警察不祥事

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警察不祥事(けいさつふしょうじ)とは社会の治安維持を職責とする警察官・警察組織がその目的に好ましくない事件・よくない事件を起こすことをいう。

目次

[編集] 概要

警察の不祥事とよばれるものは多様である。単純なものとしては警察官自身が窃盗や殺人などの犯罪を行うものがある。また、警察官という職業には一般人よりも高い道徳性が要求されるため[1]、不倫など非社会的行為を行えば、たとえ、違法でなくても強く非難されやすい[2]

事件の性質にたいする無知・無理解などや、単なる怠慢などにより市民の通報に適切に対処できずみすみす犯罪を見逃すようなことも不祥事とされる(桶川ストーカー殺人事件および同ページ内の警察の捜査怠慢が指摘されている事件栃木県警察#不祥事 ・冤罪参照)。

捜査の誤り・事件の長期化で起きる冤罪事件も不祥事とされる(政治的な理由によるものはここでは除く)。原因について速やかに解決出来ない焦り、これによる世論からのバッシング、担当者の思い込みに基づいて見込み捜査が行われ、誤った犯人の断定が行われると指摘される。捜査担当者にとって都合の良い証拠のみの採用、または捏造や自白の強要なども冤罪の原因となるとの意見もある。

また、一般的に警察官は武装しているが、その武器は好奇心や犯罪の目的のために狙われている。本来、治安を守るための武器が奪われ、犯罪に使われるのは失態であるとされる。昭和49年(1974年)に韓国の大統領に向けられた銃は日本の派出所から盗みだされたものであった(文世光事件)。

警察官が不適切な態度をとることも問題視される。例えば、横柄であったり、過度に強権的であったり、不必要に暴力をふるったりである。捜査途上で世論を誤った方向へ誘導するため、事実と異なる情報をマスメディア等に公式・非公式に流すこともある。

ときの与党が警察権力を政治的な目的に用いることが、しばしば明るみにでることがあるとされる。そうした主張をする人によると、その典型とされているのが「日本共産党幹部宅盗聴事件」だという。また、警察組織も一種の政府機関・官僚機構であることから、他の組織と同じような不祥事も当然起こしえる。例えば、許認可権限や利権をめぐる汚職裏金、不正経理、不都合な事例の隠蔽などである。組織防衛のために、不正に不正を重ねることもありえる(警察官ネコババ事件神奈川県警察不祥事問題をみよ)。警察組織がこうした不正を行うと正しにくく、他の組織よりも問題が大きいとされる。

警察の不祥事は他の役所に増してマスコミや世論の強い反感をかいやすい。日本第22次西成暴動では1人の警察官の不祥事が明らかになったことをきっかけとして、それまでの警察に対する不信感が噴出した。昭和53年(1978年)に日本で起きた制服警官女子大生殺人事件では当時の警視総監が減給処分となり、その直後に引責辞任している。

[編集] 日本の警察不祥事

日本では最も問題となる警察不祥事に警察組織すべてが関わっているとみられている捜査報償費の私的流用等に代表される裏金・不正経理問題がある。なお、過酷な検挙ノルマに原因する検挙報告捏造や裏金作りの問題は1980年代から指摘され続けている。退職警察官による告発本も著され(松本均、幕田敏夫など。第三書館による)、果ては、現職の警察官が告発したところ、問題の表面化を恐れた上層部によって閑職に追いやられ、訴訟を起こす事態になった(愛媛県警察での事件)。

[編集] 対処

不祥事事件の際は各都道府県警察本部の警務部にある監察官室が速やかに事態収拾を図る。当該警察官に懲戒処分の可能性がある場合、監察官と部下にあたる監察席付調査官で構成された班員で事実関係を調査する。この時点で監察事案となり、調査中は機密扱いとなる。

処分については、調査内容を元に内部の幹部で行う懲戒審査委員会と、公安委員が呼ばれる会議が行われ、その上で警察庁に上げ、処分にばらつきが出ないように全国の警察での懲戒処分との調整を行い処罰を決定する。この警察官の懲戒処分については「懲戒処分の指針」である程度決まっている。

