鉄道車両の台車

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鉄道車両の台車てつどうしゃりょうのだいしゃ、railway truck / bogie)は、輪軸を保持し、車体の重量を車軸に伝えるとともに走行・制動機能を備えた機構である。

自動車におけるサスペンションと同様に、車両の安定性をつかさどり、曲線通過速度や最高速度、乗り心地を支配する重要な装置である。

ブリル77E形
広島電鉄千田車庫
2008年6月8日

目次

[編集] 概要

車両の走行のための装置の総称は走り装置(または走行装置)である。そのうちで、台車とは、車体に直結されていない自由度のある走り装置ということができる。蒸気機関車の動輪やワム80000のような2軸貨車の走り装置の場合には、通常台車とは呼ばない[1]。蒸気機関車の動輪は台枠に取り付けられている形になるが、台枠に対し独自に動く先輪、従輪については台車という。

車両を構成する最低限の要素は荷車のように車体と車輪である。ただし鉄道車両の場合、通常車軸に車輪を固定して(輪軸という)一体として回転させる。平面上に自立するため最低4輪が必要で、最初期の蒸気機関車客車貨車も4輪すなわち2軸で始まったが、のちに車体の長大化、重量の増大による軸重(1軸あたりにかかる重量)の分散などのためにより多くの車輪・車軸を要するようになった。しかし3軸、4軸などを車体にそのまま固定するとカーブの通過が困難になる。また2軸であっても、固定された状態でその間隔(固定軸距)が長くなると、理想的には輪軸がレールと直角になるべきところ、その角度のずれが大きくなるので、やはり抵抗が大きくなったり通過が困難になったりする。

また、荷車のように車体と車輪の間になんらサスペンションがない場合、乗り心地や走行性能に問題がある。したがって、車体と車輪の間に、馬車でも行われるように、ばねを介する構造が必要になる。この際、車体と車輪の間に直接バネを置くこともできる(後になっても蒸気機関車の動輪や2軸貨車は一般にこの形)が、車輪を支持する部分を車体と切り離した方がよい場合が多い。

曲線でのボギー台車の働き

こうした要因から、台車が出現することになる。第1の曲線通過の要因に関し、右図のように1車両あたり4軸を、2軸ずつの小さな単位(車体支持専門の小さな車両のようなもの)に分割し、車体に対する回転を行わせるものが現在最も多く用いられている2軸ボギー台車であり、本項目で実際に扱う形式の多くがこれに属する(一部に3軸ボギー台車もある)。また中には1軸で回転を許容したものもあるが、一軸台車ということが多い。また2車体の間に1つの台車を設けたものを連接台車と呼ぶ(後述)。

第2の緩衝作用の要因に関しては、2軸であっても車輪を支持する部分を車体と切り離したものがあり、通常は車体に対する回転機能は持たないが、これを単台車と呼ぶ(後述)。ボギー台車においては、レールに起因する縦の揺動をボギーの2軸間で一旦平準化するので原理的に揺れが少なくなり、またバネ装置を2段階にできる点でも、一般に2軸車に比べてより乗り心地をよくすることができる。従来ばね装置を台車構造の内部に持たせたものが多く、車体と台車の機能の切り離しが行われる形になっていたが、近年は、枕ばね(後述)の部分を車体との間に持たせる形のものが増えている。

[編集] ボギー台車の名称

国鉄では、1929年に実施された台車の形式称号の整理に基づきボギー台車をTRのあとに形式ごとに数字を付けて呼んでいたが、1949年に実施された台車形式命名基準改正により、動力台車についてはDTと数字の形式に改めた。私鉄用の台車に関しては、会社ごとにさまざまな呼称がある。

[編集] 機関車の台車

機関車の場合、とくに旧形のものは旅客車のボギー台車とは様相が大きく異なる。蒸気機関車の場合、既述の通り動輪は台枠に直接取り付けられるが、先輪・従輪で台枠に対して回転可能なものは、先台車従台車と呼ばれる。国鉄では形式にLTを付する。

