航空戦
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航空戦(こうくうせん、英: Aerial warfare)は、航空機による作戦・戦闘である。空戦とも呼ぶ。
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[編集] 概要
航空戦とは航空機が運用された空中における作戦・戦闘である。航空戦として初めて陸海の戦闘とは独立的に区別して呼称されたのはルンガ沖航空戦である[1]。しかし、航空戦とは、独立的に存在する作戦・戦闘ではない。航空部隊は陸上部隊・海上部隊との連絡・連携を常に保ちながら互いに機能を補完し合って作戦しており、航空作戦において偵察・近接航空支援・航空阻止などの任務を行おうとする。
航空戦力は長期間にわたって特定の空域に存在し続けることが技術的な問題から不可能である。従って航空戦は一般的に海戦と同様に短期決戦で明確に勝敗が分かれ、その戦果はランチェスターの法則が適用される。
[編集] 目的
航空戦の目的はいくつかに分類出来る。艦艇部隊との共同作戦の場合は「海戦」と呼ばれ続けたことに示されたように、航空戦の第1の目的は陸上部隊・海上部隊及び軍事施設を主に爆撃によって攻撃することにある。そして第2の目的は、必要な空域の航空優勢を確保することである。この航空優勢の確保には、第1の目的を実行するため侵攻時に行なわれる敵の防空の航空部隊との空中戦闘と、逆に敵の襲来に対して行なわれる防衛としての空中戦闘という2種類がある[2]。一般的に航空戦・空戦といわれる場合にはこの比較的に近距離で行われる空中戦を指す場合が多い[3]。第3の目的は、攻勢対航空(offensive counter-air)によって航空脅威をあらかじめ取り除くことである。これは飛行場や空母を攻撃することを意味する。 第4の目的は、戦術爆撃(tactical bombing)や近接航空支援(close air support)と呼ばれるものである。 第1と第2の目的について更に以下に示す。
[編集] 爆撃
航空戦の第1の目的である陸海への経空攻撃は攻勢的航空戦となり、主に爆撃によって敵の陸海部隊と地上基地の兵器・兵員・資材を破壊することである。20世紀末からは、この攻勢の航空作戦での主な要素として阻止攻撃(interdiction)が占めるようになってきた。これは敵国土内の生産拠点や交通網、政治、経済の中心といった重要目標を爆撃により破壊するものである[2]。
[編集] 航空優勢の確保
航空戦の第2の目的である空中戦は多くの場合、侵攻時、又は防衛時のいずれでも防勢的航空戦となり、通常は戦闘機が主役となる[2]。これらは、航空戦術の差異から攻撃的空中戦と防御的空中戦に分類される。
[編集] 空中戦の段階
航空優勢の確保のために行なわれる空中戦は、航空力学の諸法則や天候や航空機の性能及び軍事技術によって機動などが制約され、戦闘機は敵との優位な相対位置を獲得しようと連続的に機動して攻撃する。 空中戦は一般的に、発見・接近・攻撃・運動・離脱の要領で行われるが、実戦においてこれらの段階が順序だてて進むとは限らず、奇襲を受けた場合は唐突に攻撃や運動を開始して戦闘を行う[4]。
[編集] 発見
航空戦の第1段階は敵機の発見である。敵機の捜索は第一次世界大戦の頃は肉眼に依存していた。しかし、F-86を機にレーダーを搭載した戦闘機が現れると、敵機の捜索は主にレーダーで行うようになり、空中早期警戒システムや戦闘機誘導員との連携によって100キロメートル先の視認できない敵機を捜索することが可能になった。敵を先に発見することは戦闘において主導権を獲得することであり、敵機の存在を把握すればそれに最適な要撃位置を占位することが出来る。
同時に敵の捜索を回避する手段も航空戦に必要である。その手段としては対電子妨害手段がある。これは敵機の電子支援手段を妨害するものである。また捜索を回避する手段として低空飛行がある。これは敵の電子放射を監視してその間隙を通過するものである[5]。
[編集] 遠隔攻撃
