龍と娘
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龍と娘(りゅうとむすめ)はデンマーク西ユラン地方(地方行政区画では中央ユラン地域もしくは南デンマーク地域の西部地域に相当する)の伝承である。
父親が木の実を拾ってきたので娘にやったところ、実はその木の実の中には一匹の虫が入っていた。娘はその虫を大事に育てたところなんと巨大な龍に成長した。村人は龍を追い払うことは出来なかったので、娘は責任を持って龍と一緒に島へと旅立った。しかしそこには丘がなかったので、さらにロンエー島の北のはずれへ移動し、そこで何年か龍と一緒に住んだ。龍は当初地面の下に穴を掘ってもぐって暮らした。しかし、その向こうには「ハル」という丘がある場所があった。娘は「ハル」へ龍と一緒に移動し、そこで一緒に暮らした。以後、その場所は人々から「龍(レンホイ)の丘」と呼ばれたという。
[編集] 補説
いわゆるワーム型ドラゴンの伝承である。リンドヴルム王子の物語同様、竜退治されない物語としてかなり珍しい部類に入る。なぜなら、通常なら勇者や村人達に退治されるところを、この物語は娘が自分から進んで一緒に龍と暮らすという伝承だからである。通常欧州は姫や娘が龍にさらわれる物語の方が圧倒的多数で、娘が自ら進んで龍と旅する伝承などほとんどないからである。通常は竜によって娘がさらわれる、竜が娘を生贄として貪るという伝承は欧州各地で見られる事を考えると、極めて貴重な物語といえる。
なお、龍の丘に移り住んだ後、龍と娘がどうなったか伝承では明らかにされていない。しかし、物語上では娘がこれほどまでに龍と一緒に暮らしたかった事を考えると、その後も幸せに暮らしたのではないだろうかと推測される。
[編集] 参考文献
- 竹原威滋・丸山顯德編「世界の龍の話」三弥井書店,2002,p165.
- Evald Tang Kristnsen:"Danske Sagn" Arhus,1893,Vol.2,E,No.28,p183.(「デンマークの伝説」)(話者:アーネ・キアスティーネ・レフスゴー。調査地:レズィング。採者:クレステンセン(デンマークの民俗学者)「世界の龍の話」出典p12,本文p175より)

