謡曲
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謡曲(ようきょく)とは能の詩章である。演劇である能の脚本に相当する。台詞と地の文とで構成され、その文章は古歌・古詩などの引用、縁語・掛詞・枕詞・序詞といった修辞技法を駆使した和文体である。多くを観阿弥、世阿弥、金春禅竹などが作った。 能から切り離されて単独でも、独特の節をつけて謡われ。江戸時代に広く愛好され、[1]これを謡(うたい)とも称する[誰?]。
能は本来舞・謡・囃子の三要素から成り立っている。謡(謡曲)は登場人物の台詞と地謡(じうたい)とよばれるコーラス部分を含めた、能において言語で表現される部分の総称であるが、能の場合にはこれに特殊な台詞回しや節が付加されており、これを独立した芸能として鑑賞することが充分に可能であるために、室町末期ごろから主に素人の習事、娯楽として謡曲が盛んに行われた。謡曲だけを独立して演奏することを素謡(すうたい)とも称する。
安土桃山時代から寛永期になると武士、町人が能を愛好し、謡曲は空前の流行を見るようになった。嵯峨本と呼ばれる豪華な謡本が発行され(俵屋宗達画、本阿弥光悦筆)、実際の能としては上演されない素謡専用の能が新作されるほどであり[誰?]、この風潮は町人に能楽が禁じられた江戸時代中期以降になってもまったく衰えることはなかった[要出典]。愛好家たちは謡曲の詞章について稽古し、謡会で謡うことを楽しみ(町人でも謡は大目に見られた)、能役者の側も積極的に謡曲の詞章としての活動を行うようになる[要出典]。江戸中期ごろまで、地謡がワキ方の所管であったために、当初各地の謡曲詞章はワキ方の役者であることが多かったが、徐々にこれがシテ方に移行し、謡本の発行も各流家元の認可によるものが発行されるようになった[要出典]。
明治以降も謡曲人口の盛衰はあるにしろ、基本的にこうした状況は変わっておらず、今なお謡曲における素人弟子は能役者の重要な収入源となっている。[要出典]
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[編集] 流儀
現在、謡曲の流儀として謡本を発行しているのは以下の六流である(シテ方五流、ワキ方一流)[誰?]。
- シテ方
- ワキ方
[編集] 謡本
謡曲の稽古の際に用いる詞章、節付を記した本を謡本(うたいぼん)という。通常アイの台詞やアイとワキとのやりとりは省略されており、ト書に相当するものもなく、完全な上演台本とはいえないが、能の舞台進行を知る上では非常に役に立つ。
謡本の発行権は江戸期以降各流儀の家元に帰属するのがたてまえになっているが、観世流のような大流では、家元以外の有力な職分家の認可によるものも発行されており、過去訴訟問題が起こったこともある(能楽書林の項参照)。
能楽師の芸の伝習は口伝によるため謡本を必要としないが、能の大成時代(室町時代)にも謡本があり世阿弥の自筆本も現存する。これは秘伝書として扱われたらしく、芸の伝授の許可証と見られている(武道の虎の巻のようなもの)[誰?]。
[編集] 謡のいろいろ
新作能を除くと謡に用いられている言葉は室町期の日本語である。 謡は節回しのある部分(フシ)と節回しのない部分(コトバ)とに分けることができる。節のある部分には拍子合と拍子不合がある。コトバは通常の科白、対話に相当し、候文体で語られ、役を演じる者(シテ、ワキ、ツレ)だけが発声する。ただし注意を要するのは、たとえコトバであっても、現代人の感覚からすればかなり大げさな抑揚がついており、しかもその抑揚が型として固定している点である。能におけるすべての言語表現には、いかにこれを発話・歌唱すべきかという楽譜(謡本)があらかじめ用意されているが、細かい点は師伝により習得される。地謡はかならず節のある謡をうたう。また役を演じる者同士の対話であっても、ある点までコトバのやりとりであったものが、片方の感情の高潮によって途中から節のついた謡へと切替わることが少なくない[いつ?]。
謡とは、八世観世銕之亟によれば「七五調を基本にした長い詩」である。 七五調で書かれた12文字を一行として、八拍子でうたわれる。ただし八拍子から外れたリズムで謡われる部分もある。「拍子合」(ひょうしあい)では、拍子に当たる文字と拍子に当たらない拍子の間の文字が交互にくるために、八拍子には16文字が入るわけであるが、標準的な七五調で2拍3文字で謡うのを平ノリ(ひらのり)、1拍2文字で謡うのを中ノリ(修羅ノリ)、1拍1文字で謡うのを大ノリと呼ぶ。八拍子から外れているリズムの謡は「拍子不合」(ひょうしあわず)と呼ばれる拍子不合の謡では、節回しを大きくたっぷり謡い、節の無いところはすらすら謡う。また拍子不合であっても、謡と囃子は全く無関係ではなく、おおよその寸法や位、雰囲気などにおいて絶妙な関係を保っている。
能の発声法は、もちろん演者により様々な個性があるが、分厚い声を出すことや子音を長く謡おうとするところに特徴がある。「上の声と下の声を同時に出す」といわれ、音階は上の声で表現するが、下の声で声の厚みや迫力、安定感を表現する。 謡は場面によって「弱吟」(よわぎん)と「強吟」(つよぎん)の2種類に分かれている。同じく八世観世銕之亟によると、「弱吟」は細かい音階をもつメロディアスな表現、「強吟」は音の迫力を強調した表現とされる。 「弱吟」と言っても弱く謡うわけでない。室町時代の能は弱吟のみで演奏されていたが、江戸時代になって音階が簡素化され、強吟の謡い方が考え出された。
[編集] 脚注
- ^ 『全訳用例古語辞典 コンパクト版』 学研辞典編集部、学研。ISBN 978-4053001993。
[編集] 書籍
- 『校注古典叢書 謡曲・狂言集 新装版』古川久・小林責 明治書院(2001/03) ISBN 4-625-71309-9
- 『謡曲大観 1』佐成謙太郎 明治書院(1982/04) ISBN 4-625-51079-1
- 『謡曲大観 2』佐成謙太郎 明治書院(1982/05) ISBN 4-625-51080-5
- 『謡曲大観 3』佐成謙太郎 明治書院(1982/06) ISBN 4-625-51081-3
- 『謡曲大観 4』佐成謙太郎 明治書院(1982/07) ISBN 4-625-51082-1
- 『謡曲大観 5』佐成謙太郎 明治書院(1982/08) ISBN 4-625-51083-X
- 『謡曲大観 首巻』佐成謙太郎 明治書院(1982/09) ISBN 4-625-51078-3
- 『謡曲大観 別巻』佐成謙太郎 明治書院(1982/10) ISBN 4-625-51084-8

