鬼平犯科帳の登場人物

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鬼平犯科帳の登場人物(おにへいはんかちょうのとうじょうじんぶつ)とは池波正太郎原作の捕物帳『鬼平犯科帳』の登場人物の一覧である。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] 主要人物

[編集] 火付盗賊改方

長谷川平蔵宣以(はせがわへいぞうのぶため:長谷川平蔵
京都西町奉行・長谷川宣雄の息子。火付盗賊改方長官。石高400石の旗本。無頼時代は家督相続以前に名乗っていた銕三郎(てつさぶろう)に由来する『本所の銕』の名で通っていた。目白台に私邸があるが、普段は清水門外の役宅に住んでいる。
佐嶋忠介
筆頭与力。同心達を束ねる平蔵より4,5歳年上の腹心。本来堀組に所属していたが、有能のため平蔵が借り受けた。非番の時は1日で3升も空けてしまう酒豪だが普段は節制しており、彼が酒豪だと知る者は少ない。
天野甚造(甚蔵)
与力。佐嶋に比べると大仰で融通が利かない与力として描かれる。
富田達五郎
与力。有能で実直。同心の木村とはそりが合わず、目が非常に細いため「細目の達ちゃん」と陰口を叩かれている。旗本の子息を殺害したことがきっかけで脅迫され悪事に手を染めるようになり、平蔵に成敗される。しかし劇画版では脅迫していた盗賊と相打ちになって死亡。
小林金弥
亡父の後を継いだ与力。若さに似合わず慎重で、部下の進言に対しても柔軟に対応する。
秋本源蔵
与力。人格者で周囲の評判も良かったが、猫間の重兵衛一味の手にかかり、首筋に矢を射られて殺害される。
酒井祐助
筆頭同心。冷静な男で柳剛流の使い手。尺八が得意。
沢田小平次
同心。平蔵も深く認める剣の腕を持つ小野派一刀流の達人。独身で老母と二人暮し。
木村忠吾
同心。色白でぽっちゃりしており、芝にある菓子屋の「うさぎ饅頭」に似ていることから同僚からは「兎忠(うさちゅう)」と呼ばれてからかわれる事も多い[1]。旨い物や酒と女に目が無い為の失敗も有るが、憎めない性格とここぞという時の働きで、平蔵に叱り飛ばされながら可愛がられてもいる。同僚の同心・吉田籐七の娘であるおたかと結婚する。
小野十蔵
同心。寡黙なところから『啞の十蔵』と呼ばれる。野槌の弥平一味の手下を殺した女房をかくまった事で小川や梅吉から脅迫され自害。
松永弥四郎
同心。変装が得意。一時期変態的な嗜好に熱を上げたこともあったが、男女の浅ましい姿を見たことで改心する。竹内流捕手術の名手。
山田市太郎
同心。4人の子持ち。
小柳安五郎
同心。以前はおっとりして剣術の腕もそれほどではなかったが、任務中の留守に妻子を出産で亡くし、この悲しみから心身共に筋金入りの男に変貌した。後にお園と再婚し、平蔵の義弟となった。
佐々木新助
同心。「あばたの新助」と呼ばれる。網切の甚五郎の女に手をつけたことで一味の手伝いをさせられた上に斬死。
竹内孫四郎
同心。初期には頻繁に名が出てくるが目立たないキャラクターで、後半からまったく登場しなくなる。
寺田又太郎
同心。鹿熊の音蔵を尾行中に襲撃され殺害される。
寺田金三郎
同心。又太郎の弟。沢田小平次と肩を並べるほどの腕前だったが、鹿熊の音蔵が放った刺客に奇襲を受け重傷を負う。音蔵の一件が終わった後に御役御免となり、義姉と結婚した。
久保田源八
同心。天神谷の喜佐松一味を尾行中に頭部を殴られ記憶喪失になってしまった。記憶喪失以前は無口で性格も陰気だったが、火盗改に復職してからは「おしゃべり源八」のあだ名を忠吾から付けられるほど饒舌で明るい人間になった。
川村弥助
勘定方同心。6尺近い関取のような大男。『泣き味噌屋』と呼ばれるほど臆病であったが妻を殺害した和田木曾太郎を討取って以後は落着きがついた、と周囲から言われている。それでも雷鳴は大の苦手である。
細川峯太郎
同心。元々は優秀な勘定方だったが命懸けで働く同僚達に対して引け目を感じ、卑屈な態度を取り続けていた。しかし同僚の同心・伊藤清兵衛の娘であるお幸と結婚してからは捕り方に回され手柄を上げるも、昔の女への未練を平蔵に見透かされて勘定方に戻され、また手柄を立てて捕り手に回される。色が黒く、木村同心からは「佃煮男」と呼ばれている。劇画版では色白、細長い体をしており、木村同心と組んで見廻りや取り物をする事が多い[2]
田中貞四郎
同心。手柄を立てようと暴走し、密偵の源助と共謀して無実の亀吉を放火犯に仕立てあげた。役目を取り上げられ、江戸を追放される。
青木助五郎
同心。佐嶋の部下であり元は堀組所属。配属されてから間髪いれず盗賊を次々と召し取って来るが、亡父が殺害した狐の亡霊に取り憑かれ、そのからくり[3]を白状させられてしまう。平蔵の乾坤一擲の打ち込みで亡霊は体から抜け出るが、精神を蝕まれた彼の命は長く持ちそうにない。劇画版では盗賊との関係を平蔵、佐嶋から詰問された直後に狐憑きとなって全てを白状後に自害したため、平蔵は狐憑きは芝居だった、と判断した。
片山慶次郎
同心。沢田と同門。腕利きだったが、堀本虎太郎により殺害される。
金子清五郎
同心。片山に続いて殺害される。
黒沢勝之助
同心。目的を達するためには手段を選ばず、同僚や密偵からも嫌われている。元盗賊で今は琴師の妻になっている網虫のお吉を脅迫し、体どころか金まで奪っていた。余罪も次々と発覚するに及んで平蔵から見放され、切腹の沙汰を受ける。
大島勇五郎
同心。尾行や聞き込みに優れている有能な男。しかし自身が使っている密偵・雪崩の清松から博打の味を教えられたことで借金がかさみ、盗賊の片棒を担がされる。最後は事が露見して自害した。
山崎庄五郎
同心。功名心が激しく同僚や密偵からも評判が悪い。手柄を立てるために仁三郎に圧力を掛け、死に追いやった。ちなみに平蔵はこの事を把握していない。
村松忠之進
同心。グルメ担当、通称「猫どの」。この人が登場すると期待させられる存在。普段はもの分かりのいい猫どのだが、いったん食べ物のことになると丁々発止、平蔵と激しく言い合う場面もある。

