線路使用料

線路使用料の最新ニュースをまとめて検索!

線路使用料(せんろしようりょう)とは、鉄道会社が、他社が保有する線路上に自社の列車を乗り入れる際に発生する料金のこと。線路利用料ともいう。

目次

[編集] 日本における線路使用料

日本においては、鉄道事業の免許が第一種から第三種に分けられており、このうち第二種鉄道事業は第一種または第三種の鉄道事業者から線路を借りて営業する形態となっている。このため第二種で鉄道事業を営業している事業者は、第一種、第三種の事業者に対して線路使用料を支払っている。

以下にその代表例を挙げる。

第二種鉄道事業者であるJR貨物は、JR旅客各社やIGRいわて銀河鉄道青森県青い森鉄道)、肥薩おれんじ鉄道等の第一種鉄道事業者の線路を使用して列車を運行しており、同社が運行する大半の列車において、線路使用料が発生している。
JR東日本成田線の成田線分岐点 - 成田空港駅間は第二種鉄道事業者としての営業であり、成田空港高速鉄道への線路使用料が発生している。(京成電鉄本線駒井野信号場 - 成田空港駅間も同様)

その他には乗り入れ先の他社沿線に車両基地を置く場合(東京地下鉄日比谷線竹ノ塚検車区大阪市営地下鉄堺筋線の東吹田検車場など)に、自社線内からその基地までの回送列車の運転をする際に発生する。

「使用料」の範疇としては、JR四国瀬戸大橋の列車通行料を日本高速道路保有・債務返済機構に支払っているケースがあり、JR四国は普通運賃に100円上乗せして徴収し、支払い分を利用者に転嫁している。JR貨物と同様、列車単位ではなく1両単位での課金である。また青函トンネルに関しても所有者は鉄道建設・運輸施設整備支援機構となっており、JR北海道は機構に対して線路使用料を支払っている。その額は年4億円であるという[1]

JR貨物がJR旅客各社の線路を借りて貨物列車を走らせる際には、アボイダブルコスト方式で線路使用料を計算している。これは、仮に貨物列車が運行しなかったとした場合に旅客会社が線路の保守作業に必要だった経費を計算し、それに比べて貨物列車が走行したことによってどれだけ保守経費が増加したかを求めて、この増加費用分だけをJR貨物が支払うという方式である。国鉄分割民営化の際に、JR貨物の経営基盤が脆弱であることが予想されたため、その経営を支援するために線路使用料が低く抑えられるように定められた方式である。

しかしその後、東北新幹線八戸延長に伴って並行在来線の東北本線盛岡-八戸間がJR東日本から経営分離されることになり、この区間を走行していた貨物列車は第3セクターの鉄道会社を走行することになった。当初から経営難が予想されていたこれら第3セクター会社は、アボイダブルコスト方式をやめて正当な線路使用料を支払うように要求することとなった。関係者の間で協議が行われた結果、当該区間の整備新幹線を建設した日本鉄道建設公団(後の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)がJR東日本から受けとる新幹線に対する線路使用料を原資として、JR貨物の支払う線路使用料を補填することになった[2]。これにより、平成19年度決算ではIGRいわて銀河鉄道の旅客収入は約19.7億円であるのに対して、線路使用料収入は約13.7億円とかなりの額を占めるに至っている[3]

一方、同時に青森県側で並行在来線を引き受けて開業した青い森鉄道についても同じ措置が講じられているが、青い森鉄道に関しては線路の所有権が青森県にあり、JR貨物の線路使用料は青森県に対して支払われると共に、青い森鉄道自身も青森県に対して線路使用料を支払う立場にある。ただし、青い森鉄道に対する経営支援として電力使用料以外の線路使用料は全額減免措置が講じられており、その額は平成19年度決算では約2.7億円である[4]

こうした線路使用料の補填措置は、その後開業した九州新幹線の並行在来線を引き受けた肥薩おれんじ鉄道に対しても適用されている。

なお、相互/片乗り入れによる直通運転の場合、他社の車両を借りて自社列車として営業している形であるため、線路使用料は発生しない。この代わりに車両使用料が発生する。但し、相互直通の場合は相殺されていることもある。

[編集] ヨーロッパにおける線路使用料

ヨーロッパにおける鉄道民営化は、上下分離方式を用いたものが主流であり、イギリスネットワークレールNetwork Rail)、ドイツのDBネッツ(DB Netz)などのように鉄道のインフラストラクチャーを管理するための専門の組織が設置され、列車を運行する会社(英語でTOC: Train Operating Company と称される)はそうしたインフラ管理会社に対して線路使用料を払って営業するようになった。この際オープンアクセスが採用され、一定の規定に従って線路使用料を支払えば、どのような事業者であっても自由に線路を使用して鉄道事業を行うことができるようになった。これによって実際に新たに鉄道事業に参入した事業者が各国で出現している。

ヨーロッパにおける線路使用料の一例を挙げると、英仏海峡トンネルを通過して貨物列車を運行する会社は、トンネルを管理するユーロトンネル会社に対して、2008年以降は1列車平均3,000ポンドまたは4,500ユーロを支払っている。これは2006年のユーロトンネル会社破綻とその後の再建計画の中で、使用料を減額することで通行量を増やすために設定された額で、2007年までは1列車平均5,300ポンドまたは8,000ユーロであった。また積み荷の種類やトン数による複雑な課金体系だったものを、列車のスピードと時間帯による単純な課金体系に改めている[5]

上下分離によるオープンアクセス方式では、線路という限られたリソースを異なる事業者で共有するために、線路を使いたい時間帯が複数の事業者で競合した場合にどのように裁定するか明確なルールや裁定機関が必要となり、また信用乗車方式を採用している区間では、運賃をどのように複数の事業者に分配するのかについても問題となる。

[編集] 北アメリカにおける線路使用料

北アメリカにおいては、旅客鉄道事業は既に衰退し貨物鉄道事業が鉄道の主体となっている。このため線路の大半は貨物鉄道会社の所有となっている。これに対し長距離の旅客鉄道事業を公的関与の元で存続させるために、アメリカ合衆国においてはアムトラック(全米鉄道旅客輸送公社)が、カナダにおいてはVIA鉄道が設立されて、旅客鉄道事業を行っている。こうした旅客鉄道事業者は自前の線路設備をほとんど所有しておらず、貨物鉄道会社から線路を借りて運行している。この際に貨物鉄道会社に対して線路使用料が支払われている。これは、旅客鉄道会社が線路を所有しており貨物鉄道会社が線路使用料を支払う日本とは逆の形態となっている。

[編集] 脚注

[ヘルプ]

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

最終更新 2009年7月10日 (金) 10:20 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【線路使用料】変更履歴

ご利用上の注意

もっと調べる!