食のタブー
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食のタブー(しょくのタブー)とは、飲食において宗教、文化上の理由でタブー(禁忌)とされる特定の食材や食べ方である。
特定の食材がタブーとされる理由としては、大別して
- 宗教上、文化上、法律上食べることが禁止されている
- 心理的な背徳感から食べることができない
- 食材と考えられていないから食べない
の3種があげられる。
なお、純粋に医学的な理由から、ある特定の食材を避ける必要がある人もいる。一例としては食物アレルギーを有する人の場合、特定の食材がアレルギー症状(場合によっては生命にも関わる)を引き起こすために、該当する食材を避けなければならない。
目次 |
[編集] 文化による違い
[編集] 宗教
「不浄な生き物」も参照
宗教によっては、特定の食肉の摂取を禁じている例が少なくない。たとえば、ユダヤ教はカシュルート(適正食品規定)と呼ばれる食べてよいものといけないものに関する厳しい規則を定めている。食肉がカシュルートにかなうためには、シェヒーターと呼ばれる屠殺方法を用いなければならず、後半身からは座骨神経を取り除かなければならない。ヨム・キプル(贖罪の日)には飲食が禁じられる。イスラム教ではハラールな食品のみ摂取が許される。ハラールは禁忌とされる食材が除外されるだけでなく、摂取が許される食肉についても特定の儀礼によって屠殺されることが必須とされる。さらにイスラム教徒の義務としてラマダーンという断食の習慣も遵守されている。ユダヤ教とイスラム教では、狩猟によって得られるジビエも禁忌とされる。
ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教(戒律の五戒で初期仏教の三種の浄肉以外)は肉食を禁止しているため、これらの宗教の信者は今でも多くが菜食主義者であり、精進料理を調理し食べる習慣がある。ラスタファリズムも菜食を奨励する。キリスト教のセブンスデー・アドベンチスト教会では、ユダヤ教の戒律に準じた食品の摂取と菜食主義を奨励している。キリスト教文化においては、かつて金曜日はキリスト受難の日として肉食を避けるべき日とされ、魚を食べる習慣があった。
現在でもポーランド、南ドイツ等のカトリック勢力の強い国あるいは地域では、この習慣が残っている。なお、正教会では、今日でも水曜日(キリストが裏切られた日)と金曜日には肉・魚・卵・乳製品・植物油・酒類を摂取しない習慣がある。ただし、カトリックにおける小斎、大斎、正教会における斎(特定の日に特定の食物の摂取を控えること)は、厳密な意味の食のタブーではない。実際、ローマ教皇庁は金曜日に肉を食べてはいけないとの公表はしていない。正教会の場合、斎の実行は、個人の自由意志に基づくものとしている。
[編集] 心理的な背徳感によるタブー
特定の食材が心理的な背徳感を喚起するため、食用とすることができない。役畜(ウシやウマなど)、ペット動物(イヌ、ネコ、ウサギ)、高い知能を持つと考えられている動物(高等哺乳類)、絶滅危惧種など、社会で高い価値が認められている動物や植物がこれにあたる。これらに対するタブーは立法化されることが多い。また、一般に食用と考えられている動物でも、ペットとして接することによって特定の個体が擬人化され、食材とみなすことができなくなる場合もある。社会価値の変遷により、何をタブーとするかは同じ社会においても急速に変化する可能性がある。
また、単に人間用の食材と考えられていないからタブーとなる例もある。多くの文化にとっては多くの無脊椎動物やネズミなどがこれに該当するが、これらに対するタブーが立法化される例は高い価値が認められている生物の例よりも少ない。
[編集] 立法
食のタブーが法によって強制力を持つ例もある。これは異なる食文化への迫害や、人権蹂躙であると主張される可能性がある。たとえば香港では中国に主権が返還されたが、イギリス植民地時代に定められた犬肉、猫肉の供給を禁じる法令が撤回されないままになっており、同じ文化圏に属する広東省の食文化との食い違いが見られる。
[編集] 合食禁
特定の食物の組み合わせが禁忌となる場合があり、これを合食禁と呼ぶ。例えばユダヤ教では、魚と卵を除く動物から得られた食品と乳や乳製品を食べ合わせることを禁じており、この二つを食べる場合は地方にもよるが1時間から数時間の間隔を置かなければならない。これはレビ記の「(動物の)母の乳でその子を煮てはならない」という記述にもとづく。厳格なユダヤ教徒は食器から食器洗い機にいたるまで、肉用と乳製品用のものを別にしている。
