電力中央研究所
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| 種類 | 財団法人 |
|---|---|
| 略称 | 電中研、CRIEPI |
| 本社所在地 | 〒100-8126 東京都千代田区大手町1-6-1 |
| 電話番号 | 03-3201-6601(大代表) |
| 設立 | 1951年11月7日 |
| 業種 | 公益研究団体 |
| 事業内容 | シンクタンク 研究機関 |
| 代表者 | 理事長 各務正博 |
| 従業員数 | 820人(2009年7月1日現在) (内研究員716人) |
| 決算期 | 3月31日 |
| 関係する人物 | 創設者・第二代理事長 松永安左ェ門 内閣総理大臣 吉田茂 |
| 外部リンク | criepi.denken.or.jp |
財団法人電力中央研究所(でんりょくちゅうおうけんきゅうしょ)は、電気事業や社会の問題解決に取り組む研究機関である。電中研と略される。 英語名はCentral Research Institute of Electric Power Industry。CRIEPI(クリエイピ)と略される。
研究規模で、事実上日本最大の民間シンクタンクである。また、Think Tanks and Civil Societies Program により、世界のTOP228シンクタンクに選ばれている(日本からは電中研を含め7機関が選ばれている)。
目次 |
[編集] 概略
[編集] 設立の経緯
1949年(昭和24年)、吉田茂内閣総理大臣がGHQの命令により、松永安左エ門を委員長とする電気事業再編成審議会を設置したことが、電力中央研究所の発足の切っ掛けである。戦前は、九州・関西・中部・関東の電力会社を傘下におさめる「電力王」と呼ばれた松永であったが、戦時中は反戦と自由主義を貫き、近衛文麿内閣総理大臣からの大政翼賛会への加入や大蔵大臣への就任の要請を断った。更に、戦時下で昭和天皇の勅命を頂いているとされていた官僚を「軍部に追随する人間のクズ」と公言し、新聞各紙に謝罪広告を掲載する事態に追い込まれた後も、公然と電力の国家管理政策に反対した。このため、軍部のブラックリストに載り、政財界から離れることになった。吉田茂が、年齢的にも健康不安が危惧された73歳の松永を起用したのは、戦時中の言動から、戦争犯罪と無縁なことや、GHQと思想信条が近いと考えたためである。
松永は、国家管理政策による半官半民の日本発送電の分割民営化を提案したものの、当時の通商産業大臣兼大蔵大臣であった池田勇人を除いて、電気事業再編成審議会の全委員、政財界、官僚、学識経験者、国民、マスコミからの反対にあい、日本中が日本発送電の存続を疑わなかった。更に、松永の「電気事業という重大国策を(電気事業再編成審議会の)多数決で決するとは何ごとか」との暴言を切っ掛けに、松永は孤立無援の状態となった。しかし松永はGHQを直接説得し、国会決議より効力が強いGHQポツダム政令として、現在の9電力体制(電源開発や沖縄電力は未だ存在しない)への分割民営化を成し遂げた。続いて、これを実行する機関として公益事業委員会を設置したものの、当時の日本は急激に電力需要が増加し、電力不足のため電気料金の大幅な引き上げが続く状況にあった。電気料金の引き上げは国民の反発を招き、松永は「電力の鬼」と呼ばれるようになる。
松永は、電気事業の持続には「電力経済ならびに電力技術の調査、研究を盛んにするため、必要なる機関を新設または拡充し、さらなる専門家の養成も行い、電気事業の健全なる進歩発展が必要不可欠」であると考え、戦時中に国が電気事業に介入した苦い経験を元に、電力経済ならびに電力技術の研究開発を一切の外圧に影響されることなく効率的に実施するための、公益法人のシンクタンク兼研究機関の設立を構想した。
そして、75歳となった松永を中心とする、9電力会社と電気事業再編成審議会は、解体した日本発送電の研究部門を元に、1951年(昭和26年)11月7日に、日本最大の研究機能を有する、戦後日本初の本格的な民間シンクタンクとして、電力中央研究所を設立した(なお、発足時の名称は電力技術研究所であったが、現在の社会経済研究所の元となるシンクタンク部門を翌年設置し、現在の名称に改称した)。
[編集] 基本情報
