JR北海道キハ283系気動車

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JR北海道キハ283系気動車
「スーパー北斗」に運用中のキハ283系
「スーパー北斗」に運用中のキハ283系
営業最高速度 130(曲線通過+30km/h)km/h
設計最高速度 145(曲線通過+40km/h)km/h
編成定員 293名(6両編成)
最大寸法
(長・幅・高)
21,300×2,840×3,375mm
編成質量 254.3t(6両編成)
機関出力 355PS(N-DMF11HZA) ×2 / 両
駆動装置 液体式(N-DW18型)
変速段 変速1段・直結4段
台車 N-DT283形
(自己操舵付振子台車)
ブレーキ方式 電気指令式空気ブレーキ
排気ブレーキ併用)
保安装置 ATS-SN

キハ283系気動車(キハ283けいきどうしゃ)[1]は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1995年平成7年)から製作した特急形気動車である。

目次

[編集] 概要

第三セクター道東高速鉄道開発によって1994年(平成6年)から着手された石勝線根室本線南千歳 - 釧路間)の高速化事業に合わせ、キハ281系気動車の発展形として開発された振子式気動車である。営業最高速度は 130 km/h 、設計最高速度は 145 km/h である。

1995年に試作車が完成し、翌1996年から量産され2001年まで製作された。1997年3月に営業運転開始、当初は特急スーパーおおぞら」で運用されていたが、現在では「スーパーおおぞら」のほか、「スーパー北斗」、「スーパーとかち」の一部でも使用されている。

製造元は試作中間車のキハ282-2001のみ北海道旅客鉄道苗穂工場、他は全車富士重工業である。

[編集] 構造

車体

キハ281系と同様の軽量ステンレス製で、前頭部のみが普通鋼製である。の発生日数が多い根室本線を走行するために増設された前照灯HIDを採用した。また、空調装置が屋根上から床上に移されるなど、車体は徹底的な低重心化が行われ、乗り心地を大幅に改善している。走行中の横揺れを抑制する車端ダンパは、本系列では装備しない。

外部塗色は前頭部と客用扉周囲はコバルトブルー、ステンレス地の無塗装部分との境界は萌黄色(ライトグリーン)、客用扉の窓周囲は赤としている。側窓周囲はキハ281系と異なり無塗装のままである。 前頭部側面には形式名と振子機能をイメージした「FURICO 283」のロゴマークが配されている。

台車
N-DT283形台車

台車には制御付自然振子式の諸機構を装備するN-DT283形台車が採用されている。急曲線に対応するため、車体の傾斜角度をキハ281系の5度から6度と大きくするとともに、前後の軸箱に繋がれたリンクが曲線通過時に伸縮し、車軸を常に軌道と直角に保つリンク式の自己操舵(セルフステアリング)機構が組み込まれている。これらの改良により、半径 600 m 以上の曲線で本則+ 40 km/h の通過が可能である。振子動作を制御・指令するコンピュータは、車輪径の減少によって生じる車輪回転数の誤差を自動補正し、振子動作のずれを解消する機能も有している。

走行機関
N-DMF11HZB形エンジン

コマツ製の直列6気筒ディーゼル機関 N-DMF11HZA(SA6D125-H、排気量11.04L、定格出力 355ps/2100rpm)を各車とも2台搭載する。これはキハ281系と同様のものであるが、本系列の液体変速機は変速1段直結4段・パワーオン制御を採用したN-DW18形を装備している。これにより、中速域からの加速性能と登坂性能の向上、変速ショックの軽減が図られている。

ブレーキ装置

排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、高速からの安定したブレーキ性能を有するマルチモードブレーキ制御システムを搭載している。基礎ブレーキ装置は踏面ブレーキ方式で、制輪子は苗穂工場製の特殊鋳鉄制輪子を使用している。

