90式戦車

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90式戦車
性能諸元
全長 9.76 m
車体長 7.55 m
全幅 3.33 m
(サイドスカートを含めて約3.4 m
全高 2.34 m
重量 50.2 t
懸架方式 ハイブリッド
(油気圧・トーションバー併用)
速度 70 km/h
(加速性能 0-200 mまで20秒)
行動距離 350 km
主砲 44口径120mm滑腔砲 Rh120
副武装 74式車載7.62mm機関銃 (主砲同軸)
12.7mm重機関銃M2砲塔上面)
装甲 複合装甲
(砲塔前面 及び 車体前面)
エンジン 三菱10ZG32WT
水冷2ストロークV型10気筒
ターボチャージド・ディーゼル
1500 ps/2400 rpm(15分間定格出力)
最大トルク 4410N・m(450kgf・m)
排気量 21500cc
乗員 3名
  

90式戦車(きゅうまる(きゅうじゅう)しきせんしゃ、Type-90 tank)は74式戦車の後継として開発された主力戦車である。

目次

[編集] 概要

陸上自衛隊の第3世代主力戦車に分類される戦車である。日本国内で開発生産された戦車としては61式戦車74式戦車に続く三代目にあたる。

44口径120mm滑腔砲と高度な電子機器などによって構成された国産の射撃管制装置により、高い射撃能力を持つ。ベルト弾倉を持ち、西側諸国の第3世代戦車では初となる自動装填装置を採用したため、乗員は装填手が削減され三名となっている。装甲には複合素材が用いられ、正面防御力は世界最高水準と評価されている。上陸してきたソビエト連邦軍の機甲部隊に対抗する事を開発目標としており、世界の第3世代戦車に並ぶ性能を有すると考えられている。

製造は三菱重工業が担当し、1990年(平成2年)度から2009年(平成21年)度までに61式戦車の全てと74式戦車の一部を更新するために341輌が調達された。価格は一輌あたり約8億円である。

北海道の北部方面隊以外では教育部隊の富士教導団第1教育団武器学校にしか配備されておらず、本州以南の機甲部隊は74式戦車を主力とする。

現在は、冷戦の終結、防衛方針の変化や防衛費の削減、東アジアの軍事バランスの変化など、世界、国内の情勢変化を受けて、全国的な配備を目指した後継の「TK-X」が開発中である。

[編集] 開発

陸上自衛隊広報センターに展示される試作車
砲塔上面
手前側に車長、12.7mm重機関銃M2を挟んだ反対側に砲手が乗車する
試作車のため旧型の74式60mm発煙弾発射機が装備され、自動装填装置上面のブローオフパネルが省略されている
また、車長用照準潜望鏡の形状や設置位置など、量産車と異なる点がある

本車輌の開発は74式戦車が制式化された直後、1977年神奈川県相模原市にある防衛庁技術研究本部第4研究所が、新戦車の各種構成要素の研究試作をスタートさせている[1]。当時は米ソ冷戦下にあり、ソビエト軍及びワルシャワ条約機構軍の質的向上、量的増大による東側陣営の軍事的脅威が高まっていた時期でもある[2]。同時期、ソ連軍は125mm滑膣砲を搭載させた戦車の配備を進めている[1]

1979年にシステム設計を開始し[3]1980年には開発要求書がまとめられた[1]1982年度から1983年度までに1次試作(その1)として日本製鋼所ダイキン工業等が主砲、弾薬、自動装填装置の試作を行った[1]。120mm滑膣砲向けの自動装填装置の開発は世界初となったが、当初から主砲に関してはドイツラインメタル社製44口径120mm滑腔砲Rh120をライセンス生産することが決定していた[1]。テスト用として、オリジナルのラインメタル社製120mm滑膣砲と弾薬も輸入されている[1]

1983年から1985年にかけて三菱重工業が参画し、試作1号車と弾薬の試作が1次試作(その2)として、1次試作(その3)として試作2号車と弾薬の試作が行われた[1]。この1次試作、2次試作で合計6輌(1次試作:2輌 2次試作:4輌)の試作車が製造され、各種試験に投入された[4]