東京都千代田区大手町本部のほか、東京都狛江市、千葉県我孫子市、神奈川県横須賀市に研究拠点を置く。経済・土木・建築・電気・原子力・機械・化学・物理・生物・環境・情報など、あらゆる分野の研究者を揃えており、大学の客員教授が多く在籍する。総勢は約800名、その内の約700名が研究員である。博士は約350名であり、残りの殆どの研究員も修士の学位を有しており、他のシンクタンクより研究員の比率が高いのが特徴である。電力会社が合同出資して運営されているものの、前述の松永安左エ門の設立の意図から、公益法人として完全中立を堅持する体制や、科学研究費補助金の交付対象である学術研究団体としての側面も併せ持つ特色がある。
[編集] 社会に対する、これまでの主な提言
戦後、高度成長期には、電源の火主水従化、火力発電用燃料の油主炭従化、火力発電における原油生焚き、原子力発電の商業化、佐久間周波数変換所の設置など、電気事業の根幹にかかわる重要事項について、独自の研究成果に基づきシンクタンクとして提言した。オイルショックから現在に至る間には、電源のベストミックスの概念、火力発電用燃料の海外炭の導入による石炭回帰、エコキュートの開発を基にしたオール電化による二酸化炭素排出削減などを提言している。
また、松永が別途組織した私設シンクタンク「産業計画会議」においても、電力中央研究所は松永のブレインとして、電気事業の枠を超えて、脱税無き税制の整備、北海道の開発、東名高速道路・名神高速道路・東京湾アクアライン等の高速道路網の整備、日本国有鉄道の根本的整備(複線化)・国鉄分割民営化(現在のJR体制)・国鉄バスの兼業、多目的ダムによる水問題の解決、東京湾の大規模埋立て、減価償却制度の改善、日本専売公社の分割民営化、海運業の再構築、東京湾横断堤の建設、成田国際空港の開設、本州四国連絡橋の建設、新交通システム(東京モノレール)の建設などを提言し、その多くが現実となった。その結果、松永は財界の賀詞交歓会で主賓として会長や内閣総理大臣より先に祝辞を述べるなど、日本の政財界に大きな影響力を持つに至った。
[編集] 松永安左エ門の言葉
電力中央研究所に付き、僭越を顧みず、一筆す。
予が二十余年前、東邦産業研究所の所長となりし時、産業研究は、知徳の錬磨であり、もって社会に貢献するべきであることを悟った。但し科学の進歩は累積と推理に由り、無限の発展を遂げる性質のものであり、十八・九世紀に入り、はるかに人類は其面に躍動して蒸気利用の発明、電気の発明、化学の発明、又は是等の応用に革新的進歩を成した。近くは原子力、水素の融合反応等、或いは人工衛星に至るまで、科学的進歩は無限に続くのである。
しかし利己的な人間性は、社会的には、なお四千年前の哲人と比し、何らの進境を示していない。
是は人間の悲劇である。
諸氏能く之れを知り内面的な人間性の錬磨を科学の研究と共に続けられん事を祈るものである。
一九五七年一〇月二二日 喜多見に於いて
[編集] 歴代理事長
- 大西英一 - 1951年11月〜1953年 3月(元日本発送電総裁)
- 松永安左エ門 - 1953年 4月〜1971年 6月(私設シンクタンク産業計画会議議長、アジア経済開発協議会名誉会長、勲一等瑞宝章、外務省顧問、衆議院議員、東邦電力社長、電気事業再編成審議会委員長、公益事業委員会委員長代理、西部合同ガス(現西部ガス)初代社長、博多商業会議所会頭、中部共同火力社長、日本電気協会会長、慶應義塾大学名誉博士、北里大学医学部建設後援会長、電力研究国際協力機構(IERE)創設者)
- 横山通夫 - 1971年6月〜1980年6月(元中部電力会長)
- 成田浩 - 1980年6月〜1991年6月(元東京電力副社長)
- 依田直 - 1991年6月〜1999年6月(元東京電力副社長)
- 佐藤太英 - 1999年6月〜2005年6月(元中部電力副社長)
- 白圡良一 - 2005年6月〜2009年6月(元東京電力副社長)
- 各務正博 - 2009年6月〜現在(中部電力副社長)
[編集] 組織構造
現在、専門分野別に、以下の8つの「専門研究所」から編成されている。
- 社会経済研究所 - 東京都狛江市(電力自由化政策・地球温暖化防止政策・ヒューマンファクター)
- システム技術研究所 - 東京都狛江市(配電システム・分散型電源システム・情報通信システム)
- 原子力技術研究所 - 東京都狛江市(廃棄物の放射線に対する安全確保技術)
- 地球工学研究所 - 千葉県我孫子市(社会基盤の立地・災害軽減・メンテナンス技術)
- 環境科学研究所 - 千葉県我孫子市(地球温暖化影響・環境計測技術・石炭灰リサイクル・磁界の生物影響評価)