また日本ではEH10形以降の電気機関車は、頑丈な台枠を持つ車体に連結器が取り付けられ、ボギー台車で駆動する形であるが、以前の旧形電気機関車は、蒸気機関車と同様の台車枠(台枠)に動輪が付けられ、車体に対して回転する構造で、連結器はその台車枠に設けられて、車体は上に載っているだけである。多くの場合蒸気機関車と同様に先台車が設けられるが、これに対して動輪の部分の台車は主台車と呼ばれ、国鉄では形式にHTを付する。また多くの形では前後の台車が中央で連結され牽引力も伝達する形になっていた[2]。先台車は、主台車の先端にさらに回転するように取り付けられ、カーブでガイドする役割を担った[3]

また6動軸をもつF形機関車で、2軸ボギー台車3組を用いるものは、カーブを曲がるときに線路への横圧が大きくならないよう、中間台車が横動しやすい特殊な構造が用いられる。動輪のない中間台車が、軸重調整のために設けられる場合もある。また固定した3軸ボギー台車とすると中央の軸の横圧が大きくなるので、DE10形ディーゼル機関車などでは1軸ごとに可動の特殊な形が用いられている。古いタイプの機関車には、3軸台車も多く用いられ、うち2軸のみ動輪など、さまざまなタイプがあった。

[編集] 台車の役割

台車に設けられる二種類のばね

台車の役割は次のようなものである。

  • 車体の重量を車輪を介してレールに伝えることで車体を保持する。
  • 車体をレールにそって安定して高速に走行させる。
  • 車輪の回転による推進力(動台車の場合)および制動時のブレーキ力を車体に伝える。
  • 曲線で、レールから車輪に伝わった横向きの力(方向を変える力)を車体に伝える。同時に、車輪がカーブに沿うよう台車自身を回転可能とする(ボギー台車)。
  • 走行時に線路から伝わる振動や衝撃をなるべく車体に伝えないように減衰させる。
  • 線路の平面からのずれを補償(吸収)して、4つの車輪がレールから浮かないようにする。
  • 駆動装置、ブレーキ装置が組み込まれる。多くの電気車の場合は動力装置となるモーターも組み込む。

このうちばね機能と回転機能の概要を図示すると右の通りで、ばね機能は一般に二種類のばねで分担される。

[編集] ばね下重量

右図のように模式的に車体-ばね-輪軸が垂直に並んでいるとして、レールにより上下動が生じた状態では、一般にはばねより下の重量が軽いほど、車輪が容易にレールに追随することになり、またばねを介して車体に与える振動衝撃も少なくなる。一般には鉄道車両の台車では通常台車枠と軸箱間にある軸ばねの下に相当し、台車全体と共に、このばね下の軽量化にもさまざまな工夫がされてきた。

[編集] 全体構造

 台車の荷重伝達順序
車体
1 車体支持装置
(上下・左右動、回転を受ける部分
2 台車枠
3 軸箱支持装置
(上下動を受ける部分)
4 軸箱 - 軸受(輪軸回転を受ける)
5 輪軸(車軸 - 車輪)
レール

上のように、役割が多岐にわたる中で、レール上で車体を支持するための構成は、多くの旅客車で使用されている台車ではおおむね右図のようになっている。前後方向は、レールに沿って進行する方向なので固定し、車体と台車の間の牽引力・ブレーキ力を伝達する。(なお前後・左右はそれぞれ列車の進行方向と、それに直交する枕木方向。上下は垂直方向とし、回転はこの垂直軸の回りの回転とする[4])。

自動車のサスペンションと似た部分もあるが、大きく異なるのは、一つは輪軸がレールに沿って進行するため基本的に左右方向の動きが拘束され、車体の揺れやカーブの際に生じる左右の相対移動を台車が大きく負担・吸収しなくてはならないことである。もう一つはカーブやポイントでの回転がレールによって案内されることで引き起こされるため、操舵のために自ら回転させる必要がないことである。

