電池自動車
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電池自動車(BEV:Barttery Electric Viecle でんちじどうしゃ)とは、電池により推進する自動車(軌道不要の車両)
電池自動車には、広く知られる二次電池で電動機を動かす車両の他、ソーラーカーや燃料電池車 (FCEV)がある。また、一般的な電池自動車より運用としては架線式電気自動車に近い、非接触誘導充電(en:Inductive charging:インダクティブチャージング)式電池自動車が大型車向けで提案されている。
より広義の電気自動車の場合ハイブリッドカー (HEV)・架線から電力を供給されるトロリーバスなどの架線式電気自動車も含む(電気自動車参照)。
目次 |
[編集] 概要
ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンなどの内燃機関を動力とする自動車と異なり、電気自動車は必ずしも変速機が必要ではない。また原動機の始動に外部からの動力も必要としない。ゆえに電池式電気自動車は構造が比較的単純であり、自動車の黎明期から今日に至るまで遊園地の遊具をはじめ、作業環境と騒音に対する配慮が必要な食品工場や倉庫内で使用されるフォークリフトや、ゴルフ場のゴルフカートに多く使用されてきた。
一方でバッテリーは出力・時間あたりの重量が大きく、コストも高く寿命が短かった。つまり乗用車として許容できる100万円以下/400kg以下のバッテリー価格/重量の場合、非力な小型モーターを使っても短時間でバッテリー切れになってしまった。バッテリー保護のため急速な充電を避ける必要もあり、長い充電時間も短所として捉えられる。そのため長い歴史を通じて交通機関の主流にはなりえなかった。
しかし、最近、下記の理由から電気自動車に対する関心が高まり、様々な方式が提案され研究が進んでいる
- 鉛蓄電池よりは軽量で大電力を蓄電できるリチウムイオン電池の発展
- 地球温暖化問題のため、排出量の大きい、製鉄業・発電業・運輸業のCO2排出削減ニーズの高まり
- 石油価格の急激な上昇により消費国では経済が打撃を受けており、特に運輸業は苦境にあるため、脱石油・燃料多様化ニーズが高まっている
- 化石燃料以外のエネルギーで最も供給力の大きい原子力が主として電力の形で提供されており、非化石系アルコール燃料やバイオディーゼルも増産は可能とはいえ供給力に限界がある
[編集] 種類と長所・短所
[編集] 二次電池式電気自動車
蓄電池に充電して電動機を回すタイプ。古くからあり、改良されてきた。
- 長所(内燃機関とは同等の出力での比較)
- エネルギーの利用効率はエコカーの中で最良で、騒音も少ない。
- 電動機の回転が滑らかで振動が少ないため、液封入型の様な高価なエンジンマウントが必要なくなる。
- レスポンスが良好
- バッテリーを床下に配置した場合、重心が下がり車両安定性が向上する。
- エンジンに比べ電動機の設計が容易
- 騒音が少ないため、車両の騒音対策が容易
- 電動機はメンテナンスが簡単で寿命が長い(エンジンオイルや冷却水を必要としない)。
- トランスミッションの省略が可能。
- エンジンよりも電動機の方が小型軽量。
- 架線を敷設する費用が掛からない、景観上好ましい。
- 集電装置が不要。
- 走行時に有害物質を排出しない(エンジン車の主要な排出物はCO2、H2O、CO、HC、NOx、PM)。充電電気製造のCO2発生は、小型の電気自動車走行1kmあたり40g(一方、小型ガソリン車の場合170g)。
- 余力があり安価な夜間電力によって、自宅で充電できる(1km走行で電気代は約1円)。
- 2008年時点で電気は動力エネルギー等価で石油より安い(1km走行でガソリン代は約10円)。
- 三菱自動車、富士重工、日産、トヨタ、ホンダなどが2010年代早期の一般向け販売を公表している。
- 短所(現在の電池性能に関しての課題がほとんど)
