第104回天皇賞
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第104回天皇賞(だい104かいてんのうしょう)は、1991年10月27日に東京競馬場で行われた競馬競走である。メジロマックイーンが1位入線したが、日本におけるGI競走史上初の1位入線馬に対する降着処分が為された。優勝したのはプレクラスニー。
目次 |
[編集] レース施行時の状況
東京競馬場は朝からの激しい雨で不良馬場での競走となった。1番人気はこの年の天皇賞(春)を制し、本競走へのステップとなる京都大賞典を勝ったメジロマックイーン(武豊騎乗)で、単勝オッズは1.9倍と抜けていた。以下、GI競走での好走歴の多かったホワイトストーン、前走・毎日王冠を制してここに臨んだプレクラスニーと続いていた。
[編集] 出走馬と枠順
| 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | オッズ | 調教師 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ナイスナイスナイス | 牡6 | 丸山勝秀 | 182.2(15人) | 長浜博之 |
| 2 | カミノクレッセ | 牡5 | 南井克巳 | 12.2(5人) | 工藤嘉美 | |
| 2 | 3 | ミスタートウジン | 牡6 | 加藤和宏 | 221.2(16人) | 福島信晴 |
| 4 | ホワイトストーン | 牡5 | 田面木博公 | 4.8(2人) | 高松邦男 | |
| 3 | 5 | ホワイトアロー | 牡5 | 横山典弘 | 76.1(10人) | 小野幸治 |
| 6 | ムービースター | 牡6 | 柴田善臣 | 48.7(9人) | 坪憲章 | |
| 4 | 7 | メジロマーシャス | 牡7 | 田原成貴 | 16.9(6人) | 池江泰郎 |
| 8 | プレジデントシチー | 牡9 | 本田優 | 334.6(18人) | 中尾謙太郎 | |
| 5 | 9 | メイショウビトリア | 牡5 | 岡部幸雄 | 29.5(8人) | 伊藤雄二 |
| 10 | プレクラスニー | 牡5 | 江田照男 | 8.7(3人) | 矢野照正 | |
| 6 | 11 | フェイムオブラス | 牝5 | 田中勝春 | 110.8(13人) | 田中良平 |
| 12 | ミスターシクレノン | 牡7 | 松永幹夫 | 97.9(12人) | 小林稔 | |
| 7 | 13 | メジロマックイーン | 牡5 | 武豊 | 1.9(1人) | 池江泰郎 |
| 14 | カリブソング | 牡6 | 柴田政人 | 11.6(4人) | 加藤修甫 | |
| 15 | ショウリテンユウ | 牡8 | 西浦勝一 | 317.9(17人) | 山内研治 | |
| 8 | 16 | モガミチャンピオン | 牡7 | 小島太 | 154.8(14人) | 境勝太郎 |
| 17 | リストレーション | 牝6 | 的場均 | 77.0(11人) | 柄崎孝 | |
| 18 | ヌエボトウショウ | 牝5 | 角田晃一 | 21.9(12人) | 渡辺栄 |
[編集] レース展開
ゲートが開くと、メジロマックイーンとムービースターが好スタートを見せ、この2頭が前に出た状態で最初のコーナー(第2コーナー)に入る。ここで武メジロマックイーンが内側に進路を取りながらコーナーを回ると、その脇を走っていたプレクラスニーらの進路が狭まり、馬群が一時混乱。場内の電光掲示板に審議の青ランプが点灯する。第2コーナーを抜けると、混乱による影響を受けなかったプレクラスニー、ホワイトストーン、メジロマックイーンの順でレースが進んだ。
そして第4コーナーを回り、最後の直線に入る。プレクラスニーが逃げ粘りを図るが、スパートをかけたメジロマックイーンが一気に交わしていき、そのまま大きく差を広げていった。結局、同馬が2番手のプレクラスニーに6馬身差を付けて1位で入線した。
[編集] メジロマックイーンの降着
入線後に武豊はガッツポーズを見せ、そのままウイニングランを行った。正面スタンドに帰って来た際には観衆に向けてゴーグルを投げ入れるパフォーマンスを行いながら、検量室へと向かった。
その後採決室において、第2コーナーでメジロマックイーンが内側に入ろうとした際、プレクラスニー以下5頭の進路が狭くなった事について、該当者に対する事情聴取が行われた。その終了後に検量室内で騎手が整列、ムービースター、メイショウビトリア、プレジデントシチー(馬が横を向くほどの妨害で最下位入線)の進路を妨害した事によるメジロマックイーンの18位降着と、プレクラスニーの繰り上がり優勝が告知され[1]、GI競走史上初の1着馬降着が確定した。競走後、場内に審議を行うことがアナウンスされてから15分後の事であった。この様子は、勝利騎手インタビューのため待機していたフジテレビの『スーパー競馬』で一部始終が放映されていた。メジロマックイーン陣営に対しては降着の他、武豊への開催6日間の騎乗停止も科せられた。
降着処分の発表後、武は「悪い事をしたと思ったらガッツポーズもウイニングランもしなかった。採決室でパトロールフィルムを見せられて、初めてインターフェアに気づいた」と弁明した[2]。一方で、メジログループ総帥の北野ミヤは処分に激怒し、以降に続くジャパンカップ、有馬記念への出走拒否と、処分取り消しを求める提訴を示唆した[3][4]。
[編集] 競走結果
| 着順 | 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 5 | 10 | プレクラスニー | 2.03.9 | 6馬身 |
