血清

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血清(けっせい、serum)は、血液が凝固して上澄みにできる淡黄色の液体成分のこと。血液の液体成分(血漿)そのものではないが、それに近いものである。これを医療に利用するものに血清療法がある。

[編集] 概説

血液を試験管に入れ放置すると、凝固して沈殿物(血餅)と液体(血清)に分かれる。血餅は細胞成分(赤血球、白血球、血小板)と線維素からなる。これをさらに遠心分離すると、血清と血餅を完全に分離できる。

血液から細胞成分を除いたものを血漿(けっしょう)といい、血清と同一視されがちであるが、同じものではない。血漿から線維素原と凝固因子を(凝固によって)除いたものが血清である。

動物(馬など)に、毒素を無毒化・弱毒化した上で注射し、毒素に対する抗体を作らせる。血清療法は、この抗体を含む血清を、病気の治療や予防に用いる方法である。例えば、ニホンマムシハブの毒素に対する抗体を、馬に作らせる。マムシ等による咬傷の際、この血清を患者に投与して治療する。ただし、馬血清はヒトにとって異物であるので、投与の際にはアナフィラキシー・ショックと遅延型アレルギーに対する十分な注意が必要である。 1925年アラスカジフテリアが猛威を振るったとき、犬ぞりで血清を届けた話は有名(バルト参照)。

[編集] 血清療法の歴史

血清療法は、1890年12月4日北里柴三郎エミール・ベーリングが連名で論文「動物におけるジフテリアと破傷風の血清療法について」において、血清療法の発見を発表したことにより始まる。北里柴三郎は破傷風を、エミール・ベーリングはジフテリアを研究し、特にジフテリアの場合はエミール・ルーのジフテリア毒素の発見もあって血清療法の進展にとって画期的なものとなり、後の第1回ノーベル生理学・医学賞受賞に繋がった[1]。ただし、ベーリングのジフテリア血清療法は、北里の破傷風血清療法を基にしたものであり、ベーリング本人も北里あっての受賞であることを認めている[2]

こうして生み出された血清療法だが、運用されていく上で効果が確実ではないことと副作用の存在が課題となった。血清療法の問題点は血清中に抗体以外の物質が多く存在し、副作用や効力を弱める因子となっていたことだった。そのため、血清中から抗体のみを抽出する方法が研究され、純度の高い免疫グロブリン製剤が生み出されるに至り、多くの問題点が改善された。しかし、それでも医療現場からはより純度の高い抗体が求められ、1953年東北大学で開発されたハイブリドーマ技術によって、1970年代にモノクローナル抗体が発明される。モノクローナル抗体は動物由来の血清を使用しない点で特色があり、血清によらずして抗体を生産する手法は1990年代から実用化されていく[3]。一方ではヒト化抗体の研究も進められており、特にエボラ出血熱では生存したヒトから取り出した抗体が使用された。

[編集] 脚注

  1. ^ Linton, Derek S., Emil von Behring: Infectious Disease, Immunology, Serum Therapy (Philadelphia: American Philosophical Society, 2005).
  2. ^ http://www.saiki.tv/~miro45/kitazato.index.html
  3. ^ 抗体物語

最終更新 2009年11月22日 (日) 01:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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