[編集] 多文化主義の食のタブーへの対応
多文化主義が浸透している社会では、特定の宗教や信条によって課せられている食のタブーに配慮した食事を選べるようにすることが普通になっている。宗教や医学的な背景から、多くの国籍(宗教)の人の利用が想定される国際線航空便の機内食の場合、社にもよるが、出発24~48時間前までに申し込めば、イスラム教やユダヤ教、菜食主義者など特定の宗教や信条に対応した料理や、低脂肪、低塩分、低(高)タンパク質などの料理といった、特別な機内食が配られる体制を持っている会社が多い。この他、学校や病院の給食でも同様の対応が見られる。
[編集] 極限状態でのタブー
人が極限状況に置かれた場合や社会が戦乱や飢饉などで窮乏した場合、食のタブーが弛み、禁忌とされる食材や人肉までもが消費されることがある。これは餓死の危険が迫ったときに自己保存本能がやむなく慣習に優先するためであるが、タブーを破る現象は衝撃的で多くの人に生理的嫌悪を感じさせるため、センセーショナルに報道されやすい。
[編集] 文化が人に食へのタブーを課すのはなぜか
イギリスの文化人類学者、メアリー・ダグラスの『汚穢と禁忌』によれば、食の禁忌は分類上の落ちこぼれが持つ中途半端な属性がケガレとされたことに理由があるとされている。例えば牛やヤギは四足で蹄が割れており反芻胃を持つのに対し、豚は蹄が割れているが反芻をせず、また兎は反芻はするが蹄が割れてないなど、分類上中途半端であるがゆえに禁忌とされたことになる。
健康上の理由が禁忌につながった可能性もある。たとえば、未調理の豚肉を食べることは旋毛虫病、E型肝炎に罹患する恐れがあり、多くの海産物も食中毒の恐れが高いとされる場合があるが、これらの考え方は俗説にすぎないという批判もある(詳細はカシュルートを参照)。
[編集] 「食材」別 食のタブー
[編集] 食肉(哺乳類)
[編集] 牛
多くのヒンドゥー教徒はどんな肉も全て忌避する。特に牛はヒンドゥー社会では神聖なものであるとされ、ほとんどのヒンドゥー教徒は牛肉を食べない。しかし過去、カーストに属さない不可触賎民は屠殺を生業とすることがあり、牛肉を食べることがあった。現在、牛肉食はインドでもところどころで受け入れられるようになってきた。インド産以外の牛肉なら食べてもよいと考えるヒンドゥー教徒もいる。また、水牛は関係なく、宗教上食べても問題ない[要出典]。牛乳や乳製品は禁忌とはされない。
台湾の年配の人たちにも牛肉食を控える傾向がある。牛は農業に有用なので食べることは間違っていると感じられるからである。また、カナダのアカディア人もかつては役畜としての役割を終えた牛のみを屠殺して食用にした。
[編集] 馬
モーゼ法の時代から、厳格なユダヤ教徒は馬肉を食べない。馬はひづめが割れていないし反芻もしないので、この肉を食べることは禁じられている。しかしながら、イスラム教圏の国では馬は禁忌ではないが避けた方がよいとされる[要出典]。
英語圏では馬肉はタブーとされることが多く、馬肉の供給はしばしば非合法でさえある。ロブスターやラクダのように、ユダヤ教やキリスト教のある宗派にとっては馬肉が禁じられている。西暦732年に、トゥール・ポワティエ間の戦いの直後に軍馬の供給が重要視されたため、教皇グレゴリウス3世はユダヤ教の禁止令と同じくレビ記にもとづき、異教の「嫌悪感を催す」馬肉食の風習をやめる取り組みを始めた。1000年にアイスランドにキリスト教を布教した際、教会関係者はアイスランド人に馬肉食を禁じないことを約束せねばならなかった。
馬肉に対する態度には文化的に近い民族や同じ民族の中でも大きな違いがある。例えばフランスではイギリスと違い必ずしもタブーではなく、大韓民国では馬肉食の習慣は一般的ではないが馬産の伝統が長い済州島は例外である。日本では名馬の産地として知られた東北地方など地方によってはかなり古くから食べてきたが、競馬関係者及び競馬愛好者の間での馬肉食はタブー視されている。また、コンビーフやソーセージなどにも馬肉が入っていることもある。
[編集] ラクダ
ユダヤ教徒にとってラクダの屠殺と摂食はモーゼ法によって厳格に禁止されている。ラクダは反芻するにも関わらず、蹄を持っていないからである。イスラム教ではラクダを食べることを禁じていないが、下等な食肉と見なされている。
