自作 (アマチュア無線)
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自作(じさく)はアマチュア無線の本来の楽しみ方で、自らアマチュア無線に使用する機器やアンテナなどを製作することである。自作によって技術の向上を図ることはもちろん、自作の無線機器を用いての交信は格別の楽しみがある。
電波は「人類共通の財産」であり、何人もこれを独占することは許されない。しかし一方で電波は利用できる部分の少ない貴重な「資源」であり、皆がこれを自分勝手に利用すれば直ちにその枯渇を招く。このため全世界的にある程度(電界強度によって規定される)以上の電波の利用については「正当に許可された者」だけに許される「許可制」をとっており、それぞれの業務目的に必要な周波数の「割当制」となっている。これはアマチュア無線についても例外ではない。
電波の利用は公共の福祉増進のために行われるものとされており、したがって営利目的の電波利用等については相応のさまざまな制限が課される。よって他の業務用無線設備の新設・変更などは簡単なものではない。すなわち利用者による機器の自作や改造による無線局の運用は業務用無線機などでは困難で、免許を受けている業務無線機の中には、その筐体を開くことすら電波法令で禁じられているものもある。
これに対して営利を目的としないアマチュア無線は、むしろ電波利用の本来の姿のひとつであり、無線技術の点では、全ての無線設備の設計・製作・運用がその利用者(アマチュア無線家)に対して許されている。
戦後のアマチュア無線の黎明期(昭和27年=1952年~昭和30年代)には市販のアマチュア無線機器は無かったため、必然的に自作や、旧日本軍・米軍の放出品などの改造によって無線設備を調達していた(コリンズのR-390Aは当時よく使用された受信機として有名である)。昭和40年代から市販のアマチュア無線機器が増え、自作の技術・経験が無くてもアマチュア無線局の開局が容易になった。
しかし、自作の必要性は決して無くなったのではなく、現在でも多くのアマチュア無線家によって無線機器の自作および関連する技術研究が行われている。また自作派アマチュア無線家と呼ばれる人には、第一線で活躍している科学者・技術者も多い。
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[編集] 送信機の自作
送信機のうち最も自作が簡単なのが電信の送信機である。搬送波を電鍵のオン/オフによって断続し、モールス符号を送る仕組みである。また振幅変調 (AM) の送信機の自作も比較的容易で、振幅変調の運用が行われている事実上唯一のバンドである50MHz帯において自作機の使用が多い。
大出力の送信機ほど製作が難しくなるため、小電力 (QRP) の送信機の自作から始めるのが通例である。また送信機の出力電力をさらに増幅するリニアアンプ(ブースター)の自作も多く見受けられる。
送信周波数の安定性を確保するため、長波・中波帯の一部を除いては水晶発振回路(水晶振動子を用いて非常に高い周波数安定度の電気信号を発生する回路)が用いられる。
概して採算が取れずメーカーが量産しないような種類の送信機が自作される。
[編集] 送信機の改造
輸出用市民ラジオ(CB無線)を周波数の近い28MHzのアマチュア無線機に、一部の400MHz業務用無線機を430MHzのアマチュア無線機に改造することがある。さらには1970年代の古い短波無線機に、当時はなかった10MHzや18MHzといった、通称「WARCバンド」が送信できるように改造したケースもある。
[編集] 受信機の自作
受信機の自作は、真空管が全盛の時代にはラジオの自作としてアマチュア無線家以外にも広く親しまれていた。
受信関係の機器で、手持ちの受信機では受信できない周波数帯を受信するためのクリスタル・コンバータ(周波数変換器―既存の受信機に取り付けることによって別の周波数帯の受信を可能とする装置)は、受信機本体よりも自作が容易である。この例として、かつては28MHz帯の周波数を有する無線機に接続して、無線機単体では送受信できない50MHz帯や144MHz帯の周波数に変換して送受信する、トランスバーターという周波数変換装置の自作も多く行われていた。
[編集] アンテナの自作
送信機・受信機に比べるとアンテナの自作は実用性が高く、今でも市販品に対しての競争力は失っていない。また性能の良し悪しが電波の強さに比例するため、性能改善が出来たときは実利面での満足感が得られる。ある程度の測定や調整の技術を修得すれば、自分の運用スタイルに合ったアンテナを設計・製作することもできる。アマチュア無線家によって開発されたアンテナ(HB9CV、ヘンテナなど)もある。
