1994年のF1世界選手権

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1994年F1世界選手権は、FIAフォーミュラー1世界選手権の第45回大会である。1994年3月27日に、ブラジルで開幕し、11月13日に、オーストラリアで開催される最終戦まで、全16戦で争われた。

目次

[編集] 概要

ベネトンミハエル・シューマッハが、ウィリアムズデイモン・ヒルとの争いを制してチャンピオンに輝いた。一方で、サンマリノグランプリにおけるアイルトン・セナと、ローランド・ラッツェンバーガーの死亡事故等、安全性の確保が課題になる年だった。

[編集] ハイテク禁止と給油作戦復活

FIA会長マックス・モズレーの方針により、F1の競技性を見直すレギュレーションの改訂が行われた。1990年代のF1マシンはトラクションコントロール(TCS)、アクティブサスペンションアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などのハイテク装備が急速に進化していたが、開発コストの抑制やドライバー同士のバトルを増やすという方針からそれらは廃止された(セミオートマチックギアボックスパワーステアリングは合法とされた)。また、レース中の順位変動を活発化しエンターテイメント性を高めるため、1983年以来となるレース中の再給油が許可された。

しかし、エンジンコントロールユニットのプログラムで制御するTCSを完全に規制することは困難で、数チームが使用疑惑をかけられた。また、ピットでの給油作業では懸念された通り出火事故が起こり、ドイツGPヨス・フェルスタッペンとベネトンのピットクルーが火傷を負った。

[編集] セナの死と安全問題

この年、セナは6年間在籍したマクラーレンを離れ、最強ウィリアムズ・ルノーのシートを得た。チャンピオン最有力候補と目されながら開幕2連続リタイアと出遅れ、迎えた第3戦サンマリノGP。セナはトップ走行中にコースアウト、タンブレロコーナーの外壁に衝突し、搬送先の病院で死亡した。3度のワールドチャンピオンの突然の死は母国ブラジルだけでなく、世界中のモータースポーツファンに衝撃を与えた。

このサンマリノGPは予選中にラッツェンバーガーが事故死し、ルーベンス・バリチェロが負傷欠場。レース中には観客やピットクルーを巻き込む負傷事故も起きるなど、呪われた週末となった。F1開催中の死亡事故は1982年のリカルド・パレッティ以来(テスト走行では1986年にエリオ・デ・アンジェリスが死亡)。カーボンモノコックの普及により築かれた安全神話は打ち砕かれた。

続くモナコGPではドライバーが結束しGPDAを再興したが、カール・ベンドリンガーが一時意識不明に陥る事故が起きた。スペインGPではラッツェンバーガーの代役アンドレア・モンテルミニが脚を骨折。相次ぐ死傷事故に早急な安全対策が求められ、シーズン中にレギュレーションが改訂されつづける異例の事態となった(詳細はF1レギュレーションの「1994年シーズン途中から」を参照)。サーキットの安全性も指摘され、ベルギーGPでは名物の高速コーナー、オー・ルージュに仮設シケインが設けられた。

[編集] シューマッハとヒルの対決

シューマッハは給油解禁に対応したレース戦略で開幕4連勝を含め、前半7戦中6勝という快進撃を見せた。2位に終わったスペインGPも、5速ギアしか使えないまま走行した結果である。ランキング2位のヒルに30点以上のポイントリードを築いたが、イギリスGPでフォーメーションラップ時においてヒルを何度か追越したことによるピットストップペナルティの指示を無視したためレース後に失格。のちに2戦出場停止が課せられた。さらに、ベルギーGPで優勝しながら、レース後の車検でスキッドブロック(木製の底板)の厚さが規定違反とされ、再び失格となった。

セナ亡き後ウィリアムズのエースとなったヒルは、父グラハム・ヒルが果たせなかった地元イギリスGP優勝をポール・トゥ・ウィンで達成。シューマッハが失格と出場停止で無得点となった3戦を3連勝し、ポイント差を一気に1点まで縮めた。ヨーロッパGPをシューマッハ、日本GPをヒルが制し、1点差のまま迎えた最終戦オーストラリアGPでも両者は接近戦を展開。先行するシューマッハがコースアウトし、サスペンションを壊したまま強引にコースへ復帰しヒルをブロックし、次のコーナーで抜こうとしたヒルと接触。両者ともリタイアという後味の悪い結末で、シューマッハ自身初のドライバーズチャンピオンが決定した。