敵機を発見した場合に可能であれば遠隔攻撃行動に入る。敵機の撃墜には、敵機と100キロメートル程度はなれた位置から長射程の空対空ミサイルを発射する場合がある。この他にも、自己誘導型で敵機を目指して飛行する空対空ミサイルもあるが、これらは非常に高価で、安価で汎用のものでは、自機で敵機に照準を合わせるミサイルや敵機が放出した熱を追っていくミサイルがある。前者は機首を敵機から離せず後者は気象に左右されやすい。そのためどのミサイルも完璧な兵器とはいえない。
発射の際は、早期警戒管制機の支援を受けることもある。敵機の撃墜に失敗した場合は接近して戦闘行動に入るかどうかが問われる。また、敵からの攻撃に対しても迅速な対応や判断が求められる。
[編集] 接近
航空機は攻撃に入る前に空中戦を志向するかどうかを決心しなければならない。これは、状況を把握している空中または地上の誘導員によって行われる。攻撃を行うことが決心されれば、航空機は速やかに攻撃のために、敵機に対して要撃成功の最適位置へ移動する。この際に重要なのは速度であり、高速であればあるほどに敵に発見される前に好位置を占位できる。その好位置とは、戦闘における運動や離脱において要する位置エネルギーを確保することが出来る高高度である[6]。
[編集] 接近攻撃
接近攻撃の段階における戦闘では戦術的状況と使用兵器によって左右される。戦術的状況とは航空機の運動によってもたらされる彼我の相対的な位置関係である。攻撃に最適な戦術的状況は敵機の後方であると伝統的に考えられているが、接近に時間を要する。正面からの攻撃は彼我の距離を最小化して攻撃の成功率を高めるが、敵の目前で直線的に飛行するために逆に攻撃を受ける危険性が最も高い。また横正面などの敵機の位置が激しく変化する方向からの攻撃は成功させることが難しく、ミサイルの追尾もより困難になる[7]。
敵機の正面より1キロメートル程度離れたところから短射程のミサイルを発射することもできるが、その際は自ら敵機を目指して飛行していくタイプではあまりにも短距離すぎるため使用できない。そのため、短射程ミサイルでは自機で敵機に焦点を合わせていくタイプか、敵機が放出した熱を追っていくタイプが主流となる。
また、ミサイル以外にも、機体内に装備した機関砲で攻撃が行われる。
[編集] 離脱
戦闘で最適な離脱とは敵機の撃墜である。しかしながら常に敵機が撃墜できるとは限らず、加えて空中における激しい運動で消費する燃料量の都合から適切な運動によって戦闘を離脱することが求められる場合もある。従って戦闘は常に燃料量を確認しながら行い、基準値にまで燃料が消費されれば速やかに離脱しなければならない。ただし、帰投する場合でも、基地が攻撃を受けて着陸不能になっている場合や途上での戦闘を考慮し、必要ならば代替の基地まで航続できるだけの燃料を要する。要するに離脱で重要なのはいかにして燃料を温存するかである。航空戦において特に重大な局面であり、最も困難な段階でもある。
[編集] 出典・注記
- ^ 眞邉正行『防衛用語辞典』(国書刊行会 平成12年)
- ^ い ろ は 『現代の航空戦』 原書房 2005年5月15日第一刷発行 ISBN 4562038691
- ^ ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)
- ^ ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)176項 - 177項
- ^ ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)177項 - 182項
- ^ ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)186項 - 188項
- ^ ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)189項 - 190項
[編集] 参考文献
- 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房 2000年)
- 眞邉正行『防衛用語辞典』(国書刊行会 平成12年)
- ビル・ガンストン,マイク・スピッツ著 江畑謙介訳『図解 現代の航空戦』(原書房 1995年)
- 石津朋之、ウィリアムソン・マーレー著 『21世紀のエア・パワー』 芙蓉書房出版 2006年10月25日第1刷発行 ISBN 482950384X