[編集] トナカイ
トナカイはアラスカ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシア、カナダではよく食べられているが、アメリカ人やイギリス人とアイルランド人の多くはトナカイ肉を食べることに抵抗をおぼえる[要出典]。北欧諸国ではトナカイは伝統的な食肉用の家畜、「北の牛」と考えられている一方、家畜としてのトナカイが一般的でない欧米のその他の国ではむしろサンタクロースの橇を引く役畜と考えられているからである。
[編集] シカ
遠野のおしら様を奉じる家では、鹿肉の消費を禁忌とした[1]。 おしら様を信仰している家では鹿のみならず「四足」の牛や豚、さらに「二つ足」の鶏であっても、肉類の食用は憚られる。タブーを犯すと、「口が曲がる」という。このタブーを嫌がり、おしら様の信仰をやめた家も多い。
[編集] 豚
豚肉を食べることは、イスラム教、ユダヤ教、セブンスデー・アドベンチスト教会で戒律上禁じられており、現在でも比較的良く守られている。この決まりごとには様々な論理があるが、禁じている考え方それぞれ全てに受け入れられている論理はない。「不浄である」と考えられていることは、下記の点によるとされている。
- 豚はストレスを感じたときに水中や泥、排泄物の上でもお構いなしに転げまわってのたうつ性質を持つ。
- 皮膚の表面が毛で覆われておらず、人間の健康に害を及ぼす汚れが皮膚に付いてしまっている(イスラム教の考え。表面がウロコで覆われていない海産物であるイカやタコも同様の理由により禁じられている)。
- 何でも食べることで、「人間にとって貴重な食物を奪い合う存在」と考えられている。
なおイスラエル国防軍は必要に迫られた場合のみ豚肉を糧食として用いてもよいが、その際の食器は全て1回の使用で捨ててしまう。
研究者による豚肉食への禁忌の説明として、食べることが禁止されているものがあることで人間に地球上の全ての動物の生死を決められる権利が与えられているのではないことを理解させ、また軽率にも地球の全ての種に対して奉仕する責任がないことに気づくであろう、というものがある[要出典]。
かつてハワイ王国では、カプという掟により女性は豚を食べることを禁じられていた[2]。
[編集] ウサギ
ノウサギは旧約聖書のレビ記において特に不浄な動物であると述べられていて、ユダヤ人とユダヤ人のキリスト教徒はこの禁忌を固く守っている。
ヨーロッパではジビエとしてノウサギを食べる他、家庭で草や野菜くずを与えてカイウサギを飼育し、肉用にニワトリを飼う感覚で屠殺して食べることも珍しくなかった。しかし、ウサギを食べる機会よりもペットとして接する機会が多くなった社会では、ウサギを食べることに抵抗を持つ人が多い。
日本では現在はウサギをあまり食べないが、かつては一般的な食用獣であり、例えば徳川家でも正月にウサギ肉入り雑煮を食べたという。ウサギを「匹」といわず、鳥類と同様の「羽」と数えるのは、「四つ足でない」ため食べてもいいというこじつけ(ウサギを鵜と鷺に読替え鳥肉と偽る)のためだったといわれる。ただし、この「羽」という数え方はあくまでウサギを「食肉」として扱う際の数え方である。
[編集] ネズミ目
西洋のほとんどの文化では、ネズミは不潔な害獣またはペットであって、人が食べるには適さないとされている。しかしながら、ネズミはアフリカのガーナやタイ、インドシナ半島などの田園地帯ではよく食べられている。クキネズミ(Thryonomys swinderianusやThryonomys gregorianus)などの大型のげっ歯類はアフリカでは重要なタンパク源である。また、テンジクネズミは世界の多くの地域でペットか実験動物とみなされているが、元来は、ペルーやコロンビアなどインカ文明の影響下にあった地域でクイまたはクリと呼ばれ、食用の家畜として家畜化された動物である。歴史的に見ると、食糧不足や緊急時には欧米でもねずみを食べており、ヴィックスバーグの戦いやパリ包囲戦のときがこれにあたる。古代ローマでは、ヤマネを家畜とし、食料ともした。中国を含むアジアの一部の国ではハタネズミやタルバガンが食べられている。ある国ではマスクラットは毛皮や肉のために狩られている。アメリカ合衆国やカナダではハイイロリスやウッドチャック、ビーバー、ヤマアラシを狩って食べる習慣があったが、人口が都市部に集中するにつれ廃れつつある。
