計器着陸装置
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計器着陸装置(けいきちゃくりくそうち、ILS : Instrument Landing System)とは、着陸進入する航空機に対して、空港・飛行場付近の地上施設から指向性誘導電波を発射し、視界が悪いときでも安全に滑走路上まで誘導する計器進入システム。
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[編集] 原理
空港・飛行場側の施設は、進入方向(横位置)を示すローカライザ (LLZ、LOC)・降下経路(縦位置あるいは高さ)を示すグライドパス(GP、グライドスロープGSとも)・滑走路までの距離を示すマーカービーコン(MB、マーカーMKRとも)またはT-DMEから構成される。
ローカライザとグライドパスは、滑走路反対端 (滑走路中心線上)からややずれた異なる方向に150Hzおよび90Hzで変調された電波を発射する。ローカライザの周波数は108.10 MHz~111.95 MHz (50KHz間隔) の範囲で、空港ごとにまた滑走路ごとに異なっている。航空機の側ではローカライザ用のアンテナで受信した信号を復調し、150Hzと90Hzの成分の強度を比較することにより、右または左にずれている量を知ることができる。
グライドパスは329.30 MHz~335.00 MHzが用いられるが、滑走路手前の接地点横 (PAPIの横付近) から上下に異なる低周波信号で変調されており、ローカライザと同様の原理である。グライドパスの周波数 (後述するT-DMEの機上および地上周波数も) はローカライザの周波数と連動しているため、一般に空港のILSの周波数というとローカライザの周波数を示す。したがってこれら設備が用いる周波数はセットになっており、78種類のチャンネルがあることになる。
航空機側の受信機は左右・上下のずれ量を検出し、パイロットにはCDI(Course Deviation Indicator, コース偏向指示器)またはCDIを含む統合計器に表示し提示する。または自動操縦装置を動作させる。パイロットまたは自動操縦装置がこの差を無くすように飛行することで、正しい経路に沿っての進入が可能となる。
MKRまたはT-DMEで滑走路までの距離がわかる。MKRは上空に指向性がある75MHzの信号で、航空機が通過したとき滑走路までの距離をパイロットに知らせる。インナーマーカー (IM) ・ミドルマーカー (MM) ・アウターマーカー (OM) の3種類がある。一般的には滑走路末端までそれぞれ 0.1nm・0.5~0.8nm・3.6~6nmであり、理想的なグライドスロープに航空機がのっていれば、それぞれ接地寸前・200ft・1400ft付近を通過したことが分かるようになっている。インナーマーカー・ミドルマーカー・アウターマーカーはそれぞれ、3KHz、1.3KHz、400Hzで変調された信号である。T-DMEはDMEと同じ原理であり、接地点まで連続的に距離測定が可能である。
[編集] ILSのカテゴリー(精度)
ICAOでは、ILSをその設置・運用精度により以下の5つのカテゴリーに分類している。
| カテゴリー | 着陸決心高度 | 滑走路視程 |
|---|---|---|
| カテゴリーI (CAT I) | 200ft | 2600ft |
| カテゴリーII (CAT II) | 100ft | 1200ft |
| カテゴリーIIIA (CAT IIIA) | - | 700ft |
| カテゴリーIIIB (CAT IIIB) | - | 150ft |
| カテゴリーIIIC (CAT IIIC) | - | - |
カテゴリーの数字が大きくなるほど着陸決心高度(着陸するかゴーアラウンドするかを決定する高度)は低くなっており、悪天候・低視程での着陸が可能となる。
ただしこれには、航空機およびいずれかのパイロットがカテゴリーを満たしている必要もある。最も精度が高いCAT IIIcのILSを運用している空港の場合、着陸決心高度は設定されておらず (= 0ft)、航空機およびパイロットの条件が整えば、全く視界がなくても完全に自動操縦のみで接地操作をおこなえる。ただし、2007年現在CAT IIIcの運用例はない。これは視程なしでは着陸後のタキシングが行えないためである。
[編集] 日本での運用状況
日本の1500m以上のジェット化空港には、最低1本の滑走路の少なくとも片側にフルILSが設置されており、富山空港・出雲空港・広島西飛行場・徳之島空港・福江空港・対馬空港・大島空港・八丈島空港などはローカライザー+T-DMEのみでグライドパス未設置。また松本空港は未設置(VOR/DME非精密進入)。また、日本で唯一、民間パイロットの訓練空港である下地島空港(沖縄県)にはILSが設置されている。設置出来ない主な理由は、地形や滑走路長などである。ILSが利用できるためには少なくとも10nm程度のグライドスロープが延ばせる必要があり、これが山などに遮られる場合は、ILSが設置できない。
またローカライザとグライドスロープを両方装備している空港であっても、計器進入方式でローカライザのみ使うよう指定される場合もある。例えば東京国際空港で深夜にILSを使う場合、グライドスロープを利用しようとすると低空での水平飛行(15nm以上から9.1nmまで3000ft)が必要で騒音の原因になるため、方位のみローカライザで誘導し高度は航空機の高度計とDME距離で制御する方式がとられる(オートパイロットはほとんどの場合降下率を設定できるので精密といえないまでも実用的なグライドスロープが得られる)。
日本で最も精度の高いCAT III及びCAT IIのILSを設置しているのは以下の空港[1]
- CAT IIIb
- 成田国際空港(16R)・釧路空港(R/W17側)・熊本空港・中部国際空港(R/W36側)・広島空港[2]
- CAT IIIa
- 青森空港
- CAT II
- 東京国際空港(34L)・関西国際空港・中部国際空港(R/W18側)
これらの空港では霧で視界不良になることが多かったり、視界不良時に到着便が滞ると影響が大きいためである。
[編集] オフセットローカライザー
ILSは滑走路延長にローカライザのパスが延びるように設置されるのが普通であるが、中にはこれと異なる角度に設置し(オフセットILS)、着陸直前に航空機が進入角度を変更して滑走路にあわせるような利用がなされる場合もある。
具体例としては2010年から運用予定の東京国際空港(羽田空港)のD滑走路があり、浦安市の設備への影響を考慮して海側に2度オフセットしてある。 また、羽田の現B滑走路共用前のA滑走路でもローカライザー用地の都合からオフセット運用が行われていた。その他広島西、富山、大島、那覇などでオフセットローカライザーの設置例がある。 またイタリアのジェノヴァ・クリストーフォロ・コロンボ空港(LIMJ)では山岳地帯を避けるため、台湾の金門空港(RCBS)では中華人民共和国との国境が迫っているためそれぞれオフセットILSを実施している。
香港の旧啓徳空港(VHHX)にはILSと同様の機器としてIGS(Instrumental Guidance System)が設置されており、航空機側はILSの受信装置をそのまま利用できた。着陸の手順としては、まずIGSの自動操縦によって空港近くの山に誘導され、次にパイロットが自動操縦を解除、その後は地上に並べられた看板を目印に手動で右に47度旋回して滑走路を目指すというものであった。
[編集] 諸元
| 電波型式 | アンテナ型式 |
| A2A | 対数周期型(LPDA) |
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 計器着陸装置(ILS)のカテゴリー(CAT)IIIB化について(Centrair Group News)
- ^ 広島空港の着陸誘導で新施設
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月7日 (土) 15:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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