- 2008年時点で電気自動車用の大容量の電池が量産されておらず電池が高価である(下記資料で4万円/kwh)。当然、量産が進めば価格は下がる。
- 大きな出力や長い航続距離を得るためには電池の搭載量が多くなり、大型自動車に向かない
- 自動車寿命より電池寿命の方が短いので、何度か交換しなければならない(大幅に改良されプリウス等のハイブリッドカーでは無交換、最新の電気自動車では交換の必要は無い)。
- 一充電あたりの走行可能距離が短く、長距離走行のためには全国規模の急速充電スタンド、あるいは電池交換所の充実が必要だが、整備が進んでいない。
- 取り出せるエネルギーに対して重量が大きい(特に鉛蓄電池の場合)。現状では石油系燃料に対して最も劣る点となっている。
[編集] 燃料電池自動車
「燃料電池自動車」を参照
[編集] 太陽電池自動車
「ソーラーカー」を参照
[編集] 駆動系による分類
電気自動車の駆動システムは、大まかには下記で構成される
- 電池と車載充電器で構成される車載エネルギー源
- モーターとモーター制御装置で構成される機械動力発生源であるパワーユニット
- 動力を車輪に伝達する要素のかたまりであるドライブトレーン
駆動システムの特性は、これらの三要素に、車載エネルギー源に充電する要素を加えた4つの要素に大きく左右される。[1]
電気自動車は電動モーターを含む駆動系の配置によりいくつかに分類できる。 通常のガソリンエンジン車に最も近く、比較的簡単な改造によってエンジン部分を積み替え、プロペラシャフトなどをそのまま使用するものから、駆動タイヤ近くにモーターを配置し、場合によっては減速ギヤを介して駆動輪に接続するもの、そして、最も従来の自動車とは異なる駆動系の配置となるインハブ・モーターを持つものなどがある。図では簡単のために後輪のみの2輪駆動で示したが、4輪駆動も実際に存在し、前輪駆動もありえる[2]。
[編集] 電池式電気自動車の環境性能
[編集] 利点
電気自動車は「排気ガスを出さないので、環境にやさしい」と考えられており、局所的な大気汚染の緩和策には有効である。また、原子力・風力発電との組み合わせによりCO2削減にも有効と見られている。また騒音源である内燃機関を搭載していないため、一般に音が静かであるという特徴もある。反面で自動車の接近に気づきにくく危険であり、なんらかの形で車の接近を知らせる仕組みが必要という意見もある。
発電所発電からの全体を考慮した電気自動車のエネルギー効率については、最新の火力発電所などの発電効率が良く、60%程度の熱効率を実現する発電所も増えてきているため、送電効率・充放電効率・モーター効率などを含めても、内燃機関自動車に比べて高い効率が実現できるとされる[3]。例えば東京電力川崎火力発電所の一部の発電機ではコンバインドサイクルを導入し最大59%の熱効率となっている[4]。電気モーターは低速から最大トルクを得ることができ、損失の発生するトランスミッションなどを用いず直接車輪に動力を伝達でき、これを生かした技術としてインホイールモーターと言われる、ホイールのなかにモーターを取り付けて動力伝達ロスを最小限にする技術が存在する(実際には、インホイールモータ内に減速ギアを用いている例がある。ダイレクトドライブインホイールモータと言われる完全にトランスミッション機構を廃したインホイールモータも、一部で研究開発されている[5])。
そのため慶應義塾大学電気自動車研究室の試算では、電気自動車の電力をすべて火力発電でまかなったと仮定しても、ガソリン車よりも3~4倍、総合効率で優れるとされている(詳しくはエリーカを参照)。また電気はあらゆる発電方法から得られるという特性を生かして、燃料電池・風力発電・太陽光発電など発電時には二酸化炭素を出さない手法も活用できる。太陽電池をルーフに搭載し、走行電力の一部をまかなうことも可能である(例、ソーラーカーの項も参照のこと)。