[編集] クジラ・イルカ
「捕鯨問題」も参照
クジラやイルカは鱗がない水棲動物なので、ユダヤ教ではレビ記第11章の条件にあてはまらないため、カシュルートにより食用禁止となる。イスラム教はユダヤ教を基盤に成立した宗教だが、水棲動物に関する食のタブーははるかに緩く、クジラの食利用も禁じていない。ハディースには、浜辺に打ち上げられたクジラの死骸から食料を作っている場面が描かれ、それを食べてもよいか?と教友が預言者ムハンマドに尋ねたところ、「海から来たものなら死んでいるものでも食べてもよい」と答え、預言者ムハンマド自身、クジラの肉を食べたと言われている。キリスト教の大多数の宗派も同様である。欧米諸国では20世紀始めまでは主に鯨油を採取するため盛んに行われ、鯨肉を食べることもあった。日本、ノルウェー、アイスランドやフェロー諸島、インドネシア等では限定的に行われており、これらの国では伝統的に鯨が食肉として食べられているが、鯨肉を食べない国からは種の保存の観点で保護が求められている。日本でも古くから西日本を中心とした捕鯨を基幹産業とする地域において食用とされ、現代でも文化を引き継ぐ千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県、和歌山県、沖縄県などの地域ではスーパーでイルカ肉が売られている。戦後の食糧政策で鯨肉は日本中で一般的に食するようになり、最盛期には学校給食に安く卸されていたほどで、タブーではなかった。鯨肉食を禁忌とする根拠として「クジラやイルカは頭の良い動物だから人間が食べてはいけない」という考えがある[要出典]。またクジラ・イルカは一撃で殺すことが難しいため残酷だという指摘もある。捕鯨を禁止している国でも、近代捕鯨の捕獲圧が問題であるという観点から、先住民による捕鯨はその個体数を激減させない程度に認められている。
[編集] 犬
詳細は「犬食文化」を参照
犬食文化をもつ国々では、犬をペットとして飼う一方食用ともし、食肉用の犬種を作り出すこともあった。しかし、犬を主に愛玩動物と見なす欧米の習慣が浸透するにつれ、文化摩擦を引き起こす例がある。韓国では狗肉(くにく)はタンコギ(「甘い肉」の意)と呼ばれ、夏に体力をつけるための補身湯に使用される。現代ではこの風習は特に韓国西部で愛犬家と狗肉愛好家の間に摩擦を引き起こすことで時折ニュースになる。たとえば、2002年のFIFAワールドカップ日韓大会ではFIFAのゼップ・ブラッター会長が韓国に狗肉食の禁止を要請したが、FIFAの鄭夢準(チョン・モンジュン)副会長兼韓国サッカー協会会長や高建(コゴン)ソウル市長が拒否した経緯もあった。中国でも、朝鮮族の多い吉林省のほか、湖南省、貴州省、雲南省などで現在も犬食は一般的である一方で[要出典]、犬がペットとして飼われている。
日本においても、中世、近世、および戦時中などでは赤犬などがしばしば食用とされており、食糧難であった第二次大戦中は都市部で犬の数が一時的に減ったとされている。[要出典]フィリピンなど他の国では、犬は非常用食料として飼われている。[要出典]ほかにも中国では過去、チャウチャウ犬は家を守るためにしばしば玄関につながれていた。食料が激減する厳しい冬の間に、犬は緊急食料として屠殺された。
ヨーロッパでは、スイスのアッペンツェル地方とザンクト・ガレン州では狗肉のジャーキーやソーセージを生産し、犬の脂肪を医療用に利用する伝統を持っている[3]。スイス政府は全国的に狗肉や猫肉を食することは禁止していないが、流通と販売は禁止している。
[編集] 霊長類
猿や類人猿はわれわれ人間と同じサル目に属し、生物学的に近縁であるために、霊長類を食べることはカニバリズムにとても近い行為だとされる。また、種の相似性は摂食を通じたウィルス感染の危険性を増加させる。ヒト免疫不全ウイルス(エイズウィルス)の起源の主要な説のひとつには、HIVと同じウィルスに感染した類人猿の肉を食べたことがあげられている。
サハラ砂漠以南のアフリカ諸国や東南アジア、なかでも特にインドネシアのように霊長類の個体数が多い地域では、多くが「森の肉」(Bushmeat)として野生から捕獲される。中国でも、近年までアカゲザルが宴会料理として出される例があった。
