熱膨張率
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熱膨張率(ねつぼうちょうりつ、Coefficient of thermal expansion、CTE)は、温度の上昇によって物体の長さ・体積が膨張する割合を、1K(℃)当たりで示したものである。熱膨張係数(ねつぼうちょうけいすう)ともいう。単位は 1/K である。
温度の上昇に対応して長さが変化する割合を線膨張率(線膨張係数)といい、体積の変化する割合を体積膨張率という。線膨張率をα、体積膨張率をβとすると β=3α の関係がある。
⊿L=α・L・⊿T(⊿L:伸び、L:長さ、⊿T:温度上昇)
原子間の結合の強さで決まる物性値なので、材料の融点と相関がある。
ある温度で体積変化を伴う相転移を起こす性質を利用して、使用温度領域で、線膨張が小さくなっている合金(アンバーまたはインバー合金)もある。
なお、熱膨張率の異なる材料を組合せて使う場合、温度変化による熱膨張率の違いから、熱応力が生じる。この熱応力により、材料にクラックなどが入って壊れることがあり、様々なものの故障原因となっている。
プルトニウムやタングステン酸ジルコニウムなどの一部の物質は、温度の上昇により収縮するという負膨張を起こす。近年では、理化学研究所が2005年に、マンガン窒化物をベースとした負膨張率の高い新素材の開発に成功している[1]。
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[編集] 熱膨張率の詳細
[編集] 固体の線膨張率
固体の線膨張率 α は、単位長さあたりにおける、温度による長さの変化率として定義されるので、物体の長さを l 、セルシウス温度をtとすると、

と定義される。 そして、固体の線膨張率はごく小さく、また、温度によらずほぼ一定とみなせるので、t ℃における物体の長さ l は次のように表せる。
l = l0(1 + αt)
ここで l0 は0℃における物体の長さである。
[編集] 固体の線膨張率と体積膨張率の関係
固体の体積膨張率 β は、物体の体積 V を用いて次のように定義することができる。

ここで V は l を用いて
V = l3
と表されるので、

となる。つまり、
β = 3α
である。
[編集] 固体・液体の体積膨張率
日常的な温度範囲では固体・液体の体積膨張率はごく小さく、温度によらずほぼ一定とみなせるため、固体・液体の体積 V は次のように表せる。
V = V0(1 + βt) = V0(1 + 3αt)
ここで V0 は0℃における物体の体積である。
[編集] 気体の体積膨張率
気体の場合は体積ではなく密度でその状態を表すことが多い。ここで気体の質量を m とすると、密度 ρ は、

となる。よって β は、

と表せる。すなわち体積膨張率は密度の温度による変化率によっても表せる。
[編集] 主な物質の線膨張率
(×10−6/℃)
| 物質 | 線膨張率 |
|---|---|
| 水銀 | 60 |
| アルミニウム | 23 |
| 黄銅 | 19 |
| コンクリート | 12 |
| 鉄・鋼 | 12.1(S30C:11.5) |
| 無水ケイ酸 | 0.5 |
| ダイヤモンド | 1.1 |
| パイレックスガラス | 3.2 |
| タングステン | 4.3 |
| 炭化ケイ素 (SiC) | 6.6 |
| クロム | 6.8 |
| 粘土 | 8 |
| 硬質ガラス | 8.5 |
| アランダム | 8.7 |
| 白金 | 9 |
| 煉瓦 | 9.5 |
| 酸化マグネシウム | 9.7 |
| アンチモン | 12 |
| 炭素鋼 | 10.8 |
| ステンレス鋼 (SUS410) | 10.4 |
| ステンレス鋼 (SUS304) | 17.3 |
| コバルト | 12.4 |
| ニッケル | 12.8 |
| ビスマス | 13.3 |
| 金 | 14.3 |
| 銅 | 16.8 |
| フッ化カルシウム | 19.5 |
| ケイ素 | 24 |
| マグネシウム | 25.4 |
| 亜鉛 | 26.3 |
| スズ | 26.9 |
| カドミウム | 28.8 |
| 鉛 | 29.1 |
| 塩化ナトリウム | 40.5 |
| 氷 (0℃) | 50.7 |
| 硫黄 | 64 |
| ナトリウム | 75 |
| カリウム | 83 |
| パラフィン | 110 |
| ゴム | 110 |
[編集] 主な物質の体積膨張率
(×10−4/℃)
| 物質 | 体積膨張率 | 備考 |
|---|---|---|
| 水銀 | 1.8 | |
| 水 | 2.1(at20℃) | 4℃で膨張率0、4℃以下では膨張率は負の値となる。 |
最終更新 2009年11月1日 (日) 05:19 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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