義肢
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義肢(ぎし、Prosthesis)とは、事故や病気や戦争等で失った手や足を補う為に装着する代替物のことである。機能を回復させる物と、外見を回復させるものとがある。
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目次 |
[編集] 概要
上肢・手腕の義肢を「義手」、下肢・足部の義肢を「義足」と呼ぶ。 失われた肉体の一部を人工物で代替することにより、患者自身の機能的・精神的な問題を軽減させるために用いられる。 古くからこの考えは存在したが、そのありようが大きく進歩したのは第一次世界大戦以降である。
[編集] 歴史
[編集] 中世時代
1500年ごろのヨーロッパでは戦争で手足を失うことが多かったが、義手や義足を使用して騎士や軍人を続けた人物が多数居た。ヨーロッパでは代表的な人物として鉄腕ゲッツの異名をとったゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンが居る。ゲッツの自伝には義足の騎士も登場しており、義肢を使用していた騎士はかなりいたと思われる。 ゲッツの使用していた義手は高度なギミックが組み込まれていて、剣や槍を握って戦うことが出来たと自伝に記されている。 実際にヨーロッパでは手足をなくした傷痍軍人に取ってゲッツの話に元気付けられることは多く、ゲーテの戯曲としても有名であることから四肢切断者へのケアとして現在でも引き合いに出される。
[編集] 現在
外装 ゴムやシリコーンを用いて、本物の肉体に近い仕上がりとする技術がある。 労働災害などで失った指や、乳癌で切除した乳房の代わりの人工乳房など、 欠損部位の外観再現を積極的に行うものはエピテーゼとよばれる
足部 歩くためではなく、走ったり跳んだりといった高負荷活動を目的とした部品が存在する。 装着者と義肢装具士の共同作業によって完成されたスポーツ用義肢が数多く登場してきており、パラリンピックなどのスポーツイベントで数多くみることができる。
健常者に肉薄する成績をもつ選手も出現しており、詳しくはオスカー・ピストリウスの項を参照。
そのほか、筋電義手、コンピュータ制御膝継手、コンピュータ制御足部など、高機能、高性能の義肢パーツが登場してきている。
[編集] 義肢の機能
部品としての機能はもちろん、装着感や重量にも注意が払われる。 たとえば欠損率の大きい四肢を補う場合、多機能化で複雑なパーツを使用せず、単純な構造とすることがある。
義足の場合では一般に、膝関節の有無で活動レベルに大きな違いが出る。 膝関節が残っていると屈伸運動が可能であるため、脛より下は単純な棒で代用されることもある。 この場合では、訓練次第で走ることも可能となる。
しかし、膝関節を喪失している場合、屈伸する機能を膝継手として義足側に持たせなければならない。 この膝義足が体重を支えられなければ立つことができない。しかし膝が曲がらなければ歩き難く、走ることは困難である。 ※ 膝を腫瘍で失った人のために、切断した足の踵を流用して膝と同じ機能を持たせた移植手術(ローテーション)が行われた例もある(腫瘍の転移があった場合はできない)。
義手には手の機能の代用として「カギ爪」のようなものも存在するが(ピーター・パンに出てくるフック船長の腕を思い出すとよい)、後腕の筋肉で操作するピンセットのような「物をつまむ」ことが可能な義手や、さらには筋電位測定とマイクロコンピュータを利用して、モーターの力で実際の手のように掴んだり離したりの動作が可能な筋電義手も開発・実用化されている。
最新の物では、直接神経に接続された電極で神経電位を計測、訓練すれば自分の腕のように操作できるタイプも登場しており、これらではコンピュータ制御により、触覚すらあるという。
[編集] 義手
義手(ぎしゅ)は、義肢の一種である。
上肢の切断後、機能・外観の再現を目的に装着する義肢で、目的により、装飾用と作業用に分類される。 病院で医師の処方・リハビリ計画に基づき、義肢装具士が製作する。
身体障害者福祉法による補装具、または労働災害補償が受けられる。
装着にいたる原因は後天的なケースが多く、労災や交通事故など外傷性によることが多い。 実用性がなくとも、とりわけ小指の有無は”縁切り”をさすものとしての一定の偏見があるため、社会が装着を要求するという面もある。
外装にはシリコーンゴムなどによる仕上げを行うが、基本的に単色であるため、肌の微妙な変化は再現できない。血管の浮き出しや手指特有の色の変化を再現したい場合、つまり本物そっくりにしたい場合は、仕上げを実費負担する必要がある。
[編集] 目的別分類
- 装飾用義手・・・外観の再現を目的としたもの
- 能動式義手・・・ハーネスなどを用い、身体のほかの部分を活用して任意動作を可能としたもの