- 電力技術研究所 - 神奈川県横須賀市(電力機器の絶縁診断・耐雷設計技術・電磁環境解析・大電流技術、超電導応用)
- エネルギー技術研究所 - 神奈川県横須賀市(火力発電所の運用保守技術・燃料ガス化・低品位燃料改質・燃料電池・ヒートポンプ)
- 材料科学研究所 - 東京都狛江市、神奈川県横須賀市(半導体・超電導物質・高温タービン素材・燃料電池(SOFC)セラミックス)
また、社会や電気事業が抱える緊急で重要な課題に対して総合的に取り組むため、研究所をまたぐ横断的組織として「総括プロジェクト」が存在する。
- 軽水炉高経年化研究
[編集] 著名な研究員等
[編集] 現職者
- 秋田調 - 本部企画グループマネージャー、超電導エネルギー貯蔵研究会技術委員長
- 伊藤茂男- エネルギー技術研究所上席研究員、東京工業大学客員教授
- 伊藤洋- 地球工学研究所研究参事、東京工業大学客員教授
- 大村直也 - 環境科学研究所上席研究員、千葉大学客員教授、バイオセンサーによるPCB簡易迅速検出法
- 岡野邦彦- 原子力技術研究所上席研究員、東京大学客員教授
- 神田英輝- エネルギー技術研究所主任研究員、DME利用型常温省エネルギー石炭・汚泥脱水技術、ダイオキシン・PCB・重油土壌汚染・底質汚染浄化技術、ナノサイズ物質の三態相図の熱力学、独創性を拓く先端技術大賞 、Marquis Who's Who in the World
- 神戸満- 原子力技術研究所上席研究員、群馬大学客員教授
- 斎川路之 - エネルギー技術研究所上席研究員、エコキュートの発明・開発、省エネルギーセンター省エネ大賞経済産業大臣賞、アメリカ合衆国環境保護庁 CLIMATE PROTECTION AWARDS
- 鈴木達治郎- 社会経済研究所研究参事、パグウォッシュ会議(ノーベル平和賞受賞団体)評議員、東京大学客員教授
- 白井裕三 - エネルギー技術研究所上席研究員、群馬大学客員教授
- 杉山大志 - 社会経済研究所上席研究員、気候変動に関する政府間パネル(ノーベル平和賞受賞団体)メンバー
- 高崎昌洋 - システム技術研究所上席研究員、東京大学客員教授
- 谷口治人 - システム技術研究所首席研究員、東京大学特任教授
- 土田秀一 - 材料科学研究所上席研究員、SiC半導体エピタキシャルウェハ量産化技術
- 根本孝七 - 電力技術研究所上席研究員、東京工業大学連携教授
- 福冨広幸 - 材料科学研究所主任研究員、超音波による探傷欠陥非破壊測定技術
- 藤田愼一 - 環境科学研究所研究参事、東京理科大学客員教授
- 古谷正裕 - 原子力技術研究所主任研究員、超急速冷却金属アモルファス製造法、可視光応答型光触媒の開発、日経BP技術賞
- 牧野尚夫 - エネルギー技術研究所副所長、群馬大学客員教授
- 黛正己 - 材料科学研究所所長、東京工業大学特任教授
- 湊章男 - 原子力技術研究所上席研究員、東京工業大学特任教授
- 渡辺隆夫 - エネルギー技術研究所上席研究員、横浜国立大学客員教授
- 渡部良朋 - 環境科学研究所上席研究員、東北大学客員教授
[編集] 顧問・名誉職
- 神田啓治 - 名誉研究顧問、京都大学名誉教授、日本原子力学会賞、科学技術庁長官賞、 フランス国家功労勲章、内閣総理大臣賞
- 中村政雄 - 名誉研究顧問、ジャーナリスト、元読売新聞論説委員
- 仁田旦三 - 研究顧問、超電導エネルギー貯蔵研究会理事長、元電気学会会長、東京大学名誉教授
[編集] 出身者
- 阿部正浩 - 獨協大学教授、日経・経済図書文化賞
- 安藤陽一 - 大阪大学教授、日本学術振興会賞
- 阿波田禾積 - 青森公立大学教授
- 石田政義 - 筑波大学教授
- 市川陽一 - 龍谷大学教授
- 伊藤成康 - 武蔵大学教授
- 稲葉次紀 - 中央大学教授
- 井澤裕司 - 立命館大学教授
- 牛島 省 - 京都大学教授
- 内田直之 - 東京理科大学教授
- 内山洋司 - 筑波大学教授
- 遠藤孝夫 - 東北学院大学教授
- 大江俊昭 - 東海大学教授
- 大屋隆生 - 国士舘大学教授
- 岡本敏郎 - 芝浦工業大学教授
- 上之薗博 - 超電導エネルギー貯蔵研究会会長
- 岸徳光 - 室蘭工業大学教授
- 国生剛治 - 中央大学教授
- 小峯秀雄 - 茨城大学教授、科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)
