阪急8000系電車

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阪急8000系電車
初期形車両前面未改造車(8000F)(2005年10月13日、西宮北口駅)
初期形車両前面未改造車(8000F)
(2005年10月13日、西宮北口駅)
編成 2両・8両(かつては6両もあり)
起動加速度 2.6km/h/s
営業最高速度 宝塚線:100km/h
神戸線:115km/h
設計最高速度 130km/h
減速度 3.7km/h/s(常用最大)
4.2km/h/s(非常)
車両定員

座席48・立席84(先頭車)
座席54・立席88(中間車)

座席44・立席82(セミクロスシート車)
全長 19000mm
全幅 2750mm
全高 4095mm
編成質量 240.1t(4M4T)
67t(1M1T)
軌間 1435mm
電気方式 直流1500V
架空電車線方式
モーター出力

170kW

200kW(8040形)
主電動機

かご形三相誘導電動機
SEA317

SEA350(8040形)
編成出力

170kW×16=2720kW(8両編成)
170kW×4=680kW(2両編成)

200kW×3=600kW(8040形2両編成)
歯車比 1:5.31
1:6.13(8040形)
制御装置

VVVFインバータ制御
GTOサイリスタ素子
INV032-A0(1C4M)

SVF018-A0(1C1M×3・8040形)
駆動装置 WN平行カルダン歯車形たわみ軸継手方式
台車 S型ミンデンドイツ式ダイレクトマウント空気ばね台車
M車:FS-369A・T車:FS-069A
モノリンク式ボルスタレス台車(8040形)
Mc車:SS-139A・Tc車:SS-039A
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(HRDA-1)
直通予備空気ブレーキ
保安装置 AF軌道回路方式ATS
パターン式ATS(神戸線所属車)
デッドマン装置
製造メーカー アルナ工機
備考 全長・全幅・全高及び編成重量の数値は1次車のもの

阪急8000系電車(はんきゅう8000けいでんしゃ)は、阪急電鉄1988年昭和63年)から製造した、神戸線宝塚線(総称神宝線)向けの通勤形電車である。

本項では、解説の便宜上、梅田方先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述(例:8000以下8両編成=8000F、8035以下2両編成=8035F)する。

目次

[編集] 概要

本系列は、阪急電鉄の創立80周年を記念して製造された。本系列落成後、2000年代前半まではそれまでの阪急の看板車両であった6300系に入れかわる形で同社の広報誌などに掲載されていた。

本系列では前面デザインが大幅に変更され、それまでの丸みを帯びたものから、縁が一段飛び出した「額縁スタイル」と呼ばれるものとなり、窓は行先表示器を内部に納めた大型のものが、灯具は角型のものが採用され、全体的に角張った印象となった。この前面形状は、増備途中にさらなる変更が加えられている。また、8002F~8007Fは西側にセミクロスシート車が2両ある他、一部車両はパンタグラフやクーラーキセ・ワイパーの交換及び前面形状の改造などにより、本系列には様々なバリエーションが存在する。

車体は前作の7000系をベースとしたアルミ製で、上下に50mmずつ拡大され、一回り大きくなった側窓はそれまでの手動から、ドアに隣接するものは圧縮空気によるボタン式、その他は固定となっている。また、車体上の雨樋エンド部と妻板との距離がわずかに広い、乗務員扉の窓も客室窓と同じくサッシュ式、乗務員扉横の手すりが無塗装ステンレスであるなど7000系とは微妙に仕様が異なる。

外部塗装は、それまで6300系のみに採用されていた「屋根肩部分のアイボリー色塗り分け」が採用され、初期の車両の前面窓下には金属製飾り板が取り付けていた。屋根肩の塗り分けは後に7000系以前の系列にも波及したが、前面飾り板は採用されず、後に本系列のものも撤去された(初期の車両にのみ付けられていたため、新造時から取り付けられていなかった編成も多い。)。

主回路制御は2200系で実用試験が続けられていたGTOサイリスタ素子による東芝VVVFインバータ制御が本格採用された。将来の速度向上にも対応できるように電動機出力は7000系の150kWから170kW×4基/両に向上され、2000系以来装備されていなかった定速制御装置を装備している(但し阪急部内ではこの装置を「惰行制御装置」と呼んでいる。)。

