1989年の日本シリーズ

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日本の旗1989年の日本シリーズ
チーム 勝数(引分数)
読売ジャイアンツ() 4
近鉄バファローズ() 3
ゲームデータ
試合日程 1989年10月21日-10月29日
最高殊勲選手 駒田徳広
敢闘選手 新井宏昌
チームデータ
読売ジャイアンツ ()
監督 藤田元司
シーズン成績 84勝44敗2分
(シーズン1位) 
近鉄バファローズ()
監督 仰木彬
シーズン成績 71勝54敗5分
(シーズン1位)
日本シリーズ
 < 1988 1990 > 

1989年の日本シリーズ(1989ねんのにっぽんシリーズ)は、1989年10月21日から10月29日まで行われたセ・リーグ優勝チームの読売ジャイアンツパ・リーグ優勝チームの近鉄バファローズによる日本プロ野球日本選手権シリーズである。

目次

[編集] 戦評

仰木彬監督率いる近鉄バファローズ藤田元司監督率いる読売ジャイアンツの対決となった1989年の日本シリーズ。事前の見方では巨人が有利との声が多かった[1]。しかし、第1戦から第3戦まで近鉄は12球団随一ともいえる先発投手陣と猛牛打線を武器に一気に3連勝、悲願の日本シリーズ初制覇へ一気に王手をかけた。逆には巨人はスキに付け入ることすらままならず、3戦いずれもいいようにやられてしまった。

このシリーズでまず有名な事柄は加藤哲郎投手の第3戦終了後のヒーロー・インタビューである。インタビューや彼の不遜な態度に尾ひれがつき『巨人はロッテより弱い』と失言し、これに触発された巨人の選手が発奮したという筋書きである(正しくは「別に、大したことなかったです」「シーズン中のほうがきつかったですからね。相手も強いし」と発言)。

その後近鉄打線は第4戦で香田勲男に完封負けしたのを皮切りに、それまでが嘘の様に沈黙してしまう。逆に巨人打線は不振にあえいでいた主砲・原辰徳が第5戦に満塁アーチを放つなど崖っぷちから甦る。投手陣の活躍でリーグ優勝を果たした藤田巨人に対し(チーム防御率は2.56)、シーズン中から無理な起用を続けた結果投手陣が崩壊気味であった仰木近鉄の地力が完全に逆転してしまったのである。結局3連敗の後3連勝した巨人の勢いはそのまま最終戦でも止まることなく、引退を決意し出場をためらっていた中畑清が現役最後のホームランを打つなど圧勝、巨人は8年ぶり17度目の日本一に輝いた。藤田監督は、「最初のうちは、野球はそんなに甘くないんだとお天とう様が試練を与えてくれたのでしょう」等と述べた[1]。また、藤田監督は選手時代に出場した31年前の日本シリーズで仰木を擁する西鉄に3連勝後の4連敗を喫していた。藤田監督にとっては、選手時代の屈辱を監督として果たした形となった。

第7戦で駒田徳広が加藤からホームランを打ち、グラウンドを回りながら帽子を叩きつけて悔しがる加藤を横目で見て「バーカ!」と吐き捨てる姿は後日『珍プレー大賞』でよく取り上げられ、いつしか巨人ファンからすらもシリーズの象徴かのように語り継がれてしまった。他方で、自慢の猛牛打線による圧倒的な2連勝で藤井寺球場から送り出したはずが、最終戦までもつれ込んだあげく、藤井寺で藤田巨人の胴上げを見せつけられたのであるから、近鉄ファンにとっては悪夢としか言いようがない日本シリーズ後半戦であった。

このように先に王手をかけられながら4連勝を決めたのは1958年1986年西武ライオンズ(1958年当時は西鉄)が優勝した事例に次いで2チーム・3回目のケースだった(ちなみに4連敗されたのは巨人と広島である)。

巨人はこの年近鉄と対戦した事で当時存在したパ・リーグの6球団全てとシリーズで対戦した。また、近鉄は3回目の出場だったが、1979年1980年のシリーズでは大阪球場を近鉄側主催球場とした(日本生命球場は収容人員がシリーズ開催基準の3万人に満たず(20,500人)、藤井寺球場は前回開催当時ナイター照明設備が未整備だった)ため、藤井寺球場でシリーズが開催されたのはこの年のみである(2001年のシリーズは大阪ドームで行われている)。
また、前年に開場した東京ドームでの日本シリーズ開催はこの年が最初で、以後2009年まで8度にわたり東京ドームで開催されている(いずれも巨人主催試合)。

