CPUの冷却装置
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CPUの冷却装置(-れいきゃくそうち)は高温になるCPUを冷却するための装置。通称CPUクーラー。
本項では特に断りのない限り、パーソナルコンピュータ(パソコン)に付いているCPUの冷却装置について解説する。
目次 |
[編集] 概要
現在のCPUは高密度に集積された半導体素子であり、電流を流せば(動作させれば)発熱するが、高温になると異常動作(ハングアップなど)が起き、最悪の場合不可逆なダメージを受ける。そのため、CPUの正常動作を維持するためには何らかの冷却方法が必要になる。
初期のパソコンのCPUはTTL回路を利用していたが、1980年代にその発熱が問題になり、CMOS回路に移行して、一度は問題を解決した。だが、その動作速度が向上するにつれて再び発熱の問題が再燃した。パソコンでCMOS半導体を利用したCPUの発熱が問題視され始めたのは1993年前後の486等の頃からで、雑誌で「CPUで目玉焼きができるか」等の企画が出されたり、2003年頃には「このままのペースで発熱が増加すれば、数十年後には単位面積あたりのCPUの発熱が太陽を超えてしまう[1]」と指摘された事もある。実際、CPUの最大発熱量(熱設計電力、TDP)は2005年までの15年以上にわたりほぼ一貫して上がり続けており、それに伴い冷却装置も強化されてきた。
一般に単体販売されるCPUには強制空冷式の冷却装置が付属しているが、性能を高めたり静音に注力した冷却装置も別に販売されており、これを利用する事が出来る。
またパソコンに限らず、高速なCPUが搭載されている最近の家庭用ゲーム機(テレビゲーム)には、なんらかの冷却装置が搭載されたものが多い。
[編集] 自然冷却(ファンレス)
冷却ファンなどは使用せず、筐体内の自然対流と電源装置の排気による負圧による換気によって、冷却する方法。
[編集] 表面放熱
冷却するための装置・部品を一切使わずに、プロセッサの表面から放熱させる方法。発熱量が高い最近のパソコン向けCPUでは不可能である。
マイクロプロセッサの黎明期からおよそ数ワットの消費電力であったIntel 80386や68030の頃までは、放熱のために特別な部材は装着されておらず、プロセッサ表面から放熱させていた。
[編集] ヒートシンクの利用
プロセッサの表面にヒートシンクを取り付けて放熱する方法。CPUクーラー専用の冷却ファンを用いずに、筐体の吸排気ファンや電源ファンによって生じる筐体内部のエアフローを用いて、ヒートシンクに空気を当て冷却する。他の冷却方法と比べて仕掛けが簡単で無音で冷却することが可能だが、発熱の高いプロセッサを冷却するには巨大なヒートシンクが必要になる。その為、発熱の高いCPUが主流になった時期には、それに見合った巨大なヒートシンクが必要になり実用的ではなかったため、やがて廃れていった。
しかし近年、Atom・Geode・C7など、発熱量の少ない省電力CPUに再び搭載される事が多くなった。また、発熱量がさほど多くないCPU(Core 2 Duoの一部など)でも静音化のため用いる場合もあるが、それなりの大きさのヒートシンクが必要になる。なお、一般的なチップセットは、2009年現在もこの冷却法が用いられる事が多い。
i486・68040の隆盛期に入り、クロック周波数がおよそ30MHz以上になり、消費電力が数十ワットに達すると、プロセッサ表面だけでは充分な放熱ができなくなり、CPUの上に放熱性の高い金属製のヒートシンクを取り付けるようになった。
同時期のx86プロセッサに比べ性能当たりの消費電力が少ないPowerPCを搭載していたMacintoshの一部機種は、この方法をとってファンノイズをなくしていた。特に消費電力の低いPowerPC G3を搭載したiMacやPowerPC G4を搭載した Power Mac G4 Cubeはエアフローを意識したファンレス設計を採用し、極めて静音性に優れていた(同世代の他の機種ではCPUの発熱が増大していたため、この方法は既に採用不可能だった)。
[編集] 空冷
[編集] 強制冷却
冷却ファンを使用し空気を利用して冷却する、最も一般的な方法。ヒートシンクの上に冷却ファンを載せた状態で使用され、ヒートシンクとファンモータが一体化したものが多い。