しかし、警察官の不正を調査する立場である監察官自らが不祥事を起こす事件も発生している。また、監察自体が警察の内部機構であり、監察官自体も内部の警察官であるために絶対に不祥事を起こさないとはいえない上に、不祥事を起こした当該警察官と知り合いである可能性も少なくはない。監察官も通常の事件捜査と同様3人一組等の班員と共に行動をするが、これも通常の警察業務と同じで、監察官は多くが警視で最も高い階級であり、次いで監察調査官である班員は警部警部補と階級が下であるがゆえに、監察官に最も裁量権が与えられており、監察官自身が不祥事や不正を犯した場合、それを関知することは難しい。

[編集] 発砲事件

警察官の武器使用は警察官職務執行法に規定があり、武器使用自体が不祥事というわけではないが、職務において発砲したことが報道などにおいて問題視されることがある。

ただし、警察官職務執行法に定められた要件を守らずに発砲を行うという不適正な武器の使用については不祥事と扱われることとなる。

[編集] 処分の不透明性と監視体制の問題

現在、確認されている不祥事において、通常なら逮捕される事件でも、逮捕されなかったり、不祥事を起こした警察官の氏名や年齢、所属先や処分内容など通常の刑事事件などで公表されるべき情報が公表されなかったりするケースが多く、「身内に甘いのではないのか」という批判の声も一部にある。

報道関係者の間で警察不祥事などを報道することは「桜タブー」とも呼ばれ、大々的に批判すると、事件取材の際や別の事件の取材などで取材拒否・記者クラブ出入り差し止めを受けることがあると指摘する者もいる。あまりの酷さに記者が記事にしようにも、編集デスクが記事にさせないこともあるといわれている[3]

もっとも、マスコミの警察攻撃が多いと感じるか少ないと感じるかはもっぱら視聴者個人の思想によるところが大きく、一概にはいえない。「タブー」の存在を疑う声もある。平成19年には冤罪事件が連続して2件発覚するという事態が起こったため、報道も比較的行われている。現役の警察官が顔を出さず、音声を変えてテレビ朝日の『スーパーモーニング』や『ザ・スクープ』へと不祥事を匿名で内部告発する事があり、また元警察官がテレビの取材に顔出しで出ることもある。

[編集] 裏金問題

裏金など、金がからむ不祥事については、責任者が自殺することや告発者が逆に抑圧される事があり(愛媛県警察での事例)、真相の究明を困難にしている。2000年前後の不祥事発覚後に国家公安委員会が設置した警察刷新会議も、少なくとも裏金問題への対応は消極的である[4]

2008年には岩手県警千葉県警で、2009年には滋賀県警で不正経理が発覚した。

[編集] 公文書偽造・廃棄など

捜査書類や交通キップなどを偽造・捏造したり、正当な手続きに基づかず廃棄したりする事案が発生している。 [5][6]

[編集] 収賄

捜査に手心を加える、捜査情報を事前に提供するなどの見返りとして金品等の提供を受ける事案が発生している[6]

[編集] わいせつ事件

警察官による強姦、わいせつ行為やセクハラ[7][8][9][10]、買春[11]、未成年者へのわいせつ行為[12][13]、痴漢・盗撮[14][15][16][17][18][19]、のぞき・下着の窃盗[20][21][22][23]、性器露出[24]などのわいせつ事案が続発している[6]。警察内部でのセクハラが訴訟に発展したケースもある(愛媛県警察#最近の主な事件)。2007年8月には警視庁立川警察署員によるストーカー殺人事件が起きた。

[編集] 交通違反・交通事故など

警察官の酒気帯び運転、飲酒運転、無免許運転、ひき逃げ等が絶えない[25][26][27] [6]

[編集] その他違法行為

警察官による万引き、詐欺[28]、恐喝[29]、窃盗[30][31][32]、ゴミの不法投棄[33]、Winnyによる警察内部資料情報漏えい事件[34]、公用車の不正使用[35]などが起きている[6]

