SAPIX小学部
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SAPIX小学部(さぴっくすしょうがくぶ)は難関中学受験を対象とした学習塾で、1989年に設立された。
「株式会社ジーニアスエデュケーション」が経営している。1990年代以降、首都圏の学習塾の中では上位の合格実績を保っている。 中学部は別の法人でありながら同じブランドを共有するという形を取っている(塾としては珍しい)。
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[編集] 概要
1989年6月設立。SAPIXは日能研や四谷大塚に比べると後発の塾である上に、複数の講師が所属の塾(主にTAP進学教室)を不服として独立集合して成立した塾であり、その発足は決して華々しいものではなかった(塾長の奥田は理科の教師であり、現在も東京校など一部の校舎で授業を担当している)。しかし「難関校への登竜門」という極めて強力なカラーを持つことで今日の発展を築いたといえる。これは、思考力の養成(サピックスはそう言っている)、個性の強い熱烈な講師陣、クラス内外での競争の奨励などによって生徒を鍛え上げ、難関校に合格させるというものである。国語や社会よりも算数や理科で強さが光り、特に御三家を中心に難関と呼ばれる中学校の合格実績は、3倍程度の生徒数を誇る日能研を毎回のように上回っている。 1クラスの人数は15人~20人で、大手塾の中では少人数での授業を行っている。
[編集] 校舎
[編集] 大規模かつ少数の校舎
首都圏の他の塾の多くがきめ細かく多くの校舎を展開する一方で、SAPIXはターミナル駅近辺に校舎を構えるのみである(ただし、近年は明確に拡大路線を採っており、毎年3校程度のペースで校舎を新設している)。そのため1つの校舎の規模が非常に大きく、1つの校舎で1学年につき10コース(クラス)以上存在する校舎は珍しくない。特に、SAPIX最初の校舎である東京校は1学年あたり20コース前後、SAPIX最大と言われる自由が丘校は1学年あたり24コースも存在する。また、比較的小規模とされる校舎や新設校舎でも1学年6コース程度は存在する。
[編集] コース(クラス)
コースはマンスリーテストや組分けテストの成績をもとに決定され、これらのテストによって毎月のようにコースが入れ替わる。 コース名は下位コースからA・B・C…とアルファベット順になっている一方、上位コースは最上位コースから順にα1のようにα+数字となっている。αコースとなるのは概ね上位3分の1から4分の1のコースである。ただし、αコースに関しては統一の基準がある訳ではなく、各校舎の裁量に委ねられている。
[編集] 独自のカリキュラム
[編集] 概要
6年後期のSS特訓(後述)まで、一切選択肢のない、単線式のカリキュラムが組まれている。この点は、夏期講習等において多数設定された講座から自分に合ったものを選択できる他塾の形式とは異なる。 全員が同一のテキストを使い、一週間(基本的に同じ曜日だが3、4年生に関しては校舎によって曜日が変わる)、4科目全て(算数A・B、国語A・Bは算数、国語で考える)の授業を受けることになる。 他塾の多くは4年生のときの通塾日がそのまま6年生まで持ち上がっていくが、SAPIXにおいては4年生は火・木曜日(一部の校舎では水・金曜日)、5年生は月・水・金曜日、6年生は火・木曜日(これに加えて土曜特訓やSS特訓がある)と通常授業の曜日が固定されている。 また、季節講習でも選択肢はなく、必修となっている(ただし休室扱いで休むことは出来る)。早稲田アカデミーなどが行っているような合宿等は存在しない。また、講師も曜日毎に違う校舎で授業を行うため、先生と生徒との関係は希薄である。
平常授業では「Daily Sapix」と称したテキストが授業ごとに配布され、その回の教材と、家庭学習の課題になる。
年間のカリキュラムは各教科班によって不断に見直しの検討がされている。また、学習補助教材としてはサピックスカレンダー(年間予定表)、夏期講習専用のタイムテーブルプリント、志望校を記入する形のポスターなどがある。
[編集] 進度
