鼻行類
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| 地質時代 | |||||||||||||||
| 中生代白堊紀後期もしくは新生代第三紀 - 第四紀完新世(1957年) | |||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||
| (架空) Rhinogradentia Stümpke, 1961 |
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| 和名 | |||||||||||||||
| 鼻行目 | |||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||
| Snouters、Rhinogrades、Nasobames | |||||||||||||||
| 下位分類群(科) | |||||||||||||||
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鼻行類(びこうるい、架空の学名:Rhinogradentia、別名:ハナアルキ[鼻歩き])は、動物学論文のパロディ作品『鼻行類』(本項の下段を参照)に記載された想像上の生物である小獣の一群。 鼻行目 (Rhinogradentia) に分類される哺乳類の一分類群(タクソン)であり、1957年までは南太平洋のハイアイアイ群島に生息していた。
- 本項の記述の全ては奇書の一種である『鼻行類』(cf.)に基づいている。あたかも事実であるかのような文体に徹しているが、その形式自体が本書が持つ趣旨の忠実な再現となっている。もっともらしく解説される内容は、生息地や著者なども含めて全くのフィクションであり、すなわち、本項で解説されるのは、「フィクションとして知られている鼻行類および『鼻行類』」である。
目次 |
[編集] 概要
南太平洋に存在するハイアイアイ群島に生息していた動物。鼻を歩行や捕食等に使用する。滑りやすいハイアイアイ群島で、滑って転ぶのを防ぐために鼻で体を支えたのが、この特異な進化の発端ではないかとされる。また、ゴキブリなどの昆虫を捕食するために、地面に顔を擦りつけていたことにより、このような進化を遂げたという説もある。なお、鼻が歩行器として発達したのと対照的に、多くの群で四肢の退化が見られ、一部では後肢あるいは四肢すべてを完全に失った例もある。
ナゾベームのように頭を下にして鼻で歩く姿が有名であるが、多様な進化を遂げた鼻行類の鼻は、歩行に用いるだけでなく捕食などにも使用されている。例えば、ハナススリハナアルキ (Emuncttor sorbes) は粘着力のある鼻汁をたらすことで魚を釣り上げることで知られている。
全14科189種からなるこの生物群は、1942年にスウェーデン人探検家エイナール・ペテルスン=シェムトクヴィスト (Einar Pettersson-Skämtkvist) によって発見された。ドイツ人博物学者ハラルト・シュテュンプケ(Harald Stümpke、cf. ドイツ人動物学者ゲロルフ・シュタイナー[Gerolf Steiner])の著書『鼻行類』に詳しい。
なお、荒俣宏によるとフランスでは鼻行類という分類は認められていない。これは、大統領シャルル・ド・ゴール(在任期間:1958- 1969年)が、巨大な鼻を持つ自分への当てこすりであるとして、パリ植物園への鼻行類の標本搬入を拒否したためであると荒俣は『世界大博物図鑑』に記述しているが、真偽の程は定かではない。
1957年の核実験によってハイアイアイ群島は消滅し、この時、鼻行類も絶滅したとされる。
[編集] おもな鼻行類
[編集] 単鼻類
- 原鼻類
- もっとも原始的な鼻行類と考えられるムカシハナアルキ類の化石は、中生代白亜紀後期もしくは新生代第三紀のものとされる地層から算出されている。その姿はほぼ食虫類と同じで、鼻が特に発達しているが、摂食時のみ鼻で体を固定し、移動には四肢を用いる。
- 鼻歩類
- 鼻腔内粘膜で地表に張り付き、あるいはそれで移動する。ハナススリハナアルキは例外的に原始形態をとどめるが、近縁なものと考えられている。
- 管鼻類
- 鼻が長く伸び、先端が開いている。水中生活で鼻を水面に伸ばして呼吸する。
- ラッパハナアルキ属 genus Rhinostentor - 漏斗状の鼻で水面からぶら下がって生活する。ミジンコラッパ ハナアルキ (R. submersus) など。
- 地鼻類
- 鼻は棒状で、内部に空洞を持つ。
- 跳鼻類
- 鼻ははっきりした柄を持ち、足のようになる(鼻脚)。内部の軟骨が強く発達し、途中に関節がある。その先端は広がり、地表にこれをつける。
[編集] 多鼻類
- 四鼻類
- 鼻は4つ、それを足のように使って歩行する。
- ナゾベーム属 genus Nasobema - ナゾベーム科(familia Nasobemidae) に属する代表的なハナアルキ。4本の鼻で移動する。比較的知られている種にモルゲンシュテルンオオナゾベーム (N. lyicum) がある。
- オニハナアルキ属 - ナベゾーム属を捕食する。
- 六鼻類
