養蜂
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養蜂(ようほう)とは、蜂蜜あるいは蜜蝋や花粉をとるためにミツバチを飼育することである。また、虫媒による、農作物の受粉を確実にするためにも使われる。
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[編集] 歴史
ローマ神話では、人間に養蜂を教えたのはアリスタイオスということになっている。蜂蜜と人類の関わりは古く、スペインのアラニア洞窟で発見された約1万年前の壁画に蜂の巣から蜜を取る女性の姿が描かれている。メソポタミア文明の象形文字にも蜂蜜に関することがらが記載され、古代エジプトの壁画に養蜂の様子がえがかれている。
古代ギリシアの哲学者、アリストテレスは著書『動物誌』にて、養蜂について記述している。そこでは、ミツバチが集める蜜は花の分泌物ではなく、花の中にたまった露であると述べている。
中世ヨーロッパでは、照明用のロウソクの原料である蜜蝋をとるために、修道院などで養蜂が盛んに行われた。
日本における養蜂のはじまりは『大日本農史』によれば皇極天皇二年(642年)とされている。平安時代には宮中への献上品の中に蜂蜜の記録がある。江戸時代には巣箱を用いた養蜂が始まったとされる。明治時代に入り、西洋種のミツバチが輸入され近代的な養蜂器具が使われるようになり養蜂がさかんになった。戦後、高度成長期に開発が進み農薬の使用が増えるなど養蜂に適した環境が少なくなり、安価な輸入品が増えたため養蜂業は衰えた。
[編集] 近代養蜂
19世紀にいたるまでは、蜂蜜を得るには蜂の巣を壊して巣板を取り出すしかなく、それによって飼育コロニーは壊滅させざるを得なかった。1853年、アメリカ合衆国のラングストロス (L. L. Langstroth) が自著『巣とミツバチ』"The Hive and the Honey Bee"において、継続的にミツバチを飼育する技術である近代養蜂を開発した。可動式巣枠を備えた巣箱や、蜜を絞るための遠心分離器の発明により、近代的な養蜂業が確立した。現在に至るまで養蜂の基本的な手法はラングストロスの方法と変化していない。
養蜂では、巣礎と呼ばれる厚板を直方体の箱に8~10枚並べる。自然の巣をまねて、巣礎は鉛直面に平行に並んでいる。巣礎はミツバチが巣板を形成する土台となる。形状は縦横比が1対2程度の長方形の中空の木枠にすぎないが、壁面の一つには、蜜蝋とパラフィンを用いた厚紙状の土台を張っておく。土台にはあらかじめ六角形の型が刻まれているため、ミツバチが巣を作る足がかりとして適している。
蜂蜜を貯蔵するのは自然の状態でも養蜂においても巣板の上部に限られており、下部には卵を孵し、幼虫を育てるための領域が存在する。下部には花粉を貯める領域も存在する。ミツバチは、六角柱に蜂蜜を貯めた後、蜜蝋で蓋を貼る。
自然の状態では、秋の終わりから春にかけて、花がほとんど存在しない時期には貯蔵した蜂蜜を消費する。春の初めは幼虫が孵化する時期であるため、蜂蜜の量が最も減る時期である。その後、開花が始まり貯蔵量が回復していく。夏季においても、一時的に花が少ない時期があるため、蜂蜜の量が減少する。ニホンミツバチが一回に持ち帰る蜂蜜の量は20mg程度である。冬季には巣の中の餌(蜂蜜)が不足しミツバチが餓死することを防止するため、餌として夏季に採集しておいた蜂蜜や異性化糖などの糖類を与えることが有る。但し、日本養蜂はちみつ協会では蜂蜜ではなく砂糖水を餌として与えることを奨めている。[1] ミツバチは花から採集した花蜜も与えられた餌も同じく巣に貯めるため、活動を再開する春までに残った餌の異性化糖が蜂蜜に混入することとなる。
[編集] 移動養蜂と定置養蜂
養蜂には移動養蜂と定置養蜂の2種類がある。定置養蜂が同じ場所で次々に咲く異なる種類の花の蜜を集めるのに対し、移動養蜂は特定の花の開花時期に合わせて国内各地を移動する。近年では定置養蜂として果樹の受粉目的のほか、定年退職後の元サラリーマンなど養蜂業に縁のなかった個人が自宅の庭やベランダに設置した巣箱で飼育し、蜂蜜も自家消費する分だけ採るといった「趣味の養蜂」が増えている。一方で、生産コストの増大や養蜂業者の高齢化などの問題により移動養蜂は減りつつあるのが現状である。 一種類の花の開花時期のピークはそれほど長くなく、ミツバチは一ヶ所に集中して蜜を集める習性があるため、特定の花の蜜だけを集め、「xxx花蜂蜜」と言うものを得ることが出来る。