1次試作の試作車による技術試験は1983年10月から1986年10月までに、機動性能、火力性能、防護性能等の試験が実施された[4]

1987年9月から1988年12月までに行われた2次試作の試作車による試験は、1次試作の試作車の試験を受けた仕上げ作業に加えて、小隊行動試験も実施された[4]。この試験では、下北試験場にて試作車への射撃試験も行われている[4]1989年2月からは陸上自衛隊による実用試験が、同年8月まで実施された[5]。実用試験では潜水渡渉準備、NBC使用状況下の行動、重機関銃による対空射撃、弾薬補給等あらゆる事態を想定した試験が行われた[5]

実用試験の結果、陸上自衛隊は「部隊の使用に供し得る」との報告書をまとめ[5]、1989年12月に装備審審査会議調整部会において陸自側の報告内容を追認し[5]、「制式の採用を適当と認める」との決定を下した[5]。翌1990年8月6日に新型戦車は「90式戦車」として制式化された[3]。同年、30輌の調達が開始された[5]

現在、この試作車のうちの1輌が陸上自衛隊広報センターで屋内展示されている。これは初めて90式戦車が公開されたときの写真と同じく、砲塔正面装甲をキャンバスで覆い隠している。また、車体前面には92式地雷原処理ローラ用の6箇所の取付け座が有る事が確認出来る。試作車は土浦駐屯地前川原駐屯地でも1輌ずつ屋外展示されており、後者にはストレートドーザが取り付けられている。

[編集] 特徴

[編集] 火力

JM33装弾筒付翼安定徹甲弾(手前)
JM12A1対戦車りゅう弾(奥)
ヤキマ演習場での訓練に参加する90式戦車(2009年9月15日

主砲には西側第3世代主力戦車の標準主砲となっているラインメタル社の44口径120mm滑腔砲を備え、弾種はAPFSDS(120mmTKG JM33装弾筒付翼安定徹甲弾)とHEAT-MP(120mmTKG JM12A1対戦車りゅう弾)を使用する。この120mm滑腔砲用砲弾の薬莢は、焼尽薬莢と呼ばれるもので、底部を残して燃えて無くなる仕組みで、空薬莢を捨てる必要がない。90式戦車の正確な走行間射撃を可能にしているのが、照準具安定装置、自動装填装置、熱線映像装置、各種のセンサーと連動したデジタル計算装置である[6]。照準具安定装置の自動追尾機能は車体が上下に揺れたり、左右に方向転換しても常に目標を捉え続け、砲を目標に向けることができる[6]

射撃統制装置レーザー測遠機や砲耳軸傾斜計、装薬温度計、横風センサー等から送られてくる情報を計算し、弾道へ与える各種要素を割り出す[7]。そして照準装置への入力・設定を照準制御器に送る事で、砲弾は的確な軌道を描いて目標に命中する[7]。これら国産ハイテク技術が導入された射撃統制装置や自動装填装置を用い、射撃には大容量のデジタル弾道コンピュータとジャイロを併用する事で、たとえ目標及び自らが移動していたとしても、高精度な行進間連続射撃や急激な制動をかけて車体が前後に傾いた状態でも正確な射撃が可能となった。なお、90式戦車の滑腔砲は仰俯角の範囲自体が狭いものの、サスペンションによって車体を傾斜させることでこれを補う。

日本の演習場では、広さの問題から行進間連続射撃や最大射程射撃訓練などが十分に出来ない為、1992年(平成4年)度より毎年9月アメリカワシントン州ヤキマ演習場に90式戦車を持ち込んで戦闘射撃訓練などを行っている。ヤキマ演習場で高機動テストや走行間射撃テストを行った際には、走行しながら3km先の目標に命中させるなどの性能に、テスト最終日にはアメリカ軍関係者が詰め掛けたという[要出典]。00式120mm戦車砲用演習弾の導入により、富士総合火力演習でも2002年(平成14年)度から行進間射撃が披露されるようになった。

