英語教育

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英語教育(えいごきょういく)は、英語に関連する教育活動・内容の総称。

本項目では、主として教科「英語」(外国語としての英語)に関連のある理論・実践・歴史などについて取り扱う。現在の学校教育における教科「英語」自体については「英語_(教科)」を参照。

目次

[編集] 概要

日本においては、中学校高等学校の6年間、さらに、大学短期大学専門学校などにおいても英語の授業が課されることが多いため、一義的にはこうした公教育機関における英語の教授を指す。しかし、この他に、小学校やそれ以前の段階における早期教育としての英語(児童英語)、高校受験大学受験などを対象とする受験英語英検TOEICTOEFLなどの英語検定対策、さらには年代を問わず趣味から各種専門分野にまで及ぶ英会話、など関連する分野は多彩であり、日本国内において広範なマーケットを形成している。

英語教育に関する研究分野は「英語教育学」と呼ばれ、教育学教科教育学)の一分野として位置づけられる。近年では言語学社会学心理学・言語文化学など隣接科学の研究成果も踏まえた英語教育の研究も盛んであり、たとえば『FD改革下における語学教員への7人の新提案』では、学際的観点から大学外国語教育の問題点とその改善策の一例が提示されている[1]

なお、「英語教育」は教授者視点の呼称であり、学習者視点から見れば「英語学習」ということになる。この2語は視点の違いによるものであり、指している現象自体は、事実上同一のものである。

[編集] 歴史

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[編集] 理論および実践

[編集] 英語教育における2つの理論的立場

英語教育(法)に相当する英語には、(T)ESL(T)EFL がある。

  • (T)ESL は (Teaching) English as a Second Language (第二言語としての英語)
  • (T)EFL は (Teaching) English as a Foreign Language (外国語としての英語)

の略称である。

"English as a second language" には、次の2つの意味がある。

  • 母語に対する第二言語としての英語
  • 英語が広く使用されている環境における第二言語としての英語

English as a foreign language は、後者の意味に対して

  • 英語以外の言語が広く使用されている環境における第二言語としての英語

という意味を持つ。(英語が[公用語]であるかどうかは無関係である。)

上記表記における T (= Teaching) が表記されない場合には、学生側から見て「受講する英語のクラス」という意味合いになる場合がある。

なお、類似した用語にTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages,TESOLを参照)がある。TESOLは、英語教育に関する世界最大の学会の名称であると同時に TESL と同じく英語教育という分野の総称として使用される。このほかに欧州では ELT (English Language Teaching)という用語も広く使われている。

[編集] 代表的な指導法

[編集] オーディオリンガル法(AL法:Audio-Lingual Method)

AL法は、ミシガン大学のチャールズ・フリース(Charles Fries)らによって考案された、言語指導で用いられる教授法の1つ。日本においては、オーラル・アプローチ(Oral Approach)と呼称されることが多い。学習方法としてはいわゆるダイレクト・メソッドと呼ばれる「外国語は口頭練習から始める」という考えに則りながら、行動主義に基づく方法論であり、特定の生活習性はオペラント反応と呼ばれる「習慣強化」を通じて獲得されると考えている。よって正しい習慣が形成されてくれば肯定的な評価が、間違った習慣が形成されてくれば否定的な評価が、それぞれ下される。

行動主義を応用した言語教育では、教える側は正しい文の模範を提示し、学ぶ側はそれを復唱する(模倣: Mimicry-Memorization)。次に教師は新たな単語を生徒に提示し、生徒はそれを用いて同じ構造の文章を作ってみる(代入:Substitution)。AL法では、明示的な文法の解説は行われず、単純に「」(パタン:Pattern)の記憶という方法が用いられる。パタン・プラクティス(Pattern Practice)と呼ばれる特定の文構造の練習は、それを自動的に用いることができるようになるまで続けられる。この方法では、授業は一定の反復練習に基づいて行われ、学習者が自分から自由に新しい言語パタンを生成するような機会は方法論的に忌避される。教師は言語ルールに基づいた特定の反応を期待しており、生徒が否定的な評価を受ける結果をもたらしてしまうような働きかけは行わない。言語学習の基礎として行われるものとして、CLT (Communicative Language Teaching)が対照的な方法として挙げられる。

AL法は、3つの歴史的な事情の所産である。言語観の面では、「サピア=ウォーフの仮説」で知られるエドワード・サピアレナード・ブルームフィールドといったアメリカ構造主義言語学者による構造主義文法の研究に端を発している。20世紀初頭における米国の構造言語学派の主要な関心は、すべてのアメリカ英語を詳細にわたって記述することであった。しかしながら、アメリカ英語の理論的な記述を行えるだけの能力を持った英語教師の不足により、言語学者は観察に頼るしかなかった。同様の理由で、口語への関心か高まっていく。同じ時代、行動主義心理学者のB.F.スキナーにより、言語を含むすべての行動は反復活動や肯定/否定的評価を通じて学習されていく、という考え方が確立されてきた。そしてAL法の誕生を可能とした第3の要素は、第二次世界大戦の勃発である。大戦が始まったことで、世界中にアメリカ軍人を配置する必要が生じたため、少なくとも基本的な会話能力を彼らに身につけさせねばならなかったのである。新たな方法は、当時の主流であった科学的な方法論、つまり観察と反復に頼らざるをえなかったし、実際それは見事に教育に適していたのである。軍隊の影響により、AL法の初期の形態は、「陸軍方式」(Army Specialized Training Program: ASTP)として知られるようになったのである。