阪急伝統のスタイルであった先頭車前面の車番の位置が前面貫通扉下部(貫通扉の窓下)から左側運転席の窓下に変更されたのも本系列からで、後期増備車両においてデザイン変更が行われた際に採用された。この車番位置は京都線で運用されている8300系の他、8200系9000系9300系並びに5000系7300系、7000系7007Fの更新工事に伴う前面改造にも採用されている。

[編集] 形式

  • 8000形
梅田方の先頭に連結される制御電動車。パンタグラフVVVFインバータを搭載している。下記編成表ではMc1と表記。
  • 8100形(クロスシート車両は8102形)
新開地宝塚方の先頭に連結される制御電動車。VVVFインバータを搭載している。クロスシート車両では8102形と称す。下記編成表ではMc2と表記。
  • 8500形(クロスシート車両は8502形)
8100形の隣に連結される電動車。8000形から運転台を取り除いた構造をしている。クロスシート車両では8502形と称す。下記編成表ではM1と表記。
  • 8600形
8000形の隣に連結される電動車。8100形から運転台を取り除いた構造をしている。下記編成表ではM2と表記。
  • 8550形
圧縮機静止型インバータ(SIV)を搭載する付随車。下記編成表ではT1と表記。
  • 8750形
付随車。特別な機器は搭載していない。下記編成表ではT2と表記。
  • 8150形
増結編成の新開地、宝塚方の先頭に連結される制御車。8550形に運転台を取り付けた構造をしている。下記編成表ではTcと表記。
  • 8040形
1997年に追加製造された8200系と同一の機器を搭載した制御電動車。梅田方の先頭に連結される。パンタグラフとVVVFインバータを搭載している。下記編成表ではMc1と表記。
  • 8190形
8040形と編成を組む、専用の制御車。宝塚方の先頭に連結される。圧縮機、SIVを搭載している。下記編成表ではTcと表記。

[編集] 製造途中の変化

1本目の8000Fは宝塚線、2本目の8001Fは最初6両編成で神戸線に投入され今津北線運用に充当された。その後、梅田方から2両目と5両目に8601・8781を組み込み8両化。編成調整のため一時宝塚線で運用された時期もあった。

3本目の8002Fから8本目の8007Fまで(1989年〜1992年)は編成の西(新開地・宝塚)側2両の座席がセミクロスシート構造で製造された。扉間が2人掛け×4脚×2列で、中央2列が転換式クロスシートとなり、8002F・8003F・8006Fが神戸線、それ以外の編成が宝塚線に投入された。なお、クロスシート部分はいすの数に対し窓が3つのままであるため、窓割りと合っていない。

1991年建造の8006Fからは前面の飾り帯が廃止された(既存の編成も後に撤去)。

後に宝塚線の8両編成をクロスシート車で統一する目的で8006Fと8000Fとが交換され、8000Fは神戸線用、8006Fは宝塚線用とされた。8000Fはアンテナ1本、8006Fは宝塚線の他の編成と同じくアンテナ2本(片方は能勢電鉄日生線乗り入れ用)である。

1992年には再び全車ロングシート仕様にて8008Fと8020Fが神戸線向けに製造された。

8020Fは、他が8両編成で投入されたのに対し、6両編成で投入されたことから、阪急の流儀で各車の車両番号下2桁09〜19を飛ばして8020〜と付番されている。当初は編成長が6両に制限される山陽電気鉄道本線須磨浦公園駅までの乗り入れや今津北線の普通運用にも充当されたこともあったが、阪神・淡路大震災後の1996年梅田方から2両目と6両目に新造された8620及び8790を組み込んで8両編成となり、神戸線専用となった(2009年現在でも今津線には朝ラッシュ時の準急とその送り込みの回送で運用されている)。このうち8790は室内の風洞形状が他の本系列と異なり、同時期に製造されていた8200系に近いものとなっている。また、この2両は伊丹駅で被災廃車となった3100系3109と2071系2087の代替製造という名目で製造された。