上記の要求を満たすため、通常1では回転機構と、車体・台車枠間の上下・左右動を受けるばねとその振動を減衰させるダンパーの機構、3では軸箱・台車枠間の上下動を受けるばねおよびダンパーの機構を設ける。1を車体支持装置、3を軸箱支持装置とよぶ。この両者の機構には、非常に多くの種類が考案・実用化されてきた。なお車体支持装置には(右図にはないが)一般に前後の牽引力を伝達する装置も組み込まれる。

また、走行する列車を止めるための制動装置(ブレーキ)が必要であり、また機関車や、電車・気動車に用いられる動力台車には、これを駆動する装置が必要である。

[編集] 軸数による分類

イコライザー式三軸台車の例
国鉄TR71形

[編集] 動力の有無による分類

動力台車
動力車において、輪軸を回転させ走行するための動力をレールに伝達する台車。主電動機[5]や、動力を輪軸にまで伝達する駆動装置を装架する。電車においては電動台車とも称する。
付随台車
客車や貨車、電車等の付随車に用いられる、他の動力で走行するだけで自ら動力を伝達しない台車。ただし一般にブレーキは装備する。動力車の台車の一部が付随台車である場合もある。

[編集] 車両への取り付け方による分類

ボギー台車
上述のとおり、電車などで1車体に2つ取り付ける、もっとも一般的な台車。機関車などでは1車体に3つ(6軸)取り付ける場合もある。
単台車
古典的な電車の4輪単車など、1両に2軸のみの車両に用いられる台車。通常は車体に対する回転(首振り)機能は持たない。ただしJ.G.Brill社や丹羽工業所が1910年代に製造したラジアル式台車や、1980年代に富士重工がLE-Carと呼ばれる軽快気動車用として開発・量産した台車のように、リンク機構を用いて2台の1軸単台車同士を結合し、操舵・回転を行うケースが少数ながら存在する。
連接台車
2車体の間に1つの台車を設けたもの。1車体に2つの台車を設けるボギー台車に比較して編成における台車の数が少なくなるが、その得失については当該項目を参照されたい。また日本語では一般に「ボギー台車」とは別扱いであるが、英語では(en:Jacobs bogie)と称してボギーの一種でもあり、台車の構造としてまったく別物ともいいがたい。

[編集] 車体支持装置

[編集] 車体支持方式

上面から見たボルスタレス台車(TR235D)


[編集] 車体支持装置の構成要素

主要な車体支持機構のタイプ別の構成要素
スイングハンガー方式 インダイレクトマウント方式 ダイレクトマウント方式 ボルスタレス方式
車体 車体 車体 車体
心皿・側受(Y) 心皿・側受(Y) 枕バネ(V+H) 枕バネ(Y+V+H)
上揺れ枕 ボルスタ ボルスタ 台車枠
枕ばね(V) 枕ばね(V+H) 心皿・側受(Y)
下揺れ枕 台車枠 台車枠
揺れ枕つり(H)[6]
台車枠

主要な車体支持機構のタイプ別に、車体と台車枠の間で荷重を伝達する構成要素を右の表に概観した。略号はそれぞれ、次の運動を行なうことを示す。

心皿・側受部分(国鉄TR43形
スイングハンガー方式を採用する台車の、板ばねによる枕ばね部。(国鉄TR43形)

