Hebei Spirit号原油流出事故

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事件発生現場である大山港

Hebei Spirit号原油流出事故2007年12月7日朝(韓国時間)に韓国で起きた石油流出事故。現在も環境的に、経済的に影響は続いている。

韓国当局は公式に1995年に起こった石油流出を凌いで韓国で最悪の重油流出事故であるとしている[1][2]。この石油流出事故はエクソンバルディーズ号原油流出事故の3分の1程度の規模である[3]

目次

[編集] 背景

2007年12月7日、7:30(韓国時間)タグ船に引かれたサムスン重工業所有のクレーン艀が、投錨して停止していた香港船籍の原油輸送船Hebei Spirit号(中国名:河北精神號)に衝突した。同輸送船は当時、29万トンの容量のうち26万トンの石油を積んでいた。この事故は大山港沖の泰安郡黄海海域で起こった。この艀は連結していたケーブルが強く引かれて切れてから波の荒れた海で操縦不能になった。

死傷者はなかったものの、衝突によってヘーベイ・スピリット号の5個のタンクのうち3個に穴が開き、10,800トンの重油が流出した。[4][5]破損したタンクから流れ出た重油は、損害を受けていないタンクに戻され、穴はふさがれた。[6][7]

流出した重油は近郊の海岸に流れ着いた。[8]流出で影響を受けた地域には渡り鳥の住むアジアでも有数の湿地帯、泰安海岸国立公園、445の養殖場などが含まれていた。[5]

[編集] 影響

海岸に広まる原油とそれを取り除くボランティア

初期には冬で温度が低いために原油の流出は広がらないと考えられていた。しかしながら、季節外れの温かさと強い波、強い風等の天気によって、初期の予想を超えて石油が流出していった。[9]

12月9日には油の膜は10メートルから10cmの幅で33kmの範囲に広がった。[5][7][9]これによって少なくとも30の浜辺とこの地区の半分以上の養殖場が重油の影響を受けたと考えられている。また、韓国の天然記念物であるSinduri Duneが重油に浸されたと報告されている。[9]

また、多くの渡り鳥がこの地域にまだわたってきていなかったが、カモメ、マガモなどの他の海で生活する生物は油まみれになって見つかるものもあった。[8][9]

12月14日には石油の塊が安眠島に到達して、少なくとも5つ以上の浜がタールの塊で汚染された。油はこの地域まで広がらないと考えられていたが、強い風と波が原因となりこの地域にまで広がった。12月15日にはタールの塊は保寧市にまで到達し、全羅北道群山市にまで広まった。

[編集] 反応

石油をかき集めるボランティア

韓国政府はこの地域に国家災害地域に指定した。清掃活動費に3000億ウォンを捻出した。清掃には13台のヘリコプターと17台の飛行機、327台の船舶を動員した。[1]清掃活動には最低2ヶ月が掛かるだろうと見積もられた。[1][9]10万人のボランティアと韓国の人気女優Park Jin Heeなど有名人による清掃活動の援助が行われた。2008年の1月4日、海軍は229の船舶と22000人の軍人を清掃活動に参加させた。また、民間人の援助もあった。[2]

事件が起きた33日後の2008年1月10日、忠清南道によると、ボランティアの人数は100万人を越え、103万7000人まで到達したとされている。[3]泰安郡の緊急対策室の報告では一般の市民がボランティアの大部分で58万人であり、続いて地元居住者が18万6700人、軍人と警察が12万7000人、軍人と警察を除く公務員が57,143人であったと報告している。緊急対策室は平日には2万人のボランティアが、週末は平均で3千人のボランティアが作業の一部を手伝った。[4]

2008年1月までに、おおよそ4153トンの流出石油が268,710kgの石油吸収材とその他の回収装置によって集められた。[5]財政的な出資は合計で277億6000万韓国ウォンが寄付され、食料や衣料品も寄付された。泰安郡の緊急対策室は7億ウォンを越える金額が4200の個人や組織から寄付されたと述べている。[6]

国際的には北西大西洋地域における海洋および沿岸の環境保全・管理・開発のための行動計画(NOWPAP[7])が韓国政府の要求に応じて行動した。 韓国はNOWPAPの他の参加国(日・中・露)が在庫している入手可能な防災物資を補給の問題を考慮に入れて、中国から50トンの、日本から10トンをそれぞれ受け取ったとしている。また、日本はUNEP/OCHA(UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs)環境部部隊参加チーム、欧州委員会監視情報局、アメリカ沿岸警備隊、バルセロナ自治大学(AUB)等のチームが加わったエキスパートチームを送った。[8]

[編集] 責任問題

大韓民国海洋水産部の地方局は事故の2時間前に艀(クレーン船)の船長にタンカーに近すぎると二度警告を試みたが交信できなかったと報告している。[1]艀の船長は吟味に基づいてで荒い天候の中この区域を通り抜けた。[8]曳航船のワイヤーが切れ、暴走したクレーン船が船体にぶつかったとき、タンカーは検疫のため定められた場所に投錨して船を錨で固定していたと証言している。[7]

大韓民国海洋水産部と警察は漁民と住民のための石油吸収材の総量に十分な準備がなかったことと、天候や風の影響を十分考慮していなかったことを認めている。[9]

