頭蓋内圧

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頭蓋内圧(ずがいないあつ、en:intracranial pressure;ICP)とは、特殊な医療機器によって測定される頭蓋骨内部の圧力である。脳圧、脳髄液圧とも言う。その圧はホメオスタシスによって極めて一定に保たれており、その大きな変動は、重大な疾患の表徴であると共に、それ自体が死或いは致死的な合併症をもたらす。

目次

[編集] 正常範囲

臥位での成人に於いて10~15cmH2Oである。

中枢神経系は、頭蓋骨はもちろん、脊椎によっても(正確にはそれらを内張りする硬膜によって)ほぼ密閉された状態が保たれている。その内容物は大きく分けて脳実質・脳脊髄液・血管であるが、どれかの容積が増えればそれ以外の容積を減らすことによって、その内圧は一定に保たれる。しかしそうしたホメオスタシスが限度を超えたとき、或いはホメオスタシスが機能しなくなったとき、頭蓋内圧の変動が起こる。

[編集] 低下を来たす疾患

原発性低髄圧症や、頭部外傷・脊髄損傷後の後遺症など。医原性のものも決して少なくはなく、腰椎穿刺や脊髄麻酔後の髄液漏出による低髄圧症などがあるが、これは万全を尽くしても一定の確率で確実に起こる。ドレナージ(後述)の管理ミスによる急激な低髄圧は死に至ることもある。

[編集] 亢進を来たす疾患

臨床的意義としてはこちらの方が重要である。頭蓋内圧の上昇は、各種脳出血頭部外傷脳腫瘍髄膜炎、神経毒の中毒症など、いずれも放置すれば致死的な疾患を意味する。そしてそれらの疾患がもたらす脳圧の亢進自体が、ある一点を超えれば致死的となる(後述#脳潅流圧を参照)。

頭蓋内圧の亢進による死は、

によってもたらされる。特に尿崩症は対処に限界があり、病院内での死因はこれが多い。

[編集] 測定方法

頭蓋骨の直下に圧電センサーを入れる方法と、側脳室に直接チューブを差し込んでそこから立ち上がる水柱の圧を測る方法(脳室ドレナージ、英:extraventricular drainage;EVD)がある。頭蓋内圧にSI国際単位系が使われないのは後者における利便性を考えてのことであり、臨床現場に於いての測定し易さを最優先にするためである。

[編集] 圧電センサー

[編集] 脳室ドレナージ

[編集] 頭蓋内圧亢進の原因

[編集] 脳浮腫

脳実質の容積の増大である。他のどの臓器とも同じく、脳も侵襲を受ければ浮腫を起こす。その機序には3つの異なる経路があるが、多くの疾患に於いて3つの経路が同時に起こっている。

[編集] 血管原性浮腫

[編集] 細胞毒性浮腫

[編集] 髄液浸透性浮腫

[編集] 脳血流の変調

炭酸ガス分圧の上昇による脳循環血液量の増加など。

[編集] 頭蓋内髄液の増加

[編集] 脳脊髄液産生の増加

流路閉塞、吸収障害、過剰分泌による脳脊髄液の貯留など。

[編集] 急性水頭症

[編集] 頭蓋内占拠性病変

腫瘍、血腫、膿瘍など。

[編集] 頭蓋内圧亢進の症状

[編集] 自覚症状

  • 頭痛:最も頻度が高いが必発ではない。早朝に起こる early morning headache が多い。
  • 嘔吐:嘔気を伴うことが多いが、これを伴わず突然生ずることもあり、多くは噴出性 projectile である。
  • 視力障害:初期にはあまり自覚されず、一過性反復性の視力障害として見られることが多い。頭蓋内圧亢進が長く続くと視神経萎縮を引き起こし、失明することがある。
  • 複視:多くは外転神経麻痺により起こるが、動眼神経麻痺によることもある。

[編集] 他覚的所見

  • 鬱血乳頭:視神経乳頭が突出、乳頭辺縁が不鮮明となる。乳頭周辺に網膜出血を認めることがある。
  • 眼球運動障害:1側の外転障害が多い。
  • 意識障害:頭蓋内圧亢進に伴い、意識障害の程度は進行する。テント切痕嵌頓に陥ると昏睡となる。
  • 瞳孔不同:テント切痕嵌頓により動眼神経が圧迫されて起こり、散瞳側の対光反射消失を伴う。
  • 徐脈血圧上昇、体温上昇:急激な頭蓋内圧亢進により視床下部延髄が障害されて起こる。

[編集] 頭蓋内圧亢進の治療

頭蓋内圧亢進はそれ自体が致命的であるため、原疾患の治療と平行して、時には優先してでも、それに対する治療を行わなくてはならない。

[編集] 内科的治療

  • 浸透圧性利尿剤
一時的に血液の浸透圧を上げることで、髄液や脳実質の水を血管内に吸い出し、尿として排泄させる。
全量が糸球体で濾過され、しかも再吸収されないため、余分な水分を強力に体外に排泄することが出来る。副作用として脱水症状があり、また頭蓋内圧の低下も急であるから、使用は特に重度の頭蓋内圧亢進に限定される。
果糖は細胞内に取り込まれ、尿中排泄されないため、副作用としての脱水の危険が(マンニトールに比べれば)少ない。

[編集] 外科的治療

  • 脳室ドレナージ
上述。

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

[編集] 関連項目

最終更新 2009年9月2日 (水) 05:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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