「森の肉」の狩猟と消費は、森の肉を消費する地域の食糧問題や地域経済、法の整備や遵守と密接に関わっている。無計画な「森の肉」の狩猟と消費は、森の肉として狩られる野生動物を絶滅に追いやる深刻な恐れがあり、今世紀の環境問題の一つである。
[編集] 生肉
肉類は寄生虫の感染や食中毒を防ぐために火を通して食べることが多い。生肉を食べることは多くの国で暗黙のタブーとして存在し、焼かない肉を食べるのは野蛮あるいは危険だとか、食べる際に血液がにじみ出る様が嫌がられる(次の項目を参照)など、嫌われる理由は色々ある。生魚を食べる習慣がなかった地域では、生魚も生肉と同様に嫌われることが多かったが、この傾向は寿司の世界的な普及により変わってきている。
エスキモー(イヌイット)など厳寒の地に暮らす民族は、生肉や血液を貴重な鉄分やビタミン源としてきた。しかし近年は運搬技術の発達によりアラスカ州などの遠隔地域でもビタミン剤や野菜が手軽に手に入るようになり、生肉を食べる習慣は廃れつつある。
一方、新鮮な肉が手に入りやすい立場にある人々は刺身、タルタルステーキ、カルパッチョなどの形で生肉特有の味を賞味してきた。ローフーディズムは栄養学状の理由から、火を通した肉よりも生肉の摂取をすすめている。
[編集] 血液
ユダヤ教徒、イスラム教徒やエホバの証人の信者は、飲血や血から作られた食物をとることを禁じられている。生きたまま動物を食べる踊り食いも、血を含むため禁じられる。[4]
しかし、屠殺の主要な副産物である血液は非常に栄養価が高いため、世界各地で食用とされてきた。ブーダンなど血で作ったソーセージや血入りプディングは世界の多くの地域で非常に有名であるにも関わらず、一部の先進国では気持ち悪がられることがある。
中国やベトナムでは、豚やアヒルの凝固した血液をそのまま、あるいは麺などの料理とともに食べる。中国では、豚の血を塩水で豆腐のように固めたものを猪紅(チューホン)と言い、粥や鍋料理の具などとして食べる。また、19世紀には饅頭に人血を塗った「人血饅頭」が肺病に効くとされて浙東一帯に流行した。魯迅の小説『薬』ではこの人血饅頭が取り上げられている。日本ではかつて四つ足の肉を食べなかったが、これには肉食を禁じる仏教の戒律と、血の穢れを嫌う神道の考えが影響しているといわれるが、強壮効果があるスッポン、鯉、ホンハブ、ニホンマムシなどの血を飲む習慣がある。料理や食文化の歴史が異なる沖縄諸島などでは、豚やヤギの血液を他の食材と炒め煮にした「血いりちー」という料理がある。アフリカのマサイ族などは、牛やラクダの生き血を飲む習慣を持つ。
[編集] 鳥類
ユダヤ教では、肉食の鳥類を不浄としている。
古代から中世にかけてのヨーロッパでは、ズアオホオジロなどが食通によって賞味されていたが、今日の欧米では小鳥は一般的な食材とは見なされない。
かつてベンガル地方では、若い娘がアヒルの卵を食べることを禁じた。アヒルの卵は体に熱を与えると信じられているため、貞操を危機にさらす効果があると考えられたためである[5]。。
[編集] 魚介類と無脊椎動物
[編集] 魚
ケニアのキクユ族とカレンジン族の一部は魚を食べることを禁忌している。
ユダヤ教徒は、レビ記により鱗とひれを持たない水生動物を不浄とすることから、水中に住むにもかかわらず鱗をもっていない淡水ウナギやナマズのような魚の摂食を禁止している。イスラム教シーア派は淡水ウナギを不浄としている。
かつてハワイ王国では、女性はアジ(ulua)やクームー(kūmū)を食べることを禁じられていた[2]。
豊臣秀吉と徳川家康はフグ食の禁止令を発し、明治時代に入るまで解禁されなかった。フグは猛毒という認識のため、フグを食材と見なしていない地域は多い。
モンゴルではアムールイトウの生息する水系がいくつかあるが、古くより遊牧を生業としてきた事から、魚をは食料とは考えられていない。ウランバートルにもイトウ料理を出す店があった時期もあるが、現在は存在しないとの事である。チンギス・カンが幼少期において困窮していた事を示す逸話のひとつとして、魚を食べていたという事が語られている。
[編集] 甲殻類とその他の海産物
貝、エビやカニ、イカ、タコといった魚類以外のほとんどの海産物は水中に住んでいるがひれと鱗を持たないので、ユダヤ教とキリスト教の一部の教派によっては食べることを禁止されている。キリスト教でも正教では斎 の最中は魚の代わりとして食べるため、地中海付近ではイカやタコを使った料理が発達している。
