賃金

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賃金(ちんぎん)とは、名称のいかんを問わず、雇用契約における労働の対価として、使用者が労働者に支払うすべてのものをさす。労働基準法(労基法)では「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されている(労基法第11条)。

目次

[編集] 賃金の形態

[編集] 支払いの単位

賃金支払いの単位については次のようなものがある。

  • 時給制
    • 時間単位の賃金で、最低賃金を定める基準になる。
  • 日給制
    • 一日単位の賃金。
  • 日給月給制
    • 一日単位の賃金を一月分まとめて支払うもの。
  • 月給制
    • 月単位の賃金。
  • 年俸
    • 一年間の賃金。

[編集] 支払い方法

  • 日払い
    • 労働日ごとに支払うもので、短期的な労働(日雇い労働など)で用いられる。
    • 早ければ労働日の翌営業日に支払われることもある(金融機関の休業日である祝日には支払われない場合が多い)。
  • 週払い
    • 一週間単位で支払われるもので、日払いと同じく短期的な労働で用いられる。
  • 月払い
    • 毎月一定期毎に支払われるもので、比較的長期的な労働で用いられる。

などがある。

[編集] 締め日と支払日

就業規則では毎月の一定の日を締め日とし、締め日から一定の日数後に支払うよう規定されているが、「締め日」「支払日」および「締め日〜支払日の日数」は会社によって大きく異なる。また「締め日〜支払日の日数」の上限が法令で制限されていないため、実際に働いた分の賃金を受け取ることができるようになるのが1ヶ月〜2ヶ月以上あとになることもままある。

4月1日〜4月30日の1ヶ月分を例にすると、支払日は以下のようになる。

  • 月末締めで、翌月末払いの場合
    • 5月末(5月31日)に支払われる。
  • 月末締めで、翌々月末払いの場合
    • 6月末(6月30日)に支払われることになるが、4月1日〜6月30日までの間は他に収入を得る手段がなく、実質3ヶ月間無収入の状態になるため、その間に生活するための十分な貯蓄を要する。
  • 毎月15日締めで、当月末払いの場合
    • 4月1日〜4月15日までの半月分(約10日分)が4月30日に支払われる。

[編集] 賃金体系

賃金は労働者の労働の対価であるが、労働に対する価値をどのように算出するかは、雇用する会社や労働内容によって大幅に異なる。たとえば、一般的な会社での賃金は以下のような項目を加算していったものである。

  • 基本給
  • 扶養給
  • 資格給
  • 各種諸手当

[編集] 賃金の範囲

以下のものは賃金には含まれない。

  • 恩恵的・任意的給付
退職金、病気見舞金、死亡弔慰金、災害見舞金など。ただし、労働契約就業規則労働協約などであらかじめ支給条件が明確になっているものは賃金とみなされる(昭和22年9月13日労働省労働基準局関係次官通達発基17号)。
  • 福利厚生的給付・企業設備
支給される制服や作業服、作業用品などの現物給付は、福利厚生的給付であり原則として賃金にはあたらない(昭和63年3月14日労働省労働基準局長通達基発150号)。

[編集] 賃金支払五原則

労基法第24条は賃金の支払いについて、「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月一回以上の原則」「一定期日払いの原則」を定める。これらは「賃金支払五原則」と呼ばれる。

[編集] 通貨払いの原則

使用者は労働者に対して原則として通貨で賃金を支払わなければならない(労基法第24条第1項)。

通貨払いの原則には次のような例外がある。

  • 法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合
  • 厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合
    • 労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する労働者の預貯金への振込みによる方法(労基法施行規則第7条の2第1項第1号)
    • 労働者が指定する金融商品取引業者に対する労働者の預り金への払込みによる方法(労基法施行規則第7条の2第1項第2号)
    • 銀行その他の金融機関によって振り出された当該銀行その他の金融機関を支払人とする小切手の交付による方法(労基法施行規則第7条の2第2項第1号)※退職手当に限る
    • 銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手の交付による方法(労基法施行規則第7条の2第2項第2号)※退職手当に限る
    • 郵便為替を交付する方法(労基法施行規則第7条の2第2項第3号)※退職手当に限る

[編集] 直接払いの原則

使用者は労働者に対して原則として直接賃金を支払わなければならない(労基法第24条第1項)。

直接払いの原則には次のような例外がある。

  • 労働者の使者に対して支払う場合
  • 賃金が労働者の指定する金融機関に対する労働者の預貯金・預り金へ振り込み又は払い込まれる場合

[編集] 全額払いの原則

使用者は労働者に対して原則として全額賃金を支払わなければならない(労基法第24条第1項)。

全額払いの原則には次のような例外がある。

  • 法令に別段の定めがある場合
  • 労使協定(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定)がある場合

関連判例:群馬県教職員給与減額支払等請求(最高裁判例 昭和45年10月30日)

給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が規定に違反し許されないとされた。

[編集] 毎月一回以上・一定期日払いの原則

使用者は労働者に対して原則として毎月一回以上・一定期日に賃金を支払わなければならない(労基法第24条第2項)。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与(ボーナス)その他これに準ずるもので臨時の賃金等については、この限りでない。

[編集] 賃金の確保

賃金収入は、労働者の生活の根幹を成すものであり、労働者は賃金が得られなれば生活を営むことができない。そこで、賃金の不払いは犯罪として処罰される(労働基準法24条1項本文、120条1号)。

企業(個人企業含む)が倒産した場合、賃金については、優先的に弁済を受けることができる(民法306条2号、破産時には財団債権となる)。また、未払いとなっている賃金の一部については、独立行政法人労働者健康福祉機構に支払を請求することもできる(詳しくは、未払賃金の立替払事業を参照)。

[編集] 職種別賃金

いわゆる職務給。企業の枠を超えて職種ごとに設定された労働市場で横断的な賃金である。営業や研究などといった職種ごとに、賃金体系が異なる形態。そのため、人事考課で「一律な基準では職種ごとの特性を反映することができない」といった不満を解消したり、競争力の高い職種の賃金を上げたりすることによって優秀な人材を確保することができる。

米国欧州などでは一般的な制度で、日本でも花王富士電機などが導入している。財団法人 社会経済生産性本部の日本的人事制度の変容に関する調査も参照されたい。

[編集] 公務員の賃金

公務員の場合、職種やその身分によって「級」「号」が設定されている。なお、公務員の場合は賃金(給料)については、必ず法律・条例に基づいて支給される。

教育職の場合、1級は臨時職員(常勤)・実習助手、2級は教諭、3級は教頭、4級は校長といったように分類され、各級の中で複数の号が設定されている。同じ「級」でも「号」が高いほど金額が高くなる。級が上がれば昇給となる。

また給与には、職種ごとに手当が加算される。

[編集] 賃金に関する統計

主要な統計には以下のものがある。

  • 厚生労働省『毎月勤労統計』…給与額、労働時間、労働者数等に関する統計、速報的な内容
  • 厚生労働省『賃金構造基本統計調査(賃金センサス)』…職種別産業別、事業所規模別等の賃金、最も大規模で代表的な指標と言われている
  • 厚生労働省『賃金引上げ等の実態に関する調査』…賃上げの水準について
  • 国税庁『民間給与実態調査』…個人への調査が対象
  • 人事院『職種別民間給与実態調査』…人事院勧告の基礎資料

[編集] 名称

賃金には、「賃銀」という別表記がある。昔は賃銀が使われていたが、1950年(昭和30年)以降、賃金との表記が一般化した[1]

[編集] 関連項目


最終更新 2009年11月4日 (水) 20:02 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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