[編集] 密偵

小房の粂八
初登場時は野槌の弥平一味で捕縛されたが、かつての親分であった血頭の丹兵衛の名を汚す凶賊の探索を志願し放免され密偵に。ある事件の後からは普段は船宿『鶴や』の亭主となり、尾行や捕物の際にはその機動力と人手が重宝されている。
相模の彦十
平蔵より10歳ほど年上で、無頼時代の取り巻き。二人の時はお互い昔の喋り方に戻ってしまうことも。
大滝の五郎蔵
元々は蓑火の喜之助配下であり、本格派の盗賊の首領だった。命の危険を救われたことで平蔵配下に。後におまさと結婚。沢田から捕縛術や棒術を仕込まれており、捕り物の時にも活躍する。
おまさ
鶴(たずがね)の忠助という元盗賊の娘。父が無頼時代の平蔵と深い付き合いだったため、幼少期からずっと平蔵に思慕の念を抱いていた。その後は盗賊一味の引き込み役を勤めていたが、平蔵の盗賊改方長官就任を知り、密偵となって彼を助けようと現れる。後に五郎蔵と結婚。
舟形の宗平
五郎蔵と同じく元々は蓑火の喜之助配下であり、初鹿野の音松の盗人宿の番人をしていたところを捕縛され密偵に。本所の相生町で煙草屋を構えながら火盗改の探索に協力している。後に五郎蔵の義理の父親となり、おまさと共に3人で暮らしている。
朝熊の伊三次
2歳の時に伊勢関宿で捨て子にされたが、そこの宿場女郎達に育てられた。劇中様々に活躍するが、かつて妻を寝取られた強矢の伊佐蔵の報復を受け死亡。木村忠吾の相棒的存在であり、遺体は木村が引き取り自分の菩提寺に葬った。人気キャラクターの一人であるが劇画版ではゲスト扱い。
友五郎(浜崎の友蔵)
飯留の勘八配下の元盗賊。川越船頭。別名・友五郎。火盗改役宅に侵入し平蔵の煙管を盗んだが粂八と知り合いだった事で露見してしまう。その後は密偵として働いていたが、鹿山の市之助に勘八の遺児であり自分が面倒を見ていた庄太郎を人質に取られ、心ならずも盗みの片棒を担ぎ、平蔵を裏切ってしまう。
馬蕗(うまぶき)の利平冶
馬蕗とは牛蒡の異称であり、その名のとおり手足が細く色黒。元は大阪に本拠を置く高窓の久五郎一味の嘗役で、彦十とは旧知。しかし後に妙義の團右衛門に密偵であることを見破られ、殺害された。テレビドラマ版では殺害されるのは高萩の捨五郎に代わっている。
夜兎の角右衛門(2代目)
元は蓑火の喜之助と肩を並べるほどの大盗賊の首領であったが、配下の盗賊が押し込みの際に人を殺害してしまったため、盗賊団を解散させ自首した。その後、密偵となる。
仁三郎
盗賊として捕縛された際に平蔵に見込まれて密偵となった。しかし、かつて配下だった船影の忠兵衛に義理を立てるためと山崎庄五郎の圧力の板挟みとなり、鹿谷の伴助を殺害後、自害する。劇画版では針ヶ谷の宗助の設定と馬蕗の利平冶の弟子という設定が追加され、彼の過去を主題とした物語が作られるという具合にかなりの活躍をしている。
帯川の源助(平野屋源助)
既に盗賊を引退し、扇屋の主人に納まっていた。しかし盗人の血が再び騒ぎ出して隣家の蔵を破る。しかし、その時の仕掛けを平蔵に突き止められ、目こぼしと引き換えに配下の茂兵衛と共に密偵となる。梅干が好物。劇画版では密偵にならず、罰として仕掛けの後始末を自力でさせられた。
泥亀(すっぽん)の七蔵
牛尾の太兵衛の盗人宿の番人。酷い痔に罹っている。太兵衛の妻子が窮状に陥っていることを知り、身を押して一人働きをしようとするが動きを平蔵に知られ、密偵となる。劇画版では密偵にはならず江戸を離れた。
高松繁太郎
かつて堀組同心で、佐嶋の部下だった。有能な男であり、堀の消極的な姿勢を嫌い盗賊の情婦であるお杉と共に逐電した。お杉が亡くなった事に伴い江戸に戻ったところを平蔵に捕縛され密偵となる。同心の時を髣髴とさせる仕事振りを見せたが、彼を敵と狙う盗賊が放った刺客に襲撃され死亡。
岩吉
時に捕縛や尾行も行うが、完全に盗賊界から足を洗った五郎蔵や粂八と違い、半分は暗黒街に足を踏み込んだままの無頼。
岩五郎
元錠前師の盗賊で捕縛後に佐嶋直属の密偵となる。心酔していた本格派の大盗、海老坂の与兵衛を裏切り捕縛に追いやった事で思い悩み、江戸を去ってしまう。
高萩の捨五郎
30年もの間血を見ぬ盗みを続けた流れづとめの本格派盗賊で相模の彦十とも旧知の仲。義侠心に溢れ、侍に無礼討ちにされそうになった子供を庇ったことで後遺症が残るほどの重傷を負う。その後は平蔵手作りの杖を渡されたことで心服し、密偵となる。
玉村の弥吉
元々は牛尾の太兵衛一味の盗賊。馬面。悪女房にやり込められている囲碁仲間の吉野屋清兵衛に同情し、その悪女房の頭を丸坊主にしてしまった。捕縛後はその人柄を平蔵に見込まれて密偵となり、五郎蔵の家に寄宿している。

