鹵獲
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鹵獲(ろかく)とは一般的な動詞上の意味では戦場などで倒した兵士の銃・食糧などの装備品を奪うことである。
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[編集] 概要
古代中国では春秋戦国時代、三国時代などの戦時で度々行われた行為であった。
戦国時代の日本では、たびたびこの行為が戦のとき行われていた。主な目的として、自分よりよい武器を奪う為や、それらを売り払って金銭にする為などがある。
現在の戦争では、降伏した敵部隊から武装解除の際に取り上げたり、敵が撤退あるいは敗走時に遺棄・放棄した武器弾薬を手に入れることを指して言うことが多い。
通常鹵獲した兵器はそのまま自軍の兵器として転用するか、調査を行って自軍の兵器を改良、技術分析の参考にするか、開発する参考に使用するが、改造を施して使用することもある。このため、現在の軍隊では降伏したり何らかの理由で兵器を遺棄しなければならなくなった場合、その兵器が敵軍の戦力として運用されないように破壊(軍艦の場合は自沈)することが義務付けられている。(破壊活動#軍隊での武器破壊規定を参照のこと。)
[編集] 鹵獲兵器の運用
鹵獲した兵器をそのまま自軍の兵器として転用したとしても砲弾や銃弾、ミサイルなどの弾薬類やエンジンなどの補修部品の規格が自軍の兵器と違っていることが多く、必ずしも有効な正面戦力として活用できるわけではない。この場合は稼働率の維持のために共食い整備を行わざるを得なくなった挙句に結局廃棄処分を余儀なくされることもあれば、エンジンや大砲などを自軍の兵器の規格に適合するものに換装したり、別の用途に転用するための大改造を行うことがある。
ドイツ軍は完全に準備が整わないうちに第二次世界大戦に突入し、兵器の生産が部隊規模の拡大と損耗補充に追い付かなかったため、鹵獲した各種の兵器の有効活用に熱心であった。特に独ソ戦以降は重装甲のソ連戦車に対抗する必要上、鹵獲したKV-1やT-34などをそのまま運用したり、鹵獲したソ連軍の野砲やフランス軍の戦車の車体などを流用した対戦車自走砲を多種類製造するなどしたが、このような兵器はたいてい砲か車体のどちらかが鹵獲品でもう片方がドイツ製であることが多かった。
また、フィンランド軍も1940年のソ連の侵攻において諸外国からの兵器援助が限定的なものであり兵器の国産能力もさほど高くなかったため、やはり鹵獲したソ連製兵器の有効活用に熱心であった。
第二次世界大戦後の冷戦時代における戦争で対立する陣営は大抵、米ソの軍事的支援により兵器を潤沢に供給されることが多いため、敵部隊に偽装して敵地奥深くに潜入する特殊作戦以外で鹵獲兵器を軍の制式兵器として大々的に使用する例はほとんどないが、例外的にイスラエルは周辺を敵性国家に囲まれており、欧米諸国からの武器供給も決して安定しているわけではないため、鹵獲兵器(旧ソ連製が多い)を有効活用するための改造を自国が導入した旧式兵器(こちらは主に西側製の兵器)の近代化改修同様に重視しており、そこで蓄積されたノウハウを活用した外国の兵器の近代化改修を請け負っている。
[編集] 鹵獲例
[編集] そのまま自軍の兵器として転用
- 日本
- 鎮遠:日清戦争末期、威海衛にて鹵獲した。
- 石見:ロシア帝国海軍ボロジノ級戦艦の三番艦「アリヨール」を日本海海戦で鹵獲し、転用したもの。(戦利艦)
- P-40:ビルマの首都ラングーンの防空戦力増強のために鹵獲したP-40戦闘機で臨時の防空戦闘隊が編成された。
- M3軽戦車:主力の九七式中戦車にあらゆる面で勝っていたため運用された。
- ローデシア
- ドイツ