店頭で販売されているCPU製品にはサーマル・ソリューションと称して、十分な性能の強制空冷式冷却装置が付属している。特に記述がない限り市販されているパーソナルコンピュータにおいて、CPUの冷却にはこの方式が用いられる。
Pentium黎明期(i486の末期)の頃になると、クロック周波数50~100MHz、消費電力が30W前後に上り、自然冷却では放熱が間に合わず、ファンでおこした風を吹き付けて冷却する強制空冷が行われる様になった。
その特性上、どうしても高周波の風切り音が発生してしまう。これをできるだけ抑えようとメーカーは静音性も重要視したファン開発を行っているため、標準付属品以外にも様々な製品が販売されており、その中には流体力学や航空工学の成果を応用した様なものまで存在している。
[編集] 受動空冷
プロセッサの表面にヒートシンクを取り付けて放熱する方法。
詳細はヒートシンクの利用を参照のこと。
[編集] 水冷
空気より熱容量の大きい水を冷却に用いる方法。CPUに水を循環させるヘッドを接触させて、熱を水で持ち去り、外部のラジエータで放散させる。ラジエータには空冷ファンを付け、冷却能力を高めることが多い。
大型汎用機では普及している方法だが、パソコンに用いるには仕掛けが大掛かりになり、また、定期的なメンテナンスも必要で、一般に空冷式より高価になる事などから、簡便に用いる事のできるものではなかった。近年はメンテナンスフリー化が進み、簡単に取り付けられる高品質のキットも販売されており、冷却性能の高さに加え、ファンによる騒音を嫌い静粛性を求める向きにも用いられる。
[編集] ガス冷却
パソコンの筐体に小型のコンプレッサを仕込んで、冷蔵庫などと同様の方式で液体が気化する時の気化熱を利用した放熱を行うもの。マニアが自作する物のほか、これを組み入れた製品を出荷しているメーカーや、パソコンショップのショップブランド品に仕込んで販売する例もある。
水冷よりもさらに高い冷却効果を得られる反面、冷却装置そのものがそれなりに大掛かりかつ高価であり、一般的なエンドユーザーの使用環境であれば空冷でも十分なため、一般的な方式ではない。
[編集] 寒剤を用いた冷却
CPUの直上に液体窒素やドライアイスを入れる銅升等を用いて放熱する方法。
極低温を維持することでオーバークロック時の冷却効率が評されるが、結露対策に非常に気を遣う必要がある。更に寒剤自体も『消耗品』であり運用コストがかさむので、ベンチマークの試合における極端なオーバークロック時の利用が一般的であり、個人での常用には程遠いのが実情である。
[編集] 補助冷却装置
冷却効率を上げるため、補助的な役割としてヒートパイプやペルチェ素子を使用する場合もある。
[編集] ヒートパイプの利用
熱伝導率の高いヒートパイプを用いてチップの熱を移動させる方法。 金属よりも効率が良いために速やかに遠くまで熱が移動できる為、薄く多量のフィンや側面を用いて表面積を稼ぐ事ができ、放熱部の効率を高められる。
大きさや部品配置の点で制約の厳しいノートパソコンなどでも十分に冷却することが容易になる。また、ケース内に余裕の大きい自作機やBTO機では、これを用いて大型化したクーラーをより大型のファンを用いて冷却できるようになり、高速ファンを使ってのオーバークロック、或いは低速ファンを用いる事での静音化が容易になる。
[編集] ペルチェ素子の利用
ペルチェ効果(ペルチェ効果)を利用した薄型の冷却素子。CPUに接する面から吸収した熱を、反対側の面に移動させる。素子単体では冷却装置として機能しない(単なるヒーターになってしまう)ことから、空冷や水冷の冷却装置を併用して放熱効率を向上させたり、外気より低い温度を作るために使用される。
パソコンではi486、Pentium(初代)の時代に流行したが、それ自体がかなりの電力を消費し発熱すること、冷却しすぎると結露が発生することといった使い勝手の悪さや、空冷装置の性能向上によりペルチェ素子の優位性が失われたこと等の理由で廃れ、現在はオーバークロッカー等、一部マニアで使用されるに留まる。
[編集] 冷却装置(CPUクーラー)の著名メーカー
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 関連リンク
最終更新 2009年10月5日 (月) 04:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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