[編集] 平蔵の関係者

長谷川辰蔵
長谷川平蔵の長男。目白台の私邸を預かっている。遊び好きで、坪井主水の道場に長らく通っているが剣の腕はなかなか上達せず、平蔵に厳しくしごかれる。しかし事件の端緒をつかんでくることもあり、次第に頼もしくなっていく。
長谷川久栄
長谷川平蔵の妻。長谷川家と久栄の実家である大橋家は隣同士であり、平蔵も昔から久栄のことを知っていたようである。平蔵の部下に対してもよく気が回り、皆から敬愛されている。
お順
野槌の弥平配下の娘で小野同心が母親のおふじと共に面倒を見ていた娘。小野同心とおふじの死後、表向きは井上立泉の娘として平蔵夫妻の養女となるが次第にフェードアウトしていった。
波津
平蔵の父、宣雄の姪にして本妻。元々長谷川家を絶やさないための非常手段で結婚したため自分の子ではない平蔵を苛め、平蔵を非行に走らせた張本人。しかし、事情を聴いた鶴の忠助に頭を丸められてしまったことがある。
大橋与惣兵衛親英
長谷川久栄の父。歳は平蔵や左馬之助より遥かに上だが、共に高杉銀平先生の道場に通っていた剣友でもある。与惣兵衛がふと漏らした一言がきっかけで平蔵と久栄は祝言を挙げることになる。
天野彦八郎
長谷川久栄の母方の伯父。性格が驕慢なため、久栄からは嫌われている。小納戸衆。
岸井左馬之助
平蔵とは青年時代共に剣術修行に励んだ親友だった。その縁で盗賊改方を時々手伝う。長らく独身だったが、小野田治平の娘であるお静を妻に迎える。下総国出身。
井関録之助
剣客。平蔵の道場での後輩であったが父の心中によってお家断絶となり僧となる。気ままに暮らしつつ時々平蔵を手伝う。金に困っていた時に仕掛(暗殺)を請け負いながら放り出して逃げた事で長らく刺客に追われていた。
横川甚助
剣客。平蔵の道場での後輩。剣術の筋も悪くなく、性格も良かったため師匠から可愛がられていたが道場の金を着服して逃亡。20年ぶりに平蔵と再会したときは座敷女中であるお峰の口車に乗せられ、剣客・市口又十郎を倒そうとした。その後はまたお峰とよりを戻して暮らしている。
三沢仙右衛門
平蔵の従兄。巣鴨の大百姓。
お園
平蔵の腹違いの妹。母親は料理屋の女中であるおすみ。平蔵の実母の名前でもある。平蔵に会うまでは根津権現の前で小さな居酒屋を営んでいたが、店を畳んで平蔵の元で奥向き女中となり、やがて小柳の後添となる。原作では出生の秘密を知らないままだったが劇画版では秘密を知った後も平蔵に仕え、京都にある父の墓参りを果たしている。
高杉銀平
平蔵の剣の師匠。下総国の佐倉出身。
お熊
茶店「笹や」の女主人で70歳近い老婆。平蔵が無頼の頃からの顔なじみ。
三次郎
平蔵が贔屓にしている軍鶏なべ屋「五鉄」の亭主。無頼時代の平蔵は父親の助次郎とも知り合いであり、料金を踏み倒したこともある[4]。張込みをする同心のために弁当を作ったり、時には密偵役をすることもある。
石田竹仙
売れっ子の絵師。もともと盗賊一味だったが、ひょんな事からかつての仲間の人相書きを作ることになり殺害されそうになる。解決後は火盗改方の人相書きを一手に任される。
松浦源十郎元宣
高杉銀平と親しかった江戸屈指の剣術道場主。人手が足りず、平蔵のつてで岸井左馬之助に代稽古を頼んでいる。
クマ
清水門外の役宅で飼われているオスの柴犬。元々は本門寺前の菓子屋「弥惣」で飼われていたが、「凄い奴」に襲撃され、絶体絶命の窮地に追い込まれた平蔵を救い、それが縁で長谷川家に貰い受けられた。
仙台堀の政七
まだ若いが、地元では「仙台堀の親分」と呼ばれるほど人望の高い御用聞き。本来は奉行所の管轄下だが、平蔵に心酔しているため火盗改方に協力的。
逆でこの仙次郎
両国の見世物小屋の呼び込みだが、顔が広くしっかりした気性のため時折平蔵に使われている。名前の通り後頭部がせり上がっている為に髷が結いづらく、坊主頭にしてしまっている。

[編集] 幕府関連

京極備前守(京極高久
若年寄で平蔵の上司にあたる。平蔵を含め、火盗改方の良き理解者。丹後峰山藩の藩主でもある。先祖は丹後藩を興した京極高知で、鎌倉時代以来の名門の大名である。
松平越中守(松平定信
筆頭老中。史実とは違い、平蔵に信頼を置いている。
大崎源四郎
平蔵が昇進のため解任された後任の火盗改方長官。実直な人柄だが盗賊の跳梁を全く防げず、数ヶ月で解任された。
桑原主膳
葵小僧が跋扈していた時期に一時的に加役された火盗改方。平蔵と対比される関係で無能、無気力に描写される火盗改方長官が多い中、例外的に士気が高く実績のある人物として描かれている。
堀帯刀秀隆
平蔵の前任の火盗改方組頭で佐嶋の上司。持ち出しになる役職に不熱心だったため同心の士気も低く、「佐嶋忠介で保つ堀の帯刀」とまで揶揄された。
川田長兵衛
書物奉行。息子が娼婦と心中したのを根に持って夜鷹の連続猟奇殺人を起こし、平蔵に切り捨てられた。
初鹿野河内守(初鹿野信興)
江戸北町奉行。平蔵の下で実績を挙げている火盗改方と上手くいっていない。
池田筑後守(池田長恵)
江戸南町奉行。以前は平蔵の父、宣雄が担当していた京都町奉行を担当していた関係上、平蔵と交友があり火盗改方との関係は良好。
井上立泉
御典医(表御番医師)。宣雄の代から付き合いがある。養母と衝突し、家を飛び出した若き日の平蔵を助けたこともあり、肝胆相照らす仲。
浦部彦太郎
京都西町奉行所与力。父親の代から平蔵と付き合いがあり、時には上方で暗躍している盗賊の情報を知らせてくる。娘の妙は木村同心と婚約中であったが病死してしまった。
秋元左近艦種
3000石の大身でありながら旗本の子弟や無頼浪人を集めた無頼集団『風流組』を組織して悪事を行っていた。川村同心の妻を殺した主犯であり、事件がきっかけとなって切腹となる。
服部角之助
本所で賭場を開く無頼の御家人。小川や梅吉と妻であるおふさにそそのかされ、商家の襲撃を企んだ。捕縛され斬首。
宮口伊織
御先手組に所属する500石取りの旗本。平蔵とも顔見知り。凶賊である大塚清兵衛が仕掛けた罠にはまり、妻の実家である伊勢屋の絵図面を清兵衛に売り渡そうとし、そのおこぼれまで貰おうとした。家名断絶の上切腹の沙汰を受ける。劇画版では計画が漏洩したことを知った清兵衛配下の浪人に致命傷を負わされ、身分に固執する言葉を残して絶命した。
永井弥一郎(弥市)
元は600石の旗本だったが渡辺丹波守直義の謀略にあって家を義弟の伊織に譲り名越の松右衛門一味に身を落とす。一味解散後はお浜と居酒屋を営んでいたが口封じのため刺客に襲われた際に平蔵に遭遇して逃亡する。その後、自害したお浜の墓の前で捕縛され処刑された。劇画版ではお浜の墓で事の真相を記した遺書を携えて自害。
横山小平次
御家人で本所に巣くっていた無頼。男ぶりのよさから「殿さま小平次」と呼ばれていた。若き日の平蔵とも知り合いだったが無道な振る舞いをしたため手ひどく懲らしめられる。後に労咳で死去。
吉野道伯
渡辺丹波守直義の腹違いの弟にして元表御番医師。しかし裏では名越の松右衛門と結託し、永井弥一郎を追い出す計画を立案した張本人。名越一味解散後も残党に本格の盗めを言い置いていたが次第に滝口金五郎に主導権を握られ、心痛のため病に倒れた後に火盗改に捕縛され、その際に真相を告白後、牢死。劇画版では本格ではなく反幕浪人盗賊集団『鬼火党』の黒幕に設定変更され、劇中では名前こそ出るもののその姿が描かれることは無かった。
渡辺丹波守直義
7000石の旗本であるが、自身がお浜に産ませ、永井弥一郎に義弟として預けていた伊織可愛さに弥一郎を罠にかけ家を捨てさせた。彼の死後、事の真相が明るみに出たことにより、渡辺家、永井家共々お取り潰しとなる。
池田又四郎
200石の旗本の次男に生まれた平蔵の弟弟子。人柄を見込んだ放蕩時代の平蔵が自分に代わって長谷川家を継がせようと考えていたが、その際に平蔵が波津を殺害することを見抜いて拒否、やがて出奔して須の浦の徳松一味に加わっていたが妻の妹、お吉を守るために江戸に来ていた須の浦の徳松一味を斬って行った際に致命傷を受けて絶命する。実は平蔵に一方的な特別な感情を抱いており、出奔したのは前述の拒否以降、平蔵が距離を置いたためであった。劇画版では平蔵の父、宣雄が平蔵から紹介された又四郎と当時商家に預けられていたお園と結婚させて長谷川家を継がせることを構想していた設定に改変され、又四郎の一件がきっかけとなってお園は自身の出生の秘密を知る事になった。

