鉄道模型
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鉄道模型(てつどうもけい)は、一定の縮尺・軌間による鉄道車輌・線路の模型をいう。その初期においては、ブリキ製の玩具との境界はあいまいであるが、次第に決められた縮尺・軌間によって製作して、コレクションしたり線路上を走行させて鉄道の情景を楽しむための規格が定められるようになった。イギリス、アメリカ、ドイツ各地域でそれぞれに統一規格と呼べるものが存在する。
鉄道模型を走行させるための運転設備をレイアウト(Layout)と言うが、詳細についてはレイアウト (鉄道模型)の項を参照。
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[編集] 概要
指先でつまめるようなサイズのものから、実物の数分の一で、乗用台車を牽引して跨って乗れる程度のものまでを一般的に鉄道模型と呼び、高価な趣味から一般に普及するにつれて、庶民の住宅事情を反映して、小縮尺の模型がより普及する傾向にある。 遊戯施設などで標準的な鉄道の1/3サイズで製作され、客車の内部に乗車できるもの(英国:ロムニー鉄道、日本:伊豆修善寺虹の郷)や、車輌の実物大試作モックアップなども模型的ではあるが、一般的にはこれらを鉄道模型とは言わない。
規格の遵守と、より精密に忠実に模型化する面での制約から、どのような縮尺で製作するべきかという、ゲージ・スケール論争という議論もひんぱんに繰り返され、宗教の教学論争に近い様相を呈する場合もある。 海外では標準軌の鉄道が一般的であるのに対し、日本の鉄道では狭軌が一般的であるので、同一の縮尺で模型化するとレールの幅と車輪の幅が異なってしまい、海外の鉄道模型と日本の鉄道模型を同じゲージのレールの上で混在させて走らせることができない。同一国内でも、日本の新幹線(と一部私鉄線)や在来線のように異なる軌幅の鉄道が存在する場合には同じ問題が生じる。これは鉄道模型の愛好者にとって非常に大きな問題であった。
これを解決するために、車輪の幅が同一になるように、縮尺を少しずつ変えて模型化することが行なわれている。 しかし、この解決方法は、標準軌の模型列車に対する狭軌の模型列車の大きさの比が、実際の鉄道に比べて大きくなり、リアルさを損なうという欠点がある。
すなわちゲージの違いには目をつぶり、縮尺を調整して車体の見かけ上の大きさをそろえるという方法は、経済的に貧しい状況ではそれなりの説得力があったが、現在のようにスケール通りに各種のナローゲージが成立できるようになると愛好者の全員を満足させられなくなるのは当然である。
この問題については業界を巻き込んでの大論争に発展したが、結局のところ「趣味の違い」でしかなく、諸外国の実例とは異なる次元の論争に過ぎない。日本ではもっぱら車両コレクターが多いので、例えば1/80、16.5mmのコレクターが1/87,12mm車両を集め始めてもさほどの問題を生じない。必要に応じて、模型鉄道クラブあるいはクラブの連合体を単位に規格の統一を図っているのが実情である。
[編集] 歴史
1784年、イギリスの技術者ウィリアム・マードック(William Murdock)が実験的に蒸気動力の蒸気自動車を製作した。玩具の鉄道との大きな違いは技術面から再現することを試みた点である。
[編集] イギリス
イングランドにおいて19世紀初頭から生産されていた。当初はそれらは実物の宣伝用として製作されていた。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)は1829年彼らの孫のためにロケット号を製作した。この模型は失われて見つかっていない。1829年、IMBRECHTSが製作した動く模型がスペイン王室に贈られた。バイエルン・ルートヴィヒ鉄道に納入されたアドラーが、1835年12月7日にニュルンベルグ~フュルト間で初めて走った。ドイツにおける鉄道時代の幕開けであった。アドラー号と亜鉛製の人形と客車が販売された。5年後の1840年、最初のドイツ製の板金による鉄道模型の生産の記録が記されている。 最初の製品と同種の模型は1859年、フランス第二帝政のナポレオン3世の息子のナポレオン・ウジェーヌ・ルイ・ボナパルトに献上された。鉄道は室内では曲がりきれなかったのでセイント・クラウド・エスタブリッシュド公園で走らされた。この模型は失われた。 1862年ロンドンのメイヤーズがカタログに蒸気機関車を掲載している。1869年にはドイツで最初の展示が行われた。ケーニスブルグのCarogattiでは室内で走らせる首振り式エンジンの蒸気機関車が売られた。1882年、最初の電気式鉄道模型が販売された。これは線路が2線式で架線も2線式の電気鉄道だった。 バセット・ロークが1898年、イングランドのノーザンプトンで創業してスケールモデルを供給する。ニュルンベルグのビング等を下請けにする。1920年代にOOゲージを発売する。
