赤えい (妖怪)

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竹原春泉画『絵本百物語』のうち、三巻の六丁 「赤ゑいの魚」。それと知らず赤ゑいの魚の背に舟を漕ぎ着け、上陸する船乗りたち。

赤えい(あかえい)は、江戸時代の奇談集『絵本百物語』にある巨大魚。原典には「赤ゑいの魚(あかえいのうお)」の名で記載されている。

目次

[編集] 概要

安房国(現在の千葉県南端)の野島崎から出航した舟が、大風で遭難して海を漂っていたところ、島が近くに見えてきた。これで助かったと安堵した船乗りたちは舟を寄せ、上陸した。ところが、どこを探しても人がおらず、それどころか見渡せば、岩の上には見慣れない草木が茂り、その梢には藻がかかっている。あちこちの岩の隙間には魚が棲んでいる。2,3里歩いたものの、人も家も一向に見つけることができず、せめて水たまりで渇きを癒そうとしたものの、どの水たまりも海水で飲めはしなかった。結局、助けを求めるのは諦めて船へ戻り、島を離れたところが、今までそこにあった島は海へ沈んでしまったという。実はこれが、海面へ浮上した赤えいであったとのことである[1]

『絵本百物語』の挿絵中の解説文には、以下のようにある。

この魚その身の丈三里に余れり 背に砂たまれば落さんと海上に浮べり 其時船人島なりと思ひ 舟を寄すれば水底に沈めり 然る時は浪荒くして船これがために破らる 大海に多し[1]

現代語訳は以下の通り。この魚は、体長3(約12キロメートル)を上回る。背に砂が溜まれば、砂を払い落とそうと時おり海上に現れる。人がもしこれを島と見誤ってを近づけようものなら、船は水底に沈められ、荒波によって壊されてしまう。舟もろとも渦に呑み込まれてしまう。この怪異は大海に多い。

[編集] 類話

国書刊行会『竹原春泉 絵本百物語 -桃山人夜話-』にて類話とされているものに、説話「赤えいの京」、橘南谿による江戸後期の紀行文『東遊記』巻ノ四「大魚」に記述されている巨大魚「おきな」がある。

「赤えいの京」は以下の通りである。何隻かの漁船が大きな島に上陸したが、あくる日にその半分ほどの船が海へ流されており、漁師たちは残りの船で島を脱出したところ、そこは南海の未知の国であった。実は彼らが上陸したのは島ではなく巨大な赤えいの背であり、知らぬ間に遠くの海へ漂流していたという[2]

『東遊記』の「おきな」は、東蝦夷(北海道)の海に生息し、体長は2里から3里におよび、全身を見渡すことができないほどの大魚とされている。海底から海上へ姿を現す際には、雷鳴のような轟音とともに大波を起こし、クジラがこれに驚いて四方八方に逃げてしまうほどという。この魚が海上に浮かび、背びれや尾びれが海上に突き出ている光景は、まるで大きな島々が連なっているかのようであり、この魚は餌として、クジラがイワシを飲み込むかのように、20から30尋もあるクジラを食べてしまうのだという[3]

なお実在の魚であるアカエイは、総排出腔の形が人間の女性器に似ているため、城主を色香で迷わせて城を傾けるほどの美女や遊女にたとえて「傾城魚」(けいじょうぎょ)の別名があるが、この名称から後に、アカエイの中には背に京(城)を乗せているほど巨大なものがおり、そのアカエイは突然海中に沈んで背の城を傾けるといった話が生まれたとする説もある。また、アカエイと同じトビエイ目のエイであるオニイトマキエイも、大型の個体は全長5メートルから6メートル、全幅10メートル以上におよぶことが知られている[2]

[編集] 脚注

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  1. ^ 多田克己編 『竹原春泉 絵本百物語 -桃山人夜話-』 国書刊行会、1997年、71頁。ISBN 978-4-336-03948-4
  2. ^ 『竹原春泉 絵本百物語 -桃山人夜話-』、148-149頁。
  3. ^ 橘南谿 『東西遊記』1、宗政五十緒校中、平凡社東洋文庫〉、1974年、179-180頁。ISBN 978-4-582-80248-1

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月28日 (月) 15:27 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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