[編集] 盗賊

[編集] 本格

雨乞い庄右衛門
かつては夜兎の角右衛門の配下であり、独立を許された大盗。最後のおつとめを行うため湯治をしていたが、子分から裏切りを受け襲撃される。その場は左馬之助に助けられるが、ショックにより心臓の具合が悪化して病死。
伊砂の善八
盗みの極意を極めた独り働きの老盗。旅の平蔵を浪人と誤認し跡継ぎにしようとした。
牛尾の太兵衛
本格の首領。中風で倒れ手下に逃散されてしまった。妻の看護の甲斐なく死亡。
海老坂の与兵衛
一時は80名もの配下を従えた本格の中の本格の大盗賊。隠居金を得るための最後の盗みにでるが、密偵と知らずに岩五郎を雇った事で計画が露見し、捕縛されてしまう。
傘山の瀬兵衛
信州木樵から東海地方で活躍する盗賊の首領になった身長は六尺に及ぶ大男。初めての江戸においての盗めを行おうとした矢先、裏切った配下の押切の定七に騙された風穴の仁助に襲撃を受け絶命。
傘山の弥太郎
先代であり父でもある傘山の弥兵衛が交わした鳴海の繁蔵(2代目)の妹との婚礼を行おうとするが、繁蔵は江戸進出を図るべく、彼の組織を奪う目的で弥太郎に近づく。
霞の定五郎
数多くの配下を抱える掏摸の首領。蛙の長助や女掏摸お富を育て上げた。捕縛されることなく往生を遂げた。
蛙の長助
元は盗賊だったが、侍と喧嘩し足を切り落とされたことで引退。高利貸しの取立人をしながら掏摸を行うが、妾に産ませた娘の借金を肩代わりする為に荒稼ぎをしようとした途端に卒中を起こして急死してしまった。
狐火の勇五郎(初代)
本格。忠助を介して無頼時代の平蔵と面識があった。
狐火の勇五郎(2代目)
先代の妾腹。本名・又太郎。本格。平蔵の温情により盗賊家業から足を洗い、おまさと夫婦になったが疫病で死亡。
清洲の甚五郎
名は知られているが誰も顔を知る人がいない伝説の本格派盗賊。眉毛がつながっており、木村同心から「一本眉の客」のあだ名を付けられている。引き込みを入れていた大店に急ぎ働きが入った事に激怒し、犯人である倉淵の左喜蔵を探し出して一味を壊滅させた。原作では動きを平蔵に察知されることは無かったが、劇画版では捕縛されて遠島となった。テレビドラマ版では墨斗の孫八と掛け合わせた人物になっている。
櫛山の武兵衛
明神の次郎吉を抱える本格の首領。平蔵に包囲されると抵抗せずに捕縛された。
鯉肝のお里
流れ盗めのしたたかな女賊。白根の三右衛門の盗めで得た分け前を元手に江戸で遊んでいた際に取った行動が元で火盗改の監視下に置かれ、打ち合わせのために水戸にある三右衛門の本拠にきたところを三右衛門一味とともに捕縛され、遠島となる。なお、彼女の見張りの際に五郎蔵とおまさは関係を持ち夫婦となっている[5]
船影の忠兵衛
仁三郎と鹿谷の伴助が仕えていた盗賊で押し込み先には宝船の模型を必ず置くのが特徴。他人に譲った娘の様子を見に来たところを偶然平蔵に見つかり監視対象となり[6]、仁三郎と伴助の死後、押し込み先で捕縛され平蔵に二人との関係を語った。
鶴(たずがね)の忠助
流れ盗を得意としたおまさの父。無頼時代の平蔵が知り合った時には居酒屋の主人に納まり、軽口を叩き合う仲になっていた。
鷺原の九平
普段は居酒屋の主人をしている芋好きの老盗。網切の甚五郎の毒牙にかかった平蔵の窮地を救う。
猿皮の小兵衛
中国地方から長崎まで荒らした本格の首領。引退後に薬種屋を営んでいたが、自分の店に急ぎ働きの凶賊が入ることを事前に察知して撃退する。
鈴鹿(川獺)の又兵衛
全盛期には70人の手下を率い、諸国を股にかけた大盗賊。年老いたことや部下に預けていた娘、お雪恋しさに引退を決意して最後の盗めをしようとしたところを火盗改に包囲され捕縛。劇画版においては鈴鹿の弥平次は分家に当たる。
鹿留の又八
一度は小柳に捕縛されるが、彼の手引きで牢屋から逃亡。共に盗みを働き、殺人を犯して逃亡した雨畑の紋三郎を捕縛した上で小柳の元へ戻ってきた。遠島。
瓢箪屋勘助
表向きは料亭の主人。傘山の弥兵衛と弥太郎の2代を補佐する凄腕の盗賊。
前砂の捨蔵
表向きは花屋だが、先代・夜兎の角右衛門の時代から江戸の盗人宿を守る番人。経験が長いだけあって洞察力にも優れ、蛇の平十郎の凋落をいち早く見通していた。
蓑火の喜之助
大滝の五郎蔵の師匠でもある本格派の大盗賊。既に引退していたが、妾のために再び盗みの道に戻る。助っ人として雇った野槌の弥平残党に裏切られ、彼等を始末するも相打ちとなって死亡。
堀本伯道
かつて高杉と引き分けたことがある本格の盗賊で、自ら考案した「雲竜剣」の使い手。また医師でもあり、裕福な商家から盗んだ金を病人や貧しい人達を救うために使っていた。無道を働く実子の虎太郎を成敗しようとするも、返り討ちに遭い死亡。
妙義の團右衛門
北信越を股にかける本格派の大盗賊。馬蕗の利平冶が密偵であることを見破り扼殺した上で江戸から逃亡し、平蔵に完全な敗北を味合わせる。非常に好色であり、昔馴染みの女がいる水茶屋に再び現れたところを押さえられ、利平治の復讐に燃える平蔵の斬撃を受けた上で捕縛される。
明神の次郎吉
櫛山の武兵衛配下の腕ききの盗人。お人良しで他人の難儀を見過ごせない性格。
翻筋斗(もんどり)の亀太郎
幼少時に軽業師に売られた非常に身軽な盗賊。門原の重兵衛の配下だったが、打ち込みで仲間が全員捕縛された際にも一人だけ逃げ切った。しかし、江戸市中に潜んでいたところを平蔵に見つかり、ついに捕縛される。
墨斗(すみつぼ)の孫八
名前のとおり元大工の本格派。家族をすべて病気で失ったため異常なまでに病気を恐れているが、その反動で死罪を全く恐れず盗みは豪快になった。脳卒中で死亡。テレビドラマ版ではこの特徴が清洲の甚五郎と掛け合わされた。
名越の松右衛門
吉野道伯と結託していた盗賊だが押し込み先の奉公人に怪我を負わせたことで意気消沈し一味を解散する。家をすてた永井弥一郎が世話になっていた。
泥鰌の和助
表向きは腕のいい大工で通っているが、その腕を生かした「盗み細工」を得意とする盗賊。息子を死に追いやった商家に以前仕掛けた「盗み細工」を最大限に活用して復讐を果たすが裏切りにあって死亡。劇画版では平蔵に捕縛され、その腕を惜しまれて人足寄場送りとなった。
雨隠れの鶴吉
近畿、中国地方を根城とする釜抜きの清兵衛一味の引き込み役。平蔵や録之助のかつての知り合い。父である万屋源右衛門の店に凶賊の引き込みが入っていることを察知し、父を救うべくそのことを録之助に知らせる。原作ではそのまま清兵衛の元へ戻ったが劇画版では録之助を介しての平蔵の言葉と妻の妊娠を機に足を洗って父の元に戻った。
さむらい松五郎
別名は網掛の松五郎といい、役者上がりで無口。元は上方から中国地方を根城とする湯屋谷の富右衛門配下だったが、富右衛門が病死した後は一人働きをしていた。木村同心に瓜二つ。口合人である鷹田の平十に仕事を紹介してもらおうと江戸を訪れたところを小柳同心に捕縛される。劇画版では平蔵と切り合いになって死亡した。
須坂の峰蔵
一人働きで錠前外しを得意とする盗賊。木村同心をさむらい松五郎と見間違える。凶賊である轆轤首の籐七一味から脱退し、松五郎の配下になろうとした。原作では捕縛されたが、劇画版では縄抜けをして逃亡。
馴馬の三蔵
粂八が知り合いだった一人働きの盗賊。自分の女房を殺害した瀬田の万右衛門に敵討ちを仕掛けるが失敗し、粂八に真相を打ち明けた直後に死亡。
尾君子(びくんし)小僧
表向きは小間物商を営んでいるが、「尾君子」とは猿の異称であり、その名のとおり軽業に長けた夜兎の角右衛門配下。蛇の平十郎の配下である座頭の彦の市の妻を寝取り、彦の市に刺殺される。