1992年〜1993年にかけて、宝塚線の朝ラッシュ時の10両編成増発のために増結用の2両編成が6本製造された。電動車率の調整と連結されなくなった8550形が搭載していた機器の搭載のため、新開地宝塚方の先頭車はモーターを積んでいない新形式「8150形」が起こされた。また、8000形の車両番号はやはり阪急の流儀で下2桁21〜29を飛ばして8030〜となっている。台車は当時廃車が進んでいた5200系の廃車発生品が流用されている(3300系〜5000系の台車、FS369に類似。ただし8155のみ台車は新造)。

1993年度製造の8033F以降は前面デザインが「額縁」に代わって中央部が「くの字」に膨らんだ形状に変更され、車番の位置が前面貫通扉下部から左側運転席の窓下に変更された。また、この車両から前面の表示幕が大型化されている。

1997年には、さらに増結用編成が宝塚線用に2両編成3本製造された。電動機は200kW×3基/両、台車はボルスタレス式、集電装置はシングルアームパンタグラフと8200系と同仕様の機器を搭載していることから、車両番号はさらに下2桁36〜39が飛んで8040〜となった。このグループは機器が大きく異なることから、狭義には「8040形」と別形式に区分されている。また、前面は8033Fを基調に、窓ガラスが下方に拡大され車番がガラス内に取り込まれた電照式となった。また、扉上部にLED式の車内案内表示装置が追加された。

[編集] 改造及び機器交換

8001Fの梅田側と8002Fの新開地側制御電動車は、空気抵抗に対する実験的要素で前面下部のライト周りを一段高くした形状となっている(落成当初は通常形態で、これは後年の改造によるものである)。

8008Fは阪神・淡路大震災の後に集電装置が交換され、前面が額縁タイプの8両編成で唯一シングルアームパンタグラフ搭載するという特徴的な編成となった。

2007年9月、神戸線用の8001Fが全般検査出場した際に冷房装置キセ(カバー)が7000系リニューアル車と同じタイプのものに更新された。

2008年3月には、神戸線用の8031Fの梅田寄り先頭車8031の前面が改造され、車番の位置が前面貫通扉下部から左側運転席の窓下に変更された(新開地側の8151は変化なし)。また、同年10月には神戸線用の8003F、2009年には8020Fの先頭車両の前面が8031Fと類似する形態への改造工事を行った。

2009年3月には、神戸線用の8008Fが全般検査出場した際にクーラーキセとパンタグラフが交換されている。パンタグラフはシングルアーム式のままであるが、5000系および5100系5128F、9000系、9300系と同様に集電舟2本タイプに変更されている。

2009年1月現在、8000F・8001F・8002F・8003F・8008F・8031Fのワイパーは銀色のものから黒色のものに交換されている。

[編集] 在籍数

2007年4月現在、98両が在籍している。

神戸線用としては、8000F〜8003F・8008F・8020Fの8両編成6本48両と8031F~8033F・8035Fの2両編成4本8両の計56両が西宮車庫に在籍している。但し、8031Fは平常は新開地寄りに7017Fの6両を、8035Fは同じく新開地寄りに7023Fの6両を連結し、8032Fと8033Fは平常は7024Fの4両を挟んだ状態でそれぞれ8両編成として運行している。

宝塚線用としては、8004F〜8007Fの8両編成4本32両と8030F・8034F・8040F〜8042Fの2両編成5本10両の計42両が平井車庫に在籍している。但し、8030Fは平常は宝塚寄りに7014Fの6両を連結して8両編成として運行している。

[編集] 運用

8両編成は神戸線・宝塚線宝塚線共にすべての種別に充当されている。

2両編成は主に朝ラッシュ時に8両編成と連結しての10両編成組成に使用されるが、神戸線所属の全編成と宝塚線の8030Fは、平常は7000系の4両編成または6両編成と連結し、本来の用途とは異なる8両固定編成として運用されている。