日本で電池式電気自動車を使用する場合、深夜電力を使用して充電することが考えられる。日本においては、8000万台の比較的高性能なプラグインハイブリッドカーや電気自動車が普及した場合、出力調整の難しい原子力発電所の深夜余剰電力の有効利用につながり、またガソリン使用量の7割を削減できると試算されている[3]。電力に占める原子力や再生可能エネルギーの利用割合が増えることで、さらに温暖化ガスの排出量削減が出来ると見込まれている[3]。
[編集] 欠点
- バッテリー
- 重金属・希土類や化学物質などを多量に消費するバッテリー(二次電池式)を、ハイブリッド車よりも遥かに大量に搭載することからライフサイクルアセスメント (LCA) の観点からの問題も指摘されている。旧世代の比較的新しいタイプのEV(Ni-MHバッテリー搭載)でも2年以内に1回交換を行っている。これらの問題があり、旧世代の電池自動車の評判は芳しくなかった。プリウス等のハイブリッド車は無交換をメーカー保証している、テスラモーターズ・テスラロードスターの電池寿命は16万km。
- 電力供給問題
- 原子力発電の能力が余剰となる夜間に自宅で充電すれば、電力供給の不安は無い。
- 走行可能距離
- ガソリンと標準的容量のリチウムイオン電池では質量あたりのエネルギー密度は約100倍の差があり、仮に電池のエネルギー密度が2倍になっても50倍もの差があることになる。しかしながら、内燃機関自動車の車両効率は15%にも満たない場合が多いが、電気自動車では80%以上であるため、ガソリンと同じだけの質量のバッテリーを搭載したら、ガソリン車の1/20~1/15の距離は走れることになる。しかしそれではわずかな距離しか走れず実用とはいえないため、多くの電池を搭載する必要がある。ガソリン車と同じ距離を走ろうとした場合、ガソリンの重量を50kgとしたら、700kg以上もの電池が必要である。しかし、電気自動車は回生制動による効率向上や排気管やラジエーターを持たないことによるボディの平滑化による空気抵抗低減も可能であり、効率的に設計した場合はそれほど大量の電池は必要がない。モーターやインバーターはエンジンほどの重量物ではなくコンパクトであるため、ボディ設計を専用にして効率化すれば電池の重量増をある程度は打ち消すことは可能であるが、同じ距離を走るにはボディ素材を(アルミなどに)変更しない限り数百kgの重量増は避けられない。ところで、現在市販が予定されている軽自動車タイプの電気自動車では160km程度の航続距離しか実現していないが、ガソリン車と共用のプラットフォームであるため、搭載スペースの関係で電池容量の増大は難しくなっているためである。しかし、1日あたり100km以上使用するユーザーの割合はわずかであり、ユーザーによっては許容できるものではある。電気自動車の市販を予定するメーカーもいち早く市場に投入するために、ガソリン車の仕様変更により妥協を行っているが、明らかに走行距離は不足しており、専用プラットフォームによる効率化と電池のエネルギー密度増大は将来的には必要である。また、燃料電池自動車と比較を行う。1充電で350km走行する小型自動車で電気自動車と燃料電池自動車を比較すると、電気自動車でのLiイオン2次電池では 100Wh/kg, 100Wh/L が必要となり、容積450Lで重量は450kgとなるのに対して、燃料電池自動車では高圧水素タンクが35MPaで容積150Lで重量は80kgとなる。。[6]燃料電池車は回生ブレーキや急加速のアシスト用に一時充電用のリチウムイオン電池などが必要で、さらに燃料電池の重量もあるため、決して軽くはならない。水素量だけ増やせば後続距離が伸びるメリットは大型車で生きてくるといえる。これに価格や充電時間、電気や水素の供給方法、路上でのバッテリー上がりトラブルなどの長所短所が考慮される。
- エアコンの問題
- 従来のエンジン自動車ではエンジンの廃熱を利用して、車両室内を暖房できる。またクーラーを装備しても燃費は犠牲になるが、実用上の問題にはならない。しかし電池自動車では、エアコンに要するエネルギーは全て電池で賄わなければならず、現状の電池の性能では大きな負担となりうる。寒冷地や酷暑地に普及させるには足かせとなりかねない。対策として、車載用のヒートポンプなどでエアコンのエネルギー効率を高める方向がある。