[編集] ドイツ
1886年、ぜんまい式の模型が記録にある。1855年頃から最初のぜんまい式玩具の記録もある。1886年ビングが最初の製品を発売した。1887年、Schonnerが蒸気機関車と客車と線路(65mm,約1/22と115mm,約1/12)を発売した。1891年、メルクリンがライプチヒ・メッセに最初の鉄道模型を出品した。(他の玩具は以前から生産していた)メルクリンは最初に0番、1番、2番、3番ゲージを生産した。その名称は今も使用されている。1895年メルクリンは最初の分岐器と信号やトンネル等を販売した。 ドイツ型の最初の機関車模型は1900年にSchonnerが生産した。同年、メルクリンは最初の3線式を販売、1901年には電気と機械による遠隔式分岐器を発売した。1901年に雑誌で最初に鉄道模型の標準化について議論された。1891年のメルクリンの規格を元にすることになった。1922年、OOゲージ後にHOゲージ(16.5mm)が登場した。最初のシリーズはビング社から生産されたがOOまたはHOの名称は使用されず、ビング・テーブルの名称が使用された。1922年の登場時にはぜんまい式だったが1924年には電気式になった。初期のメルクリンのOOは16.5mmではなく26mmを使用した。(1908年メルクリン・リリプット-バーン)ビングとボブ(Bob)は20から28mmを使用した。(1912年ビングバッテリーパワー)そのためレールが0番よりも少なかった。1935年のドイツ統一鉄道100周年ではトリックスと秋にはメルクリンから16.5mmの線路が発売された。 同時期大恐慌によりビングは玩具の生産から撤退した。1937年までビングテーブルトレインは生産された。トリックスとメルクリンがゲージを継承した。
[編集] 小型化
年を経るにつれ徐々に技術革新により小型化が進みつつある。 1949年には12mm 1/120ゲージがRokal社からハノーファーフェアで展示された。後にNゲージが登場したのでこのゲージは西ドイツではRokal社(後のRowa)だけが生産した。東ドイツではPIKOが生産した。1952年、ニュルンベルグのフライシュマンが最初のHOを発売した。以来、フライシュマンはドイツの鉄道模型を牽引している。トリックスは1958年,Rollモデルズと共同で1/180スケールを試験的に生産したが実験段階を抜け出すことはなかった。1960年、ニュルンベルグのアーノルト社が当初軌間8mmの1/160スケールを発表したが後に軌間9mmになった。20年後の1972年、メルクリンから軌間6.5mm 1/220スケールのZゲージが登場した。2008年、日本の栄進堂から軌間3mm、1/450スケールのTゲージが発売された。
[編集] 日本における鉄道模型の歴史
幕末に帝政ロシアのプチャーチンが来航し蒸気で走る模型を披露したとの記録がある。また、ペリーが黒船で浦賀に来航した際に幕府に蒸気機関車の模型を献上したとされる。佐賀藩の精錬方であった田中久重が蒸気車の雛型(模型)を作った。桂小五郎がナポレオン号を持ち帰った記録もある。また、加賀の大野弁吉が蒸気機関車の模型を作った事も記録にある。このように日本では実物よりも先に模型の方が完成した。これにより蒸気機関に関する理解が深まった。その後、鉄道省で教材として作られた。やがて子供の科学誌で本間清人氏が50mmゲージを提唱する。その後科学画報誌で香西健氏が35mmゲージを提唱する。また、海外から2番、1番ゲージ等が輸入され、愛好家層を中心に徐々に普及する。戦争による中断を経て戦後は進駐軍向けの0番(Oゲージ)、HOゲージの輸出が盛んになりやがて外貨獲得の手段として輸出が拡大する。同じ規格の部品を使用して16番が愛好家層を中心として普及する。その後Nゲージや12mmゲージの普及により愛好家層が拡大し現在に至る。