8031F~8033Fは宝塚線配置であったが、神戸線の8連を増やす際に宝塚線から転属している。

梅田   新開地宝塚 所属 備考
Mc1 8000 M2 8600 T1 8550 T2 8750 T2 8750 T1 8550 M1 8500 Mc2 8100   オールロングシート編成
8000 8600 8550 8750 8780 8650 8500 8100 神戸線  
8001 8601 8551 8751 8781 8651 8501 8101 神戸線 梅田側前面改造車
クーラーキセ更新車
8008 8608 8558 8758 8788 8658 8508 8108 神戸線 シングルアームパンタ車
クーラーキセ更新車
Mc1 8000 M2 8600 T1 8550 T2 8750 T2 8750 T1 8550 M1 8502 Mc2 8102   セミクロスシート編成
宝塚線所属車は2アンテナ車
(後者はラッシュ時間帯の
特急日生エクスプレス
に使用される)
8002 8602 8552 8752 8782 8652 8502 8102 神戸線 新開地側前面改造車
8003 8603 8553 8753 8783 8653 8503 8103 神戸線 前面改造車
8004 8604 8554 8754 8784 8654 8504 8104 宝塚線  
8005 8605 8555 8755 8785 8655 8505 8105 宝塚線  
8006 8606 8556 8756 8786 8656 8506 8106 宝塚線  
8007 8607 8557 8757 8787 8657 8507 8107 宝塚線  
Mc1 8000 M2 8600 T1 8550 T2 8750 T1 8550 T2 8750 M1 8500 Mc2 8100   オールロングシート編成
8020 8620 8570 8770 8670 8790 8520 8120 神戸線 前面改造車
Mc1 8000 Tc8150 Mc7000 M'7500 T7550 T7550 M7600 M'c7100  
8030 8150 7014 7514 7664 7674 7614 7114 宝塚線 クーラーキセ更新車
8031 8151 7017 7517 7667 7677 7617 7117 神戸線 前面改造車(8151は変化なし)
8035 8155 7023 7523 7763 7773 7623 7123 神戸線 中期型
Mc1 8000 Tc8150 Mc7000 T7550 T7550 M'c7100 Mc1 8000 Tc8150  
8032 8152 7024 7654 7684 7124 8033 8153 神戸線 8033Fは中期型
Mc1 8000 Tc8150    
8034 8154   宝塚線 中期型
方向幕更新車
Mc1 8040 Tc8190     後期型
ボルスタレス台車
シングルアーム式パンタグラフ搭載車
LED式車内案内表示器装備
見えるラジオ搭載車
8040 8190   宝塚線  
8041 8191   宝塚線  
8042 8192   宝塚線  

[編集] その他

エコトレイン 未来のゆめ・まち号・神戸線所属の8000F
  • 8000Fの編成が落成したのは1988年であったが、実際に営業運転を開始したのは翌1989年1月1日からだった。これは本系列がVVVFインバータ制御車であり、制御装置から漏洩する高周波ノイズが電気回路に与える影響を試運転時に様々な条件下で確認する必要があったためである。また、同編成は営業運転開始時から半月間デビュー記念のヘッドマークが取り付けられる予定であったが、同月7日昭和天皇崩御したため、当該ヘッドマークは同日の午前の運用をもって取り外された。
  • 8001Fは登場当時、車内に貼付された製造年を示すプレートに「昭和64年」と記載されていた。
  • 1995年1月17日阪神・淡路大震災神戸線が被災し、西宮北口三宮間が不通となった後、西宮北口以西の部分復旧した区間ではモーターのメンテナンスが容易な本系列が集中投入された。
  • 2008年12月1日から2009年7月31日まで、8000Fと8007Fが「エコトレイン 未来のゆめ・まち号」として運行されていた。両編成には先頭車の側面半分まで環境をテーマにしたラッピングが施され、車内も環境をテーマにした広告が掲載されていた。[1]

[編集] 参考文献・出典

  • 「HANKYU 8000」 阪急電鉄車両部 1989年、1990年(クロスシート車導入による改訂)配布

[編集] 脚注

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  1. ^ 阪急「エコトレイン未来ゆめ・まち号」運行開始 | 鉄道ニュース | 鉄道ファン・railf.jp

最終更新 2009年11月10日 (火) 06:00 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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