コンストラクターズはウィリアムズがベネトンを抑えて3連覇を達成。エースドライバーの得点が僅差だったため、セカンドドライバーの貢献度で差がつく結果となった。

[編集] 特記記事

[編集] 参戦チーム・ドライバー

エントラント コンストラクタ シャシー エンジン タイヤ ドライバー
イギリスロスマンズ・ウィリアムズ・ルノー ウィリアムズ FW16,FW16B ルノーRS6(V10) G 0.イギリスデイモン・ヒル
2.ブラジルアイルトン・セナ
(2.)イギリスデビッド・クルサード
(2.)イギリスナイジェル・マンセル
イギリスティレル・レーシング・オーガナイゼーション ティレル 022 ヤマハOX10B(V10) G 3.日本片山右京
4.イギリスマーク・ブランデル
イタリアマイルドセブン・ベネトン・フォード ベネトン B194 フォードZETEC-R(V8) G 5.ドイツミハエル・シューマッハ
6.オランダヨス・フェルスタッペン
(6.)フィンランドJ.J.レート
(6.)イギリスジョニー・ハーバート
イギリスマールボロ・マクラーレン・プジョー マクラーレン MP4/9 プジョーA10(V10) G 7.フィンランドミカ・ハッキネン
(7.)フランスフィリップ・アリオー
8.イギリスマーティン・ブランドル
イギリスフットワーク・フォード フットワーク FA15 フォードHB8(V8) G 9.ブラジルクリスチャン・フィッティパルディ
10.イタリアジャンニ・モルビデッリ
イギリスチーム・ロータス ロータス 107C,109 無限MF351HC,HD(V10) G 11.ポルトガルペドロ・ラミー
(11.)イタリアアレッサンドロ・ザナルディ
(11.)ベルギーフィリップ・アダムス
(11.)フランスエリック・ベルナール
(11.)フィンランドミカ・サロ
12.イギリスジョニー・ハーバート
(12.)イタリアアレッサンドロ・ザナルディ
アイルランドサソル・ジョーダン ジョーダン 194 ハート(V10) G 14.ブラジルルーベンス・バリチェロ
15.イギリスエディ・アーバイン
(15.)日本鈴木亜久里
(15.)イタリアアンドレア・デ・チェザリス
フランストゥテル・ラルースF1 ラルース LH94 フォードHB7 (V8) G 19.モナコオリビエ・ベレッタ
(19.)フランスフィリップ・アリオー
(19.)フランスヤニック・ダルマス
(19.)スイスジャン=デニス・ドゥレトラーズ
20.フランスエリック・コマス
(20.)日本野田英樹
イタリアミナルディ・スクーデリア・イタリア ミナルディ M193B,M194 フォードHB6,7(V8) G 23.イタリアピエルルイジ・マルティニ
24.イタリアミケーレ・アルボレート
フランスリジェ・ジタン・ブロンド リジェ JS39B ルノーRS6(V10) G 25.フランスエリック・ベルナール
(25.)イギリスジョニー・ハーバート
(25.)フランスフランク・ラゴルス
26.フランスオリビエ・パニス
イタリアスクーデリア・フェラーリ フェラーリ 412T1,412T1B フェラーリTipo042,043(V12) G 27.フランスジャン・アレジ
(27.)イタリアニコラ・ラリーニ
28.オーストリアゲルハルト・ベルガー
スイスブローカー・ザウバー・メルセデス
ザウバー・メルセデス・ベンツ
ザウバー C13 メルセデス2175A(V10) G 29.オーストリアカール・ヴェンドリンガー
(29.)イタリアアンドレア・デ・チェザリス
(29.)フィンランドJ.J.レート
30.ドイツハインツ=ハラルド・フレンツェン
イギリスMTV・シムテック・フォード シムテック S941 フォードHB5,6(V8) G 31.オーストラリアデビッド・ブラバム
32.オーストリアローランド・ラッツェンバーガー
(32.)イタリアアンドレア・モンテルミニ
(32.)フランスジャン=マルク・グーノン
(32.)イタリアドメニコ・スキャッタレーラ
(32.)日本井上隆智穂
イギリスパシフィック・グランプリ Ltd パシフィック PR01 イルモア2175A(V10) G 33.フランスポール・ベルモンド
34.フランスベルトラン・ガショー

[編集] エントラント名変更

  • ザウバーは第7戦以降はザウバー・メルセデス・ベンツに変更。

[編集] エンジン変更

  • ミナルディは、第4戦までHBシリーズ6、第5戦以降はシリーズ7を使用。
  • シムテックは、第4戦までHBシリーズ5、第5戦以降はシリーズ6を使用。

[編集] ドライバー変更

  • ウィリアムズのNo.2は、第4戦は欠場。第5,6戦と第8戦から第13戦はクルサードが、第7戦と第14戦以降はマンセルがドライブ。
  • マクラーレンのNo.7は、第10戦のみアリオーがドライブ。
  • フェラーリのNo.27は、第2,3戦はラリーニが出走。

