降着制度
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降着制度(こうちゃくせいど)とは、競馬の競走に出走した競走馬が、競走中に他の出走馬の進路を妨害したり、何らかの不利を与えた場合に、加害馬の着順を被害馬の次に繰り下げる制度のことを言う。
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[編集] 概要
降着制度は1953年に西ドイツで初めて導入され、1950年代のうちにイギリス、アメリカ、フランスなどの欧米諸国が相次いで導入した。日本での導入は、中央競馬においては1991年1月5日から、地方競馬においては1991年4月1日からである。それまでは進路妨害などの不正行為があった場合は、競走中止につながらなくとも加害馬は一律に失格となったため、特に馬券を購入したファンにとっては、その馬券がふいになるケースも多かった。それを改善しようという目的で実施された制度である。この制度では加害馬が被害馬の次の着順に繰り下がったとしても馬券対象の着順になる可能性が生じる。
日本が最初に導入した制度ではなく、海外において、「加害馬はその被害馬に対して責任を負うのがより合理的で、進路妨害の処置は加害馬・被害馬の関係のみで考えるべき」また「どの馬もその競走で示した能力を可能な限り尊重すべき」としてこれを導入している。
騎手の落馬など、加害馬が被害馬の競走中止の原因を作った場合には、加害馬は降着ではなく失格となる。
[編集] 審議の流れ
競走中に進路妨害などの不正行為の疑いがある場合には審議 (競馬)を行う。詳細は審議の項目を参照のこと。
[編集] 降着になるケースとならないケース
加害馬が進路妨害などを犯したと判断された場合、その加害馬の着順は被害馬の着順の下に繰り下げられる。
- 例-1:加害馬がゴールに3位、被害馬が7位でそれぞれ入線した後、進路妨害などがあったと判断された場合は、加害馬は7着に降着となり、4-7位で入線した馬はそれぞれ3-6着に1つずつ順位を繰り上げて確定となる。
- 例-2:加害馬がゴールに5位、被害馬が2位でそれぞれ入線した後、進路妨害などがあったと判断された場合は、被害馬先着のため着順の変更は行われず、被害馬2着、加害馬5着のまま確定となる。
- 例-3:加害馬が、被害馬を騎手の落馬やその他競走中の事故・疾病等による競走中止に追い込んだ場合は、加害馬は入線順位に関係なく失格となる(ただし加害馬が競走中止した場合は到達順位どおり確定する)。
- 例-4:同一レース内で、第1コーナーで馬Aが馬Bの進路を妨害し、第4コーナーで今度は逆に馬Bが馬Aの進路を妨害するなど、加害・被害の関係が循環する場合は、関係する全馬は到達順位のとおりに確定となる。
- 例-5:加害馬の順位に関係なく、被害馬が加害馬の進路妨害などに関係なく騎手の落馬やその他競走中の事故・疾病等による競走中止になった場合は、加害馬は最下位に降着となる(ただし加害馬が競走中止した場合は到達順位どおり確定する)。
[編集] 騎手への制裁
降着や失格となった馬の騎手は、過失の程度に応じて騎乗停止日数を科される。降着や失格がなくても、過失が軽微な事案に対しては騎乗停止は科されず過怠金や戒告となる。危険・悪質な騎乗やスポーツマンシップに欠ける騎乗を行った騎手に対しては過怠金ではなく騎乗停止(中央競馬の場合、競馬開催期間2日間)を科される場合もある。
過失の程度に応じた制裁制度は中央競馬において2005年1月1日より実施されており、2009年1月に制裁基準の一部改定が行われた。以下に挙げるのは2008年までの制裁基準である。
- 騎乗停止競馬開催期間6日間もしくはそれ以上(故意的、危険、悪質など、重大な過失によるもの)
- 騎乗停止競馬開催期間4日間(不注意によるもの)
- 騎乗停止競馬開催期間2日間(偶発的なもの、馬に非があると判断されたもの)
- 過怠金(1万円〜10万円)
- 戒告
[編集] 走行妨害申立て
中央競馬では加害馬の関係者(馬主・調教師・騎手)は失格・降着の裁決について、被害馬の関係者は審議の棄却の裁決について、それぞれ、必要書類と保証金10万円を添えて裁定委員会に対して不服申立てをすることができる。過去に何度か不服申立ては行われているが、すべて棄却されている(1991年までは「異議申立て」という制度だった)。海外では被害馬の関係者による申立てが受理される場合も少なくない。
[編集] 降着の事例
以下は全て中央競馬。
[編集] 代表的な降着 (JRAGI競走での1着降着)
- 1991年の天皇賞(秋)において1位に入線したメジロマックイーンが発走直後左に進路を取った。しかし、その進路の取り方が他馬を妨害したとして18着(最下位)に降着となった(1着となったのは3番人気のプレクラスニー)。この年は降着制度が適用された初年度でもあり、降着について理解していなかったファンも多かったため、勝馬投票券の払い戻しなどを巡り大混乱を招いた。1位入線馬しかも圧倒的人気を背負っていた馬の降着は各地で波紋を呼び、後に東京競馬場芝2000mのスタート地点が改修されるきっかけになった。
