競艇選手
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競艇選手(きょうていせんしゅ)とは、公営競技の競艇において、賞金を獲得するプロの選手である。
日本のプロスポーツとしては1500名程度の選手が存在し、スペシャルグレード (SG)、GI (G1)、GII (G2)、GIII (G3)、一般戦と呼ばれるレースで活躍している。トップレベルの選手になると年間に1億円以上の賞金を得ている。
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[編集] 競艇選手になるには
競艇選手になるには福岡県柳川市にある「やまと競艇学校」に入校し、1年間の訓練を行わなくてはならない。
競艇学校への入学資格が2008年8月1日から始まる募集より、条件が大幅に変更となった[1]。
以前は競艇選手の条件として、次に挙げる条件を満たすことが必要であった。
- 入学予定期日の時点で満年齢14歳以上21歳未満であること
- 身長 170cm 以下、体重 47~55kg (女子 42~50kg)であること
- 視力が両眼とも裸眼で 0.8 以上であること(眼鏡、コンタクトレンズの使用は認めない)
- 血圧が 150:90 以下であること
- 視覚障害若しくは眼筋平衡機能障害を起こす恐れのある眼疾患のないこと
- その他体調上の問題のないこと
年2回入学式(4月入学コースと10月入学コース)がある。
[編集] 競艇選手の生活
詳細については漫画『モンキーターン』に詳しい。
[編集] 開催期間中
レースの斡旋方法並びにレース前日から終了に至るまでの流れは競輪選手の場合と概ね共通している(詳細は競輪選手の項を参照)。ただし競艇の場合は1日に2回競走に出走する場合がある。またレースでフライングスタートに失敗して返還欠場となった場合(フライングもしくは出遅れによるスタート事故)、競輪で失格した場合とは異なり、1回目は賞典除外となるのみでそのまま開催最終日まで競走に参加できる(2回目で強制帰郷となる)。
開催期間中は、多くの選手がレースで使用するモーター(エンジン)の整備に時間を費やす。モーターは各競艇場に備え付けのものから抽選で割り当てられたものを使用するが、性能には個体差があるため、ピストンリングやクランクシャフトなどの部品を交換したり、ギヤの噛み合わせの調整(ギヤケース整備)、キャブレターの調整などを行ったりする。整備後はレースの合間などに試運転を行い、性能が向上しているかどうかを確認する。当然のことながら、整備により逆に性能が悪化することもあるので、その場合は状態を元に戻すことになる。また選手の持ち物となっているプロペラとモーターのマッチングのためにプロペラを微妙に加工したり、プロペラのメンテナンスを行ったりすることも多い(プロペラは使用することで水の抵抗を受け微妙に形状が変化するため、定期的なメンテナンスが不可欠である)。
このほか、絶食やサウナでの汗取りなどにより減量を試みる選手もいる(減量によりパワーウェイトレシオが改善し、ボートの性能が向上するため)。競艇選手の大半は普段から体重に気をつけているが、減量によるボートの性能向上と、それにより体力が低下することとのバランスを考え、重要なレースの前に限り特別に減量を行う場合が多いようである。また一時期、減量により体調を崩す選手が増え、開催中の番組編成に支障をきたすほどの事態となったことから、1988年11月に選手の最低体重規定が設けられ、それ以下の体重の場合には重りを身に着けて競走に出走することとなった。なお最低体重は当初は「男子50kg・女子45kg」だったが、2003年5月より女子の最低体重が47kgに引き上げられている。
また、レースの公正さを守る為(インサイダー・ノミ行為等の不正行為を防ぐ為)、開催期間中の出場選手は、緊急時以外は、開催競艇場から外出はおろか電話も禁止される。
[編集] 開催期間外
競走のない日は、プロペラの研究に多くの選手が時間を費やしている。プロペラの加工には高度な技術が必要なほか、加工の際に発生する騒音対策として専用の作業場を確保する必要があることなどから、通常は仲の良い選手同士で「ペラグループ」と呼ばれるグループを作り、共同で研究や作業場の運営等を行っている。なおプロペラは主催者側の公認を受けた企業が製造したもののみ競走で使用可能となっているため、現在はナカシマプロペラ・ヤマト発動機の2社が供給しているものをベースに、各選手が独自の加工を行っている。
プロペラは一度競走のために競艇場に持ち込むと(選手は1開催に際し5枚までプロペラを持ち込める)、前検の際に刻印が打たれそれ以後は他の選手に譲渡することができなくなるが、逆に刻印の打たれていないプロペラであれば譲渡は自由であるため、ペラグループの中でも手先が器用な選手がプロペラの加工を担当し、それを他の選手が実戦で試すといった役割分担がなされることが多い。同様の理由で、ペラグループの中で一人でも良いプロペラの開発に成功すると同グループの他の選手も同じプロペラを利用できるようになるため、ペラグループ全体の成績が向上する。そのような良い性能のプロペラの情報は「ペラゲージ」と呼ばれるプラスチック製のパーツに形状を写し取り保存され、ペラグループの資産として活用される。