[編集] 規格
[編集] 鉄道模型のゲージ
現在では鉄道線路を構成する2本のレールの頭部の内側の距離を表す。当初はレール中心で表されていたが、一部のライブスチームでは深刻な問題となる(例えば、日本の5インチゲージとアメリカの5インチゲージは軌間が異なる)。
実物を縮尺するとゲージは好きなように決められるはずだが、実際にはある程度の数の軌間に集約される。なるべく既存のゲージを採用すれば、車輪、線路が既製品より流用できるからである。
日本での採用が多いものでは、軌間が広いものから1番ゲージ(45mm)、Oゲージ(32mm)、HOゲージ(16.5mm)、Nゲージ(9mm)、Zゲージ(6.5mm)がある。さらに各ナローゲージが複数ある。他にライブスチームでは1番(45mm)、5インチ(127mm)、3インチ半(89mm)が盛んである。
- 50mmゲージ
- 45mmゲージ
- 35mmゲージ
- 戦前、日本型を再現する為に採用されていた。科学画報誌で香西健が提唱した。戦後、モーターの小型化、0番、16番の普及により衰退する。戦前、山北藤一郎が秀作EF53を作った。現在では幻のゲージ。縮尺は1/30を用い、規格的には1番ゲージの国鉄(JR)軌間に相当する。
- 32mmゲージ
- Oゲージ
- 欧州型は1/45、米国型は1/48、イギリス型は1/43.5、日本型は1/45、蒸気機関車は1/43
- 1938年、湯山一郎は日本型鉄道模型を1/45,32mmゲージ(零番と称された)で作ることを提唱した。しかしそれには例外規定もあった。蒸気機関車のシリンダ間は32ミリを採用すると再現不可能になった。仕方なく蒸気機関車だけは1/43ということになった。単独の模型を見ているときはそれでよいが列車として見るとそれは不可思議な様相を呈した。
- Oゲージ
- 24mmゲージ
- OJゲージ
- 軌間32mmの交流三線式Oゲージが戦後普及し、その後直流二線式16番ゲージの普及により交流三線式Oゲージは衰退した。その後、精密性を求めるOゲージの愛好家の間で列車全体を1/45サイズとして製作し、国鉄の狭軌感を再現するには24ミリゲージを採用しようという動きがもちあがった。当初市販のOゲージ用車輪を利用し、車軸だけを縮めたので太い車輪が目立ち、それを嫌がる人たちも出始めた。1970年頃から、より細い車輪を用いた「ファイン」なOJゲージが始まり、いくつかの曲折を経て現在に至る。
- OJゲージ
- 22mmゲージ
- Sゲージ
- 22.5mm、1/64 米国でアメリカンフライヤーが採用している。戦後、朝日屋が日本型として22.5mm 1/50を提唱した。
- Om フェロースイス等が主にスイスのメーターゲージを模型化している。
- 22.5mm
- Sゲージ
- 19mmゲージ
- 18.82mmゲージ
- 18mmゲージ
- 16.5mmゲージ
- 14.3mmゲージ
- 13mmゲージ
- 1/80国鉄(JR)軌間
- 12mmゲージ
- TTゲージ
- 1/87国鉄(JR)軌間 (HOn3 1/2)
- H0m
- 10.5mmゲージ
- 9mmゲージ
- 7mmゲージ
- HOn2
- 6.5mmゲージ
- 4.8mmゲージ
- 4.5mmゲージ
- 3mmゲージ
[編集] ナローゲージ
- 国鉄(JR)のゲージの扱い
- 標準軌をこれらのゲージに当てはめると、旧国鉄(現JR)や地方交通線のような狭軌鉄道はそれより狭い軌道でなければならない。Oゲージでは1/45で24mmになる。これは日本では標準的軌間であるので、ナローゲージの範疇に入れたくない人が多い。その結果OJゲージとして独立した分野が確立されている。
- 一方1/80で13mm、1/87では12mmというようにそれぞれの縮尺により複数の解釈がなされている。当然これらもナローゲージの中には入れない。
- 日本におけるナローゲージ
- さらに狭い狭軌鉄道として914mm(3ft)ゲージ、762mm(2-1/2ftすなわち30インチ)ゲージ、610mm(2ft)ゲージがあるからそれらを模型化すると1/48でOn3の19mmゲージ、On30の16.5mmゲージ、さらに1/87ではHOn3の10.5mmゲージ、H0e(HOn30,HOn2 1/2)の9mmゲージ、HOn2の7mmゲージ、H0i(H0f)の6.5mmゲージなどがある。他のゲージも可能でありNゲージやZゲージでのナローも出現している。