砲塔内の車長席には正面に照準潜望鏡、潜望鏡操作パネル、サーマルモニター、照準機ハンドルなどがある[8]。潜望鏡操作パネルには28個のスイッチランプがあり、車長はこれらを見る事で自らの車輌の状態を知る事ができる[8]。また、車外の車長用視察・照準装置を介して外の様子を知る事ができる。車長席側の装填装置にはハンドルを取り付ける穴があり、装填装置が使用不能になったとしても、車長がハンドルを取り付けて回す事で弾薬を装填できる。砲手席には正面とサイドにパネルがあり、正面のパネルには14個、サイドパネルに20個のスイッチが備わっている[8]。砲手席左側には無線装置がある。照準ハンドルには追尾スイッチ、角速度ボタン、レーザー発射スイッチ、撃発安全レバー、撃発ボタンの計5個のボタン・スイッチがあり、両手のを使い操作する[8]。 砲塔後部にはラックと、円筒形の風向センサーを備えている。

自動装填装置については、一発撃つごとに砲を装填角度に戻さないと装填できないことが欠点との指摘もある。装填ごとに砲を装填角度に戻す方式(90式戦車・ルクレールT-90など)だけでなく、フランスAMX-13のように主砲を固定搭載して装填ごとに砲尾が動かないタイプ、また、砲の俯仰角に合わせて装填が可能なタイプなど複数のシステムがあり、後者については一部の自走砲で採用されており、90式戦車の後継となるTK-Xもある程度の俯仰角でもそのまま再装填が可能であるといわれている[9]

主砲の滑腔砲は74式戦車が備えるライフル砲と違い空砲射撃が出来ないが、これは砲自体が空砲使用を前提としていない為であり、創立記念行事などでの訓練展示(模擬戦)では、代わりに同軸機銃の74式車載7.62mm機関銃で空砲射撃が行われる。

[編集] 防護力

砲塔左前面
マークは戦車教導隊第2中隊

セラミック系複合装甲の実用化と車両そのもの小型化により、軽量ながら防護力は高いとされている。

セラミックは硬度があるぶん割れやすい素材だが、APFSDSなどのように、セラミックが割れる速度より高速で衝突してくる物体に対してはその硬度を防御力に転換でき、重金属劣化ウラン)などを用いた装甲よりも軽量化することができる。これによって90式戦車は防御力を維持しつつ、他の同世代戦車に比べて軽量化することに成功しており、車体そのものが小型化されたことで被弾率が低下し、発見される可能性も抑えている。

一般に公開される90式戦車の砲塔正面装甲にはキャンバス布地などが張られ、複合装甲の詳細は隠されるが、生産車輌の試験走行時に撮影された公開写真などには何も貼られていない状態のもの[1][2]が存在し、その形態からルクレールと同様の内装式モジュラー装甲と見られている。

砲塔前面の複合装甲が垂直の平面で避弾経始を考慮していないのは、装甲を傾斜させると前面投影面積あたりの重量が増加し車内容積は減少する点のほか、高速で衝突し流体状の振る舞いで貫通するAPFSDSに対しては装甲傾斜による避弾経始が意味を成さないこと、また傾斜させずともそれに耐えられるだけの装甲材の開発に成功したこと等が理由に挙げられている。

耐弾試験では、正面装甲は44口径120mm滑腔砲を使用して発射された重金属弾体APFSDSに対して自衛隊の公式発表では「良好な結果を得た」という表現が用いられ、前面装甲に関してはM1A1エイブラムスを若干上回る防御力を持ち、側面は35mmAPDSの掃射に耐えうる性能があり、上面は榴弾の破片やSADARM程度の自己鍛造砲弾にも耐えうる耐弾性能を有しているとされる。