また競走の斡旋を受けていない場合でも、前検日及び開催中の競艇場において予備のボートを利用して練習を行うことができるため、まだ実戦経験の少ない若手選手が練習のために競艇場に赴くことも多い。
[編集] 斡旋停止
なおスタート事故を起こした場合、前記の賞典除外・強制帰郷以外にも、級別決定期間(5~10月、11~4月)内に起こしたスタート事故回数に応じ、1回で30日間・2回で60日間・3回で90日間の斡旋停止となる。このほか1回目のフライング事故から100走以内に2回目のフライング事故を起こした場合には、愛知県碧南市の「日本モーターボート選手会常設訓練所」で再訓練を行う必要がある。このほかSG・GI競走の場合は特別な出場停止規定が課せられる(詳細は競艇#スタートを参照)。
スタート事故による斡旋停止の間は当然のことながら無収入状態となるため、一般の選手にとってはかなりの痛手となるが、スター選手の中には「フライングによる斡旋停止は必要経費」「むしろ海外旅行などに行くのにちょうどいい休暇になる」と語る者もおり、あまりスタート事故の抑止力とはなっていない。ただスター選手になるとレースの斡旋が絶え間なく入るのが通例のため、斡旋停止期間ぐらいしかまともに休みを取れないのも実情である。
[編集] 競艇選手の収入
収入のほとんどはレースから得る賞金となるが、賞金は選手によってバラバラである。トップクラスともなると1億円以上稼ぐ選手が珍しくなく、2006年の賞金王決定戦競走覇者・松井繁の年間獲得賞金額は約2億2800万円にも上る。また、最高年収は、2002年の植木通彦の年間獲得賞金・2億8393万円である。
また選手の収入には、賞金以外にもレースに参加することで得られる日当などがある。ちなみに日当は競艇場で選手に対し現金で支払われるが、賞金は原則として銀行振込である。
[編集] 選手のクラス分け
競艇選手は上位からA1、A2、B1、B2のクラスに分けられる。クラスの決定には幾つかの条件によって審査される。これを級別審査という。級別審査に課される条件については下に詳細を記す。
選手にとっては級が上位に行くほどグレードの高い競走に出場できるようになる。又一月の稼動可能日数が多くなり賞金を稼ぐ機会も増える。
客にとってはクラスの上下や勝率、複勝率の大小は選手のレベルを計り舟券を予想する上でも重要なファクターになる。またこれ以外の条件も(特に期末間近になると)レースの勝敗を決定する要素になり得る。
[編集] 仕組み
大まかに以下の条件付けでクラスが決定される。
| 級 | 定率 | 勝率 | 複勝率 | 出走数 |
|---|---|---|---|---|
| A1 | 20% | 勝率上位者 | 2連対率30%以上・3連対率40%以上 | 70走以上 |
| A2 | 20% | A1を除く勝利率上位者 | 同上 | 同上 |
| B1 | 50% | A1A2を除く勝率上位者 | 2連対率10%以上・3連対率20%以上 | 50走以上 |
| B2 | A1、A2、B1の条件を満たしていない | |||
[編集] 審査と適用
級別審査は年に2回行われる。まず1年を5月1日から10月31日までの前期と11月1日から4月30日までの後期に分ける。これを審査期間と適用期間にわける。審査期間の成績が、適用期間のクラスとして反映される。即ち前期末日(10月31日)時点の前期成績によるクラスが後期に適用され、後期末日(4月30日)時点の後期成績によるクラスが翌年度前期に適用される。
[編集] 勝率
競艇における勝率とは任意に設定された審査期間内の着順点の総計を、出走数で割ったものである。級別審査以外でもSGの全日本選手権競走、G1の新鋭王座決定戦競走、女子王座決定戦競走、競艇名人戦競走でも任意の審査期間内を設定して勝率上位である事を出場条件として設定している。
着順点は以下の通りである。
| 着順 | SG | G1・G2 | G3・一般戦 |
|---|---|---|---|
| 1着 | 12点 | 11点 | 10点 |
| 2着 | 10点 | 9点 | 8点 |
| 3着 | 8点 | 7点 | 6点 |
| 4着 | 6点 | 5点 | 4点 |
| 5着 | 4点 | 3点 | 2点 |
| 6着 | 3点 | 2点 | 1点 |
| 失格 | 0点 | ||
この他優勝戦では1着-3着が1点増し、4着-6着が2点増しになる。
[編集] 複勝率
複勝率は連対数の総計を出走数で割る事によって計算される。複勝率には2着以上までに入った2連対率と3着以上までに入った3連対率がある。
[編集] 出走数
審査期間内に出場した競走回数である。勝率を出場条件とするSGやG1でも極端に少ない出走数で勝率を維持する事を排除するために出走数の下限を定めている。
