入れるファンや電源部をソニーが以前発売していたショルダースピーカーのように肩の上に載せるように装着して、首筋から衣服内に空気を送り込む形状に、設計を変更するよう要望が出されている。これによって、背もたれ付きの椅子や車の座席に座れない問題点も解決する可能性が示唆されている。また、フィルターを通した空気を取り入れて、バイクのヘルメットに流すことで、花粉症やインフルエンザ対策になるとして、流路の設計を見直したウエアの開発を切望する声も出ている。
- 気温が空調服で得られる冷却効果の範囲内であっても、近距離で扇風機を使える環境であれば、弱〜中程度の風を当てれば空調服は必要なくなってしまうという指摘もある。ただしメーカー側は、扇風機を用いて肌に垂直に近い形で風を当てる場合と、衣服内に体に沿うように並行に空気を流す形になる空調服の冷却効果は異なると説明している。
このように、空調服を使用したからといって、使用環境によっては必ずしも快適にすごせる訳ではない。しかしながら、何らかの手段で室温と湿度を適度に調整したうえで使うのであれば、電気代を節約しながら非常に快適にすごす事ができる。
[編集] 使用用途
空調服は、キワモノ商品の一種と思われがちだが、かなり実用的な商品である。例えば、以下のような環境において、現場で使用されているなど、非常に利用価値が高い。
- 屋外作業での暑さ対策
農業用作業服としての実用性が研究機関で検討されたが、炎天下では服地を透過した赤外線の影響で(気温・湿度が空調服の効果範囲内であっても)効果が感じられない場合があることが指摘された。この対策として、布地の内側にチタンをスパッタリング加工して赤外線透過率を下げた「農業用空調服」が2007年から発売されている。(2008年に「屋外用空調服」へ名称変更された。)
心配されるであろう「身体の冷え」は、通常の使用において問題はない範囲である。なお、「東急ハンズ」などの一部の店舗では、空調服の試着ができる。
例えば、以下のような使用用途が考えられる。
最大のデメリットは、そのデザインから「人目が気になる」点である。特にファンの動作中には服が膨らんで太って見えるために、社長の市ヶ谷自身が、娘が空調服を着てくれないと述べたことさえあった[3]。しかし、実際の使用において、確かに人目を引きはするが、すぐに他人も気にしなくなる(もちろん、中には話しかけてくる人もいる)。また,使用中に電池が切れてしまうと,気密性の高い構造から急速に内部温度が上昇するため,容易に脱ぐことができない状況では電池の残量・予備電池の携行に注意を払う必要がある。
[編集] 脚注
- ^ 熱中症対策、予防特集/SAFETY JAPAN/日経BP社 “着る”ことで涼しく快適に過ごす「空調服」
- ^ ITmediaニュース:真夏に長袖!なのに裸より涼しい「空調服」
- ^ Exciteニュース:着るだけで涼しい空調服はいかが?(Internet Archiveより)