さまざまな方式により、以下の各部分はある場合もない場合もある。

中心ピン・心皿
車体底部から下向きに凸になった部分(上心皿)が、上揺れ枕または枕ばりの上に凹になった円形の穴(下心皿)にはめ込まれ、垂直荷重を受け中心ピンの周りの回転を行ない、また牽引力を伝達する。これと次の側受については詳細は枕ばりの機構も参照。
右の写真(心皿・側受部分)で中央に写っている、車体の枕梁から下に突き出すように固定された円筒形部品の底に接触するのが心皿。向こう側に上下非接触状態の側受が見える。この形式のように古い設計の台車では、一般に心皿が全荷重を負担するため、曲線通過時などの車体傾斜時以外には左右の側受は接触しない。
側受
常に荷重支持を行なう場合と、車体傾斜時に支えるのみの場合とある。
揺れ枕
スイングハンガー方式の場合2つあり、上揺れ枕、下揺れ枕と呼ばれ間に枕バネをもつ。下揺れ枕は揺れ枕つりで台車枠に吊り下げられ、左右方向を受ける揺れ装置をなす。詳細は揺れ枕守方式とその欠点を参照。
揺れ枕つり
台車枠の内部の横梁、または側梁の外側から左右に下揺れ枕を吊り下げるリンク。右の写真(TR43形枕ばね部)では台車枠の内側から揺れ枕つりが下げられている。(下記枕ばね節の写真のDT21B形では台車枠の外側から下げられている)。多くの場合下部が開くハの字形にされ、左右動に際して中心に復元する力を与えると共に、揺れ枕中心部すなわち心皿部分の上下動が少なくなるように構成されている。一方機関車の中間台車など、横圧を小さくしなくてはならないものは、リンクを長くしたり、等価的に長くなる機構を採用したりして、復元力を極力小さくしている。
枕ばり(ボルスタ)
上の揺れ枕を1つに置き換えたものと見ることもできる(英語では揺れ枕もBolsterである)。詳細は枕ばりの機構およびインダイレクトマウント方式を参照。
枕ばね
車体と台車枠の間に設けられるばね装置。古くは主に上下動を受けるものであったが、多くの方向の運動を受けるものに発展してきて、材質・機構の変化と共に台車の中でも役割分担の変動の激しい部分である。スイングハンガー方式では揺れ枕装置の中、インダイレクトマウント方式ではボルスタの下と、車体とはなれて台車内部にあるが、ダイレクトマウント方式・ボルスタレス方式ではボルスタや台車枠と車体との間に位置して直接車体を支持する。詳細は枕ばねを参照。
右の写真(枕ばね部)の形式では複列の重ね板ばねを上下向かい合わせに組み合わせた枕ばね本体が、台車枠の内側から揺れ枕つりで吊り下げられた下揺れ枕に乗っている。また、軸箱間を連結するローワーレール(下軸箱守控:写真手前下側に写っている横方向の鋼棒)と呼ばれる補強梁が渡してあり、揺れ枕吊りによる枕木方向のスイングの際にこれと干渉するため、揺れ枕の可動範囲に制約があることがわかる。

[編集] 前後方向の力の伝達

枕バネは上下や左右方向の運動を吸収するが、前後方向については相対的に固定して輪軸と車体の間に生じる前後方向の力、すなわち牽引力やブレーキ力を伝達する必要がある。 スイングハンガー方式、インダイレクトマウント方式においては車体と上揺れ枕または枕ばり(ボルスタ)の間は心皿・中心ピンで伝達されるが、そこから台車枠の間には枕バネが介在する。またダイレクトマウント方式においては車体とボルスタの間に、ボルスタレス台車では車体と台車枠の間に枕バネが介在する。しかし枕バネは一般に横方向の剛性が低く、力の伝達には適しない。そのため以下のように様々な方式が用いられてきた。