[編集] ファインとコース
- ファイン
- ファインとは「細かい」という意味のfineである。車輪、線路特にポイントのフログを実物に近づけるあるいは同等にした鉄道模型のことであり、どのゲージについても使う用語である。Oゲージ以上では盛んであるが、HOゲージ以下ではなかなか難しく採用者はかなり少ないが、Proto87などのグループが研究している。対する用語はコース(後述)である。
-
- プロト48
- Oスケールでは、1/4インチスケール、1/48が主流になったが、線路幅が32mmであった。実物の1435mmを1/48にすると29.9mmとなり2mmほど広いというのが我慢できない人たちも存在した。Qゲージといって29.9ミリゲージを採用した人たちもいたが極めて少数にとどまった。それはただ線路幅を狭くしただけでタイヤ厚さを変更しなかったため、蒸気機関車での動輪間隔、ロッドの収まり等の不都合の解消につながらなかったからである。1980年代に入り車輪形状をAARの規格の1/48とし、すなわち実物を正確に1/48とした模型を作ろうという動きが出てきた。提唱者達はProto48、PROTO:48と自らのグループを呼び、一部の業者は29.9ミリゲージの車輌の供給を開始したので社会的認知を得たというべきであろう。しかし、実物より遥かに急な曲線を通すので、ディーゼル機は良いが大型蒸機は困難であり、一大勢力になったとはいえないのが現状である。
- コース
- コースとは粗いという意味のcoarseである。鉄道模型は玩具から発達してきたので、脱線しにくいというのがその不可欠な条件の一つであった。そのためには、実物と比べて高いフランジ、厚いタイヤ、幅の広いフランジウェイを持つ分岐器のフログが必要であった。その後「ファイン」な模型を欲する人たちも出てきたので、そのような模型の一群をファインゲージと呼ぶ。「コース」であればおもちゃ的かということはない。現行のOゲージ、HOゲージ、Nゲージはどちらかというと「コース」であるが、十分にスケール感があり、それをおもちゃ的なティンプレートとは誰も思わない。要するに「ファイン」はやや特殊であり、「コース」は標準であると考えてよい。
[編集] 鉄道模型のスケール
スケールはものさしのことであり、サイズは寸法である。日本ではメートル法が採用されているので分数表示が主流であるが、ヤード・ポンド法が採用されていた国では1フート(304.8ミリ)が何インチになるかという表示法が用いられてきた。 例えば、1フートが1インチになればそれは1/12サイズであり、1/2インチになれば24分の1サイズである。このように3/8、1/4、3/16、1/8とくれば、それぞれ1/32サイズ、1/48サイズ、1/64サイズ、1/96サイズとなる。 ヨーロッパではさらにメートル法と組み合わせて1フートが3.5ミリ、7ミリというスケールも採用され、それぞれ1/43.5、1/87サイズである。ちなみにHOスケールは3.5ミリスケールである。Oゲージでは17/64インチスケールも存在する。これは1/45サイズである。
アメリカではOスケール、HOスケールという名のものさしが市販されている。これを用いると、図面や模型に当てることにより、実物の寸法が直ちにわかる。ただしそれはフィートの単位で、である。
- Oスケール
- 1/4インチスケール
- 実物の1フートを1/4インチに縮小すると1/48となる。主として建築図面に用いられたが、M.クロンカイトにより1930年代後半に鉄道模型の縮尺としての市民権を与えられた。Oスケールまたはクォーター・インチ・スケールとも呼ばれる。
- Sスケール
- HOスケール
- Nスケール
[編集] ティンプレート
アメリカで発生した鉄道模型の一分野。もともとは高級な模型であったが、クリスマスプレゼント用の大量消費時代が到来した1936年頃ライオネルが発展可能なシステムを提示してから一挙にアメリカの標準模型として大衆化された。 文字通りtinplateでブリキ製の鉄道模型を指す言葉であり、ハイレール(hi-rail)という言葉と同義である。背の高い中空レールを用いる玩具的鉄道模型であって、スケールモデルに対する用語である。ハイ・フランジ車輌が走るように作られている。中央三線式の集電方式を採用している。 年少ファンのみならず大人の趣味としても認知され、アメリカでは大規模な交換市が数日にわたって開かれる。春先にペンシルベニア州ヨークで開かれる交換市が最大で、数軒のホテルを貸切り、野外の会場を含めて数万人の人出があるという。