- 坂田昌弘 - 静岡県立大学教授
- 澤田義博 - 名古屋大学教授
- 三邊夏雄 - 横浜国立大学教授
- 塩尻弘雄 - 日本大学教授
- 鈴木勉 - 筑波大学教授
- 高野研一 - 慶應義塾大学教授
- 武田重信 - 東京大学准教授、日本学術振興会賞
- 田中和広 - 山口大学教授
- 田中祀捷 - 早稲田大学教授
- 宅間董 - 東京電機大学教授、元 京都大学教授
- 谷和夫 - 横浜国立大学教授
- 千木良雅弘- 京都大学教授
- 寺野隆雄 - 東京工業大学教授
- 中田俊彦 - 東北大学教授
- 西山琢也 - 中部大学教授
- 新田義孝 - 四日市大学教授
- 原田実 - 青山学院大学教授
- 満木泰郎 - 法政大学教授
- 松原雅昭 - 群馬大学教授
- 馬原保典 - 京都大学教授
- 山岡聖典 - 岡山大学教授
- 山地憲治 - 東京大学教授、国際科学会議国際応用システム分析研究所(IIASA) 日本代表理事、グリーン電力認証機構委員長、日本学術会議会員
- 米山 望- 京都大学准教授
[編集] 国際協力機関
[編集] 包括協定
- IAEA(国際原子力機関)
- EPRI(米国電力研究所)
- SwRI(サウスウェスト研究所:米国)
- イリノイ大学(米国)
- LLNL(ローレンスリバモア国立研究所:米国)
- AEAテクノロジー(英国)
- EURATOM(欧州原子力共同体:EU)
- NAGRA(放射性廃棄物管理共同組合:スイス)
- CEA(フランス原子力庁)
- BNFL(英国原子燃料会社)
- SCK・CEN(ベルギー原子力研究センター)
- EJCC(欧州高速炉研究開発運営委員会:英・仏・独)
- CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)
- CRCCSD((CRC for Coal in Sustainable Development)石炭利用共同研究センター:豪州)
- KEPRI(韓国電力公社電力研究院)
- KERI(大韓民国科学技術部電気研究院)
- TPC(台湾電力公司)
- SIIT(シリントーン国際工学部:タイ)
- KAERI(大韓民国科学技術部原子力研究所)
- 上海交通大学(中国)
- IEM(中華人民共和国国務院中国地震局工程力学研究所)
- CEPRI(中国電力科学研究院)
- ベトナム電力公社エネルギー研究所
- ESKOM(南アフリカ電力公社)
[編集] 共同研究
- イリノイ大学応用地域経済学研究所(米国)
- ペンシルベニア大学(米国)
- RFF(未来資源研究所:米国)
- オハイオ州立大学フィッシャービジネススクール(米国)
- マサチューセッツ大学(米国)
- カリフォルニア大学バークレー校(米国)
- NCAR(アメリカ大気研究センター)
- ニューヨーク州立大学(米国)
- ORNL(オークリッジ国立研究所:米国)
- ニューブランズウィック大学(カナダ)
- ケルン大学エネルギー経済研究所(ドイツ)
- ITU(EURATOM内の組織)(超ウラン元素研究所:EU)
- Studsvik(スウェーデン)
- SKB(スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社)
- モンテリ コンソーシアム(スイス)
- KSANDR(デルフト工科大学&ニューオン:オランダ)
- デンマーク工科大学
- VGB(ドイツ大規模発電所技術協会)
- ルーアン大学(フランス)
- クイーンズランド大学(豪州)
- KAERI(韓国原子力研究所)
- INST(ベトナム同位体科学技術研究所)
- ベトナム国家大学ハノイ校/マングローブ生態研究所
- IB-CAS(中国科学院植物科学研究所)
[編集] 参加国際機関
- IERE(電力研究国際協力機構)
- AESIEAP(東アジア・西太平洋電気事業協会)
- WNA(世界原子力協会)
- STL(短絡試験連絡機構)
- EURELECTRIC(欧州電気事業連合)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月19日 (木) 17:07 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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