接客設備
N-DM283形油圧駆動式発電機

空調装置は、床置き式でヒーター内蔵のN-AU183Bとなり、腰掛下の吊下げ式電気ヒーターと合わせて暖房の強化が図られている。暖房に機関排熱を利用しないことから、温水艤装も軽減された。電源は、走行用機関に取り付けられている油圧駆動式発電機AC440V 60Hz、25kVA)により供給される。

座席はフリーストップ式のリクライニングシートで、片持支持方式となったため足元が広くなった。座席モケットの色調は、標準では釧路方面を象徴する「タンチョウ」柄入りのグレー地、背ずりのつかみ手は赤である。「スーパー北斗」に投入された1998年製(2次車)の普通車は、座席モケットの色がキハ281系同様の紫に、背ずりのつかみ手がグレーに変更された。

トイレの汚物処理装置はキハ281系と同様の真空式が採用された。

その他設備

自動放送チャイムはキハ281系と同じ仕様である。側面の行先表示器と先頭車前面の愛称表示器は従来の電照式方向幕からLED式とされた。

2001年製の5次車は、客用扉にドアチャイムを装備し、デッキと客室、連結部の仕切扉の動作を従来の人感式からタッチセンサー式に変更している。また、普通車の座席テーブルや肘掛けを大型のものに変更している。

[編集] 形式別概説

本系列の形式番号は、製作当初は運転台の有無にかかわらずトイレ付きを283形式、トイレなしを282形式として、同形の車両であっても編成内の連結位置によって番台区分していた。これは、登場当初のキハ283系が1編成単位での運用を前提としていたことによる。

しかし、「スーパーおおぞら」は列車の増結が常態化したことや、「スーパー北斗」「スーパーとかち」等への車両運用の拡大によって1編成単位での運用が次第に困難となった。このため、2001年に運転台付き車を283形式に、運転台無し車を282形式に改め、異番台の同仕様車は通し番号に改番した。

2001年製の5次車は、当初から新形式番台で落成している。

キハ283形

編成の先頭または中間に組成される、運転台付の普通車である。客用扉は片側2箇所に設置されている。

  • 900番台 (901, 902)
先行試作車。試運転時はそれぞれ釧路向き、札幌向きに分かれていたが、「スーパーおおぞら」運転開始後は、2両とも札幌向きになっている。定員48名。客用扉周囲の塗装パターンが量産車と異なり、ライトグリーンと赤を交互に配した塗り分け[2]としていた。前照灯ケーシングの形状[3]も量産車と異なる。内装ではトイレのドアの色が黄緑色、客室の床の模様が異なる。洋式トイレと男子用のトイレを設置している。
  • 基本番台 (1 - 21)
キハ283形 基本番台(2008年4月 釧路駅)
1 - 5・12・14 - 17 が釧路向き、6 - 11・13・18 - 21 が札幌向きの先頭車である。基本的には試作車と同じで、洋式トイレと男子用のトイレを設置している。定員48名。
6 - 14 は旧形式 キハ283-101 - 109 から改番された。
4・5・9・10 は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成した。
2007年10月改正での札幌運転所から釧路運輸車両所への一部転属に伴い、14・16・19の方向転換を実施した。
キハ282形

編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。客用扉は片側1箇所である。一部は簡易運転台を設け、番号で区分される。

  • 基本番台 (1 - 8)
キハ282形 基本番台(2008年4月 釧路駅)
車椅子対応の車両で、札幌側に車椅子対応の座席とトイレがある。ほかに、男子用トイレ・多目的室・テレホンカード公衆電話(2009年9月30日まで設置。[4])がある。定員51名。
1 - 5 は 旧形式 キハ283-201 - 205 から改番された。
4 は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成した。
  • 100番台 (101 - 111)
キハ282形100番台(2008年4月 釧路駅)
トイレ・洗面所はない。札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジを設ける。定員64名。
103 - 105 は旧形式 キハ282-1 - 3 、106・107 は旧形式 キハ282-1001・1002 から改番された。
  • 2000番台 (2001 - 2009)
上:キハ282形2000番台(2008年4月 釧路駅)下:キハ282形2000番台+キハ283 回送(2000年 札幌駅)
 