[編集] 凶悪・急ぎ働き

葵小僧芳之助
盗みよりも女を犯すことに熱心な盗賊。モデルは実際に平蔵が捕らえ、処刑した葵小僧
天野大蔵
尾張・三河一帯を荒し回った浪人くずれの首領。蛇の平十郎や葵小僧を育て上げた。配下を葵小僧に譲って隠居するが、葵小僧が捕縛されると危険を察知し逃亡した。
網切の甚五郎
全国を股にかける極悪非道の大盗。その様は平蔵をして「狂っている」と言わしめるほど。父である土壇場の勘兵衛を殺した仇であり仕事の障害となる平蔵を排除すべく、何度も暗殺を試みるが失敗。逃亡先の倶梨伽羅峠で待ち伏せていた平蔵に嬲り殺しにされる。
生駒の仙右衛門
大坂を根城とする賊。江戸に出城を作るべく配下を送り込むが平蔵にことごとく捕縛される。関東を根城とする鹿山の市之助と手を組み、新たな配下を送り込んで平蔵に復讐を図る。市之助が捕らえられたことをいち早く察知し逃亡するが、大坂町奉行所の捕り手に捕縛される。
和尚の半平
その名の通り坊主あがりの凶悪な盗賊。畜生働きを嫌った部下の鶴吉が五郎蔵に助けを求めたため計画が露見し、一網打尽にされた。斬死。
野槌の弥平
表向きは料理屋の主人で通しているが裏へ回れば凶悪な盗賊。粂八の自白で盗人宿へ踏み込まれて捕縛、磔刑に処せられる。元々は本格派だったとのこと。
小川や梅吉
表向きは茶漬屋を営んでいるが、裏では野槌の弥平一味の幹部。無頼の御家人である服部角之助をそそのかして商家への急ぎ働きを企んだ。捕縛され磔に処される。
石川の五兵衛(音松)
基本は一人働きだが仕事の際は人手を集めて畜生働きをする盗賊。顔には幼少期に継父につけられた火傷がある。実は少年の頃に悪戯をして殺されかけたが、平蔵に助けられると共にお灸を据えられたことがあった。
鏡の仙十郎
中国地方、上方から江戸まで荒らしまわった浪人崩れの兇賊。医師である竹村玄洞宅へ押し込もうとしたところを捕縛される。市中引き回しの上、小塚原で磔にされたがその際には沿道の住民から罵声と投石を浴び、刑場に着いた頃には半死半生の状態だった。
加賀屋の佐吉
道中で詐欺行為を働く傍ら、彦島の仙右衛門の嘗役としても活動していた男。仙右衛門を殺して仙右衛門の妻、おときと組み一味を乗っ取ろうと画策するが、その実行犯にかつて組んでいた高木軍兵衛を使うことにしたことから[7]足がつき、仙右衛門に折檻を受けた上で処刑された。
空骨の六兵衛
駿河・遠江の盗賊の首領。非常に吝嗇で部下への分け前すら出し渋った挙句殺害されてしまった。劇画版では平蔵が留守の隙に火付け盗賊を繰り返した末に捕縛されている。
神崎の倉治郎
出合茶屋を営み、客として来た商人に狙いを定めて急ぎ働きを繰り返した凶悪な盗賊。配下ともども火盗改方の役宅の周辺を見回り、平蔵はおろか与力や同心、密偵の顔まで見定めていた。平蔵と因縁のあった富造と同じ顔の特徴を持っていたことで目を付けられる事になった。
蛇(くちなわ)の平十郎
印判師の家に産まれたが父の死後他の男と関係を持った母を男諸共殺害後、逃亡の末に大盗賊となった男。平蔵の暗殺を何度も企むが失敗。平蔵怖さに盗賊仲間が次々と江戸から離れていく中、あくまでも江戸で盗みを働く事にこだわった。盗賊宿で待ち伏せていた平蔵に捕縛される。火刑。
荒神のお夏
父は本格の盗賊・荒神の助太郎であり、荒神一味の2代目。放火癖のあるレズビアン。峰山の初蔵と組んで江戸で盗みをしようと企み、その縁で引き合わされたおまさを気に入ってしまう。捕縛されかかるが囲みを破って逃亡する。劇画版では放火癖の設定は外されて父の流れを継ぐ本格の盗賊だったが、最後は自害した。
小金井の万五郎
かつては荒稼ぎで名を知られた盗賊で、引退する際には子分の殆んどを消したほどの大悪党。一時は死期が近いと思い、一緒に暮らしていた女に隠し金の在り処を教えたがこれが却って彼の命を奪うことになる。
猿塚のお千代
40代に達しているが10歳若く見える肉体を持つ女盗賊。肉体を駆使して手下を纏め上げると共に押し込み先の関係者を籠絡して内情を調べ上げたりもする。最後は盗人宿で入浴中に火盗改に踏み込まれ、自害。
鹿熊の音蔵
兇賊。同心の寺田又太郎を殺害した上、捜査の手を伸ばした弟の金三郎にも刺客を放ち重傷を負わせた。後に捕縛。
鹿山の市之助
平蔵に恨みを持つ生駒の仙右衛門と手を組み、江戸で火盗改に挑戦するかのような凶行を働く。
蛇骨の半九郎
平蔵の赴任前に江戸を荒らした凶賊。わずか2年の間に15件の押し込みを働き、68人の死傷者を出した。原作では捕縛されなかったが、劇画版では捕縛され、斬首獄門となった。
血頭の丹兵衛
かつては小房の粂八の親分であり、本格派の盗賊だったが時勢に流され凶賊と化してしまった。粂八が密偵となるきっかけとなり、その手引きで捕縛される。
森初子(津山薫)
元は松尾喜兵衛と剣友だった武家の娘。さる理由で松尾の道場に寄宿しており、剣腕に長けていたが突如逐電した。沢田とは同門で再会した時には盗賊に身を落としており、最後は沢田に討ち取られる。
天神谷の喜佐松
江戸市中だけで40人もの死者を出した兇賊。平蔵の捜査中に郊外で押し込みを重ね更に23人を殺害した。捕縛され死罪。