揺れ枕守方式
スイングハンガー方式の中でも古い台車では上揺れ枕と台車枠の間に「すり板」を設け、相互に揺動する両者を接触させることで、前後の牽引力の伝達を行う揺れ枕守方式が主流であった。しかし揺れ枕守は、構造が簡単で安価な一方で、台車の揺れにより摩耗し「がたつき」を起こしやすいことが欠点である。詳細はボルスタアンカー#揺れ枕守方式とその欠点を参照されたい。
ボルスタアンカー
上の欠点を克服するものとして登場したのがボルスタアンカーである。ボルスタアンカーは、枕バネの上端・下端を前後方向に拘束し、牽引力やブレーキ力を伝達するもので、その他の動きは拘束しない。スイングハンガー方式では上揺れ枕と台車枠の間に、インダイレクトマウント方式ではボルスタと台車枠の間に設けられる。詳細はボルスタアンカー#ボルスタアンカーのバリエーションを参照されたい。
一方ダイレクトマウント方式においては車体とボルスタの間に設けられる。詳細はボルスタアンカー#牽引力を伝達するボルスタアンカーを参照されたい。
牽引装置
枕ばりを持たないボルスタレス台車には、牽引装置が設けられて回転運動等は拘束せずに前後の力を車体と台車枠の間で伝達する。門形板バネZリンク1本リンク積層ゴム式などの方式が存在する。なおボルスタレス台車においてボルスタアンカーと類似した外観を呈するヨーダンパが設けられていることも多いがその詳細はボルスタアンカー#ヨーダンパとボルスタアンカーを参照されたい。

[編集] ばね・ダンパーの種類

[編集] 枕ばね

スイングハンガー方式台車のコイルばねによる枕ばね部(左)。上下方向の振動を減衰させるオイルダンパーが設けられている。右はウイングばね軸箱守式軸箱支持装置。(国鉄DT21B形

詳細は「枕バネ」を参照

  • 金属ばね
    • 板ばね - 同重量ではコイルばねより負担荷重が小さいが、内部で摩擦損失があって振動を減衰させる働きがあり、古くは枕ばねに好んで用いられた。
    • コイル(蔓巻き)ばね - ダンパーで振動を減衰させる手法が一般化してからよく用いられた。
    • エリゴばね - 金属のコイルばねに筒状にゴムを被覆したもの。
    • トーションバー・スプリング(ねじり棒ばね S.I.G式 日本車両)- 金属棒のねじりに対する弾性を利用したもの。
  • ゴムばね
  • 空気ばね - 鉄道車両の台車史も参照。
    • ベローズ形 - 縦に蛇腹形になったもので、垂直荷重は受けるが、横変形には弱い。
    • ダイアフラム形 - おわんを伏せたような形で、垂直荷重のほか、横変形にも復元力が働くが用途によってその特性は異なる。

[編集] ダンパー

ダンパーの種類には次のようなものがある。

  • 垂直方向
    • ダンパー - 枕ばねや軸ばねの振動を減衰する。(枕ばねのダンパーは上記「枕ばね」節の写真を参照)。
  • 水平方向
    • ヨーダンパ - ボルスタレス台車において軌道と平行方向に置かれ、蛇行動を抑える。
    • トランスバースダンパー - 車体床下のピンと台車を枕木方向で結び、車体の左右動を抑える。

[編集] 姿勢制御装置

[編集] 振り子装置

詳細は「振り子式車両」を参照

  • 自然式
  • 強制式
  • 制御付き自然式

[編集] 台車枠

[編集] 構造概要

車体との間に車体支持装置、軸箱との間に軸箱支持装置を介して、車体重量を均等に各車輪に配分し、各輪軸を平行に保つ。イコライザーのない台車ではイコライザーの作用も分担するが、3軸ボギーでは正しく釣合梁の作用にはならない。台車を進行方向においてみた場合、両側に縦に側梁があり、横に横梁でそれらを結合する。横向きの梁の本数や形態は種類によりさまざまで、端部に設けられる端梁があることもある。車輪は一般に両側の側梁の内側に位置する。

軸箱支持装置の荷重は側梁の真下からかかるのが望ましいが、国鉄TR10形などイコライザー台車では構造上釣り合いばねの中心が側梁の中心とずれることもあり、これを解消するためイコライザーを側梁の内外に設ける等の策もとられる。