食べることを禁止されていなくても、特にイカやタコはグロテスクな生き物というイメージが強く[要出典]、これらを食用とする地域は東アジアとイタリアやスペインなど地中海沿岸、およびラテンアメリカの沿岸部に限られている。
オーストラリアでは「食物を苦しませずに殺す法律」があるので、ロブスターやエビといった甲殻類でも調理するときには即死するように脊髄からさばくことが定められている。生きているそれらをそのまま焼いたり茹でるのは厳禁とされている。
[編集] 昆虫
「昆虫食」も参照
ユダヤ教では、イナゴやバッタの仲間を除く虫は全て不浄であるとされる。虫が混入した食物も、虫を誤って食べるおそれがあるために避けられる。
昆虫食はアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、オセアニアで今なお親しまれており、昆虫は安価で良質のタンパク源になりうる。
[編集] 植物
[編集] ネギ属
「禁葷食」も参照
仏教やヒンドゥー教では、タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、アサツキなどネギ属の植物の消費が禁じられている。
イスラム教では、ムハンマドが祈りの前に生のタマネギとニンニクを食べることを禁じたとされる。
[編集] 豆類
ピュタゴラス教団は、豆類を禁忌とした。これはソラマメ中毒の予防が目的ではないかと考えられている。
[編集] その他
ハワイでは、かつて女性がバナナやココナッツを食べることを禁忌とした[2]。
アボカドは催淫効果があると信じられていたため、貞潔な印象を壊さないためにその購入や消費を避けることがあった。
厳格なユダヤ教徒は虫が隠れていてカーシェールではないかもしれないため、ブロッコリーなどを避けることがある。また、カーシェール機関は果物を潰さないで不浄な生物を取り除くことが難しいため、ブラックベリーやラズベリーを避けるように勧告している。
[編集] 飲料へのタブー
[編集] 酒
アメリカ合衆国では、禁酒法により1919年から1933年まで酒類の生産、取引と消費が違法となった。現在でも酒類の売買を違法とするドライカウンティと呼ばれる郡が残っている。
海上自衛隊では再軍備に関わった禁酒法時代のアメリカ海軍の流れをくんでいるため艦内での飲酒は禁止されている。
イスラム教では戒律により飲酒は禁止されている。ただし、実際のイスラーム社会では飲酒がタブーである社会は多くはない(イスラム教における飲酒を参照)[要出典]。アラブ首長国連邦では非イスラム教徒の外国人だけは飲酒を認められている。
末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)、セブンスデー・アドベンチスト教会、ラスタファリズムは飲酒をタブーとしている。
仏教は過度の飲酒を戒めている。キリスト教も同様だが、救世軍は飲酒をタブーとしている。
[編集] 茶、コーヒー
末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)はカフェインを含む飲料(茶、コーヒー、炭酸飲料の多く)をタブーとしている。ラスタファリズムはコーヒーを禁忌としている。
[編集] 乳
[編集] 人肉食へのタブー
詳細は「カニバリズム」を参照
今日の世界においては人肉食を許容している文化はないが、過去には人肉食を特定の形で許容する文化が世界各地に存在した。
[編集] その他
人体の健康や環境への懸念から、アジアやヨーロッパ、アフリカには遺伝子組み換え生物から作られた食品を忌避する国が存在する。
[編集] 脚註
- ^ 柳田国男。遠野物語拾遺。新潮文庫、昭和48年。p109。
- ^ い ろ は Corum, Ann Kondo. Ethnic Foods of Hawai'i: Revised Edition. The Bess Press, Honolulu, Hawai'i, 2000. p4
- ^ [1]
- ^ 創世記9章4節。bible.cc
- ^ Banerji, Chitrita. Bengali Cooking: Seasons and Festivals. Serif, London, 1997. p150
[編集] 関連項目
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