- 課税問題
- 現在、電気自動車は税制的に優遇されており、取得税、自動車税等の優遇がある。ガソリン自動車ではガソリン税により道路整備費用の一部を負担しているが、電力においては課税されない。しかし、ガソリン税に相当する税金の負担がないことはいずれ問題にされることは自明である。電気自動車の普及を促進する上ではそれらの優遇は非常に有効であるが、電気自動車が普及した場合は、ガソリン車やディーゼル車などのユーザーだけの税負担になり、不公平感が生まれる。さらに国における道路、自動車関連の財源の確保が難しくなる。これについてはいまのところあまり議題にあがっていないが二酸化炭素税も含め十分な論議が必要である。ただし、自動車重量税もあるので、無税になるわけではなく、問題とはいえないとの反論もある。もっとも、人為的な問題であって、法改正などで対応できることであり、本質的な問題とは言えない。
[編集] 電気自動車の運用コスト
内燃機関自動車の運用コストと同様に、
- ユーザーレベルのコスト:走行距離あたりのエネルギー料金のみではなく取得から廃車までの全経費
- 社会全体でのコスト :インフラ整備および維持のコスト、保安コスト
を考慮しなくてはならない。 2008年現在は電気自動車が内燃機関自動車に比して優位にある地域と用途は限定されている。
[編集] 希少元素問題
電気自動車の製造には下記のレアメタルやレアアースが必要である。その資源はチリ、中国などに偏在している。そのためもし将来、電気自動車の生産が本格化すれば資源獲得競争や、産出国の大幅な値上げなどが予想されるため、政府による危機管理策が求められている。
1)リチウム 軽量・大蓄電量のリチウムイオン電池に使用。主たる生産国/埋蔵国はチリと中国である。リチウムイオン電池におけるリチウムの使用量はわずかであるため大きな問題にはならないが、他の用途も視野に入れた場合は大幅な価格高騰も考えられる。 リチウム生産/埋蔵量統計
2)希土類 超伝導に次いで軽量・大出力のモーターである、ネオジム永久磁石同期電動機を作るのに使用。現在販売中のハイブリッドカーでもこの磁石が採用されており、電気駆動の車全般で希土類の高騰の影響を受ける。磁石メーカーはリサイクル技術の確立に力を入れている。中国に偏在するため、近年価格が高騰している。 希土類埋蔵量
[編集] 充電インフラ
電気自動車を普及させる上で、街中や高速道路のサービスエリアで急速充電できる設備の充実が欠かせない(長距離走行する人以外は急速充電の必要はない)。日本においては都市部ではマンション住まいなどで賃貸駐車場の利用者が多く、家庭のコンセントで充電ができる割合はそれほど高くない。旅行など、長距離走行の際にも当然継ぎ足し充電や、充電済み電池との交換が必要がある。国内のエコ・ステーションの定義に電気自動車用の充電所が含まれているが、現時点ではそのような設備はほとんどない。
しかしながら、電力線があれば充電設備の設置は可能である点で、ガソリンスタンドや水素供給スタンドより建設が行いやすい。水素スタンドは水素の生成方法にもよるが、安全性を確保する上で立地やタンクの設置方法、安全装置など多数の制約がある。水素スタンドの建設費用は現状でガソリンスタンドの約3倍のコストがかかる(ガソリンスタンドの建設費用は約1億円、水素スタンドは約3億円である)。それに比べると、電気自動車用の急速充電器は開発中のものでも1基300万円程度であり、大きさも家庭用冷蔵庫程度の大きさで、設置場所の制約が少なく、水素スタンドよりは設置しやすいことは自明である。ただし、急速充電時間が15分であったとしても、給油時間を5分と考えるなら、回転効率は1/3であり、給油機器の3倍もの数の充電機器がないと順番待ちで時間を費やすことになる。そういった事情があるため、ガソリンスタンドの延長線上とは別のアイデアが過去にも模索されてきた。
