統語論

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統語論(とうごろん、Syntax)は数理論理学における証明論言語学における狭義の文法を指す。証明論については別途の項目を参照。ここでは言語学における統語論に限って説明するが、言語学と数理論理学は完全に独立した学問領域ということはできないため、用語や方法論で共通する部分がある。

統語論は言語学の他の分野名と同様に二つの意味を持つ。一つは自然言語のを構成する、形態素が属する統語範疇の別とその統合・配列則(syn「統合」+tax「配列」)という意味で、もう一つはそれを扱う理論という意味である。

音韻論と呼ばれる聴覚・視覚の要素と配列に関わる分野と、意味論と呼ばれる意味の要素と配列に関わる分野は、それぞれ自然言語が今ある形で成立していることを支える不可欠な要素である感覚-運動のシステム、概念-意図のシステムでの解釈/産出に結びつくものだが、統語論はこれらからの入力とこれらへの出力に関わることで、二つのシステムの橋渡しをする計算部門と見なすことができる。

[編集] レクシコンと統語論

統語論は、ある要素と別の要素を結合させるが、その要素とは音と意味の結びついたものであり、そのような要素が収められている部門をレクシコン(あるいは辞書)と呼ぶ。統語論とレクシコンの関係は議論の多い問題であり、ここではそのいくつかを取り上げるにとどめる。基本的性質としてコンセンサスが得られているのは、統語論は音と意味を「見ない」ということであり、「見る」のは統語範疇とそれに関連する統語的な素性だけである。問題になるのは、統語論が対象とする要素の種類である。

もっとも極端な立場は、統語論がレクシコンから取り出すのは語のみである、というものである。この立場では、統語論に拘束形式が紛れ込むことはあり得ない。このため、屈折語であれ膠着語であれ、統語論が対象とするのは拘束形式が一切取り残されないような要素である。日本語で言えば、述部がいかに複雑であっても、分割された要素が拘束形式になってしまう場合、それは統語論の扱う対象とはならず、形態論の対象であるとする。ロシア語の研究の影響を受けた日本語研究者の中にこの立場を見出すことができるだろう。

中庸と言える立場は、統語論で扱う動機がしっかりしていれば拘束形式であっても統語論の対象となるというものである。例えば、ロマンス語のクリティックは、自由形式である代名詞に対応したり、属格名詞に対応したりする。これらの一方を形態論で、もう一方を統語論で扱う、というやり方は一般性を欠く。ある環境で音韻論的な扱いを変える、ということで済むならば、一般性を保持する形でやるというのが望ましく、このような方法で統語論で扱われる、という選択がなされる場合がある。

もう一方の極端な立場は、レクシコンは統語論への入力となるのではなく、その逆に統語論がレクシコンへの入力となるというものである。生成意味論はこの立場を鮮明に表明したものといえ、分散形態論もこの立場に近い。

最終更新 2009年9月12日 (土) 02:18 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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