このシリーズに出場した巨人、近鉄の選手は2008年までに全て現役を引退している(最後の現役選手は2008年3月に引退した桑田真澄)。
なお2009年現在、当時のメンバーのうち、原辰徳は同じ巨人で監督として指揮を執っている。また、近鉄の大石大二郎も、2009年までオリックス・バファローズ(優勝争いを演じたオリックス・ブレーブス(→後にブルーウェーブ)とその後合併してできた球団)で監督として指揮を執っていた。
また、このシリーズで指揮を執った藤田・仰木両監督も既に故人となっている(仰木は2005年12月、藤田は2006年2月に逝去)。

[編集] 試合結果

[編集] 第1戦

10月21日 藤井寺 入場者23477人

巨人 0 2 0 1 0 0 0 0 0 3
近鉄 1 0 0 0 0 2 1 0 X 4

(巨)●斎藤(1敗)、宮本中尾
(近)○阿波野(1勝)-山下
【本塁打】
(巨)岡崎1号2ラン(2回阿波野)
(近)大石1号ソロ(1回斎藤)、鈴木1号2ラン(6回斎藤)

[審判]パ五十嵐(球)セ福井 パ小林一 セ井野(塁)パ寺本 セ小林毅(外)

近鉄阿波野秀幸、巨人斎藤雅樹の両エースの先発。近鉄は初回いきなり大石第二朗の先頭打者本塁打が出て先制。斎藤は続く新井宏昌ブライアントにも連続ヒットを許す不安定な立ち上がり。一方の阿波野も初回こそ三者凡退に抑えたが、2回1死からクロマティにヒットを許す。続く呂明賜は打ち取ったものの、岡崎郁に逆転2ランを浴びてしまう。さらに4回にもクロマティ、呂の連打で追加点を許す苦しいピッチング。一方の斎藤は2回以降立ち直ったかにみえたが、6回2死1塁から鈴木貴久がレフトへライナーで突き刺さる同点2ラン。7回、先頭の山下和彦がセンターを破る三塁打で勝ち越しチャンス。斎藤は粘って2死までこぎつけたが、新井にレフト前に運ばれ、勝ち越し点を許した。5回以降立ち直った阿波野が完投。近鉄が先勝した。

[編集] 第2戦

10月22日 藤井寺 入場者24207人

巨人 0 0 0 0 0 2 0 0 1 3
近鉄 0 0 0 0 0 2 4 0 X 6

(巨)●桑田(1敗)、鹿取吉田-中尾
(近)山崎加藤哲、○佐藤秀(1勝)、吉井-山下、光山
【本塁打】
(巨)中尾1号ソロ(9回佐藤秀)

[審判]セ小林毅(球)パ寺本 セ福井 パ小林一(塁)セ平光 パ牧野(外)

近鉄は山崎慎太郎、巨人は桑田真澄の先発。両投手ともピンチを迎えながらも無得点に抑えていたが、6回に試合が動く。まず巨人が2安打1四球で2死満塁としたあと、駒田徳広が中前に2点タイムリーを放つ。一方近鉄もその裏、2死1、3塁から淡口憲治が2点タイムリー二塁打で同点。さらに7回、ヒットと敬遠を含む2つの四球で2死満塁。ここでリベラが走者一掃のタイムリー二塁打で3点を勝ち越し。さらに鈴木貴も連続二塁打を放ち、試合を決定づけた。巨人は9回、中尾孝義の本塁打で追い上げるも最後は吉井理人が後続を絶ち、近鉄が連勝した。

[編集] 第3戦

10月24日 東京ドーム 入場者45711人

近鉄 1 2 0 0 0 0 0 0 0 3
巨人 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

(近)○加藤哲(1勝)、村田、S吉井(1S)-光山
(巨)●宮本(1敗)、水野槙原、吉田、斎藤-中尾、山倉
【本塁打】
(近)光山1号2ラン(2回宮本)

[審判]パ牧野(球)セ平光 パ寺本 セ福井(塁)パ五十嵐 セ井野(外)


東京ドームに舞台を移しての第3戦、巨人は宮本和知、近鉄は加藤哲郎の先発。加藤はこの日のミーティングに遅刻、巨人選手のデータも「見たってピッチングが変わるわけじゃない」と一切見ずに登板したという。そんな加藤に巨人打線は5回1死までノーヒットに抑えられる苦戦。一方の近鉄は初回ブライアントのタイムリー二塁打、2回には光山の2ラン本塁打と効果的に加点し、優位に試合を進めた。加藤は7回途中まで無失点。1死からクロマティ、岡崎に連打されたところで、仰木監督は村田辰美、吉井とつなぎ、近鉄が完封勝ちで初の日本一に王手をかけた。加藤はヒーローインタビューでも余裕たっぷりのコメントであり、その後の記者団インタビューで「ロッテのほうが怖い」と発言。加藤は単に「ロッテのほうが怖い」と言っただけであり、伝えられるように「巨人はロッテより弱い」といったわけではないが、この後のシリーズの展開により、これがシリーズの流れを変えることになる。