日本のコインパーキングのごく一部や、アメリカの一部の州でもショッピングセンターなどに充電設備を設置して電気自動車の利用を促進しようという動きがあったが、肝心の電気自動車がそれほど走らず(売られておらず)、使われずに放置されたに等しい状態となっていたこともある。これは電気自動車の世界では大きな問題であり、充電設備が普及しないから電気自動車を普及できない、逆に電気自動車が普及しないから充電設備が普及しない、という難しい問題となってしまっている。これを政策的にどう展開するかが電気自動車の普及にはかかっているといえる。
この問題に対し2010年以降に電気自動車を順次展開を発表した日産は、充電スタンドの整備運営をする米国ベタープレイス社と組んでインフラ整備とセットで、さらに政府や自治体による助成金や優遇税制の導入とセットでの電気自動車発売を計画している。
[編集] 歴史
[編集] 黎明期
電気自動車の歴史は内燃機関自動車よりも古く、1830年頃英国で電気自動車の研究が始まり、1873年に英国でロバート・ラビットソンにより実用的な電気自動車を製造したときに始まる。[7] 1899年にガソリン車よりも早く初めて100km/hを突破、 1900年頃には米国の自動車生産で約4000台の自動車生産のうち電気自動車が約40%占めていた、自動車レースでも内燃機関自動車を抑え、花形であった。自動車の黎明期には蒸気機関・内燃機関と動力源の覇権を争っていた。 米国では1912年に電気自動車生産台数のピークを迎え、34,000台/年だった。 1900年に当時ローナー社在籍のフェルディナント・ポルシェがハブにモーターを搭載したインホイールモーターの原型とも言える4輪駆動車をパリ万博に出展した。
アメリカで発明王トーマス・エジソンが電気自動車の改良と普及に努めていたが、油田の開発、内燃機関の急速な性能の向上により、広大な国土を持つアメリカでは航続距離の短さが克服し難いネックとなり、やがて彼の元で内燃機関を研究していたヘンリー・フォードによるフォードT型の成功により自動車市場は完全に内燃機関自動車に制圧され、電気自動車は一旦市場から姿を消す。
日本では、明治末期に始めて電気自動車が輸入され、1911年に日本自動車が電気自動車を試作した。太平洋戦争後の1949年には普及台数が3299台となり、普及率が自動車全保有の3%に達した。[8]その後ガソリン不足の解消、朝鮮戦争による鉛価格の高騰とともに電気自動車は姿を消した。
[編集] 石油ショック、大気汚染
再び脚光を浴びるのは先進国でモータリゼーションが進んだ1960年代である。オイルショックによる石油資源依存のエネルギーセキュリティ懸念や、内燃機関自動車の排出ガスによる大気汚染の深刻化(米国マスキー法等の法律で規制された)の解決策として電気自動車が提案された。
日本においては1971-1976年に通商産業省(当時)主導の電気自動車研究開発大型プロジェクト(通称:大プロ)が実施され、ホンダを除く国内全メーカーが電気自動車を開発した。しかし主に鉛蓄電池を用いた電気自動車は性能を確保できぬまま、石油確保の政治的解決やガソリン自動車の排出ガス浄化性能の向上に伴い、電気自動車は再び姿を消す。
[編集] ゼロエミッション規制
次に状況が変化するのは1990年に米国加州で制定されたZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制の頃である。これはカリフォルニアで販売する自動車メーカーは一定台数、有害物質を一切排出しない自動車を販売しなければならない、という規制の構想であった(「ZEV regulations、カリフォルニア州で一定規模以上の自動車を生産、販売するメーカに対して、2003年に同州で生産する自動車の総台数の少なくとも10%をZEVにすることを義務付け)これに対応できるのは電気自動車と考えられた。大プロ時代に比べ、鉛蓄電池からニッケル水素電池へと言った技術の進歩もあり、実際にRAV 4EV、EV Plus、GM・EV1などの限定販売・リースが開始され、電気自動車の本格普及も近いと思われた。しかし鉛蓄電池に比べニッケル水素電池はエネルギー・出力密度に優れてはいたが、それでも電気自動車は充分な性能(航続距離・充電時間・耐久性・車両価格など)を確保できなかった(RAV4 EVの場合 最高時速:125km/h、一充電走行距離:215km(10・15モード)、電動機:永久磁石型同期、電池:ニッケル水素、価格:495万円)。