Oゲージの場合、縮尺はおおむね1/64~1/48であり一定しない。小さく作れば大型機でも小半径を走らせることができるので、最近の製品は1/58サイズと謳っているものがある。
Oゲージが多いがアメリカンフライヤーのSゲージ(22mmゲージ)もある。これは当初より二線式を採用していた。
[編集] 鉄道模型の制御方式
[編集] 交流方式
メルクリンやライオネルに代表される方式で、中央三線式を採用しているが、交流方式であることは必ずしも三線式であることを意味するわけではなく、少数ながら交流二線式の鉄道模型も存在する。1930年代には効率のよい整流器や強力な永久磁石が民生用にはなかったので、直巻電動機と電磁石による方向転換装置との組み合わせが採用された。 最近電子工学の進歩に伴い、多重制御方式(後述)を好む人が増えてきたため、交流とは言えども正弦波ではない交流駆動の模型が増えている。
[編集] 直流方式
直流を得るには蓄電池あるいは小型の整流器を必要とした。自動車産業の発達したアメリカでは、セレン整流器が民生用として市販され始めたので、これを流用してDC12Vという規格が成立した。通常は左右のレールのみから集電する直流二線式が用いられるが、少数ながら直流三線式の鉄道模型も存在する。具体的にはトリックス製品では、直流二線式の「トリックス・インターナショナル」に対して、直流三線式の「トリックス・エクスプレス」が存在する。
直流方式の利点は、機械的な逆転装置なくして自由に前進後退を選べることであった。交流方式の直巻電動機の界磁を車載整流器で一定方向磁界とすれば(これをpolarizedという)手元のスイッチひとつで進行方向を切り替えることができた。第二次世界大戦後は永久磁石の界磁となり、これは分巻電動機の一種であって模型機関車の駆動用電動機として最も適するとは言えないが、広く用いられるようになった。機械工学に通じる鉄道模型人は現在でも直巻電動機を好む。その理由は二つあり、
- 機関車などの動力車の起動時には電流の二乗に比例してトルクが発生し、実物の発車状況を再現しやすいこと。また、巡航時には電流値が減少し、登り坂では回転が落ちて電流値が上昇し牽引力が増すこと。
- 永久磁石による界磁を持つモーターでは、磁石が電機子を吸引することにより、車輪を廻した時ギヤを介してモーターが回転しない。すなわち、電源を切った瞬間に動力車は急停止する。すなわち、実物の鉄道車両が惰行する様子を再現できない。(通常のウォームギアを介して伝動する場合はモーターの電力供給が停止した時点で急停止する。)
である。現在のもっとも進んだ駆動方式では電子制御でモーターの回転数を実物を模した加減速曲線で駆動し、Bemf(逆起電力)を測定して回転数を一定に保つ方式をとっている。また、永久磁石に吸着されない無鉄心型モーター(コアレスモーター)を採用し、特殊なウォームギヤとの組み合わせで押して動く(free-rolling mechanism)動力車が実用化されている。
12Vという電圧は上述のように自動車産業から派生したものであったが、線路が長くなると電気抵抗が無視できなくなり、電流値を減らして電圧降下を小さくすることができる高電圧化の論議が1980年代に始まった。24V化という動きもあったが効率のよいモーターの採用とともにその声は聞こえなくなった。Oゲージ、Gゲージの世界ではレイアウトの規模が大きいので、人により16~18Vを採用することもある。
[編集] 多重制御方式
同一の線路上の複数の車両を個別に制御する方式の総称。車両の運転のみならず、警笛、前照灯の点滅などもこの概念に含まれる。古くは交流を混ぜて流し周波数によって識別する方式(ライオネルのアストラック)や交流と直流を同時に流す方式などがあったが、アナログ方式ではせいぜい数台が限度であった。 現在ではデジタルコマンドコントロール(DCC)が世界的な標準になり、欧米ではあらかじめDCCの搭載を想定したコネクタを装備した車両が普及している。DCCでは理論上、同時に1024台に指令を出すことができる(8bit)。[要出典]
[編集] 鉄道模型の駆動方式