[編集] 第4戦

10月25日 東京ドーム 入場者45825人

近鉄 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
巨人 1 0 0 0 0 3 1 0 X 5

(近)●小野(1敗)、池上木下山田-光山、山下
(巨)○香田(1勝)-中尾

[審判]セ井野(球)パ五十嵐 セ平光 パ寺本(塁)セ小林毅 パ小林一(外)

3連勝の近鉄は一気に勝負を決めるべく阿波野との予想もあったが、先発は小野和義。巨人は香田勲男。小野は12勝を挙げていたものシーズン終盤の故障リタイアから戻ってきたばかりで、本調子にはほど遠かった。巨人は初回、1死3塁から岡崎の犠牲フライで先制。6回、小野の球威が落ちたところを3安打2四球を集め3点を奪い、試合を決定づけた。香田は散発3安打、三塁も踏ませず完封。巨人が1勝目をあげた。

[編集] 第5戦

10月26日 東京ドーム 入場者45717人

近鉄 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
巨人 0 0 0 0 2 0 4 0 X 6

(近)●阿波野(1勝1敗)、吉井、村田、石本高柳-山下
(巨)○斎藤(1勝1敗)-中尾
【本塁打】
(近)ブライアント1号ソロ(5回斎藤)
(巨)1号満塁(7回吉井)

[審判]パ小林一(球)セ小林毅 パ五十嵐 セ平光(塁)パ牧野 セ福井(外)

巨人が斎藤、近鉄が阿波野と第1戦と同じ顔合わせ。近鉄は5回、ブライアントがライトスタンドにライナーで突き刺さる豪快な先制ソロ。しかしその裏巨人は2死1、2塁から岡崎が2点タイムリー二塁打を放ち、逆転。7回1死無走者で阿波野に打順が回ったところで仰木監督は阿波野に代打を送る。その裏、リリーフした吉井に対し、先頭打者は投手の斎藤だったが、藤田監督は斎藤をそのまま打席に送った。その斎藤が中前打を放ち、出塁。1番簑田浩二の代打・緒方耕一が送りバント。続く勝呂博憲が四球、岡崎の二塁ゴロの間に斎藤が進塁して2死1、3塁。バッターは4番クロマティ、5番原辰徳と続く場面だったが、原はシリーズに入って18打席無安打の大不振だったこともあり、近鉄はクロマティを敬遠。しかし、この敬遠策に燃えた原はカウント2-1から吉井の低めストレートをジャストミート、打球はレフトスタンドへ吸い込まれた。シリーズ初安打が試合を決定づける満塁ホームラン。斎藤は結局ブライアントの本塁打による1点に抑え110球完投。流れは大きく巨人に傾いた。

[編集] 第6戦

10月28日 藤井寺 入場者23030人

巨人 0 0 0 0 2 0 0 1 0 3
近鉄 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

(巨)○桑田(1勝1敗)、宮本、S水野(1S)-中尾
(近)●山崎(1敗)、佐藤秀、吉井-山下、光山
【本塁打】
(巨)岡崎2号ソロ(8回佐藤秀)
(近)リベラ1号ソロ(4回桑田)

[審判]セ福井(球)パ牧野 セ小林毅 パ五十嵐(塁)セ井野 パ寺本(外)

再び藤井寺球場に舞台を移しての第6戦は、近鉄山崎、巨人桑田という第2戦と同じ顔合わせ。4回、リベラの本塁打で近鉄が先制したが、巨人は5回表2死2、3塁から篠塚利夫がライト前に2点タイムリーヒットを放ち、逆転。8回岡崎の本塁打で突き放した。桑田は7回途中までリベラの一発による1失点に抑える好投。7回1死1、3塁のピンチを迎えたが、巨人は宮本、水野雄仁とつなぎ、逃げ切った。巨人が3連敗後の3連勝で日本一に逆王手をかけた。

[編集] 第7戦

10月29日 藤井寺 入場者23091人

巨人 0 1 0 3 0 3 1 0 0 8
近鉄 0 0 0 1 1 1 0 0 2 5

(巨)○香田(2勝)、S宮本(1敗1S)-中尾
(近)●加藤哲(1勝1敗)、小野、高柳、村田、吉井-光山、山下
【本塁打】
(巨)駒田1号ソロ(2回加藤哲)、原2号2ラン(6回村田)、中畑1号ソロ(6回吉井)、クロマティ1号ソロ(7回吉井)
(近)真喜志1号ソロ(4回香田)、村上1号ソロ(5回香田)、大石2号ソロ(6回香田)