長沼又兵衛
平蔵、左馬之助と共に高杉道場三羽烏と呼ばれたかつての剣友。しかし性格が驕慢だったせいか一人だけ目録を授けられず、そのことに激怒し、秘伝書を盗んで逐電した。その後は盗賊の頭目になっていたが、平蔵に討ち取られる。
霧(なご)の七郎
小川や梅吉の弟。兄を処刑した平蔵を苦しめようと様々な計画を練るが、最終的にそこから足がつき死罪となる。
鳴海の繁蔵(2代目)
本格の先代とは違い、畜生働きをいとわない凶悪な賊。名古屋を根城とし、江戸への進出を図るべく傘山の弥太郎を罠にかけようとする。劇画版では瓢箪屋勘助と同一人物となり本格になった。
高津の玄丹
大坂の暗黒街を白子の菊右衛門と共に牛耳る香具師の元締だが、一方で盗賊稼業や大名を巻き込んだ密貿易まで手がけていた。密偵を殺害した現場を目撃した奉公人を助けた平蔵に刺客を差し向けたが、最終的に捕縛され獄死。
寺内武兵衛
算者指南[8]の看板を掲げる浪人上がりの盗賊。剣術も平蔵が一目おく程の腕を持っている。その一方で男色であり、気に入った木村同心を誘拐・監禁した事で存在が露見し平蔵に討ち取られた。
白子の菊右衛門
仕掛人・藤枝梅安』に登場する香具師の元締。中村宗仙の事件以後は平蔵の人物を認め、彼との直接対決を避けている。
夜針の音松
少人数で皆殺しの急ぎ働きをする兇盗。妾であるおきぬとの性交中に松永弥四郎に踏み込まれて捕縛された。火刑。
彦島の仙右衛門
上方から駿河にかけて暗躍している本格志向の大盗賊。妻子もちだが浮気をするところがあり妾を妻に殺されたこともある。可愛がっていた加賀屋の佐吉に命を狙われたことがきっかけで捕縛され、押し込みの際に殺人を犯していたことにより処刑。
堀本虎太郎
堀本伯道の実子。父親直伝の必殺技「雲竜剣」を操る盗賊剣客だが、教えに背いて急ぎ働きをするだけでなく、火盗改方を陽動するために同心の連続殺害事件まで起こした。成敗に来た伯道を返り討ちにしたが、その後平蔵に斬られた。
土蜘蛛の金五郎
北信越を股にかけ、殺生もいとわない凶賊。しかし罪滅ぼしのためか三ノ輪に採算度外視の定食屋を構え、弱者に振舞っていた。そのことを不審に思って無頼浪人に変装した平蔵に、それとは知らず平蔵暗殺を依頼、最終的に捕縛される。
強矢(すねや)の伊佐蔵
北信越を根城にする急ぎ働きの凶賊。かつて伊三次に妻を寝取られ殺されかけた。休息のため訪れた江戸で偶然見かけた伊三次を報復の為に殺害した。同じく急ぎ働きの凶賊である市野の馬七と共に斬首。
暮坪の新五郎
強矢の伊佐蔵の実弟。平蔵に復讐するため商家と火盗改方役宅を同時に襲撃する二正面作戦を実行するが、動きを察知されており捕縛され火刑となる。
墓火の秀五郎
江戸で急ぎ働きを行う凶賊。一方、木村同心が通う水茶屋では上客となり、粋な振る舞いと柔らかい物腰で「川越の旦那」と呼ばれて一目置かれていた。逃亡先の粕壁で捕縛。
渡辺八郎
浪人崩れの盗賊。野槌の弥平の助働きをしたことがあり、その縁で粂八とも知り合いである。左目が潰れている。藤田彦七の妻であるおりつを誘拐し、藤田が出入り和泉屋への引き込み役を強要するが失敗。最後は平蔵に討ち取られる。
猫間の重兵衛
元々は御家人であり、本名は木村源太郎。無頼時代の平蔵とも顔なじみ。父親である木村惣市は無道の果てに平蔵に殺され、本人も平蔵を盗みの道に引き込もうとしたことで右腕を切り飛ばされた。その後は盗賊となり、池尻の辰五郎の娘と結婚した。しかし義弟である2代目池尻の辰五郎が火付盗賊改方に捕縛され自害したことで怒り心頭に発し、平蔵の周りの人々を次々に殺害していく。最後は捕縛され処刑。
峰山の初蔵
なにか得体の知れないところがある盗賊。おまさが2度ほど助働きをしたことがある。荒神のお夏と手を組み江戸で盗みを働こうとするが、いずれはお夏を消して一味を手に入れようと企んでいる。最後は平蔵に斬殺される。
虫栗の権十郎(2代目)
元は岩滑の浜造と名乗っており、初代権十郎の死後、近畿周辺で暗躍していたが、手下のお豊が平蔵に発見されたことから足がつき死罪となる。
鹿谷の伴助
元は仁三郎と共に船影の忠兵衛の下にいて放逐された盗賊。忠兵衛への報復として忠兵衛の娘が妻になっていた商家を襲う事を仁三郎に持ちかけるが押し込みの際に刺殺された。
法妙寺の九十郎(2代目)
元役者の先代を父に持つ盗賊だけあって変装に長けた盗賊だが場合によっては急ぎ働きも行う。猫間の重兵衛と組んで江戸での押し込みを企むも、面識があった玉村の弥吉に参加を持ちかけたことから足がつき配下の大部分と共に処刑。
沼目の太四郎
基本的に単独行動だが押し込む際は他の一人働きを集めて合同で押し込む男。おさわに持ちかけられて針ヶ谷の宗助の命と金、嘗帳を狙うも平蔵に捕縛され処刑[9]
おさわ
針ヶ谷の宗助の妻だが沼目の太四郎に宗助の殺害と金、嘗帳の強奪を持ちかけて実行に移した際に火盗改に捕縛され牢屋敷で狂死する[10]。かなりの性欲の持ち主。
お豊
虫栗一味の引き込みを務めている女賊で相当な性技と情欲の持ち主。かつて京都に住んでいた平蔵と関係があった。平蔵の口添えもあり死罪は免れた。