[編集] 結果

[編集] ドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ

順位 ドライバー ポイント レース PP FL 優勝 2位 3位 4位 5位 6位
1 ミハエル・シューマッハ 92 12 6 8 8 2        
2 デイモン・ヒル 91 16 2 6 6 5       1
3 ゲルハルト・ベルガー 41 16 2   1 3 2 1 1  
4 ミカ・ハッキネン 26 15       1 5      
5 ジャン・アレジ 24 14 1     1 3 1 1 1
6 ルーベンス・バリチェロ 19 16 1       1 5    
7 マーティン・ブランドル 16 16       1 1 1 1 1
8 デビッド・クルサード 14 8   2   1   1 2 1
9 ナイジェル・マンセル 13 2 1   1     1    
10 ヨス・フェルスタッペン 10 10         2   1  
11 オリビエ・パニス 9 15       1     1 1
12 マーク・ブランデル 8 16         1   2  
13 ハインツ=ハラルド・フレンツェン 7 16           1 1 2
14 ニコラ・ラニーニ 6 2       1        
14 クリスチャン・フィッティパルディ 6 15           2    
14 エディ・アーバイン 6 13           1 1 1
17 片山右京 5 16             2 1
18 エリック・ベルナール 4 14         1      
18 カール・ヴェンドリンガー 4 4           1   1
18 アンドレア・デ・チェザリス 4 11           1   1
18 ピエルルイジ・マルティニ 4 16             2  
22 ジャンニ・モルビデッリ 3 16             1 1
23 エリック・コマス 2 15               2
24 ミケーレ・アルボレート 1 16               1
24 JJ・レート 1 8               1
26 ジョニー・ハーバート 0 16                
26 オリビエ・ベレッタ 0 10                
26 ペドロ・ラミー 0 4                
26 ジャン=マルク・グーノン 0 7                
26 アレッサンドロ・ザナルディ 0 10                
26 デビッド・ブラバム 0 16                
26 アイルトン・セナ 0 3 3              
26 ミカ・サロ 0 2                
26 ローランド・ラッツェンバーガー 0 2                
26 フランク・ラゴルス 0 2                
26 ヤニック・ダルマス 0 2                
26 フィリップ・アダムス 0 2                
26 ドメニコ・スキャッタレーラ 0 2                

[編集] コンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ

順位 コンストラクター ポイント PP FL 優勝 2位 3位 4位 5位 6位
1 ウィリアムズ・ルノー 118 6 8 7 6   2 2 2
2 ベネトン・フォード 103 6 8 8 2 2   1 1
3 フェラーリ 71 3   1 5 5 2 2 1
4 マクラーレン・プジョー 42       2 6 1 1 1
5 ジョーダン・ハート 28 1       1 7 1 1
6 ティレル・ヤマハ 13         1   4 1
7 リジェ・ルノー 13       1 1   1 1
8 ザウバー・メルセデス 12           2 1 4
9 フットワーク・フォード 9           2 1 1
10 ミナルディ・フォード 5             2 1
11 ラルース・フォード 2               2
12 パシフィック・イルモア 0                
13 ロータス・無限ホンダ 0                
14 シムテック・フォード 0                

[編集] 開催地及び勝者

  開催日 GP名 開催サーキット 勝者 チーム 結果
1 3月27日 ブラジルブラジルグランプリ インテルラゴス ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
2 4月17日 パシフィックパシフィックグランプリ TIサーキット英田 ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
3 5月1日 サンマリノサンマリノグランプリ イモラ ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
4 5月15日 モナコモナコグランプリ モンテカルロ ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
5 5月29日 スペインスペイングランプリ バルセロナ デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
6 6月12日 カナダカナダグランプリ モントリオール ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
7 7月3日 フランスフランスグランプリ マニクール ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
8 7月10日 イギリスイギリスグランプリ シルバーストン デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
9 7月31日 ドイツドイツグランプリ ホッケンハイム ゲルハルト・ベルガー フェラーリ 詳細
10 8月14日 ハンガリーハンガリーグランプリ ハンガロリンク ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
11 8月28日 ベルギーベルギーグランプリ スパ・フランコルシャン デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
12 9月11日 イタリアイタリアグランプリ モンツァ デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
13 9月25日 ポルトガルポルトガルグランプリ エストリル デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
14 10月16日 ヨーロッパヨーロッパグランプリ ヘレス ミハエル・シューマッハ ベネトン・フォード 詳細
15 11月6日 日本日本グランプリ 鈴鹿 デイモン・ヒル ウィリアムズ・ルノー 詳細
16 11月13日 オーストラリアオーストラリアグランプリ アデレード ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ルノー 詳細

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年5月22日 (金) 06:56 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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