最近の報告では、損失の補償のほとんどはHebei Spirit号の保証人である中国船主責任相互保険組合(中国P&I)とスクルドP&Iによって支払われ、残りをサムスン火災保険とロイド P&Iが補填すると考えられている。[10]中国P&IとスクルドP&Iがその費用を払うことができない場合、ダメージが国際会議で決められた船主の制約を上回る場合、国際油類汚染補償基金(IOPC)が責任をもって支払うことになるだろう。

12月20日、大韓民国海洋警察庁は事件の原因調査を終えた。彼らの捜査によると、責任はクレーン船の船長、曳航船の船長、タンカーHebei Spirit号の船長のいずれにも見られるとした。クレーン船の船長と曳航船の船長は怠慢と海洋汚染防止法の違反行為で告発され、Hebei Spirit号の船長は海洋法の違反行為で告発された。[11]

1月24日、審理が終了した。2席の曳航船の船長は有罪であり、Hebei Spirit号船長とクレーン船の船長には罪はないとした。サムスン重工業には罰金刑が言い渡された。[12]

[編集] 乗組員の拘留継続

しかしながら、Hebei Spirit号の船長格であった2人の船員は韓国での拘留が続けられている。彼らは不注意が有罪とみなされ、また判決は船長に18ヶ月、もう一人の船員に8ヶ月の服役を求めている。[13][14]

韓国による乗組員の拘留は世界中から多くの論争と抗議を発生させた。国際運輸労連、船主責任相互保険組合の国際団体、ボルチック国際海運協議会(BIMCO)、国際海運会議所(ICS)/国際海運連盟(ISF)、国際乾燥貨物船主協会(INTERCARGO)、国際独立タンカー船主協会(INTERTANKO)、香港船主協会などの海運業界から強い抗議を受けているほか、船員の解放を求められている。[15]

[編集] サムスンの要求による上告の際の検察当局の共謀

ロイドリストと他のメディアの報道によると、韓国海事当局、検察、サムスンの弁護士は2人の船員の再審を共謀して告訴している。管理会社であるV.Shipsの社長は韓国を訪れ、抑留されたHebei Spirit号のクルーにあっている。[16]彼は最近の出来事が、韓国当局、検察当局と漂流しタンカーに激突したクレーン船の操作者であるサムスン重工業と韓国の検察当局の間が「共謀を示唆している」とかたっており、その出来事はサムスンと検察当局の取り組みで「船長と船員が上告のときに有罪であるとわかっていると保証するよう計画しているようである」ことを心配していると述べている。また、「私は船長と船員が公正な裁判を受けられないかもしれない事が心配である」と述べた。[17]

[編集] 脚注・参照

  1. ^ [Oil Spill”]. Korea Times. (2007-12-09). http://www.koreatimes.co.kr/www/news/opinon/2007/12/202_15206.html 
  2. ^ [Korea battles worst oil spill ever: officials”]. Channel News Asia. (2007-12-08). http://www.channelnewsasia.com/stories/afp_asiapacific/view/316137/1/.html 
  3. ^ BBC NEWS | Asia-Pacific | South Korea fights huge oil spill
  4. ^ [oil spill off S Korea coast”]. Al Jazeera English. (2007-12-07). http://english.aljazeera.net/NR/exeres/8FFD07BA-FC96-4272-A88F-016EB6BFD8C2.htm 
  5. ^ [Korea fights worst oil spill ever”]. Al Jazeera English. (2007-12-09). http://english.aljazeera.net/NR/exeres/4B8CD7E8-4A7E-4723-AEB2-1FD8A8CDCE51.htm 
  6. ^ [oil spill fight to last months: minister”]. AFP. (2007-12-09). http://afp.google.com/article/ALeqM5jmxiCRp0tXcdprM3rl4eVTzRDRnw 
  7. ^ [Korea declares slick 'disaster'”]. BBC World. (2007-12-09). http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7134967.stm 
  8. ^ [Korea faces 'sea of oil'”]. CNN International. (2007-12-09). http://www.cnn.com/2007/WORLD/asiapcf/12/09/skorea.spill.ap/index.html 
  9. ^ [Oil Contamination to Take at Least Two Months”]. Korea Times. (2007-12-09). http://www.koreatimes.co.kr/www/news/nation/2007/12/113_15224.html 
  10. ^ [해양오염 발생현황”] (Korean). NewsWire. (2007-12-09). http://www.newswire.co.kr/read_sub.php?id=303615 
  11. ^ INSIDE JoongAng Daily
  12. ^ Digital Chosunilbo (English Edition) : Daily News in English About Korea
  13. ^ [ http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Transportation/Shipping__Transport/Protests_against_piracy_detention_of_seamen/articleshow/3588048.cms Protests against piracy, detention of seamen Economic Times, 13 October 2008]
  14. ^ India Express: Mariners hold silent march in the City, Expressbuzz.com, 6 Oct 2008
  15. ^ http://marinenorway.etp.no/sider/tekst.asp?side=3405 Strong protests from shipping world at unfair detention of seafarers in Korea, 23.07.2008
  16. ^ http://www.lloydslist.com/ll/news/viewArticle.htm?articleId=20017574484
  17. ^ http://www.france24.com/en/20080924-firm-says-it-suspects-collusion-skorea-oil-spill-case

最終更新 2009年11月1日 (日) 10:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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