当時はリチウムイオン電池を採用したのは1997年プレーリージョイEV、1998年ルネッサEV(北米仕様はアルトラEV)、2000年ハイパーミニを発売した日産だけだった。自動車業界や石油業界の激しいキャンペーンの結果、ZEV規制は骨抜きとなり、以降全ての大手自動車メーカは電気自動車の生産をやめた(軽自動車バンを除く)。ZEV規制の時、何故電気自動車が普及しなかったのか、何故回収してスクラップにしたのか米国で2006年に映画「誰が電気自動車を殺したか?」で描かれた。
[編集] 燃料電池
これ以降、自動車メーカーの多くは、電気自動車の欠点であるエネルギー密度の問題を解決するため、充電時間の制約が無い燃料電池を搭載した燃料電池自動車の開発に傾注し、2002年の燃料電池自動車、ホンダ・FCX、トヨタ・FCHVのリース開始、2001年のダイムラー・NeCarの国土交通省の大臣認定に繋がっていく。燃料電池の開発体力がないメーカーはバラード・パワー・システムズの燃料電池スタックを使用した。
また、これと並行してトヨタ・ホンダは、エンジンで走行する自動車の利点を生かしつつモーターやバッテリーの特性を利用したハイブリッドカーを開発、1997年のトヨタ・プリウスや、1999年のホンダ・インサイトの発売につながった。
その後燃料電池車の抱える問題解決が難しい為、再び電気自動車が見直され始め、三菱自動車、富士重工を皮切りに、日産、トヨタ、ホンダが電気自動車を販売することを発表している。
[編集] 2007-2008年 現在
バッテリーの問題について、今日には変化が見られる。モバイル機器等で使用が当たり前になったリチウムイオン電池を採用することで、性能向上を果たした電気自動車が発表されるようになった(モバイル機器で使われるコバルト系とは異なる場合が多い)。リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池より高エネルギー・高出力密度であるとされ、電気自動車の性能改善が見込まれる。充電時間についてはメーカーや研究機関で30分以下で70%の充電を可能にする急速充電技術が開発されている。電池寿命についてはモバイル機器などに使用されているような500サイクル程度の物ではなく長寿命である。下記のTesla Motorsの電気自動車では16万キロの電池寿命と発表している(Teslaの場合は電気自動車用ではない量産型の電池を使用している)。日本では、自家用車の場合20万キロに及ばないうちに廃車になることが多いため交換は必要ないと思われるが、30万キロ以上使うこともある商用車などの用途では途中で交換が必要だといえる。プリウスで20万キロ以上走行するものが出てきたが、電池・モーター寿命より先にエンジンのオーバーホールが必要となった。
充電時間の長い二次電池を使用せず、動力源に絶縁性能を改善したキャパシタを用いた試験では、重量1.5tクラスの車両であれば、100km/hの定速運転で700km以上の航続距離を達成することが既に可能であると報道された[9]。短時間の充放電が可能なキャパシタは回生ブレーキで発生した電力の有効な回収手段としても注目されており、日産ディーゼルが開発中である[10]。
慶應義塾大学電気自動車研究室が開発したインホイールモーター式のエリーカでは、既に370km/hの最高速度と4.1秒の0-100km/h加速が達成されており、内燃機関車両に比べシンプルな駆動系で高い動力性能が引き出せることを実証した。
米国では、有名IT企業家(Googleの共同創始者のSergey Brin氏・Larry Page氏など)も出資している電気自動車ベンチャーであるTesla Motors[1]により、0-60mph (0-96km/h) 加速約4秒、最高速度130mph (208km/h) 以上、航続距離250mile (400km) を達成したスポーツカータイプの電気自動車が発売されている。電池寿命は10万マイル(16万km)は動力性能を維持出来るとしている[11]。
