領空侵犯
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領空侵犯(りょうくうしんぱん)とは、国家がその領空に対して有す権利を侵犯する行為のことであり、具体的には他の国家所属の航空機・飛行物体が当該国の許可を得ず、領空に侵入・通過することを指す。領空侵犯に対して、当該国は対処措置を取ることができる。対処措置には、強制着陸や撃墜などがある。
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[編集] 概要
国際法において、国家が領有している領土・領海の上に存在する大気の部分を領空(空域とも)とし、領海と共にその国の海岸線から12海里までのエリアを領空と定義している。領空侵犯とは、この領域を許可なく侵す行為であり、国際法違反の行為となる。ただし、領空の範囲は大気圏に限られるため、宇宙空間(衛星軌道など)を移動する人工衛星やスペースシャトルなどは領空侵犯に当たらない。もっとも、軍用のミサイルはこの限りではないが、高度200~300kmを高速飛行する物体に戦闘機を発進させて、目視確認することはできない。しかし、イージス艦での迎撃は可能である。
領空侵犯機に対しては、その国の空軍などが対処する場合が多い。戦闘機で目視確認がとれるまでは、航空用語で未確認飛行物体(UFO)とされる。「領空を侵犯していると警告し、速やかに領空外への退去を促す」という対応が一般的である[1]。これに従わなかった場合は、強制着陸やミサイルなどによる撃墜といった措置が取られる。しかし、1983年の大韓航空機撃墜事件ではソ連軍機が適切な手順を踏まずに撃墜した事で、国際的な非難を浴びた[2]。この事件を契機に、国際民間航空機関(ICAO)はシカゴ条約の改正議定書を採択し、同条約に「第3条の2」を追加した。これにより、「民間航空機による領空侵犯に対する要撃に際しては、武器の使用を差し控え人命・航空機の安全を確保しなければならない」という義務が法的拘束力を有することとなった。
[編集] 日本における領空侵犯に対する対応
日本においては、領空侵犯に対し航空自衛隊が対応している。また海上自衛隊のイージス艦や陸上自衛隊のホークミサイル部隊も、対領空侵犯措置に連動している。周囲を海に囲まれた日本は、特に空と海からの侵犯行為に対処するための防衛体制を敷いている。高速で飛来する軍用機に対して、領空を実際に侵犯してから対応するのでは遅すぎるため、独自に防空識別圏を設置し、識別不明機が防空識別圏に接近し始めた時点でスクランブルの発進準備が下令される。
防空識別圏における識別不明機に対する対応手順は以下の順となっている。
- レーダーなどによる防空識別圏侵入の事実またはその恐れがあることを確認
- 戦闘機のスクランブル発進による識別不明機の要撃
- 当該機の識別
- 当該機へ領空侵犯の警告(自衛隊である旨名乗ってから「日本の領空に接近している、速やかに退去せよ」と国際緊急周波数121.5MHz及び243MHzにて英語、または当該国語で呼びかける この周波数は相互に2倍高調波と二分の一低調波の関係にあり、無線故障の場合でもどちらかが受信出来るように考えてある数値)
- 4.が無視された場合、警告射撃
[編集] スクランブル発進
冷戦下では一年間に944回スクランブル発進した年もあり、大半がソ連軍機であった。冷戦終結後は、200回前後まで減少したが、そのほとんどがロシア連邦軍機又は中国軍機によるものと考えられる。2006年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が196回、中国軍機を原因としたものが22回、台湾軍機を原因としたものが8回、その他、韓国軍機・米軍機などを原因としたものが13回行われている[3]。
なお、スクランブルは領空侵犯した時点ではなく、領空侵犯する恐れがある場合に行うため[4]、スクランブルを行った回数すなわち領空侵犯の回数とはならない。航空自衛隊も年間数百回のスクランブル発進を行っているが、実際に領空侵犯があったのは、航空自衛隊が任務について以来およそ30回程度である。
また、スクランブル発進にまで至らない例として、韓国空軍による日本の防空識別圏の直前まで南下し、航空自衛隊によるスクランブル発進の直前で反転する飛行訓練をしていると言う説がある。このような行為は領空侵犯の可能性があり得る行為であるが、領空侵犯ではない。現在の日本周辺において、軍用機が意図的に侵犯することは少なく、多くが訓練中に目標を見誤ったものと考えられるが、韓国軍が「実際に日本へ侵入する訓練をしている」との見方もある[誰?]。
また、冷戦期には自衛隊・在日米軍の迎撃能力や周波数等の情報収集のために、ソ連機が頻繁に日本領空に接近していたほか、現在でも中国軍機とみられる航空機が日本近海で情報収集を行っていた例がある。
[編集] 対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件
冷戦下のソ連軍機による領空侵犯は何度か発生しているが、この事例は自衛隊が創設以来初めて警告射撃を行った事件として有名である。
- 未確認機の接近
1987年(昭和62年)12月9日昼頃、沖縄本島の南西から3機の未確認航空機が、防空識別圏を越えて日本領空に接近した。航空自衛隊那覇基地・第302飛行隊のF-4EJ 2機が通常のスクランブル手順に従って発進、航空機に接近した。航空機は3機のソ連軍偵察機ツポレフ Tu-16「バジャー」であった。
- 警告射撃
3機のうち2機は沖縄本島と宮古島の間を抜けて北上したが、一機はそのまま沖縄本島方面へ進行し、領空を侵犯、嘉手納飛行場の上空を通って沖縄本島を横断した。これに対し、レーダーサイトからの無線警告、およびF-4EJ の翼を振る合図(「我に続け」の意味)を行ったが反応はなかったため、F-4EJのパイロットが南西航空混成団司令部に警告射撃許可を求める。同司令部は自衛隊初の警告射撃を命令、F-4EJ は Tu-16 の前方に出て、20mm機関砲を2度射撃した。また、南西航空混成団では強制着陸の事態に備え、那覇基地の隊員に64式7.62mm小銃と実弾を装填した弾倉を携帯させた。警告射撃後、Tu-16 は沖縄の領空を離れたものの沖永良部島と徳之島の間の上空を強引に突破、そのまま通過し北へ飛び去った。
- 政府の対応
外務省はソ連政府に抗議、ソ連側も事実を認め、遺憾の意を表明、侵犯機のパイロットを一階級下げる処罰を行ったと通報してきた。一方、射撃した自衛隊員と射撃を命令した幹部に対しては、正当な判断だったのかが厳しく問われた。
[編集] 主な領空侵犯事件
- 軍用機による領空侵犯事件
- ベレンコ中尉亡命事件(ソ連軍戦闘機の日本侵入、着陸)
- U-2撃墜事件(米軍機のソ連侵入)
- 民間機による領空侵犯事件
- リビア航空機撃墜事件(1973年 リビア航空機の領空侵犯)
- 大韓航空機銃撃事件 (1978年 韓国旅客機のソ連領空侵犯、銃撃事件)
- 大韓航空機撃墜事件 (1983年 韓国旅客機のソ連領空侵犯、撃墜事件)
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
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最終更新 2009年10月19日 (月) 12:57 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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