- 2006年のエリザベス女王杯で1位に入線したカワカミプリンセスが最後の直線で右に斜行し、ヤマニンシュクルの進路を妨害したとして12着に降着となった(1着となったのは7番人気のフサイチパンドラ)。
[編集] 初の降着
- 1991年1月5日(導入当日)、1回中山1日第8競走において13位に入線したミヤギノフジが15着に降着となったのが最初。
[編集] 初の1位入線降着
[編集] 初の1競走2頭の降着
[編集] 引退レースで1位入線も降着
- 1993年2月27日の中山競馬の条件戦でこのレースを最後に引退した徳吉一巳(競馬学校教官を経て現在は評論家、徳吉孝士元騎手の父)騎乗の馬が1位で入線したが、審議の結果降着となり、騎手生活の最後を後味の悪い形で迎えてしまった。なお徳吉は同年2月一杯で騎手免許を返上することが決まっていたので騎乗停止は翌日28日の1日のみの適用と発表された。
[編集] 重賞競走における主な1位入線降着・1位入線失格
降着制度導入以前はこの項目には直接関係無いが列挙した。
- 1939年 優駿牝馬 ヒサヨシ 1位入線失格 薬物検査で陽性
- 1939年 目黒記念(秋) スゲヌマ 1位入線失格 薬物検査で陽性
- 1955年 中山4歳ステークス(現ラジオNIKKEI賞) イチモンジ 1位入線失格 決勝線手前で内斜行
- 1958年 中山4歳ステークス(現ラジオNIKKEI賞) ヒシマサル 1位入線失格 向正面で内斜行
- 1985年 朝日チャレンジカップ ニシノライデン 1位入線失格 最後の直線で外斜行
- 1991年 第104回天皇賞 メジロマックイーン 1位入線18着降着
- 1993年 阪神障害ステークス(秋) ヤマノジパング 1位入線3着降着 2周目4コーナーで内斜行
- 1996年 函館記念 マイヨジョンヌ 1位入線4着降着 最後の直線で内斜行
- 1996年 ユニコーンステークス バトルライン 1位入線10着降着 4コーナーで内斜行
- 1999年 アーリントンカップ バイオマスター 1位入線2着降着 最後の直線で内斜行
- 2001年 京都大賞典 ステイゴールド 1位入線失格 最後の直線で外斜行し被害馬が落馬・競走中止
- 2002年 カブトヤマ記念 カンファーベスト 1位入線10着降着 最後の直線で内斜行
- 2003年 東海ステークス ディーエスサンダー 1位入線3着降着 最後の直線で内斜行
[編集] JRAGI競走における主な1位入線以外の降着・失格
- 1987年 天皇賞(春) ニシノライデン 2位入線失格
- 1988年 皐月賞 メイブレーブ 7位入線失格
- 1988年 皐月賞 マイネルフリッセ 15位入線失格
- 1988年 有馬記念 スーパークリーク 3位入線失格
- 1992年 阪神3歳牝馬ステークス マルカアイリス 12位入線16着降着
- 1993年 皐月賞 ガレオン 3位入線8着降着
- 1996年 オークス ノースサンデー 5位入線12着降着
- 1996年 エリザベス女王杯 ヒシアマゾン 2位入線7着降着
- 2007年 天皇賞(秋) エイシンデピュティ 8位入線14着降着
- 2009年 NHKマイルカップ サンカルロ 8位入線18着降着
- 2009年 秋華賞 ブエナビスタ 2位入線3着降着
[編集] 妨害行為があったものの降着とはならなかった競走
- 1999年9月19日、4回中山4日第1競走において、終始先頭を走っていたミルキークエストは4コーナーで急に外側へ斜行し、ガルソンビクトリ(5位)とキングマグワイア(2位)の走行を妨害した。本来ならば加害馬であるミルキークエストを降着とするところだが、同馬はその直後落馬し競走を中止したため降着とはならなかった。騎手は開催日2日間の騎乗停止となった。
- 2009年8月23日、2回札幌8日第3競走において、クロスフォーカラー(12着)は4コーナーで急に内側へ斜行し、プルマージュ(11着)の走行を妨害した。本来ならば加害馬であるクロスフォーカラーを降着とするところだが、被害馬のプルマージュが先着したため降着とはならなかった。騎手は開催日4日間の騎乗停止となった。
[編集] 妨害行為があったものの失格とはならなかった競走
- 2008年3月22日、1回中京7日第5競走において、終始中団から走っていたアンダンテシチーは3コーナーで急に外側へ斜行し、セレナダンス(落馬・競走中止)の走行を妨害した。本来ならば加害馬であるアンダンテシチーを失格とするところだが、同馬はその後他馬と関係なく馬体に故障を生じ、最後の直線走路で競走を中止したため失格とはならなかった。騎手は開催日4日間の騎乗停止となった。
[編集] 関連項目
- パトロールビデオ
- ザ・パトロールビデオ - パトロールビデオを放送する番組
最終更新 2009年10月19日 (月) 14:27 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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