1990年代以降の電気自動車の性能の向上(および量産ハイブリッドカーの登場)には、電源であるバッテリの性能向上のほかにも、電気エネルギーの使用効率を高められるインバータによる可変電圧可変周波数制御といった、パワーエレクトロニクスの発達による要素も大きい。
従来電気自動車は、パワー・航続距離が不足しているため、短距離を走るシティコミューターなどが使用法として考えられてきたが、上記のような性能の車が発表されたことから、以前のものと比べ高性能な電気自動車を作れる可能性が出たため、再び電気自動車を見直す動きが見られ、開発を宣言する自動車メーカー(富士重工業・三菱自動車工業など)も現れている。
アメリカでは、プリウス等の電池をリチウムイオン電池に載せ替え(リチウムイオン電池は危険物扱いで、輸出や輸送に規制があった)、プラグインハイブリッド化するキットが数社から販売されており補助金も出ている。それを受けトヨタはハイブリッドカーのバッテリーを大幅に大容量化し、外部からの充電を可能とするプラグインハイブリッドを開発中である。
[編集] 導入事例
電気自動車の国内における導入実例には、1970年の大阪万博の会場内輸送を担う車両の生産をダイハツが担当した。それ以来ダイハツは電気自動車の生産を継続しており、日本ではもっとも長い歴史と経験を持つ。3輪バイクのハローや、商用車のハイゼットEVなどの市販電気自動車を手がけたほか、自治体や特殊法人向けにラガーを改造したEVを少数納入した実績もある、空港やレジャー施設で使用している特殊な電気自動車も納入している。 1997年トヨタ・RAV4 EV、ホンダ・EV Plus、日産・プレーリージョイEV等が販売された。 1999年トヨタ・e-comが豊田市で共同利用の実験を開始した。 2000年頃日産・ハイパーミニが発売され、各地で共同利用の実験が行われた。 2005年スバルR1e、2007年三菱i MiEVが東京電力の業務車両で実証試験を始めた。
他に特殊用途自動車としては、フォークリフト・ゴルフカート・車椅子・老齢者用電動車椅子では電池式のものが多くの割合を占めている。
海外ではスイスの観光地ツェルマットなど、内燃機関自動車の乗り入れを禁止し、村内の自動車は原則としてすべて電気自動車とされている場所などもある。完全に定着した特殊用途自動車としては、イギリスの牛乳配達用車両があげられる。これは「早朝にエンジン車はうるさい」との苦情から発生したものである。
市販の自動車の電気自動車への改造は希に行われている。改造電気自動車には近距離の荷物配達用バン(デリバリーバン)や霊柩車などの実例がみられ、珍しいところでは九州電力玄海原子力発電所見学者用のバスを電気自動車に改造した。また、趣味性の高い方向では日本EVクラブからマツダ・ロードスターのEV改造キットが発表されたり、同クラブ広島支部では事故車のデロリアン・DMC-12を2007年から2008年にかけてEV改造し、翌年3月にナンバー取得をしたケースもある。
[編集] 発売されたことのある車種
- Tesla Motors・Tesla Roadster
- タケオカ自動車工芸・REVA
- 光岡自動車・MC-1EV
- 光岡自動車・CONBOY-88
- ゼロスポーツ・ゼロEVエレクシードRS
- オートイーブィジャパン株式会社・Girasole(ジラソーレ)
- トヨタ・RAV4EV
- ホンダ・EV Plus
- 日産・プレジデントEV 1991年
- 日産・セドリックEV 1991年
- 日産・アベニールEV 1994年
- 日産・プレーリージョイEV 1997年リチウムイオンバッテリー搭載
- 日産・ルネッサEV(北米ではアルトラEV)1998年リチウムイオンバッテリー搭載
- 日産・ハイパーミニ 2000年リチウムイオンバッテリー搭載
- スバル・サンバーEV
- ダイハツ・ハイゼットEV
- ヴェンチュリー・フェティッシュ/エクレクティック
- ゼネラルモーターズ・EV1