[編集] 脚注

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  1. ^ "警察職員の職務倫理及び服務に関する規則". 法令データ提供システム. 総務省 (2000-01-25). 2009-10-29 閲覧。
  2. ^ 井上浩芳 (2009-02-14). "あるキャリア官僚の没落". G trekker. 2009-10-29 閲覧。
  3. ^ 三上英次 (2009-10-28). “[[1]]”. JANJAN (日本インターネット新聞). http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910282306/1.php 2009-10-29 閲覧。 
  4. ^ [Vol.6(証言③ & 裏金の本質)仙波敏郎講演会]. (11). http://www.watchme.tv/v/?mid=7d5606f1526df7e82bea99eb41c87d8d 2009年29 閲覧。. 
  5. ^ [[2]]. 産経新聞. (2009-11-12). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091112/crm0911122004038-n1.htm 2009-11-16 閲覧。 
  6. ^ 野村一也 (2005-09-29). "警察の犯罪・不祥事・疑惑の30年史". PBI - 交通行政監察官室. 2009-11-16 閲覧。
  7. ^ [[3]]. 時事通信社. (2009-07-21). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009072100725 2009-10-29 閲覧。 
  8. ^ “[宮崎]”. 産経新聞. (2009-09-20). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090920/crm0909200045000-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  9. ^ [[4]]. 時事通信社. (2009-09-30). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009093000714 2009-10-29 閲覧。 
  10. ^ 川上珠実 (2009-10-10). “[告訴は取り下げ不起訴に /宮崎]”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20091010ddlk45040571000c.html 2009-10-29 閲覧。 
  11. ^ [[5]]. 時事通信社. (2009-07-17). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009071700416 2009-10-29 閲覧。 
  12. ^ [[6]]. 時事通信社. (2009-10-13). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009101300682 2009-10-29 閲覧。 
  13. ^ “[[7]]”. 産経新聞. (2009-10-20). http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/091020/kng0910201620007-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  14. ^ [[8]]. 時事通信社. (2009-07-06). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009070600588 2009-10-29 閲覧。 
  15. ^ [[9]]. 時事通信社. (2009-06-27). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009062700177 2009-10-29 閲覧。 
  16. ^ [[10]]. 時事通信社. (2009-05-10). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200905/2009051000021 2009-10-29 閲覧。 
  17. ^ [[11]]. 時事通信社. (2009-09-02). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090200796 2009-10-29 閲覧。 
  18. ^ [[12]]. 時事通信社. (2009-10-26). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009102600264 2009-10-29 閲覧。 
  19. ^ [[13]]. 時事通信社. (2009-11-16). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009111600576 2009-11-16 閲覧。 
  20. ^ “[[14]]”. 産経新聞. (2009-08-05). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090805/crm0908052307033-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  21. ^ [[15]]. 時事通信社. (2009-09-07). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090700002 2009-10-29 閲覧。 
  22. ^ 米山淳; 内田幸一 (2009-10-19). “[巡査を逮捕 兵庫県警]”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/kansai/news/20091020k0000m040116000c.html 2009-10-29 閲覧。 
  23. ^ [[16]]. 時事通信社. (2009-10-23). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009102301021 2009-10-29 閲覧。 
  24. ^ “[公然わいせつ容疑、巡査長を逮捕 大阪]”. 産経新聞. (2009-08-22). http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/090822/osk0908221534003-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  25. ^ “[千葉県警公表せず]”. 産経新聞. (2009-10-01). http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/chiba/091001/chb0910011256001-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  26. ^ “[[17]]”. 時事通信社. (2009-11-12). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200911/2009111200677 2009-11-16 閲覧。 
  27. ^ 松倉佑輔 (2009-11-16). “[[18]]”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091116k0000e040020000c.html 2009-11-16 閲覧。 
  28. ^ “[[19]]”. 産経新聞. (2009-03-25). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090325/crm0903250959007-n1.htm 2009-11-11 閲覧。 
  29. ^ 遠藤浩二 (2009-11-13). “[[20]]”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091113k0000e040023000c.html 2009-11-16 閲覧。 
  30. ^ 原田啓之 (2009-10-22). “[/茨城]”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20091022ddlk08040061000c.html 2009-10-29 閲覧。 
  31. ^ [[21]]. 時事通信社. (2009-10-23). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009102301021 2009-10-29 閲覧。 
  32. ^ [[22]]. 時事通信社. (2009-11-10). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009111000361&j1 2009-11-11 閲覧。 
  33. ^ “[異動で処分困り河川敷に]”. 産経新聞. (2009-10-22). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091022/crm0910221238006-n1.htm 2009-10-29 閲覧。 
  34. ^ “[[23]]”. インターネットWatch(インプレス. (2006-03-10). http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/03/10/#keisatsu 2009-11-11 閲覧。 
  35. ^ “[[24]]”. 時事通信社. (2009-11-12). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200911/2009111200924 2009-11-16 閲覧。 

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年12月1日 (火) 02:49 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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