この耐弾試験の映像の一部はマスメディアに公開されており、実際に耐弾試験映像を視聴した軍事ライターの雑誌記事 [10]によると「バンカー内に納められた90式戦車の正面に対し別の90式戦車の主砲により射撃を実施(射距離250m程度と推測)。試験終了後にバンカー内から被弾した90式戦車が自走を行い、被弾車の車体正面の複合装甲に4発(被弾痕からHEAT-MP3発、APFSDS1発と推定)、砲塔正面右側の複合装甲に少なくとも1発(被弾痕からAPFSDSと推定)の被弾痕が確認でき、砲塔側も車体側と同等の防護力を持つと推察できる」としている。その他に「89式装甲戦闘車らしき車輌から35mm機関砲により90式戦車の砲塔側面を射撃」する場面や、「横向きに吊るした155mm榴弾を90式戦車の上空約10mで爆発(曳火射撃を想定した静爆試験と推測される)」させる場面、「覆帯下で地雷を爆発(地雷による静爆試験)」させる場面が試験映像中にあると紹介している。

また、砲塔後部にある即用弾収納部分の上面はパネル構造とされ、被弾などによって搭載する砲弾が誘爆した際にはパネルが吹き飛び、エネルギーを上に逃がすことができるように設計されており、乗員の安全性向上が図られている。

[編集] 車体

稜線射撃を行うため車体を前傾させた様子
車体を前傾させた様子

車体の砲塔左下側に操縦者が乗車する。操縦席はオートメーション化され、ペリスコープにはワイパーが備わる。位置可変T字型操向ハンドル、電気式アクセルペダルや常用ブレーキ、アシストシリンダー付の駐車ブレーキなどの操縦装置、57個のボタンや計器類がある[8] [11]。車体底部に燃料タンク、後部に冷却ファンとそれを挟む形で潜水用逆流防止弁が付いた排気管がある。その上部に変速操行機オイルクーラーとラジエターがある。操縦席の右側が予備弾薬庫となっている。

油気圧とトーションバーを併用したハイブリッド式サスペンションは、車体を前後に傾斜させる機能と、車高を昇降させる機能を74式戦車から継承しており、丘などの稜線を利用した射撃において、効率的に車体を隠すのに役立つ。ただし、中央の転輪二つがトーションバーなので全油気圧式の74式戦車のように左右に傾斜させる事は出来ない。

制動能力は高く、全制動時では50km/hの速度から2m以内で停止可能である。[12]配備当初は不用意に制動を行った際に上半身を車外に出していた車長が胸部を打撲した事もあり「殺人ブレーキ」などと呼ばれていた。

ストレートドーザを装着した車両も少数存在し、稜線射撃、待ち伏せ等での陣地構築の際に威力を発揮する。また、専用の装備を持つ一部の車両は車体前面に92式地雷原処理ローラが装着出来る。

制式化当初からレオパルド2との形状の類似が指摘されており、防衛庁(当時)の担当官が「この様な(レオパルド2のような)のが欲しい」と発言したとの逸話が、ワールドタンクミュージアムの解説書などにも掲載された。実際には、90式の複合装甲はレオパルド2の分割配置複合装甲とは異なり、ルクレールと同様に複合装甲の着脱が容易な内装式モジュール装甲だと考えられている[3][4]。また形状以外では、90式戦車では前面投影面積や砲塔容積の削減で、主要国のMBTと比較して小さく設計されており、新素材の採用などにより防御力を犠牲にせずに軽量化を図った点が異なっている。同縮尺の三面図でも、全体形状は異なる。

[編集] 動力

エンジンには三菱10ZG32WT 水冷2ストロークV型10気筒 ターボチャージド・ディーゼル、変速機には三菱MT1500 オートマチックトランスミッション(前進4段 後進2段)が採用されている。これらはパワーパック化され、土浦駐屯地での公開実演では20分以内での交換が実施されている。

1972年に技術研究本部で10ZG32WTの原型となる単筒型の実機の試作が行われ、1977年から1978年にかけて10ZG32WTの8気筒型である8ZG(シリンダ内径135mm 行径150mm)の試作が行われた。1978年から1979年にかけて所内試験が行われ、最大出力1196ps/2600rpmを達成した。これらの研究成果を元に1982年に1500psを達成した10ZG32WTが完成した。