| 2 | 7 | 14 | カリブソング | 2.04.0 | 3/4馬身 |
| 3 | 1 | 2 | カミノクレッセ | 2.04.0 | ハナ |
| 4 | 8 | 17 | リストレーション | 2.04.1 | 1/2馬身 |
| 5 | 8 | 18 | ヌエボトウショウ | 2.04.2 | 1/2馬身 |
| 6 | 3 | 5 | ホワイトアロー | 2.04.3 | 1/2馬身 |
| 7 | 2 | 4 | ホワイトストーン | 2.04.3 | クビ |
| 8 | 4 | 7 | メジロマーシャス | 2.04.7 | 2 1/2馬身 |
| 9 | 3 | 6 | ムービースター | 2.05.1 | 2 1/2馬身 |
| 10 | 6 | 11 | フェイムオブラス | 2.05.3 | 1 1/4馬身 |
| 11 | 6 | 12 | ミスターシクレノン | 2.05.4 | 1/2馬身 |
| 12 | 7 | 15 | ショウリテンユウ | 2.05.6 | 1 1/4馬身 |
| 13 | 8 | 16 | モガミチャンピオン | 2.05.7 | クビ |
| 14 | 2 | 3 | ミスタートウジン | 2.05.8 | 1/2馬身 |
| 15 | 5 | 9 | メイショウビトリア | 2.05.9 | クビ |
| 16 | 1 | 1 | ナイスナイスナイス | 2.06.0 | 1/2馬身 |
| 17 | 4 | 8 | プレジデントシチー | 2.09.9 | 大差 |
| 18 | 7 | 13 | メジロマックイーン | 2.02.9 | (降着) |
[編集] データ
| 1000m通過タイム | 61.1秒(プレクラスニー) |
| 上がり4ハロン | 49.6秒 |
| 上がり3ハロン | 37.6秒 |
| 優勝馬上がり3ハロン | 38.6秒 |
[編集] 払戻金
| 単勝式 | 10 | 870円 |
| 複勝式 | 10 | 300円 |
| 14 | 340円 | |
| 2 | 380円 | |
| 枠連 | 5-7 | 560円 |
| 馬連 | 10-14 | 4700円 |
[編集] 評価・批判
[編集] 処分について
圧倒的な強さを見せた1番人気馬の降着ということもあり、その処分については、厳正な制度適用を評価する意見と「厳し過ぎる」という意見が混在していた。以下はこの出来事に対して寄せられた、評論家等の意見である。
- 肯定的な意見
- 「大レースであろうが、人気馬であろうが、どこかの国の王様の持ち馬であろうが、断固として降着や失格を宣言する。そうしたルール厳守の考え方は改革の中で最も困難なもので、大きな抵抗が予想されたものであった。競馬会が何よりもファンや関係者の良識を信じ、ルールの厳格な適用に踏み切ったのは一大ヒットと言える[5]」
- 岩川隆(作家)
- 「この度の毅然とした採決は、ファンとしても、今後も同じように公正であることを願うとともに、悲しい出来事として受け止めるしかない[6]」
- 否定的な意見
- 大川慶次郎(競馬評論家)
- 「罰金5万円で済む話。メジロマックイーンが内に切れ込んだ際、(プレクラスニーに騎乗した)江田騎手が引くべきところを引かず、被害が拡大した。言うなればプレクラスニーも共犯であり、メジロマックイーンを降着とするならプレクラスニーも降着とすべき。結果、3着馬が優勝することがみっともないというのなら、初めから降着にすべきではなかった[7]」
- 植島啓司(大学教授)
- 「メジロマックイーンの優勝だけは、最低限認めてほしいところだった。どんなに正しい裁定であるにせよ、ほとんど全ての人が納得いかないでいるのは、やはり異常ではないか[8]」
- 嶋田克昭(プレクラスニー生産者)
- 「表彰台に立っているのが辛かった。(メジロマックイーンの)あまりに見事な勝ち方に、悔しさなどひとかけらもなかった。繰り上がりの優勝だと言われても嬉しさなど湧いてこない。2着で良かったし、その方が楽だった[2]」
[編集] その他提起された問題
武が急激に内側に進路を取ったのは外枠発走の不利を挽回するためのものであり、従前から東京競馬場・芝2000mのコースは、発走枠の内外で有利不利の差が大きく、さらにスタート直後にコーナーが存在するため、今回のケースのように外枠発走の馬が内側に殺到し危険であるという指摘があった[9]。こうした状況での降着を受けて、このコースで天皇賞という大競走を行うことについての是非を問う意見も存在した。東京競馬場は2002年に全面改修が行われ、2000mコースはスタート地点から最初のコーナーまでに、新たに約100mの直線が設定されている。
また、競馬評論家の柏木集保は、審議となったレースについて降着・失格が無かった場合にはパトロールビデオが公開されないことについての不満を表明し、制裁が行われる例とそうでない例の間に存在する判断基準が不明瞭であると批判した[10]。パトロールビデオ公開については、1999年より処分の有無に関わらず審議対象となった競走は競馬場内で公開、2004年からはJRAのホームページおいても閲覧が可能となった。
[編集] 参考文献
- 日本中央競馬会『優駿』1991年12月号
- 大川慶次郎『大川慶次郎殿堂馬を語る』(ゼスト、1997年)
[編集] 脚注
最終更新 2009年9月17日 (木) 00:24 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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