骨格標本
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骨格標本とは動物の標本の作り方の一つで、骨格以外の軟組織を除去して骨のみを取り出して標本とした物である。しっかりした骨格を持つ動物で使われ、柔らかい組織を除去する処理が必要である。
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[編集] 概説
骨格標本を作るのは、石灰質などのしっかりした骨格が発達する動物において、それ以外の部分を除去することで標本とするものである。脊椎動物のそれが代表的であるが、石サンゴの標本もこれが使われる。
外骨格や体表の骨片が発達した動物においては、そのままに乾燥させて標本とすることも可能であり、これも骨格標本的ではあるが、これらは普通は乾燥標本と呼び、骨格標本とは言わない。骨格標本という場合、骨格だけを残すために軟らかい肉や組織の部分を完全に除去する処理を行う。それらは生物的に分解させて洗う方法と、化学的に分解する方法があり、時にはその両方が使われる。
その結果として、骨格標本は臭いもなく、非常に保存性がよいが、組織は完全に無くなっており、それに関する一切の情報は失われる。これらの動物では骨格そのものの構造に重要な分類学的情報が含まれるため、それに基づいて分類が行われてきた経過もあるが、見方を変えれば保存のよい部分に頼った分類が行われてきたとも言える。これを避けるためには液浸標本など、組織部分も保存するような標本との併用が望ましい。
[編集] 価値
骨格は保存性がよいだけでなく、分類学的にも重要な特徴とされる。例えばほ乳類では頭蓋骨の構造や歯の形や配置などが種に関しても、目などのより高次な分類段階においても重視される。また、生態学からは骨格の発達や歯のすり減り等から年齢など様々な情報を得ることが出来る。無脊椎動物でも、例えば石サンゴの骨格からは個虫ごとの隔壁の構造や個虫間のしきりのあり方、個虫が増殖する際に分裂であるか出芽であるかなどの様々な情報が得られ、それらは分類上重視されている。
また、骨格は動物死体が腐敗していったときも最後に残るものであるから、野外でそれを拾うこともよくある。さらに、化石としても骨格のみが得られることがままある。そのような場合、現生の動物骨格との比較が重要となる。
[編集] 骨格標本が使われる場合
以下のような動物群で骨格標本が使われる。
- 脊椎動物:特にほ乳類では骨格と毛皮をもって標本とするのが慣例である。それ以外の脊椎動物においても骨格標本が作られることは多いが、特に分類用の標本として積極的に使われるものではない。鳥類では剥製が、それ以外のものでは液浸標本が標準的であるが,骨格標本が作られることもある。
- 刺胞動物:特に石サンゴ類などの造礁サンゴではよく利用される。
- 海綿動物:組織がヤワなので、乾燥標本はほぼ骨格標本になる。
- 節足動物:普通は乾燥標本か液浸標本であるが,大型のカニ等では内臓を抜き取って乾燥させ,骨格標本とする例がある。これは,むしろ剥製に近く,体色が残る例もある。
[編集] その他
骨格は死体において最後に残るものであり、ある意味では死体そのものよりより強く死の象徴となり得る。そのため、人体の骨格標本は学校の理科室などで怪談のネタにされやすいことで有名である。
[編集] 作り方
- 化学的方法
- 煮沸
- 動物の死体を炭酸ナトリウム1%水溶液で沸騰させないようにして煮込む
- 比較的短時間で白骨化させることが出来る上に、骨の内部の油や雑菌などを取り除くことが出来るので保存性が良くなる。
- 中世時代から人体の白骨標本を造るために用いられてきた歴史がある。ジョン・ハンターなどは人間を煮込むための特注の鍋をいくつも持っており、助手や学生達に人間や動物を煮込ませていたという。助手たちは火加減を見ながら煮みを続け、途中で死体が浮かび上がってくるとこれを棒で押して沈めていた。この話が後に「ホルマリンプールで浮いてくる死体を棒でつっついて沈めるバイト」という都市伝説になったとする説がある。
- 生物的方法
- 水中埋没
- 動物の死体を水中に沈めておくことで腐敗と水生昆虫などによる食餌によって白骨化させる。
- 土中埋没
- 動物の死体を地面に埋めることで自然分解によって肉を取り除く方法である。もっとも簡単な方法であるが時間がかかる上に骨を痛めやすい、美術などで使用されている標本にはこの方法が多く用いられている。
- 昆虫に食べさせる
- ある程度肉を剥がしたものを昆虫に食べさせる。カツオブシムシなどが使用され、ミールワームがこれに使われたこともある。
いずれにせよ、このような処理では肉が完全になくなるとは限らず、最終的には手洗いとブラシ、ピンセットなどによって細かいところの肉を掃除して、その後乾燥して仕上げる。
[編集] 組み立て
分類学的な標本としてはこれで十分であるが、展示用などの場合、これらを生きていたときの状態につないで組み立てる。なお、現生の動物であれば生きている状態がわかっているので、それに合わせて組み立てればよいが、化石動物の骨がそろった場合、これをどのように組み立てるが正しいかは簡単には判断できない。これを生きていた状態を想定して組み上げられるようにするのを復元といい、古生物学においてはそれ自体が大きな課題である。
最終更新 2009年8月2日 (日) 09:40 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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