- B-17 : 第二次世界大戦ではドイツ空軍は爆撃機は所有していたが、大型4発爆撃機は運用していなかったこともあり飛行性能や防弾機能の面から国籍マーク・塗装を変更され運用された。
- PPSh-41 : 鹵獲したPPSh-41に、「P717(r)」と命名し、戦地でそのまま投入したり、MP40の箱形弾倉を使用出来るように改造して使用した。
- 120mm迫撃砲PM-38:鹵獲した120mm迫撃砲PM-38を「GrW378(r)」の名で運用し、後にはコピー品の12 cm GrW 42を生産している。
- チャド
- ベトナム
- M18A1クレイモア地雷:ベトナム戦争中、ベトコンが南ベトナム政府軍から横流しされ、そのまま使用。
- M26A1破片手榴弾:ベトナム戦争中、ベトコンが鹵獲や横流しで手に入れた物を使用。
- ノースロップF-5戦闘機:ベトナム戦争に敗北した南ベトナム軍が使用していたものを鹵獲し、カンボジア侵攻に使用。
- イスラエル
- イラン
- ミラージュF1戦闘機など旧イラク空軍機:湾岸戦争末期、イランに侵入して同国空港に次々に着陸した。イラク側の意図は明らかでないが、イラン側は「イラン・イラク戦争の賠償」として接収、一部は現在も使用されている。
[編集] 改造した上で自軍の兵器として使用
- ドイツ
- T-34改造対空戦車:名前通り鹵獲したT-34を対空戦車に改造したもの。(ドイツ軍)もちろんそのまま転用されたものもあった。
- マルダーI:フランス占領の際に鹵獲した37L装甲輸送車「ロレーヌ」などに75mm戦車砲を搭載しドイツ軍の駆逐戦車。
- 7.62 cm PaK 36(r):独ソ戦序盤で鹵獲したF-22 76.2mm野砲に薬室を延長するなどの改修を施したドイツ軍の対戦車砲。マルダーIIやマルダーIIIの初期型はこの砲を搭載していた(後の生産型はドイツ製の7.5 cm PaK 40を搭載)。
- 7.5 cm PaK 97/38:ポーランドやフランスを占領した際に鹵獲したM1897 75mm野砲の砲身と駐退復座機を、5 cm PaK 38の砲架と組み合わせた対戦車砲。独ソ戦で上記の7.62cm PaK 36(r)と共に運用された。
- フィンランド
- BT-42:冬戦争の際にソ連から鹵獲したBT-7戦車の車体に、イギリス製のQF 4.5インチ榴弾砲を搭載した突撃砲。
- ソビエト連邦
- SU-76i:ドイツから鹵獲したIII号戦車やIII号突撃砲の車体に、T-34/76やKV-1の主砲であるF-34 76mm戦車砲の改良型を搭載した自走砲。
- ソ連製対人指向性地雷:米軍から鹵獲したクレイモアをソ連がコピーした物。ソ連のアフガニスタン侵攻時に使用された。
- イスラエル
- BTR-152 TCM-20:第三次中東戦争でエジプトやシリアから鹵獲したBTR-152に20mm連装高射砲を搭載したイスラエルの対空車輌。
- Tiran-4/5/6:イスラエルが第三次中東戦争及び第四次中東戦争にて鹵獲したT-54 / T-55 / T-62戦車に近代化改修を行った戦車。第三次中東戦争が行われた1967年に多数を捕獲したことからTi-67とも呼ばれる。
- アチザリット:上記のTiran-4 / 5から砲塔を撤去して改造した重装甲の装甲兵員輸送車。
[編集] 自軍の兵器開発の参考品として使用
- ソビエト連邦
- IS-1:鹵獲したティーガーIの戦闘力に衝撃を受け、これに対抗できる重戦車として開発された。
- 爆発反応装甲:1982年のイスラエル軍のレバノン侵攻においてPLOやシリア軍との戦闘で撃破された、イスラエル軍のショットやマガフに装着されていたブレーザー爆発反応装甲のサンプルをシリア経由で入手し、それを参考にコンタークト1や発展型のコンタークト5を開発した。
- ドイツ
- 日本