10ZG32WTは1500ps級ディーゼルエンジンとしては排気量21500ccと小型で、また耐久性に関しても15分間における定格最大出力1500psを達成しており、諸外国のディーゼルエンジンとの比較においても10ZG32WTは過酷な高出力下での高い耐久性を達成している。

10ZGの燃費性能は定格燃料消費率234g/kWh(約172.1g/PSh)、最低燃料消費率226g/kWh(約166.2g/PSh)と技術研究本部の元研究官による雑誌記事[10]において公表されている。

同雑誌記事では、10ZGの燃費性能を他の新型1500馬力級ディーゼルエンジンと同一条件下にて比較した場合、90年代初期に技術研究本部が研究試作したターボ・コンパウンド搭載の4ストローク多気筒ディーゼルエンジン(定格燃料消費率200g/kWh、最低燃料消費率198g/kWh)や、90年代前半に登場したドイツMTU社製のMTU MT883 ka-500 4ストロークディーゼルエンジン(定格燃料消費率209g/kWh、最低燃料消費率198g/kWh)などより10ZGの燃費性能(前述の数値)はやや劣るとしている。

8気筒型である8ZGの燃費性能は、技術研究本部50年史の中で、全負荷最低燃料消費率191g/PSh(約259.7g/kWh)と公表されている。

[編集] 第3世代戦車としての評価

秘匿情報が多く実戦経験は無いが、公開される性能から開発当初はM1A2エイブラムス)やレオパルド2A6(独)と並ぶ世界最高水準の戦車の一つと評されていた[13]

またアメリカ陸軍の雑誌アーマー誌では、アメリカ政府関係者の発言として90式戦車の高度な機能として自動追尾機能の他に、敵目標の脅威度を認識・判定する機能の存在を推測する記述がある[14]

高評価の90式戦車だが、開発・制式化から一度も大規模な性能向上が行われておらず、より攻撃力の高い長砲身55口径120mm滑腔砲や、集団戦に有利なC4Iシステムなどの装備は行っていない。[15]。欧米各国、ロシア、イスラエル、中国、韓国などは機甲師団の情報システム化を進めており、90式戦車の開発及び運用結果を反映しつつ開発中の新戦車(TK-X)では、最初からC4Iの採用を意図している[16][17]

自動装填装置を採用している点を評価する声がある一方で、装填手一人分の人手がなくなった事で、車体の清掃や整備、戦車用掩体を掘るといった作業における搭乗員の負担が増加したとの意見がある。人員削減の思惑もあるとされるが[18]、砲弾装填の失敗、事故を防ぐ点は評価されている。

[編集] 配備部隊

北海道以外では、富士教導団などの教育部隊を除き本州以南にはほとんど配備されていない。これは戦車トランスポーターの少なさから来る平時の運用に加え、調達数が減少した中で一括運用を行う為。

開発当時の運用構想では、北海道に着上陸侵攻するソ連軍の機甲師団を北海道の原野で迎え撃つことを想定しており、北海道の北部方面隊に優先的に配備された。この方針は冷戦崩壊後も変わらず、中期防では北部方面隊の74式戦車を更新して北海道の戦車部隊を90式戦車に統一する予定とされる。

[編集] 在北海道の部隊

北部方面隊
第1戦車群
第2師団
第2戦車連隊内3個中隊(第2戦車連隊は6個中隊保有)
第7師団
第71戦車連隊第72戦車連隊第73戦車連隊
第5旅団
第5戦車隊
第11旅団
第11戦車大隊

[編集] 本州以南の部隊

東部方面隊
第1教育団
第1機甲教育隊
陸上自衛隊富士学校
富士教導団
戦車教導隊
陸上自衛隊武器学校

[編集] 価格と調達

1990年(平成2年)度から2009年(平成21年)度までの19年間で341輌が調達された。調達価格は整備用工具や予備消耗部品が含まれた総合価格となっている。毎年の調達台数は10~20輌程度。バブル景気の真っ只中に採用が決定され、量産効果による価格低下も見込まれて1輌約11億円という価格でも迅速に配備が可能という見通しだったが、制式化直前のバブル崩壊と翌年のソ連崩壊に伴う防衛費の減少・削減、こんごう型護衛艦イージス艦)など他の正面装備の拡充や戦車保有数の削減などと時期が重なったこともあって、予想通りの調達ペースは得られなかった。

