OPS (野球)

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OPS(オーピーエス)はOn-base plus sluggingの略であり、野球において打者を評価する指標の一つ。

on-baseとは出塁、sluggingとは強打(長打)の意味で、出塁率長打率とを足し合わせた値である。得点との相関関係の強さから、重要視されている。セイバーメトリクスの祖、ビル・ジェームズがディック・クレイマー、ピート・パーマーと共同開発した指標である。

目次

[編集] 概要

出塁率と長打率は、共に安打で上がり凡退で下がる値ではあるが、分母も分子もそれぞれ異なるため、単純に足し算してよい値ではない。出塁率の高い打者が必ずしも長打率も高いわけではなく(その逆も同じ)、直接の関係が乏しい上に、一流の目安となる値も異なっている。そのため、その2つを足し合わせたOPS自体がなんらかの意味をなしているわけではない。

しかし、得点との相関関係が強く、算出方法も簡単である。米・MLBでは、OPSは打者評価の指標として有用性が広く認められており、ファンの関心も集めている。また、より出塁率に重きを置いた 出塁率+長打率÷3 というOPSを応用したNOIという指標もある。

日本でも、2006年よりヤクルト監督に就任した古田敦也(選手兼任)が、前年はセ・リーグで最高のチーム打率ながら最少得点に終わった打線を強化するため、出塁率と共にOPSを重視することを明言し、注目された。

時代の変遷や環境にもよるが、メジャーリーグではOPSが.800で平均をやや上回る打者、.900を超えると優秀な打者、1.000を超えると球界を代表する強打者とされている。ただし守備の特性上、ポジション別のOPS平均値は大きく違う。一般に平均値が低いのは捕手や遊撃手であり、逆に高いのは一塁手や左翼手である。そのため同じOPS.800の打者でも、捕手や遊撃手ならば上位クラスの打者であり、一塁手や左翼手ならば下位クラスの打者という事になる。

[編集] OPSの重要性

[編集] OPSがなぜアメリカにおいて重要視されるのか

OPSはアメリカ野球界においては、打者の真の攻撃力を表す指標として打率打点などの古典的な指標に取って代わった[1]。その最大の要因は、OPSが打率に比べて得点との相関性が高いからである。一般に、野球の勝利の必要十分条件とは「試合終了時点で相手より得点が上回ること」である。

また、打率や打点が「欠陥のある統計」という認識が広まったことも大きな要因となった。例えば、打率は単打も本塁打も同じ1安打としか記録されず、四死球による出塁も全くカウントされない。打点は塁上の走者の数に大きく左右され、打順や前後の打者に影響を受けてしまうという明らかな欠陥がある。出塁率は四死球は考慮に入れているので打率よりは優れているが、単打と長打の区別ができない欠陥は解消されていない。一方、長打率は単打と長打の区別は可能だが、打率と同じく四死球が無視されている。

出塁率は、四死球:単打:二塁打:三塁打:本塁打が1:1:1:1:1の比率で記録される。一方、長打率は0:1:2:3:4である。OPSはこの2つの指標を足し合わせ、1:2:3:4:5の比率にすることで四死球から本塁打までを完全に区別し、欠陥を解消している。

なおかつ、算出方法が極めて簡単であることも大きい。打者の得点力を測る指標にはより相関性の高いRC(Run Created)やXR(eXtrapolated Runs)などがあるが、いずれも計算が煩雑である。

[編集] OPSに対する批判

[編集] 走塁能力の無視

出塁率にも長打率にも走塁能力の評価が含まれていないため、OPSにおいても盗塁その他の走塁能力は考慮されていない。したがって得点機会をつくることが主な役目であるリードオフマンなどの評価についてはOPSを使うべきでない」という意見もある。

しかし、三塁打内野安打には走塁能力が必要であり、OPSや長打率が走塁能力を考慮していないと一概には言えない。

[編集] 数字から打者のタイプが分からない

2つの数値を足すため「長打はないが出塁率が高い」打者なのか、「出塁率は低いが当たれば大きい」打者なのかの判別は読み取れない。例えば出塁率.400、長打率.400の打者でも、出塁率.300、長打率.500の打者でも、同じ.800という数値が出る。

これに関しては、出塁率、長打率の比率を3:1とした数値(NOI:New Offensive Index)を使い出塁率を重視して、この問題の解決策としている。OPSとNOI、この2つの値を比較することで打者のタイプを見極めることは可能である。

[編集] 記録

[編集] 日本プロ野球

※出塁率は1985年以降採用された方法によって計算

[編集] 通算記録

  • 4000打席以上を対象
  • 記録は2009年シーズン終了時点
順位 名前 OPS
1 王貞治 1.080
2 *アレックス・カブレラ 1.021
3 松井秀喜 0.995
4 落合博満 0.987
5 *小笠原道大 0.956
6 *松中信彦 0.949
7 *タフィ・ローズ 0.943
8 イチロー 0.942
9 福留孝介 0.940
10 張本勲 0.937

*は現役選手

[編集] シーズン記録

順位 名前 所属 OPS 達成年
1 王貞治 読売ジャイアンツ 1.293 1974年
2 ランディ・バース 阪神タイガース 1.258 1986年
3 王貞治 読売ジャイアンツ 1.255 1973年
4 落合博満 ロッテオリオンズ 1.244 1985年
5 落合博満 ロッテオリオンズ 1.233 1986年
6 アレックス・カブレラ 西武ライオンズ 1.223 2002年
7 王貞治 読売ジャイアンツ 1.211 1967年
8 王貞治 読売ジャイアンツ 1.210 1966年
9 王貞治 読売ジャイアンツ 1.204 1976年
10 王貞治 読売ジャイアンツ 1.197 1968年

[編集] メジャーリーグ

[編集] 通算記録

  • 記録は2009年シーズン終了時点
順位 名前 OPS
1 ベーブ・ルース 1.164
2 テッド・ウィリアムズ 1.116
3 ルー・ゲーリッグ 1.080
4 *アルバート・プホルス 1.055
5 バリー・ボンズ 1.051
6 ジミー・フォックス 1.038
7 ハンク・グリーンバーグ 1.017
8 ロジャース・ホーンスビー 1.010
9 *マニー・ラミレス 1.002
10 *トッド・ヘルトン 0.994

*は現役選手

[編集] シーズン記録

順位 名前 所属 OPS 達成年
1 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.422 2004年
2 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.382 1920年
3 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.381 2002年
4 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.379 2001年
5 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.358 1921年
6 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.309 1923年
7 テッド・ウィリアムス ボストン・レッドソックス 1.288 1941年
8 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.278 2003年
9 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.258 1927年
10 テッド・ウィリアムス ボストン・レッドソックス 1.257 1957年

[編集] 脚注

  1. ^ 出野哲也「OPSとかWHIPってよくわからないんですけど……」『SLUGGER』2008年2月号、日本スポーツ企画出版社、42-43頁

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月13日 (金) 07:48 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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