[編集] 盗賊以外

[編集] 浪人

石坂太四郎
無頼。松尾喜兵衛との試合で敗北し、仕官の道を絶たれたことを恨んでいた。江戸で松尾を見かけて殺害したが、沢田に仇を取られる。
石島精之進
無頼。中村宗仙と白子の菊右衛門の中継役をしていたが金の一部を着服していたことが露見、菊右衛門に刺客を差し向けられて殺された。
猪坂七兵衛
資産家の医師、竹村玄洞の蔵を警備している浪人。押し込んだ鏡の仙十郎一味と斬り合い、2名を仕留めたものの斬殺されてしまった。
大崎重五郎
猪坂七兵衛と共に竹村玄洞の蔵を警備している浪人。腕前も高いうえに謹厳実直な人柄。
井原惣市
深川の無頼集団「雷神党」を束ねる浪人で無外流の達人。おろくの一件で捜査をしていた平蔵に寝込みを急襲されて配下共々死亡した。
上杉周太郎
坪井主水の師匠、上杉馬四郎の息子。剣術に長けるが仕官の口がなく浮浪者同然の暮らしをしていた。霧の七郎に辰蔵殺害を持ちかけられるが、辰蔵が主水の門人であることを知りあっさり裏切る。
大河内一平
高津の玄丹の仕事を請け負っていた凄腕の浪人。平蔵暗殺の報酬を元手に汚れ仕事から足を洗う気でいた。平蔵に重傷を負わせ窮地に追い込むが、助太刀に現れた左馬之助が投げた脇差に貫かれ死亡した。
金子半四郎
金で雇われ殺しを生業にする刺客。体に染み付いた血の匂いを消すために梅の香のする香油を使っている。元々は父を殺した仇を討つために旅に出ていたのだが、その仇・森為之介に奇襲を受けて死亡するという呆気ない最期を遂げた。
近藤勘四郎
久栄の昔の男。殺人事件を起こして江戸を逐電し、その後は盗賊家業に身を落としていた。頭である霧の七郎の命を受け、久栄とお順を誘い出して殺害し、平蔵への復讐を図ろうとした。磔刑。
高橋勇次郎
浪人仲間から平蔵の殺害を持ちかけられるがその動きを平蔵に察知され、以後は平蔵に協力する。劇画版では死亡した。
高木軍兵衛
鍾馗のような風貌をした偉丈夫だが、剣術の方はからっきしである。盗賊の片棒を担がされそうになるが、平蔵に窮地を救われる。その後は坪井主水の道場に通って腕を磨いている。かつては唐津藩の江戸詰め藩士で、お熊とも顔見知りである。劇画版では用心棒で入った商家の娘と恋仲になり、結婚後は武士を捨て、商人となった。
松岡重兵衛
かつて高杉銀平道場の食客をしていた。平蔵や左馬之助の面倒をよく見ており、2人の悪巧みを止めたことすらある。平蔵達と再会したときには泥鰌の和助一味に加わっており、一味の仲間割れに巻き込まれて死亡する。劇画版では待ち伏せていた平蔵と対峙し切り倒された。
凄い奴
姓名不詳。不気味なほど色が白く、針のような目をしている。殺しの依頼を一旦受けながら前言を翻した録之助を抹殺すべく、大阪の香具師である名幡の利兵衛が差し向けた刺客。半死半生の深手を負わせた録之助を江戸で見かけ、再び攻撃を仕掛ける。同行していた平蔵にすら死の覚悟をさせるほどの凄まじい攻撃を見せた。
西村虎次郎
急ぎ働きどころか辻斬りまでやってのける悪党。常吉の妻・おときと浮気をしていたが常吉の恨みを買い、所業を火盗改に密告される。捕縛。
藤田彦七
居酒屋「治郎八」[11]で木村同心が知り合った気のいい浪人。浪人崩れの盗賊・渡辺八郎に妻であるおりつを誘拐され、出入りしている和泉屋への引き込み役を強要される。進退窮まった末、渡辺の盗人宿に火を放ち、おりつを救出しようとするが渡辺に殺害される。
市口又十郎
麻布で小さな道場を構える剣客。色黒で6尺近い巨漢であり、剣術の方も平蔵が一目置くほどの腕前。座敷女中であるお峰の好色振りに嫌気が差して別れるが、逆恨みしたお峰の口車に乗せられた横川甚助に襲撃される。その後は木村同心と喧嘩になって股間を蹴られるなど悲惨な役回りが多い。その後は更なる高みを目指して武者修行に出たようである。
安藤玄丹
猫間の重兵衛一味に雇われた刺客。1度目の対決では平蔵と互角に渡り合ったが、2度目の対決では殺害された人々の復讐に燃える平蔵の凄まじい殺気に圧倒され、全く何も出来ずに討ち取られた。
和田木曾太郎
秋元左近から後援を受けている無頼浪人だが『東軍無敵流』なる流派を名乗るだけありかなりの腕前を持っている。川村同心の妻を殺害した実行犯であり、捕物の際に川村同心の突撃を受け絶命。