調達当初の3年間は1輌約11億円であり、少数生産にとどまる以上は、開発費や設備投資の消化も考えると1輌当たりの価格が高騰する事情があるが、4年目以降は1輌約9億円となり、継続的な調達による量産効果で2001年(平成13年)度以降は一定して1輌約8億円(最低は約7億9,000万円)まで単価が減少した。

90式戦車は他国の第3世代戦車に比べて高価であり、外国産戦車を輸入すべきだったと批判されることがあるが、他国戦車を輸入した際の価格に関しては、軍事情報誌 Jane's 発行のレポートによれば、アメリカのM1A2及びドイツのレオパルド2A6は輸出実績でいずれも1輌あたり10億円を超えており、フランスのルクレールは自国型でもそれに並ぶ価格となっている。

2004年9月14日には、防衛庁(当時)が2、3年後に90式戦車の調達を停止する方針であると報道され、40t級新戦車(TK-X)調達の目処がついたとも伝えられた。

[編集] 戦略機動性

90式戦車は北海道の地形や道路条件を想定して開発されたものであり、他地域でのより柔軟な運用を行うには更なる小型軽量化が望ましいとされた。このため、40t級の次期戦車としてTK-Xの開発が進められている。

[編集] 道路を使った移動と輸送

90式戦車の重量は74式戦車を約12 t上回る為、北海道以外では通行可能な場所が限られ運用上の困難が多いとして、戦車不要論の補強や自衛隊批判の引き合いに出されることがあるが、実際には、補強や同時移動量の制限などを考慮すれば、北海道以外での運用も可能である。

各国の主力戦車と90式戦車の重量を比較してみた場合でも、

90式戦車 50.2 t
ルクレール 56.5 t
M1A2エイブラムス 62.1 t
チャレンジャー2 62.5 t
レオパルド2A5 スウェーデン仕様 62.5 t

であり、90式戦車の50 tという重量は60 t以上ある旧西側の先進各国の第3世代戦車などと比較すれば10 t以上軽量となる。大型車両の走行を前提としていない小型の橋は除いて、主要道路などのダンプやトラックが通行出来る橋はすべて通行可能になっている。

自走による移動

実際に北海道では、90式戦車が駐屯地と演習場の間の公道を自走で移動することがある。また、第5旅団の旅団創立記念行事への参加・撤収の際に鹿追駐屯地から帯広駐屯地までの約45kmの一般公道を自走で移動することもある(2005年9月12日9月19日に90式戦車と74式戦車が、2006年8月31日9月13日2007年8月31日・9月12日と2008年9月2日9月10日2009年9月1日9月9日に90式戦車が移動)。


90式戦車が舗装路上を走行する際は、路面を傷つけないよう履帯(履板)に路面保護用のゴムパッドを装着して走行するが、90式戦車より5 t~10 t以上重い主力戦車を保有する欧米でもゴムパッド付きの履帯で、一般公道を自走しての移動が行われている。これは平時に無用に道路を傷めないための配慮であり、有事の際にはゴムパッド無しの履帯でそのまま走行する場合もある。欧米では実際の市街地で行われる訓練や式典などでも戦車が一般公道を自走する。

駐屯地から演習場までを繋ぐ道路が通常の履帯に対応したコンクリート舗装で補強されている場合や、スリップの恐れがある冬期の積雪時には、ゴム履帯を装着せずに道路を自走する例もある。

試作車の車体前部の方向指示器及び前照灯

90式戦車は方向指示器(ウインカー)を装備しているが、これは平時の公道走行用で、レオパルド2、ルクレール、チャレンジャー2などといった欧州の主力戦車も方向指示器や前照灯を備える[19]。これは戦車以外の装甲戦闘車両においても同様。また、一般公道を自走で移動する際はサイドミラーを取り付けるが、欧米の車両も同様に取り付けて走行する。