上:キハ282形2000番台(2008年4月 釧路駅)下:キハ282形2000番台+キハ283 回送(2000年 札幌駅)
上:キハ282形2000番台(2008年4月 釧路駅)
下:キハ282形2000番台+キハ283 回送(2000年 札幌駅)
途中駅等における付属編成の増解結を想定し、釧路側に保安装置付きの簡易運転台を備える。このため、付属編成の先頭車として本線での運転が可能である。
トイレ・洗面所はない。札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジを設ける。定員60名。他の設備は100番台と同一である。
2001 は本系列唯一の苗穂工場製。 2003・2004 は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成した。
  • 3000番台 (3001 - 3004)
2000番台と同一の車体構造であるが、簡易運転台は準備工事のみで、運転台窓部分に塞ぎ板が填められている。札幌側に荷物置き場と喫煙コーナー兼ミニラウンジを設ける。定員60名。他の設備は100番台・2000番台と同一である。
全車とも1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成した。
キロ282形
上:キロ282形(2008年4月 釧路駅)下:キロ282形 車内
 
上:キロ282形(2008年4月 釧路駅)下:キロ282形 車内
上:キロ282形(2008年4月 釧路駅)
下:キロ282形 車内
中間に組成される、運転台のないグリーン車である。 1 - 8 の8両が在籍する。
座席数は26席で、配置は横1+2列、中央で配置が逆転する。各座席はリクライニング、レッグレスト、カーテンなどの操作が電動化[5]され、ヘッドホンオーディオパソコン用電源(1人がけ座席のみ)などの装備も搭載する。荷物棚には蓋を設けたが、後年に順次撤去された。
車端部には、カード式の公衆電話・車内販売準備室・車掌室・男子用 および 共用洋式トイレ・喫煙コーナーがある。
1 - 5 は旧形式 キロ283-1 - 5 から改番された。

[編集] 改造

側窓強化改造
酷寒地での高速運転により、車体に付着した氷塊が走行中に落下し、跳ね上げたバラストが側窓を破損する事例が多発した。これを防止するため、2001年から全車に側窓保護改造を行った。側窓の外側にサッシを設け、ポリカーボネート製の透明保護カバーを填め込んでいる。この改造により側面の外観は大きく変化している。2001年製作の5次車は、当初から保護カバー付で落成した。
ハイブリッド車体傾斜システム試験
2006年(平成18年)3月、キハ283系の振子装置とキハ261系の車体傾斜システムを組み合わせたハイブリッド車体傾斜システムの開発を川崎重工業鉄道総合技術研究所(JR総研)などと共同で行った。キハ283系の振子装置による6度+キハ261系の車体傾斜装置による2度の傾斜で車体を8度まで傾斜でき、制限速度 90 km/h のカーブを 140 km/h で通過可能とされている。
試験用の台車N-DT283HX形は キハ282-2007 に実装され、一般の台車を履いたキハ283系に挟まれた3両編成として札幌 - 函館間で試運転が行われた。この装置を使っての試験は函館本線八雲駅付近で実施[6]された。この試験に使用された先頭車は試運転終了後すぐに定期運用に復帰、ハイブリッド台車を装着した キハ282-2007 は苗穂工場で元に戻されたのち定期運用に復帰している。
室内設備改装
2006年3月18日ダイヤ改正で北海道内完結の特急列車を全車禁煙とするため、キロ282形の喫煙コーナー・キハ282形100・2000・3000番台のミニラウンジ内灰皿を撤去して携帯電話使用スペースに変更した。キハ282形基本番台ではカード式公衆電話を撤去し、業務用スペースとしている。
同時に自動放送が更新され、「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」「鉄道唱歌」のチャイムが流されるようになり、同時に車内案内表示器で英語による案内が開始されている。
座席改装
「スーパー北斗」用に投入された1998年(平成10年)製作の2次車について、モケット生地の交換を順次実施している。当初装備の紫色モケットは標準仕様のタンチョウ柄に変更されている。
2006年12月17日から、普通車指定席の座席改装が開始[7]された。座席幅の拡大・背もたれ枕の設置・快速エアポート」などに設定されている「uシート」と同様なチケットホルダーなどの設備を導入し、居住性の向上を図るものである。キハ283形の施工車では、1番AB席を撤去し大型荷物置場が設置され、定員は46名に改められた。
:グレードアップ座席 正面
:グレードアップ座席 背面