[編集] 登場人物の関係者

阿部弥太郎
長谷川辰蔵より3歳年上の道場仲間。辰蔵に輪をかけた遊び人だったが父の死を機に家督を継いで所帯を持ったことで落ち着いた。
おふさ
服部角之助の妻。若き日の平蔵と左馬之助の憧れの人だった。しかし再会した時は悪党の一味に身を落とし、昔の面影は微塵もなかった。かつての嫁ぎ先であった近江屋への襲撃計画を小川や梅吉に持ちかける。捕縛され遠島。
助治郎
本業は鍛冶屋であるが、裏で盗賊の為に合鍵を作っている鍵師。非常に腕が良く、顧客には蓑火の喜之助、帯川の源助、堀本伯道など層々たる本格派が揃っていた。また、こうした盗賊からの礼金で報謝宿を営んでいた。
坪井主水
剣客。市ヶ谷で道場を構える念流の使い手。辰蔵と弥太郎の師匠。
中村宗仙
医師。指圧に長けている。京都で白子の菊右衛門の妾に手をつけてしまい、慰謝料として金を送っていた。しかし間に入っていた石島精之進がその金を着服しており、命を狙われる。
小野田治平
かつての高杉銀平道場の食客。居合道の使い手。左馬之助の義父になるが病死する。
三の松平十
本郷、根津権現一帯を束ねる暗黒街の顔役。蛇の平十郎から平蔵に対する暗殺も請け負っていたが、暗殺依頼をしようとした雷神党が平蔵に殲滅された事を機に依頼を拒否するようになる。
松尾喜兵衛
剣客。深川に小さな道場を構えていた沢田の師匠。かつて試合で破った石坂太四郎に襲われて死亡。人格者だったらしく、葬儀には多くの人が駆けつけてその死を惜しんだ。
土壇場の勘兵衛
網切の甚五郎の父親で両国の顔役であった。無道を繰り返したため、無頼時代の平蔵に殺される。
富造
渡り中間の無頼で、若き日の平蔵に喧嘩を売って返り討ちに遭った。神崎の倉治郎と似た顔の特徴を持っていたが、当の富造はかつての無道な生活から足を洗い、穏やかな暮らしを送っていた。
松浪金三郎
女賊おしまと情を通じた不祥事で解雇された元同心。居酒屋の亭主をしていたが、かつての親友である小柳同心の襲撃計画に巻き込まれた。解雇以来おしまを嫌悪していたが、執拗な求愛に耐えかねて結ばれた。
蓑虫の久
相模の彦十と仲の良いこそ泥。小川や梅吉の潜伏場所が発覚するきっかけとなった。
針ヶ谷の宗助
表向きは張り替え屋だが実は嘗役である。妻のおさわに裏切られ沼目の太四郎に殺されるところだったが先手を打った火盗改に捕縛されて結果的に命を助けられる。劇画版においては『張り替え屋の嘗役』の設定が仁三郎に追加されているため2009年夏現在は登場していない。
お雪
鈴鹿の又兵衛の一人娘で又兵衛の配下である叔父の下で養われているが父が盗賊であることは知らない。無頼浪人に絡まれているところを木村同心に助けられて、そのまま関係を持ってしまい結婚しようとするが彼女の知らぬところで真実を知った木村同心が結婚を諦めてしまった。
利右衛門(森為之介)
船宿『鶴や』の元々の亭主にして金子半四郎の父を酒席上の喧嘩の末に殺害した仇。平蔵を襲おうとした半四郎に奇襲をかけて殺害後、『鶴や』を平蔵に預けて妻の故郷、近江に去ったが劇中ではその後姿を現していない。
おろく
無頼時代の平蔵がヒモだった娼婦で左胸には平蔵につけられた傷がある。年老いて身体が使えなくなり針売りをしていたが、かつての客だった男の前に現れて金をせびる一種の強請りで金を稼いていた。しかし、巡り巡って話を聞きつけた井原惣市に強請りに利用するために殺されてしまった。

[編集] その他の登場人物

市口瀬兵衛
謀殺された息子の仇討ちのために旅する老武士。路銀が尽きて行き倒れになりかけたものの、平蔵や逆でこの仙次郎の力を借りて成し遂げた。
おきぬ
遊女で事をするときにはわざと嫌がる素振りをするのが特徴。夜針の音松に身請けされて尼に化けて悪事を働く矢先の性交中、かつての客だった松永同心に捕縛され、遠島となる。
おとき
常吉の妻だが同じ長屋に住む西村虎次郎と不倫関係となり、西村が捕縛された際に咎められて遠島となる。劇画版では元花魁の設定が追加され、常吉が花火師を辞めざるを得ない原因をつくった。
おりつ
藤田彦七の妻。かなりの器量よし。亭主を裏切って浮気をするがよりを戻す。藤田が出入りしている和泉屋に目を付けた渡辺八郎に誘拐され、藤田はおりつを救出しようと渡辺の盗人宿に火を放つが、地下牢に監禁されていたことが仇となって焼死する。
およね
伊佐次が贔屓にしている遊女で事をするときは男の腰に猫じゃらしをつけて楽しむ。伊佐次の最期を看取った後に平蔵暗殺を漏らした高橋勇次郎の情報を平蔵に通報する。
常吉
浜崎の友蔵の知り合いの船頭だが、妻のおときが西村虎次郎と浮気をしているのと、こき使う客への腹いせに放火を繰り返していたがその際に西村の悪事を目撃、所業を火盗改に密告した。後にほとぼりが冷めた頃に放火をしようとしたところで捕縛され、死罪となった模様。なお、劇画版では元花火師の設定が追加され、おときを道連れに自爆するという壮絶な最期を遂げた。
竹村玄洞
高利貸しをしていることで悪名高い医師。盗人の血が騒いだ彦十や五郎蔵、粂八、伊佐次、宗平にその悪評に目を付けられ、蔵を破られる。原作ではお咎めを受けなかったが、劇画版では悪事を咎められ、遠島となる。


[編集]

  1. ^ 平蔵には「うさぎ」と呼ばれている
  2. ^ この2人の何気ない挙動が悪い展開に働くケースも見られる
  3. ^ 昔馴染みの盗賊から賄賂を受け悪事を見逃す代わりに、他の盗賊の情報を貰っていた
  4. ^ 長谷川家を継いでから25両を詫び料込みで返済した
  5. ^ 予め平蔵は2人のためを思ってわざと2人を一緒にして見張りをさせていた
  6. ^ ただし忠兵衛が平蔵の顔を知っていたための挙動により、平蔵に忠兵衛とは気付かれないまでも盗賊と見破られた
  7. ^ ただし口封じのため別の無頼浪人に殺させる予定だった
  8. ^ 現在の経営コンサルタントにあたる
  9. ^ おさわも後で殺すつもりだった
  10. ^ 実際は発狂した状態で同房の女囚に殺された模様
  11. ^ 実は清洲の甚五郎の盗人宿である

最終更新 2009年10月31日 (土) 20:18 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【鬼平犯科帳の登場人物】変更履歴

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