トランスポーターによる輸送

トランスポーターで運搬される場合は、積載量と安全面の問題から砲塔と車体を分離して夜間に運搬される。最大積載量が50 tの特大型運搬車では砲塔及び車体を一体化させた状態で運搬する事が可能だが、最大積載量が40 tの73式特大型セミトレーラの場合は砲塔及び車体を分離して運搬する必要がある。複雑な電子装備や油圧系統を持ちながら、車体と砲塔は比較的容易に分離できる。

[編集] 航空機による輸送

重量50 t以上の戦車を空輸するにはC-5ギャラクシー(米)やC-17グローブマスターIII(米)、An-124ルスラーンウクライナアントノフ製)といった最大級の輸送機が必要とされる。航空自衛隊はその種の大型輸送機は保有しておらず、また現在開発中の航空自衛隊の次期輸送機であるC-Xは大型の手術車や装輪装甲車の搭載は想定しているが、戦車の搭載を想定しているという情報はない。

2006年(平成18年)度から導入されたKC-767J空中給油・輸送機ペイロード(最大積載量)はC-Xより大きく、トラックなどを搭載できるが、戦車は搭載できない。

[編集] 輸送艦による輸送

海上自衛隊の保有するおおすみ型輸送艦では最大10数輌程度と、積み込める量には限度があり、一定規模の部隊をまとめて輸送するのに必要なだけの輸送艦を自衛隊は保有していない。

おおすみ型輸送艦に各2艇ずつ搭載されているエア・クッション型揚陸艇(LCAC)は、積載能力が70tある為、90式戦車を1輌ずつ運搬し、海岸に直接上陸させる事が可能である。

[編集] 派生型

[編集] 登場作品/ホビー商品

詳細は「90式戦車に関係する作品の一覧」を参照

[編集] 脚注

  1. ^ 戦後の日本戦車 p113
  2. ^ 戦後の日本戦車 p112
  3. ^ 丸MARU 2002年1月号 p72
  4. ^ 戦後の日本戦車 p114
  5. ^ 戦後の日本戦車 p115
  6. ^ 丸MARU 2002年1月号 p73
  7. ^ 丸MARU 2002年1月号 p74
  8. ^ 丸MARU 2002年1月号 p77
  9. ^ 手動装填式の戦車でもレオパルド2のように装填時に砲を装填角度に戻す戦車も存在する。
  10. ^ 軍事研究2007年12月号別冊:世界のハイパワー戦車&新技術
  11. ^ 開発中の新戦車(TK-X)では情報モニターの設置など、操作計器の簡素化も行われている。
  12. ^ テレビ朝日 カーグラフィックTV 1996.08.24 No.564 陸上自衛隊の働くクルマ逹より
  13. ^ Forecast International Re-evaluates Main Battle Tank Market
  14. ^ ARMOR-July-August 1999
  15. ^ 長砲身120mm滑腔砲はその長さ故に障害物や地面への接触など運用面でのデメリットが伝えられており、C4Iも操作等が複雑化した物は乗員への負担が大きいとも言われ、特にC4Iは内部空間の関係で限定的な付加しか出来ず、経費面や運用面でも効率的でないとの説もある。
  16. ^ 「軍事研究」2008年4月号
  17. ^ 「PANZER」2009年1月号
  18. ^ 丸MARU 2002年1月号 p76
  19. ^ レオパルド2の方向指示器(後部)が見える写真 / ルクレールの方向指示器(前部)が見える写真

[編集] 参考文献

  • 『丸MARU』2002年1月号 特集「体験的機甲史 自衛隊の戦車」
  • 『軍事研究』2007年12月号 別冊「世界のハイパワー戦車&新技術」
  • 『軍事研究』2008年4月号
  • 『PANZER』2009年1月号
  • 『戦後の日本戦車 「61式、74式、90式からTK-Xへ開発経緯とメカニズムまで」』 株式会社カマド・SAT編集部

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月18日 (水) 13:08 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【90式戦車】変更履歴

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