[審判]パ寺本(球)セ井野 パ牧野 セ小林毅(塁)パ小林一 セ平光(外)

近鉄は第3戦で好投した加藤をマウンドに送ったが、巨人の勢いを止めることはできなかった。2回、駒田が豪快に先制ソロホームランを放ち、加藤を早々とKO。駒田がベースを回りながら加藤に「バーカ」と叫ぶ姿は、前述の第3戦での加藤の発言も相重なりこのシリーズの象徴となってしまった。4回には中尾、川相昌弘の連続タイムリーなどで3点を追加、6回には原の2ラン、中畑清の代打本塁打でさらに3点、7回にもクロマティの本塁打で加点、優位に試合を進めた。近鉄は4回に真喜志、5回に村上隆行の本塁打、6回には第1戦の先頭打者本塁打以降無安打だった大石の26打席ぶりの安打となるシリーズ2号本塁打で反撃するが、失点が大きすぎた。8-3で迎えた9回、近鉄は意地の連打で2点を返したが、最後は村上がライトフライに倒れ、万事休す。巨人が日本シリーズ史上3度目の3連敗4連勝で8年ぶりの日本一を決めた。

[編集] 表彰選手

[編集] テレビ・ラジオ中継

[編集] テレビ中継

  • 第1戦:10月21日
実況:太田元治 解説岡本伊三美山本和行 ゲスト解説:池山隆寛ヤクルト)、佐々木誠福岡ダイエー
  • 第2戦:10月22日
  • 朝日放送≪ANN系列≫ 
実況:武周雄 解説:稲尾和久皆川睦雄 ゲスト解説:笘篠賢治(ヤクルト)、伊良部秀輝ロッテ
  • 第3戦:10月24日
実況:今井伊佐男 解説:長嶋茂雄堀内恒夫 ゲスト解説:村田兆治(ロッテ、この年200勝達成)
  • NHK衛星第1テレビ(中継録画) 解説:梨田昌孝 ゲスト:重塚伊知子
  • 第4戦:10月25日
実況:西田善夫 解説:山田久志 ゲスト解説:尾花高夫(ヤクルト)、松永浩美オリックス
  • 第5戦:10月26日
  • 第6戦:10月28日
  • 第7戦:10月29日
※この年、NHK衛星第1テレビ及びNHK衛星第2テレビが本格的に始動し、プロ野球中継も衛星放送時代に突入した。
日本シリーズに関しては録画中継の形式を採り、全試合、試合当日の夜に衛星第1テレビで放送された。

[編集] ラジオ中継

  • 第1戦:10月21日
  • 第2戦:10月22日
  • 第3戦:10月24日
  • 第4戦:10月25日
  • NHKラジオ第1 解説:広瀬叔功 ゲスト解説:落合博満
  • TBSラジオ(JRN) 解説:杉下茂、田淵幸一
  • 文化放送(NRN) 実況:月岡逸弥 解説:別所毅彦山崎裕之
  • ニッポン放送(NRN) 実況:胡口和雄 解説:江本孟紀 ゲスト解説:大島康徳(日本ハム)
  • ラジオ日本 解説:高橋直樹、土井正三
  • 第5戦:10月26日
  • NHKラジオ第1 解説:山田久志 ゲスト解説:牛島和彦
  • TBSラジオ(JRN) 解説:張本勲、小林繁
  • 文化放送(NRN) 解説:皆川睦雄、大田卓司
  • ニッポン放送(NRN)
実況:深澤弘 解説:土橋正幸 ゲスト:ビートたけしたけし軍団ダンカン井手らっきょラッシャー板前
  • 第6戦:10月28日
実況:太田元治(ABC)解説:皆川睦雄 ゲスト解説:中嶋聡(オリックス) ゲスト:大橋巨泉
  • ラジオ日本 解説:浅野啓司
  • 第7戦:10月29日
  • NHKラジオ第1 解説:広岡達朗 ゲスト解説:星野伸之
  • TBSラジオ(JRN・朝日放送(ABC)製作)
実況:和沙哲郎(ABC) 解説:稲尾和久、皆川睦雄 ゲスト解説:高沢秀昭(ロッテ)
  • 文化放送(NRN) 解説:一枝修平、中村勝広 ゲスト解説:中嶋聡
  • ニッポン放送(NRN) 実況:胡口和雄 解説:土橋正幸、大矢明彦
  • ラジオ日本 解説:有本義明

[編集] 出典

  1. ^   『巨人軍5000勝の記憶読売新聞社ベースボールマガジン社、2007年。ISBN 9784583100296。  p.68~ なお、ここには「加藤発言」については記載されていない。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月30日 (月) 15:31 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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