赤木範陸

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赤木 範陸(あかぎ のりみち、1961年 - )は、現代日本洋画家横浜国立大学教育人間科学部准教授

目次

[編集] 概要

その作品は未加工の麻布を背景に持ち、絵具に由来するではない、たとえば布が濡れた時に出るような濡れ色とでもいうような色で描かれた不思議な明暗の画肌が特徴とされる。これは作品に色材を使わずに特殊に処理した蜜鑞で対象(モチーフ)の明暗の調子をプレパレーションを施していない生の麻布に染み込ませることで表現したためである。これまでの既存の絵画の観念からすれば、絵画は支持体の上に絵具が乗ることで成立するが、赤木は絵画層を支持体の内に構築することで紀元前の古い技法を「色を使わない現代絵画」として完成させた。絵画における重要な要素と言える色の省略ないし単純化を試みるという手法は現代ドイツ美術における抽象表現の中枢をなす概念であり、赤木が留学時代に現代ドイツ絵画理論の洗礼を受けている証左でもある。しかしながら赤木が試みたのは自らの作品への現代ドイツ芸術の抽象理論の導入であって、自らの作品自体の抽象化ではないと2001年の大分市美術館の回顧展図録の中で述べている。[1]

赤木の初期の作品は卵黄テンペラ鑞テンペラなどの様々なテンペラ技法や15世紀頃にフランドルで発明された混合技法等で描かれ、画風は年代により近年まで極端に変化していることから、これも赤木作品の特徴であると言える。1990年あたり以降からエンカウスティーク: Enkaustik: エンコスティック: アンコスティック)という世界最古の高等な古代の絵画技法で絵具を使わない濡れ色の絵画作品を発表している。絵具を使用しないで写実的に描いた画家は古代から現代まで存在しない(絵画が絵具を用いたものであるとき、絵具を使わない絵画技法は論理上不可能)。この事からも赤木の色を使わない絵画の試みは、古い技法を使った新しい絵画として興味深い。色を使わないということに付言すれば、赤木の感性は色に対しての豊かな感性を持っている。近年では、この美しい濡れ色の上に目を惑わすような入組んだテンペラのハッチングによる色彩の不可思議な効果が加えられた作品もある。

美術評論家の米倉守[2]、元ザルツブルグ大学教授で美術史家のフリードリッヒ・ピール[3]レンバッハハウス美術館館長で美術史家のヘルムート・フリーデル[4]らによる評論があり、それぞれに非常に高く評価されている。日本国内でのエンカウスティーク技法研究の第一人者であり、画家。横浜国立大学で後進の指導にもあたっている。

[編集] エンカウスティーク 技法について

赤木範陸の使用するエンカウスティークの起源は遥か2000年以上前のローマに遡る。現存している作品はまれであり肖像画に見ることができるが、古代ローマ帝国属州であったエジプトのファイユーム地方からはミイラの棺の蓋の顔にあたる部分に描かれた死者の肖像画が出土している。熱で溶解した蜜蝋を媒材(メディウム)とするこの技法はきわめて保存にすぐれ、紀元前後に描かれた絵が剥落も亀裂もなく現在見ることができる。赤木は、「赤木範陸ー錬金術師の軌跡ー展」図録の中で、自らの画法の来歴をこのファイユームの死者の画法に見ることができると言っている。この最古の高度な絵画技法の詳細は未だはっきりとしていない。今後の研究次第では絵画の新しい技法となる可能がある。

現代では、エンカウスティークは、ジャスパー・ジョーンズをはじめとするニューヨーク現代美術の芸術家などによって使用されている。その手法の多くは着色した鑞を熱で溶かして篭手で塗り重ねるといった原初的なもので赤木の使用する高度な方法とは異なる。

赤木はこのまれに見る保存の良い画材を蘇生させる方法として、蜜蝋や他の融点の高い蝋を乳化し水溶性の蝋として使用し、その後熱による融解、基底材への浸透、固着というプロセスの中で色を使わない明暗法を実現している。

[編集] 学歴

1961年大分県別府市生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同大大学院博士前期課程終了。藝術学修士。大学院在学中にドイツ学術交流会(DAAD)によりドイツ政府給費生としてミュンヘン国立芸術大学(Staatliche Akademie der Bildenden Kuenste, Muenchen)に留学、1995年卒業資格であるディプロム(Diplom)取得、同時にマイスターシューラー(Meisterschüler)の学位(ドイツの芸術系大学で芸術家に付与される最高学位。中世ヨーロッパのギルドの制度に由来している)を授与される。

[編集] 脚注

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  1. ^ 大分市美術館「錬金術師の軌跡」展図録087~089
  2. ^ 大分市美術館赤木範陸展図録01’014〜016
  3. ^ 赤木範陸作品集91’末尾
  4. ^ 大分市美術館赤木範陸展図録01’010〜012、102〜103

[編集] 参考文献

  • 赤木範陸ー錬金術師の軌跡ー展 カタログ(大分市美術館
  • 赤木範陸画集(銀座東邦アート社刊)
  • 赤木範陸講演記録
  • 横浜国立大学紀要No.9,No.10,No.11

[編集] その他

  • 岩波文庫「波紋」ルイーゼ・リンザー著、表紙画と挿入画
  • ドイツ、バートクロチンゲン産ワインのラベル画

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月23日 (金) 11:30 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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