[編集] 台車枠の種類

  • 菱枠台車
    3本の平鋼板によって2本の柱と軸箱を接続する構造である。
  • アーチバー
    1920年代の貨車と、一部の客車用。枠の主要部材がアーチ)形のもので、軸箱は固定式。日本では国鉄TR20形など。
  • ベッテンドルフ
    軸箱固定式の貨車用で、アーチバーの強度剛性を向上させたもの。初期の形鋼材を組み立てたものと、量産性を高めた一体鋳造のものがある。ベッテンドルフ社の特許公開により、類型が多数存在する。日本では国鉄TR41形など。
  • アンドリュー(アンドリュース)
    貨車用。枠の形態は鋳鋼製ベッテンドルフに類似するが、軸箱を別体とし、上下の台枠で軸箱を挟む構造。
  • ヴァルカン
    貨車用。アンドリューを簡素化し、軸箱の緊定を1本ボルトにしたもの。
  • インサイドフレーム (内側梁 / 内側枠式)
    側梁(側枠)と軸受けが車輪の内側にある構造。レールに直接働く電磁吸着ブレーキなど、いわゆるトラックブレーキ ( 台車の Truck ではなく、軌道の Track ) の装備と、その保守に都合が良い形状。PCCカーLRT路面電車に採用例が多い。
    これとは別に、ゴムタイヤのみを走行輪に用いた台車では、タイヤ幅やトレッド寸法の問題と、頻繁なタイヤ交換に対応すべく、内側梁(枠)式となっている。

[編集] 台車枠の構成要素

  • 側梁
  • 横梁

[編集] 軸箱支持装置

[編集] 構造概要

軸箱支持装置は、台車枠に対して軸箱を上下にばねを介して可動にする[7]一方、前後・左右には固く支持する。一般に高速安定性を重視するもの(新幹線用など)は前後をより固く、曲線通過性を重視するものは前後をやや柔らかく支持する[8]。また1台車中の前後の車軸をレールに直角になるよう積極的に操舵させる構造の台車もある。

前述のように車体支持装置が車体・台車枠間の変位を受けるのに対し、軸箱支持装置は台車枠と各軸箱(2軸ボギーでは4つ)間の変位を受け、軌道不整、レール継ぎ目、カーブ入り口等で前後輪の高さが違ったり4輪が同一平面から外れたりする場合には、まずその変位を受けることになる。なお枕ばねと軸ばねの分担関係については鉄道車両の台車史も参照。

以前は、上下の案内にスライドレールの役割をする軸箱守(ペデスタル)を設けて軸箱を滑らせ台車枠との間に軸ばねを介する方式や、ばね支持にイコライザーを介して軸箱を支える方式が多く用いられたが、軸箱守が磨耗すると蛇行動が発生しやすくなり、強度の摩擦部分のため保守に手が掛かる問題があった。その後軸箱守を用いず、上下案内とばね支持を上下にたわむ高剛性の板ばねで行うものや、リンクを用いるものなど、様々な形が出てきている。

[編集] 軸箱支持方式

上述の通り、きわめて多岐に亘るため、構造の詳細は、可能な場合代表的な形式を挙げてそれへのリンクをもってかえる。

[編集] 軸箱守式(ペデスタル式)

軸箱守式台車(国鉄TR43形)
軸箱の上に単列式の軸ばね(コイルばね)が見える。軸箱の両側の縦のガイドが軸箱守。その下側を横に塞いでいるのが軸箱守控。

比較的古い様式の軸箱支持方式。後述のイコライザー式でも一般に軸箱の案内には軸箱守を用いるが、軸箱守式(ペデスタル式)と称するときには、イコライザーを用いない方式の中での名称として使うことがしばしばある[9]。その中でもばねの種類や配置により種類が分かれる。

  • 板ばね
  • コイルばね
    • 単式(軸ばね)- 軸箱上部に単列式のコイルばねを軸ばねとして内蔵する。日本の国鉄においては戦前から戦後にかけて大量に使用された。
    • 複式(ウイングばね)- 軸受を収めた軸箱下端部左右に翼状にばね受け座を出して側枠の荷重を受け止める。
    • ゲルリッツ式(ドイツ式 / 住友式)- 本来はドイツで開発された軸箱支持機構と枕ばね機構がセットとなったものを指すが、日本ではその内の軸箱支持機構部分のみを模倣したものをこの名で呼んだ。鉄道車両の台車史も参照。
      • オハ35系客車での試験についてはリンク先も参照。
      • 国鉄DT20形 - 亜種。いわゆる住友式ゲルリッツについてもリンク先を参照。