- マツダ・ボンゴEV
- Modec
- デトロイト・エレクトリック
- たま電気自動車東京電気自動車 プリンス自動車の前身、戦後発売された
[編集] 参考資料
- ^ 電気自動車ハンドブック編集委員会,2001『電気自動車ハンドブック』丸善
- ^ 船瀬俊介著 『疾れ!電気自動車』 築地書館 2004年7月14日初版発行 ISBN 4806712906
- ^ い ろ は 電中研ニュースNo.433, 2006年9月
- ^ TEPCO 川崎火力発電所
- ^ 22.5インチホイール組込形大形バス用インホイールモータシステムの開発(東洋電機技報 第113号(2006年3月)P.9
- ^ 「それでも水素はなくならない」 日経エレクトロニクス 2008年6月2日号
- ^ 電気自動車ハンドブック編集委員会,2001『電気自動車ハンドブック』丸善
- ^ 電気自動車ハンドブック編集委員会,2001『電気自動車ハンドブック』丸善
- ^ 「5分の充電で800km」新キャパシタ電気自動車 2007年9月7日 WIRED VISION
- ^ 世界初の「キャパシターハイブリッドトラック」 日産ディーゼル工業
- ^ Tesla Motors、電気スポーツカー「Tesla Roadster」の商用生産を開始 2008年3月19日 CNET JAPAN
[編集] 関連項目
- 電気で動く車両
- 電気自動車関連の組織・企業
- その他、電気自動車に関する項目
- 映画『誰が電気自動車を殺したか?』
[編集] 外部リンク
- 電動車両普及センター - 補助金交付、広報などを行う
- 日本EVクラブ - 電気自動車の市民団体、自動車評論家の舘内端が主催
- 東京電力EVカー特設サイト
- 三菱自動車が目指す技術-i MiEV - 2009年に発売予定の電気自動車
- Eco | スペシャルコンテンツ | MITSUBISHI MOTORS JAPAN
- 大阪産業大学EVプロジェクト - 大阪産業大学の学生らが電気自動車の研究を行っているグループ
- 慶應義塾大学電気自動車研究室 - 慶應義塾大学らが開発した電気自動車「エリーカ」の紹介
- Tesla Motorsの公式HP - 米国で2007年からデリバリーするスポーツカー
- 東電プレスリリース-業務用電気自動車の開発について
- 日産-環境への取り組み-電気自動車
- タケオカ自動車工芸 - 富山県富山市の企業。小型電気自動車「ミリュー」「REVA」、車椅子で乗降・運転できるミニカー。
- Girasole 【ジラソーレ】 - イタリア発 100Vのelettrica(電気自動車)
- 株式会社エジソンパワー - 大分県大分市の企業。スズキのアルトやトラックをEV化している。
- トヨタ車体株式会社 - 超小型 電気自動車 コムス
- ECOCHALLENGE
- ゼロスポーツ
- 昭和飛行機工業株式会社 - 金属/食塩電池を使用したeVANと電動マイクロバス、非接触給電システム。
- World EV Album
- EVS22 - EV・HEV・FCHVの国際シンポジウム-第22回は日本で開催
- Buckeye Bullet (BB1) - 世界最速の電気自動車314.958 mph(506.9km/h)
- VENTURI FETISH - モナコの高級スポーツカー
- 本田EV-PLUSプレスインフォメーション
- でんりき車- 鎌倉にある電気自動車を気軽にレンタルできるお店。
- Electric vehicles - 英語版ウィキペディアカテゴリー
- Former production electric vehicles - 英語版ウィキペディアカテゴリー
- 東京R&D FE/95 - 市販EVレーシングカー「FE/95」
- ZEVEX - 電気自動車と自然エネルギーで南極点を目指す市民団体
- 電気自動車と電池は明日を拓く - 電気自動車と二次電池の情報を紹介
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