1950年代、AL法の理論的土台が生成文法を唱えるノーム・チョムスキーなどの言語学者によって疑問視されるようになった。彼らは構造主義言語学の限界を指摘し、また言語学習における行動主義心理学の妥当性についても、疑問を投げかけたのである(1959年にチョムスキーがスキナーの「言語行動」の再検討を行ったのが有名である)。ここにおいてAL法の理論的根拠は揺らぎはじめ、その方法論の効果が疑われるもの時間の問題であった。このように、1960年代に効果的な言語指導理論としての価値を疑われるようになったものの、今日でもAL法は用いられている。ただし、その利用される場面が教室活動から個人指導へと変化した[要出典]。このような授業方式は、教師中心的であると言え、提供される情報も、発信される情報も、それぞれ制限されているため、教師も生徒も何が期待されているのか理解することができる。このような理由により、AL法を好む者がいるのも事実である。

[編集] CLT(Communicative Language Teaching)

CLTは、日本語ではそのままコミュニカティブ・ランゲージ・ティーチングと言われることが多く、「コミュニケーションのための言語教育」という意味を含んでいる。言語を手段として用いた相互作用、言語を学ぶための相互作用、そのどちらにも力点を置く第二言語外国語教育のための手法。「外国語教育のためのコミュニカティブ・アプローチ」、または単に「コミュニカティブ・アプローチ」と言われることもある。

概念・機能シラバス(Notional-Functional Syllabus)」の進化版として、CLTにおいては、生徒が多様な場面状況における「目標言語(target language)」を用いることができるかに力点が置かれ、「言葉の働き」の学習にも焦点が当てられる。AL法とは異なり、その主たる目標は、完璧な文法構造の習得や母語話者の発音の模倣などではなく、学習者自身が意味を生成していくことを支援することにある。学習の成功は、学習者が「コミュニケーション能力 (communicative competence)」をどれだけ高めていくかにかかっている。「コミュニケーション能力」とは、簡単に言えば、言語における形式的・社会言語学的側面の両方に関する知識と、コミュニケーションをはかるための十分な技量を、結びつけるための能力のことである。

CLTは、詳細に定義された教室における実践を伴った教授法ではなく、教授のためのより広範な手法であると見なされることが多い。よって、一般的な原則や特色の一覧として定義されることが通常である。こういったもののなかで、デイビット・ヌナンによって作成されたCLTの5つの特色がもっとも知られている[2]

  • 目標言語を用いた交流を通じたコミュニケーションの学習を重視する。
  • 学習場面の中に正しい文章を導入していく。
  • 学習者が言語だけでなく、学習過程にも焦点を当てる機会を用意する。
  • 教室での学習における寄与する重要な要素として学習者自身の個人的な経験を向上させる。
  • 教室内の言語学習と教室外の言語活動を関連付ける。

これらの5つの特色から、CLTの実践家たちは「教室内の学習される言葉」と「教室外での使用される言葉」の関連性だけでなく、学習者の必要性や要望に対しても、関心を抱いていることを示している。このような緩い定義の下で、生徒が実際の場面状況でコミュニケーション能力を育んでいくことを支援するあらゆる教育実践は、好ましく有益な指導形態であるとされる。よって実際の教室では、CLTは、学習同士の交渉や協働を必要とするペア活動や集団活動、自信を養うための流暢さに重きを置いた活動、言葉の働きを学習するロール・プレイなどを行うと同時に、活動の中で文法や発音の思慮深い使用も学んでいく。

CLTは、教師が生徒の言っていることを理解できれば、それは素晴らしい会話であったとしてしまうことには問題がある。それはどういうことかと言うと、同じ地域出身の教師は、生徒が第1言語の影響からしてしまう間違いを理解することができるのだが、目標言語を学ぶ周りの生徒がその間違いを理解することができないという状況が生じかねない。これはCLTが留意すべき問題である。この問題を解消するCLTにおいては、目標言語を学ぶ教室の生徒たちが理解できるものだけを、教師も最初は理解するように振舞い、状況に応じて対応していくような模擬の場であるべきである。これがCLTに投げかけられる疑問の1つである。

[編集] その他

オーラルメソッドコミュニカティブアプローチサジェストペディアなど。 詳しくは語学教授法を参照。

[編集] 課題

日本で教員免許を取得する際には、教育職員免許法施行規則第四条に基づき、次の内容を含む科目を規定単位数以上履修する必要がある[3]

なお、2007年度の文部科学省の調査によると、英検準1級以上、TOEIC730点以上、TOEFL550点以上を取得している英語教員の割合は、中学では全体のわずか26.6%、高校でも50.6%だった。また中学3年生で英検3級以上の英語力があるのは全体の33.7%、高校3年生で英検準2級以上なのは27.8%だった[4]

[編集] 注釈・引用

  1. ^ 高橋紀穂福森雅史他 『FD改革下における語学教員への7人の新提案 -認知言語学・教育学・社会学・心理学・言語文化学の学際的観点から-』 星雲社、2009年。ISBN 9784434134302
  2. ^ Nunan, David. 1991. Communicative tasks and the language curriculum. TESOL Quarterly 25(2), 279-295
  3. ^ 教育職員免許法施行規則第四条
  4. ^ 平成19年度小学校英語活動実施状況調査及び英語教育改善実施状況調査(中学校・高等学校)について

[編集] 関連項目

[編集] 人物

[編集] 資格

[編集] その他

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月21日 (土) 10:04 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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