[編集] イコライザー式

イコライザー式台車の例
(日本車輛 D14)

釣り合い梁式ともいう。以前の台車に多く用いられたもので、一般に軸箱守式(ペデスタル式)の一種である。国鉄TR10形などでは釣り合い梁は、側枠から伝えられた車体荷重を弓形の巨大な梁で左右に置かれた2組の釣り合いばねと呼ばれるコイルばねを介して受け止め、その両端に設けられた軸箱に伝える役割を果たす。 重い釣り合い梁がばね下重量となる点では軌道保守上不利であるが、軌道の不整による各車輪の上下による荷重の不均等に即座に対応できるため、軌道条件の悪い路線では台車枠への負担や追従性の面で有利になる[10]。イコライザーのないタイプでは台車枠がイコライザーの代理をすることになるが、劣悪な軌道では負担もある[11]

[編集] 軸箱守の無いもの

  • 板ばね支持式(ミンデン式)
    • ミンデンドイツ式 - 前後一枚ずつの板ばねで軸箱の位置を定めるもの。ただし水平支持が固すぎると板ばねが上下にたわむこともできないので、台車の中心から遠い側を垂直の板ばねで支持し剛性を下げている。具体例は東武8000系電車#前期形(ミンデンドイツ台車)を参照。
    • Sミンデン式 - 台車中心側に伸びた上下二枚の板ばねで軸箱の位置を定めるもの。S形ミンデンとも呼ぶ。具体例は東武8000系電車#後期形(S形ミンデン台車)を参照。
    • IS式 - ミンデンドイツ式と類似するが、板ばねの支持部分にゴムブッシュを介して水平方向の剛性を下げ、板ばねのたわみを許容する。
    • SUミンデン式 - Sミンデン式にU字形ゴムをいれて剛性を下げたもの[12]
  • リンク式
    • アルストム式 - 軸箱を、ワッツリンクと呼ばれる方式の2本のリンクで支持し、軸箱が上下直線上を移動する。
    • モノリンク式 - 1本リンク式とも言う。側梁と軸箱の近くでそれぞれ可動のリンクで支持する。
  • 軸梁式- モノリンク式とも似ているが、側梁の近くでのみ可動の、軸箱と一体となった軸梁で支持する。
  • 積層ゴム式 - ゴムを、鉄板を挟むなどして積層したものが、圧縮方向には固く、剪断(斜めにずれる)方向には柔らかいという特性を利用したもの。軸箱の案内だけでなく、軸ばねの代替も(程度の差はあるが)ゴムが行なう。下記はそれぞれゴムの取り付け方向が異なる。
    • シェブロン式 - 鉄板とゴム板を交互に重ねたばねを、前後やや上からハの字形に挟み込むことで、上下に柔らかく支持する。この積層ばねは、左右(車軸・枕木)方向の復元力を得る(ずれを防止する)ため「山形」(ゆるい Λ 形)になっていることから、「シェブロン」ばねと呼ばれる。下記FT2形のように上から別のゴムで荷重を支持する場合もある[13]
    • 円錐積層ゴム式 - ウイングばねと類似の位置で軸箱の両側に縦に設置。縦(上下)に柔らかく、横(前後左右)に固い積層ゴムで、案内と垂直バネの両者を兼ねる。
  • 側梁緩衝ゴム式 - 単に緩衝ゴム式とも言う。
    • 住友金属工業FS337系 - 台車枠と軸箱両側の間のゴムで前後左右方向の支持を行なう。新造時のFS337Aは軸箱の上にもゴムを用いて上下方向を支持し、軸箱梁式に近い構造[14]であったが乗り心地が思わしくなく、これは後に軸ばねをコイルばねに交換している。
  • 軸箱梁式 - 軸箱と側梁が一体化されたもの。軸箱は緩衝ゴム(ゴムブッシュ)で支持されているが、梁に着目して軸箱梁式と呼ばれることが多い。
  • 軸箱一体式 - 貨車に多く用いられる。軸箱と台車枠が一体で、特に軸箱支持装置と呼べるものは持たないが、ここに含める。
  • 軸箱直結式 - 貨車に多く用いられる。下記FT1のように台車枠との間に防振ゴムをはさむものも軸箱直結式とされる[15]