なお選手責任の失格は出走数にカウントされるが、選手責任外の失格は出走数にカウントされない。選手責任外の場合、着順点が0点でも勝率に影響しないようになっている。
必要な出走数を稼ぐのを阻害する要因として以下のようなものが挙げられる
- ケガ(程度にもよる)
- 出産
- 確実に1年近く休むためB2まで落ちる
- フライング休み
- F1で30日、F2で90日、F3で180日斡旋停止になる。このためFによる斡旋停止が長くなると出走数が足りなくなり、以下に既述する事故率オーバーと共にクラスの維持が出来なくなる。
[編集] 事故点・事故率
事故点の総計を出走数で割る事によって事故率を算出する。B2以外の全ての級で事故率が0.70を越えるとそれ以外の条件に関係なくB2まで落ちる。
事故点は以下のように定められる
| 事故の内容 | 事故点 |
|---|---|
| フライング、出遅れ | 20点 |
| 反則失格 | 15点 |
| 選手責任失格(転覆・落水) | 10点 |
| 不良航法 | 2点 |
| 待機行動違反 | 2点 |
さらに優勝戦でのフライング、出遅れは30点である。
期末間近で事故率が高い選手を俗に「事故パン」と呼ぶ。事故パンになると積極的なレースが出来なくなる。
[編集] 8項
級別審査とは直接的な関係ないが、審査期間において勝率3.00以上を維持できない場合、事故点が1.00を越えた場合、一定期間において斡旋保留になる「選手出場あっせん保留基準第8号」俗に「8項」と呼ばれる規定が存在する。
これには適用除外の条件が別に定められていて、登録6期目(3年目)までの新人選手であるか、出走回数が50回未満であれば8項の適用を回避できる。
8項の適用を受けた選手は殆どが引退していて、事実上の引退勧告となる。
[編集] 登録番号
登録番号は競艇選手を区別するための番号である。選手第1号は11番の鍋島弘であり、11番以降は選手に番号が与えられている(ただし、42番は欠番となっている)。初期の頃は登録の順番にきまりはなく、早く登録した選手から番号が与えられていた。途中から、養成期毎に選手登録試験に合格した選手養成員を生年月日順に並べ、年長者順に登録番号の若い番号から通し番号で付与されることになった。103期までで4561番まである(4561番は藤山翔大選手)。
現在では、選手やファンの間では世代を分けるための基準としても使われる。
なお、1番~10番は非選手の番号であり、競艇の設立に大きく貢献した人物に与えられている。1番は競艇の産みの親である笹川良一。2番~10番は非公表になっている。
なお、全選手一覧はこちらを参照。
[編集] 選手寿命
定年制や競輪の様な成績評価による強制引退の制度は導入していない。その為、生涯選手としていることも可能である。ただし、あまりにも成績不振であると先述の8項に抵触して一定期間において斡旋保留となる。また、選手の対面を著しく汚した場合は、どんなに成績優秀であっても、解雇になることがある。
ただし、加齢によって体力の衰え以外にも減量が厳しくなってくる事から、四十代から五十代で多くの選手が引退する。ただし、男性選手については還暦を超えて現役を続けている者も珍しいものではない。2008年現在、競艇選手最高齢は66歳で、1485加藤峻二選手である。
[編集] 選手会
社団法人日本モーターボート選手会は、競艇選手で構成する団体である。選手の福利厚生の充実、相互扶助、資質向上のための自主訓練など、活動は多岐にわたる。選手会長は、事実上現役引退したB2の選手が大半である。現在の選手会長は福永達夫。
[編集] 関連文献
[編集] 選手が執筆した書籍など
- 石原加絵(3098)
- 石原加絵・著 『青春の水しぶき -- モーターボートに賭けた私』 山手書房(東京) 1984年11月
- 土屋勇(2112)
- 土屋勇・著 『競艇!走れわが戦友(とも)よ -- 激走のはざまに見る人間模様』 泰光堂(東京) 1993年5月 ISBN 4-8027-0115-2
- 松村武明(413)
- 植木通彦(3285)
- 植木通彦・著 『水に舞う不死鳥・艇王の二十年』 弦書房(福岡) 2008年9月 ISBN 978-4-86329-008-2
[編集] 選手に取材した書籍など
- 木村幸治・著 『水上の格闘者たち』 講談社 1992年2月 ISBN 4-06-204715-2
- 今村豊、西田靖、上滝和則(上瀧和則)、中道善博、安岐真人、黒明良光、片山幸子(佐藤幸子)、鵜飼菜穂子、荘林幸輝、池上裕次、桑原淳一、長岡茂一、高山秀則、新美恵一、江口晃生、山崎毅、服部幸男、応治千代美、松井繁、長嶺豊、野中和夫、の21選手に取材。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月8日 (日) 23:54 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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