- 鼻は6つ。多くはあまり移動せず、鼻を伸ばして昆虫などを補食する。
- 長吻類
- 鼻は多数、頭部先端の突出部に左右に対をなす。
- ナキハナムカデ - 19対の鼻を持ち、そのうち18対の鼻で音楽を演奏する。
[編集] 書籍としての『鼻行類』
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
『鼻行類』はハラルト・シュテュンプケ名義で書かれた、架空の生き物「鼻行類」を解説している書籍である。1961年発行。フィクションではあるが、生物学における学術書によくある特定の分類群に関する総説の形式を巧みに表現してあり、個々の動物の記述は客観的かつ冷静である。
特に、一つの群島における哺乳類の一分類群の適応放散をシミュレートする、という試みにおいても興味深いものである。鼻で歩くというのがいかにも奇妙であるが、考えてみればゾウの鼻でもずいぶんと奇妙であるし、生物界にはびっくりするような適応の例はいくらでもある。しかしそれが鼻であることが一種のおかしみを醸し出している。さらにダンボハナアルキなどは、耳を羽ばたかせて飛ぶというディズニーアニメのダンボを生物学的に具現化してみせたものである。それ以外にも、寄生性の哺乳類など、実在しないものを無理やり創り出したものもある。なお、顔を花に擬態させて虫を捕るというハナモドキなどは、ほぼ同様の案が『アフターマン』でも使われており、言わば、アイディアの収斂が見られる。イカモドキは繊毛粘液摂食を陸上のしかも哺乳類にさせる思考実験ともとれる。
その学術論文のパロディーとしての完成度はかなり高い。鼻行類についての記述のみならず、ハイアイアイ群島の現地人の文化や鼻行類研究の歴史なども、それらしく描かれている。また、巻末の参考文献一覧なども一見の価値がある。その系統樹を完全なものとしては描かず、多くの疑問や異説を含むかたちで提出するあたりにも、学術論文的なリアリティがある。また、地鼻類の項では単にこの架空の分類群のみならず、扁形動物門三岐腸類の系統にまで話を広げるあたりは、いかにも意欲的な研究者の書きそうな話でもある。 線画による細密画も生物学論文的なもので、ときに違ったタッチのものが混じるのは、総論的な学術論文ではよくある、他の研究者の論文からの引用によって異なったタッチの図が入り交じるという事実を巧みに模したものである。
古い詩(これは実在する)の引用から始まり、核実験による島の消滅という終焉を末尾に置くというドラマチックな構成は、単なるパロディー論文というよりは、論文という体裁をとった一つのおとぎ話としても成立している。サイエンスフィクションならぬ、バイオロジーフィクション作品と呼べるであろう。
なお、本文中では始めに少し説明がある以外には言及がないが、この島はきわめて古い時代に孤立して以降、独自の進化の道をたどっており、そのために高等な昆虫が欠けている。したがって、図中に描かれている昆虫はいずれもゴキブリやカゲロウなど古い型のものかそれに由来するものであり、よく見るとそれらしく描かれている。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 影響
『鼻行類』は後世に著された2書『平行植物』および『アフターマン』と併せて「生物系三大奇書」と呼ばれることがある。
このうち、『平行植物』がむしろ民俗学的書籍の、アフターマンが一般向け科学解説書(あるいは、子供向け科学図鑑)のパロディーの体裁をとるのに対して、『鼻行類』は徹底して科学分野の専門書のパロディーである。
そのため、むしろ科学の専門家に喜ばれたかもしれない。日本語訳者の日高敏隆は一級の動物学者である。また、わざわざこの本の評価本(『シュテンプケ氏の鼻行類 - 分析と試論』ゲーステ著・今泉訳)が出ている。片倉・馬渡の『動物の多様性』(2007年、培風館)では標本に関する議論の中でこの書を取り上げ、それが虚構であることには一切触れずに「標本が存在しないため、これを確認することが不可能である」ことを惜しんでいる。さらに、フランスの博物館でこの書の動物の一つ、ハナススリハナアルキの剥製(当然作り物である)が一時展示されていたことを取り上げ、その時に解剖を依頼すればよかったと惜しんで見せている(もちろんこれも手の込んだ冗談である)。
[編集] 関連作品
- 柴田昌弘 『ミッシングアイランズ』 朝日ソノラマ、2005年2月。ISBN 4-257-72274-6。
- ハイアイアイ群島を舞台としたSF漫画。
[編集] 関連項目
- ゲロルフ・シュタイナー (Gerolf Steiner)
- 偽書#フィクションにおける来歴の虚偽
- 生物系三大奇書 - 鼻行類 - 平行植物 - アフターマン
- 秘密の動物誌
[編集] 参考文献
- 『鼻行類』 日高敏隆訳、思索社、1987年4月。ISBN 4-7835-0145-9。
- 『鼻行類』 日高敏隆・羽田節子訳、平凡社、1999年5月。ISBN 4-582-76289-1。
- カール・D・S・ゲーステ著 『シュテュンプケ氏の鼻行類 分析と試論』 今泉みね子訳、思索社、1989年10月。ISBN 4-7835-0167-X。博品社、1996年1月。ISBN 4-938706-23-7。