[編集] 軸箱支持装置の構成要素

  • イコライザー
  • 軸箱守
  • 軸バネ

[編集] 他の各部分の構造

[編集] 制動系

[編集] 制動系の種類

[編集] 制動系の構成要素

  • 基礎ブレーキ
  • ブレーキシリンダー
  • ブレーキてこ
  • 制輪子

[編集] 駆動系

[編集] 駆動系の種類

[編集] 駆動系の構成要素

[編集] 軸箱・輪軸

[編集] 輪軸操舵機構

[編集] 速度検出器

[編集] 台車の歴史

詳細は「鉄道車両の台車史」を参照

[編集] 台車に関するトピック

未整理なので順不同

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
マルチメディア
鉄道車両の台車に関連するマルチメディアがあります。

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

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  1. ^ 吉川1989。
  2. ^ 従って蒸気機関車の足回りが背中合わせに連結されたものに、車体が載っているような構造とも言える。
  3. ^ 両端に付いているが、双方向に運転されるので、一般に両方とも先台車と言う。
  4. ^ 厳密には他の2軸の回転もあるがこれは上下動に分解して受ける。
  5. ^ 電気機関車(電気式ディーゼル機関車やハイブリッド機関車の一部を含む)および電車(一部のハイブリッド気動車を含む)のみ。ただし、TGVなどのように主電動機を車体に固定するものも存在する。この場合は台車には駆動装置のみが装架される。
  6. ^ 実際には上揺れ枕-台車枠間が一連の揺れ装置(左右動を行なう)をなしているが、これで代表させる。
  7. ^ 貨車用を中心に、構造簡素化のために固定またはそれに近い構造を採用するものも存在する。
  8. ^ 汽車製造のエコノミカル・トラックやバッド社のパイオニア形台車のように、円筒形の軸箱に巻き付けるように防振ゴムを取り付け、上下・前後動を許容する構造のものも存在する。
  9. ^ 例えばRP515 p.27-28。これを避ける場合は釣り合い梁軸箱守式、軸ばね軸箱守式などと称する場合もある。(『鉄道車両ハンドブック』グランプリ出版、p.201-202)
  10. ^ ことに長大編成の列車を沿線に人家すら稀な地域で運行し、脱線時の対応を基本的に全て列車乗務員だけで行う必要があるアメリカの鉄道では、台車の軌道への追従性を少しでも上げて脱線の可能性を減らすことは、他国での事例と比較して非常に切実な課題である。
  11. ^ RP515 p.44。
  12. ^ RP515 p.31
  13. ^ 「複合ゴム支持方式」という。(外部リンク「台車近影」該当ページ)
  14. ^ RP515 p.29
  15. ^ RP515 p.33

[編集] 参考文献

  • 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』1989年8月号 No.515 特集 台車(同誌は必要に応じ、注において略号RPと通巻、頁で指示する。)
  • ヴォルフガング・シヴェルブシュ 著 加藤二郎 訳 『鉄道旅行の歴史 ―十九世紀における空間と時間の工業化』、法政大学出版局、1982年
  • 日本機械学会編 『鉄道車両のダイナミクス 最新の台車テクノロジー』、電気車研究会、1994年

最終更新 2009年11月8日 (日) 04:47 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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