鉄道模型発祥の頃は、当然手で押すものであった。時代の進歩とともに、ぜんまい駆動であったり、蒸気による自力走行できるものになったりし、最終的に電気による外部からのコントロールが可能になった。
それは、乗ってコントロールする必要があったり、あるいは動き始めたら放置せねばならない蒸気駆動より、室内で楽しめるより小さな電動模型への進化であった。もちろん蒸気駆動はライヴスティームとして特化した進化をしたが、電動模型はより小さなサイズへと向かった。
[編集] 蒸気によるもの
当初は簡易なボイラーと単動首振りエンジンとの組み合わせの、動き出したら水または燃料がなくなるまで走り続ける物が多かった。そのうちに実物と全く同等なつくりで、人間をのせた車両を牽いて走る模型が主流となった。これは給水、焚火、運転が実物どおりでタービン発電機やインジェクタまで装備するものが現れた。また米国で実用化された関節式機関車を、実物どおりのボールジョイントの給排気管で結ぶ模型も出現している。また、蒸気タービンで発電して電動モーターで走る模型も試作されている。
手軽に運転できる電動式模型の普及により一時期廃れていたが、1970年代半ば頃から一部の熱心な愛好家と彼らに支えられた新たな生産者の参入により以前に比べより敷居が低くなってきている。また、近年、各地で愛好家が集う運転会が開かれ、徐々に愛好家が増えつつある。 海外のメルクリン等のメーカーも新製品を出しつつある。電子工学の進歩により、小型模型をラジオ・コントロールすることが可能になり、一番ゲージでは多くの人たちが楽しむようになった。また、16番ゲージでは近年、英国のホーンビィから電熱蒸気機関車も可能になり、外部から汽笛吹鳴までコントロールできる完成品も発売されている。 現在はライブスチームと呼ばれる、庭園鉄道の一分野として楽しまれている。
[編集] 電気モーターによるもの
電動模型は、家庭への配電と同時に始まった。当時の電池は高価で性能が悪かったからである。交流による家庭への配電が開始される前に一部の地域では直流で配電されていた。
当初採用されていた蒸気あるいはぜんまい式の2線式軌道に集電用の第三軌条を付け加えることにより電動化が実現された。2線式を採用するには車輪を絶縁しなければならないので、それまでに売った車両の改造をしなければならなかったが、実物に習い中央の第三軌条から集電すればそれまでの製品との不整合がなくなる。日本では実物に中央三線式の鉄道が存在しなかったため、このタイプの集電方式は玩具的であると嫌われたが、逆に欧米では本物と同じであるとして受け入れられてきた。
当初は直巻電動機を自作し変圧器または抵抗器で制御していた。抵抗器は食塩水を用いたものもあった。小型の電動機が模型用として発売されるようになると、それを納める動力車の大きさが決まってしまう。すなわち模型のサイズの小型化はモーターのサイズの小型化の歴史であった。 界磁コイルを軸の延長上に移したり、両軸モーターを作り車軸間に納めたり、この時期の工夫はめざましい。 界磁が電磁石の直巻電動機は、交流でも直流でも回転し、実物同様、機関車、電車の駆動には適する特性を持っていた。起動時に電流の2乗に比例して起動トルクが発生し、回転が上がると同時に電流が減少する。速度に応じて徐々に電圧を上げれば実感的な運転ができるわけである。 しかし、逆転には界磁の極性を反転させねばならなかった。ライオネル、メルクリンらは、電流を瞬間的に遮断する事により作動する逆転リレーなどを開発し市販した。しかし分岐機を通過する際、誤動作する事があり、モーターの回転による遠心力を用いた誤動作防止装置が一部の愛好家によって開発された。
1930年代になると、直流駆動への試みが始まる。一部の地域では直流で配電されていたが、大部分の地域では交流による配電だった。米国ではモーターリゼイションにより自動車用の小型の整流器が民生用として発売されたのを受け、界磁電流をセレン整流器で整流して走行電流の極性を反転して逆行させる工夫がなされた。また電圧は自動車の12Vを標準電圧として採用した。また、40年代になると永久磁石を界磁にしたマグネット・モーターが市販されるようになった。これは、小型軽量で消費電力も少なかったが、分巻特性を持ち、与えられた電圧と回転数が正比例するものであった。すると、抵抗による電流制御よりも電子機器による電圧制御によるコントロールが望ましくなる。