移動養蜂では、例えば本州で、レンゲソウ、リンゴ、アカシア(ニセアカシア)、トチ、北海道でクローバー、アカシア(ニセアカシア)の様に花を追いかけ1カ所15日を目安に点々と長距離の移動をする。
定置養蜂では、年間スケジュールが自然の状態と似ている。ただし、養蜂を営む地域や蜂蜜の対象となる花の種類によって時期は前後する。以下では、日本国内の太平洋沿岸地域を例にとる。
- 11月から3月の間は巣箱を回収し、室内(越冬庫)に保管する。ミツバチが活動を再開しないように温度や光量を管理する必要がある。4月から5月にかけては女王蜂が卵を産み、3週間後に働き蜂が作業を開始する。養蜂には巣箱当たり2~3万匹の働き蜂が必要である。
- 5月から6月にかけて、巣箱を屋外に配置し、採蜜作業を行う。
共に巣礎が蜂蜜でいっぱいになったら、巣箱に煙を通してミツバチの活動を押さえ、遠心分離機を用いて蜂蜜を回収する。6月から11月は休閑期に相当し、ミツバチが回収した蜂蜜は採蜜せず、ミツバチ自身の利用にまかせる。
[編集] 要注意外来生物リスト問題
国内産ハチミツの半分はニセアカシア由来と言われている。[2]主要な蜜源植物のニセアカシアが外来生物法の要注意外来生物リスト[3]にあげられ、駆除(伐採)がされているが、全国の養蜂業者による「日本養蜂はちみつ協会」は「アカシアを守る会」を結成しリスト指定に反対をしている。従来、レンゲソウが蜜源植物として利用されてきたが、レンゲの作付けが減少しニセアカシアへの依存が高まっていたことも問題の背景にある。2007年秋には天竜川、千曲川流域の河川敷で伐採作業が行われた。
[編集] 病害虫
[編集] 巣に影響
- 養蜂の大敵であり、巣を襲って成虫、サナギ、幼虫を問わずエサにして巣に持ち帰る。特にオオスズメバチは数匹で巣を全滅させる。
詳細は「スズメバチ」を参照
- スムシ
- 直接ミツバチを襲うわけではないが、養蜂家からスムシ(巣虫)と呼ばれ嫌われるハチノスツヅリガ等の蛾の幼虫は、蝋を原料とした巣を食べて成長する事から、スムシに寄生された巣の多くは全滅することもある[4]。
[編集] ミツバチに影響
詳細は「蜂群崩壊症候群」を参照
[編集] その他
巣やハチに直接害を及ぼすわけではないが、スズメガの1種メンガタスズメは花からではなくミツバチの巣から蜜を飲むように体の構造ができているため、ひんぱんに巣箱を訪ねくる。
[編集] 法令
養ほう振興法 (昭和30年8月27日法律180号) により、業としてみつばちの飼育を行う者は、農林水産省令の定めるところにより、毎年、その住所地を管轄する都道府県知事に、規則により定められる項目を届け出る必要がある。また、既届出事項に関し変更があったときは、その旨を前項の都道府県知事に届け出なければならない。更に、多くの都道府県で、施行細則が定められている。
[編集] 登山との関連
養蜂において巣箱を運ぶ作業は重労働である。この作業を繰り返しているうちに足腰が鍛えられ、肺活量も多くなり、登山に適した体が作られていく。エドモンド・ヒラリーの本職が養蜂業であることは有名であり、彼をはじめとするニュージーランドの登山家には養蜂業を営むものが多い(1999年3月7日の朝日新聞より)。
[編集] 脚注
- ^ 『養蜂を始めるために-衛生管理』社団法人 日本養蜂はちみつ協会
- ^ ニセアカシア「要注意リスト」に 駆除の動き 養蜂業者に危機感 2006年8月20日 YOMIURI ONLINE(読売新聞) 閲覧 2008年1月30日
- ^ 要注意外来生物リスト-植物(一覧)- 環境省
- ^ 蜂の病虫害について
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 社団法人 日本養蜂はちみつ協会
- 総務省法令データ提供システム 養ほう振興法
- 蜂飼いのすすめ
- アジア養蜂研究会
- ミツバチ病気別一覧家畜疾病総合情報システム