[編集] デジタル無線機の自作
1990年以後デジタル無線機の自作も行われるようになった。JA1IHEによるパケット通信機器の製作は米国の機器にプロトコルを合わせたものであり、RSV96やNEKOシリーズは英国のG3RUH方式の機器との互換性を持つものである。一方、2000年頃にはデジタル変調やスペクトラム拡散を独自方式で作成するアマチュア無線家があらわれ、関東で2局(G.711, G.721および直接変調)、関西で1局 (CDMA) が免許を受けている。 しかしその後、メーカー製デジタル無線機 (GMSK+twin VQ) が発売されたため、純粋な通信目的で独自方式に追従する局は無いようである。
アマチュア以外の無線通信の世界では1990年以後、大企業を中心に優秀な人材と資金を多く投入した結果、急速にデジタル無線技術が向上したが、日本のアマチュアのデジタル無線技術は大きな遅れをとった。これは近年の傾向として、日本では優秀な自作家がその活躍の場をアマチュアからプロに移し、その技術をアマチュアに還元しなくなってきていることが背景にあると言われるが、その根本には、個人としてのデジタル無線技術の開発は金銭的な負担が大きいこともあるが、アマチュア局に対して新しいデジタル変調方式が免許されにくいという問題があるためであるとも言われている。
アマチュア局の免許において、「通信の相手方」は「全世界の多数のアマチュア局」であり、アマチュア局は他の業務局のように、いわば「身内同士の通信」のためにあるという解釈はされない。アマチュア局以外では、従来より「身内同士の通信の秘匿性」をいかに高めるかということに尽力されてきた。このため古くより、アマチュア局の通信は普通語、他の業務局の通信は暗語といった規定があったわけであるが、デジタル変調方式は、従来、オペレータや傍受者(第三者)の、いわば「遵法精神」に依っていたところに加え、ハード的に高い秘匿性を得られるものであること、少ない周波数を有効に利用できるものであることから、アマチュア局以外では格好のものとなり、急ピッチでデジタル化が進められた。 しかし一方で皮肉にもこれは、「アマチュア局が、ごく一部のアマチュア局のみが復調できる変調波により通信を行うことは問題がある。」すなわちアマチュア局の輻射する電波の変調方式は、「汎用とすることを目的として公開されたものを用いるべきである。」と、より強力に解釈されることになってしまったのである。
例えばD-STARであれば、ストリームプロトコルは公開されたものの、肝心の音声圧縮アルゴリズムが公開されず、結果、アマチュアはメーカー製の基板を少々加工してGMSK変復調部に接続するという方法でしか免許を受けることができない状況にあった。そこで、日本のあるアマチュア無線家は、D-STARの研究関連文書を総務省が管理していることを逆手に取り、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく公開請求を行い、これを認めさせた。結果、音声圧縮アルゴリズムにAMBEを採用していることなどが公開され、2007年頃からようやく、D-STAR関連の本格的な自作が試みられるようになってきている。[1]、[2]
また、このD-STARは「標準方式」とされているため、D-STAR以外のデジタル音声通信方式の免許申請については、その免許の必要性について明確な説明ができないと、「アマチュア局に認められたものではない。」として拒絶されてしまう結果になりかねない。前述のG.721についても、その後申請した各局は拒絶されている。
歴史的にアマチュア無線家の無線技術に関する貢献度は大きく、今後も当然、期待されるべきものであるが、上述のようにこれを阻害することにもなりかねない矛盾も生じている。このようなことから現在、アマチュア無線への包括免許制度の導入が望まれている。
[編集] 周辺機器の自作
上記以外にもアマチュア無線の運用には電波の送信・受信に直接関係する機器だけでなく、数多くの周辺機器が必要であり、それらの自作の楽しみもある。
[編集] 自作・改造機による開局等の手続き
上記自作・改造送信機は、当然のことながら技術基準適合証明を受けていないため、空中線電力が200W以下の場合、保証認定業務を行う「TSS(株)」を経由して開局などの手続きをする。アマチュア局の開局手続きも参照。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
最終更新 2009年8月3日 (月) 21:21 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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