これはトランジスタ・コントローラの発達を促し、レオスタットを駆逐した。 マグネット・モーターは、停止時に界磁が電機子を吸着して動きにくくするコッギング(英語ではteethingという)が避けられず、機関車は手で押して動かすことは不可能であった。マグネット・モーターの軸を手で廻すとあたかもサイコロを転がすごとく、特定の位置で引っかかりを感じるが、直巻電動機を採用していたライオネル、メルクリンの機関車は、レールに手で押し付けて押せばモーターが回転する。 また、最近ではコッギングが無くスムーズな走行でより大きなトルクが出せるコアレス・モーターやコッギングはあるが、より大きなトルクが出せるブラシレスモーターも普及しつつある。
モーターから車輪までの動力伝達にはウォームギヤが多用される。スパーギヤ、ベベルギヤの使用は少ないが、一部高級機種ではウォームギアの一種であるコースティング・ギヤの使用も認められる。それは前者では一段で大きなギヤ比を実現でき、また、モーター軸と駆動軸が直交するのがモーターの配置上大変便利な位置関係だからである。しかし通常のウォームギヤは逆駆動ができない。つまり、動力車を押してモーターが廻るということがありえないと信じられてきた。したがって、特殊なクラッチを用いて歯車の自動切り離しをする工夫が現れたが、いずれも一過性のもので、製品に反映される性格のものではなかった。一方、コースティング・ギヤを使用した機種ではこの問題が解決されている。
マグネット・モーターの一種のコアレス・モーターは鉄心を持たないムービング・コイル型モーターでそれをスパーギヤで減速すると押して動く動力車ができる。しかし限られた空間に収められるギヤはギヤ比が1:4程度のものであり、あまりにも牽引力が小さく、最高速が大きすぎるものであった。 1984年、コアレス・モーターと逆駆動可能な3条ウォームギヤと、スラスト・ボール・ベアリングを組み合わせた適当なギヤ比を持つ蒸気機関車用駆動装置が開発され、高効率と静粛性を併せ持つ動力車の実現が可能になった。この駆動装置は開発者が特許を取らず開放したため多くのメーカーにより採用され、コースティング・ギヤ(Coasting Gear)として高性能機関車に装備され市販されている。
これらの電動模型は同一線路上ではすべての動力車が同一の動きをするが、それでは不満足な愛好者は多重制御方式へと向かい、それはDCCとして実現された。
[編集] 主な鉄道模型メーカー
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[編集] 関連項目
- レイアウト (鉄道模型)
- 日本の鉄道模型メーカーの一覧
- 日本国外の鉄道模型メーカーの一覧
- デジタルコマンドコントロール (DCC)
- 鉄道模型専門店
- 機芸出版社
- 電関
- プラモデル
- プラレール
- カプセルプラレール
- スーパーレール
- ガラレール
- 鉄道模型ちゃんねる(BSジャパンで放送の鉄道模型専門番組)
- モデル・エンジニアリング
- 趣味
[編集] 外部リンク
- 鉄道模型ちゃんねる公式サイト(BSジャパンで放送の鉄道模型専門番組)
- 鉄道模型のコミュニティ『トレイン・トレイン』(鉄道模型に関する専門コミュニティサイト)
- Modelleisenbahn - Open Directory Project
- Übersicht über Modellbahnnormen
- 全米鉄道模型協会 - 世界最大の鉄道模型団体
- 鉄道模型クラブ, 英国 - 知られている世界最古の鉄道模型団体 - 1910年設立
- The Model Train Wiki - a comprehensive model railroading source specifically for model railroaders, founded
- RMweb - イギリスを拠点とする鉄道模型の記事と議論
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最終更新 2009年10月27日 (火) 13:27 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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