- 作業用義手・・・特定の作業に特化させたもの
装飾用義手は表面をシリコン素材を中心に仕上げ、外観の保持を目的とする。芯材をいれば、指に表情をつけることもできる。一本だけなら、キャップを填めるようにつけることができる。
能動式義手は樹脂を中心に製作し、反対の肩にまでかかるハ-ネス(8の字のたすきがけをイメージ)を利用して、ものをつかむ・はなす(把持)動作を再現する。
作業用義手は、目的優先のため、必ずしも人体の形状をしている必要がない。肘関節より遠位の切断であれば、手首をアタッチメント式にして、必要な道具を交換したりすることもある。(料理など)
そのほかに、筋肉の収縮に使用される微弱な神経電流を感知し、つかむ・はなすという把持動作をモーター駆動の部品で再現する筋電義手が存在する。筋電の任意検出ができない人には使えないため、万人向けではない。
[編集] 製作部位別分類
- 指 ・・・義指
- 手 ・・・手義手
- 前腕・・・前腕義手
- 上腕・・・上腕義手
- 肩 ・・・肩義手
- 二の腕・・・二の腕義手
[編集] 義足
義足(ぎそく)とは、下肢切断者が装着する人工の足のことである。
病院で医師の処方・リハビリ計画に基づき、義肢装具士が製作する。 下肢の切断後、機能の再現を目的に装着する義肢で、目的により、訓練用・常用・作業用に分類される。
費用については健康保険、身体障害者福祉法による補装具、または労働災害補償が受けられる。
歩行能力を得るための「機能的義足」と、外観を取り戻すための「装飾用義足」とに大別できるが、装飾用は歩行機能がないため、助成対象にはならない。希望者は自費作成することがある。
機能的義足は、「殻構造義足」と「骨格構造義足」の2つに分類できる。骨格構造義足には、ピラミッドアダプターと呼ばれる世界共通の規格がある。交換が容易で、高機能なパーツが多数存在することから、近年主流になっている。
[編集] インターフェイス 身体との接合
ソケットの形式は、切断肢の高さ・形状から決定される。身体との接合素材には、綿で作られた断端袋(厚手の靴下のようなイメージ)が用いられてきた。近年では、吸着式と呼ばれる空気の陰圧を用いて直履きするタイプや、シリコーンを用いたものが普及しはじめている。一方、殻構造義足は構造がシンプルでわかりやすいことから、古くからのユーザーには根強い人気がある。
ソケットは、短期においては体調・体重変化、長期においては加齢による肉体の変化により、いずれ不適合となる。とくに切断直後の形状・周径はどんどん変化するため、訓練用義肢は短期間で不適合になるのが一般的で、更生用義足は切断肢の安定を見計らって製作されることになる。
[編集] 分類
切断肢がどれだけ残存しているかによって義足に求められる性能なども変化する。 断端までの長さによって細かな差があるが、残存する関節を基準とした分類が存在する。
- 足指を切断した患者が用いる足指義足
- 足(foot)を切断した患者が用いる中足義足
- 足首関節で切断した患者が用いる果義足
- 脛を切断した患者が用いる下腿義足
- 膝関節で切断した患者が用いる膝義足
- 大腿部を切断した患者が用いる大腿義足
- 股関節で切断した患者が用いる股義足
- 骨盤を切除した患者が用いる骨盤義足
足指義足や中足義足は足袋の形をしたものが多い。 一般に残存している部分が少ないほど歩行能力獲得までに時間がかかる。特に膝の有無による影響は大きい。
[編集] 課題
長期間(数ヶ月以上)にわたり快適に装着し続けるためには、本人の自己管理能力が問われる。
- 義足の非装着時には弾力包帯(伸縮性のある包帯)を巻くことで、断端に常に一定の圧迫をかけ、形状変化を最小限にする努力が必要である。これを怠ると軟部組織が肥大し、義足を装着できなくなることがある。
- 糖尿病患者は人工透析の影響による水分量の変化により、断端形状の収縮・肥大といった変化が問題となる。
- 体脂肪は断端を不安定にする原因となる。また、過剰な肥満に伴う体重変化は断端周径を大きく変化させ、不適合の原因となりやすい。
このように、自己管理能力に問題がある患者、物理法則を無視した自己中心的な患者は、適合・完成までに難渋する傾向がみられる。本人の感覚評価によらず、適合を客観的に判断する、明確なガイドラインの設定が求められる。
仮に切断肢が安定しない場合は、退院後も定期的に病院で調整を続けることが必要になる。医療的判断から再切断にいたるケースもある。また、歩行能力が獲得されない場合、車椅子の使用や、松葉杖を利用しての片脚歩行(片脚が健在の場合)を検討する。近年では断端への負担を減らすために、サドルに座る形で用いる義足もある。
[編集] その他
戦争被害を受けた発展途上国では、残された地雷の被害者による義足の需要が増えており、各国の義肢メーカーがボランティア支援を行っている。
[編集] 参考文献
- 千葉望『よみがえるおっぱい』海拓舎