[編集] 運用の変遷

1995年に先頭車2両、1996年(平成8年)に中間車1両が試作され、長期試験に供された。同年に量産車20両(1次車)が製作され、1997年(平成9年)3月22日のダイヤ改正から 特急「スーパーおおぞら」で営業運転を開始した。

1998年(平成10年)に「スーパー北斗」増発用に12両(2次車)が増備されたほか、同年下期に「スーパーおおぞら」増発用として4両(3次車)が、1999年(平成11年)に4両(4次車)が製作された。2000年(平成12年)には「スーパーとかち」にも投入された。

2001年(平成13年)には20両(5次車)が増備され、札幌 - 釧路間の特急「おおぞら」は、夜行列車を除いてすべて本系列で「スーパーおおぞら」に置き換えられた。

運用開始以来全車を札幌運転所に配置してきたが、2007年10月に半数の31両を釧路運輸車両所に転属した。

帯広以東の連続曲線区間を行くスーパーおおぞら
現況

本系列は全63両を札幌運転所・釧路運輸車両所に配置し、以下の列車で使用する。

  • 「スーパーおおぞら」(札幌 - 釧路)
  • 「スーパーとかち」(札幌 - 帯広)5・8号
  • 「スーパー北斗」(札幌 - 函館)2・16・7・21号
  • ホームライナー」(手稲 - 札幌)回4003D

本系列の使用開始直後は列車1編成の最大連結可能両数は9両であったが、乗車率の高さから増結が常態化したため、振子動作を指令・制御するコンピュータを改良した。現在では最大11両編成まで組成が可能である。

本系列はキハ281系と相互連結が可能である。この場合、編成全体の各機能はキハ281系の仕様に合わせて制御され、振子作用時の車体最大傾斜角はキハ281系に合わせた5度となる。

実際の運用では、「スーパー北斗」の運用において、キハ281系編成に本系列車両を増結車として組み込む運用が恒常的に行われる。「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の運用ではキハ281系との混結は行わない。[8]

本系列は2001年(平成13年)以降製作されていない。構造が複雑で製作や保守にかかるコストが大きいことや、製造メーカーの富士重工業が鉄道車両部門から撤退(新潟トランシスに事業譲渡)したことなどが理由とされる。なお多数が残存するキハ183系気動車の置換えにあっては、近年では運用コストの最適化を図ったキハ261系の製作によって賄っている。

[編集] 脚注

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  1. ^ JR北海道ではWebサイトなど外部文書において「283系気動車」と表記している。
  2. ^ 現在では量産車とほぼ同様の塗り分けに改められたが、帯幅が若干異なる。
  3. ^ 試作車が長方形であるのに対して、量産車では上下辺にR(曲線)が付いている。
  4. ^ JR北海道Webサイト 北海道内特急列車公衆電話サービス終了のお知らせ
  5. ^ これらの電動設備は順次壁のスイッチ部分に蓋をして使用を停止し、手動扱いに改められている。2001年製の5次車 (6 - 8) は当初から電動カーテンが廃止された。
  6. ^ 試験実施区間以外の区間は振子を固定して走行していた。
  7. ^ JR北海道Webサイト プレスリリース
  8. ^ これはキハ281系の車両数が少数(27両)であることと、同系列が石勝線・根室本線への乗り入れを想定していないことによる。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月19日 (木) 05:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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