SAPIXは「中学受験は4年生から」を常識にしたことでも知られる。他塾と比較するとカリキュラムの進度が非常に速い。例えば算数では、日能研をはじめとする他塾の多くにおいて新出内容の学習を一通り終えるのは6年生の夏期講習の前ごろであるが、SAPIXでは5年生の終了時に一通りの新出内容の学習を終えてしまう。
[編集] らせん式カリキュラム
各科目のテキストは、4~6年のそれぞれの1年間ごとに、受験に必要となる分野に一通り触れるようになっている。 ただし、その内容は全く同一ではなく、年を経るごとに内容が深まるようになっている。 例えば、国語の品詞分類について、4年生では「名詞、動詞」などのごく基本的なものだけに触れる。5年生では「連体詞、助動詞」などの、受験に必要な内容を一通り扱う。そして6年生では「『ない』の識別」などの「実戦」において必要な知識を扱う。等といった形である。これによって、特に重要な知識については繰り返し学習して、確実な定着をはかると共に、「たまに出る」程度の知識についても無理なく増やしていくことが出来るように配慮されている。さらに、国語などの単元数の少ない科目では、同一学年内でもこのような「らせん式」のカリキュラムが組まれている。前回の授業内容を確認するための毎回小テストを行う一方で、長期的な記憶についても考えられている。
[編集] マンスリーテスト・組分けテスト
コースを入れ替えるために行われるもの。両者を合わせて概ね1ヶ月に1回程度のペースで実施される。
- マンスリーテスト
復習テストとして位置付けられる。平常授業の行われる曜日に平常授業と同じ時間帯で行われる(その日はマンスリーテストのみであり、授業が行われない)。出題範囲(直近1ヶ月程度で学習した内容)が指定された上で行われるものであり、コースの昇降数に上限がある(所属する校舎のコース数にもよるが、どれだけ高得点であったとしても最下位のAコースから最上位のα1コースまで一気に上がるということはない)。
- 組分けテスト
土・日曜日や祝日に実施され、外部からの入塾テストも兼ねている。出題範囲が指定されずに行われる実力テストであり、コースの昇降数が無制限である(最下位のAコースから最上位のα1コースまで一気に上がるということも制度的にはありえる)。
[編集] 6年生のカリキュラム
6年生になると、平常授業とは別に志望校対策のカリキュラムが始まる。これらの授業においては、生徒はαコース等の学力別コースではなく、志望校別のコースで授業を受ける。コース名は「筑駒・開成」や「開成・駒東」「麻布・武蔵」といった、入試偏差値が同程度かつ入試の出題傾向が似ている学校ごとの名前になる。
- 土曜特訓(土特)
火・木曜日の平常授業とは別に、土曜日に4教科各75分ずつの志望校別特訓の授業を行うもの。教材の形式は、志望校や教科によって様々である。他塾よりも早く、5年生の2月から志望校対策を始める。
- Sunday Sapix特訓(SS特訓)
9月以降、Sunday Sapix(SS特訓)という、日曜日に集中して全科目を教える講習が始まる。志望校ごとに分かれての、全教科75分ずつの必修授業と、志望校に関係なく国語・算数各2科目、理科・社会各1科目の計6科目から2科目各100分を選んで受ける単科授業とがある。前述の通り、SAPIXのカリキュラムは単線式のものが組まれているが、この単科のみ、受講するか否かは各家庭にゆだねられる、弱点補強的な扱いとなっている。
- その他の志望校対策
GS(Golden Week SAPIX)特訓(5/3〜5/5)・夏季志望校別特訓(8月下旬)・正月特訓(12/30・31、1/3,4)という、午前午後にわたり志望校別コースで1日のうちに4教科全てを行う講習がある。
[編集] 授業・教材
[編集] 復習主義
SAPIXでは復習を特に重視する。予習は奨励されず、そもそも各回ごとに分冊形式となっている教材の形式からして不可能である。これは、
- 教材を分冊形式にし、予習をできなくすることで、かえって毎回の授業に新鮮な気持ちで集中して臨むことができる
- 小学生が予習を行うのは非効率であり、予習をするならばその分を復習に充てた方がよい
- 予習で間違った知識を覚えてしまうとその訂正に莫大な手間がかかる
といった理由によるものである、
とsapixは言っている。 実際には、授業では、比較的簡単な問題しか解く時間がなくなるため、難しい問題は生徒が家庭で親、家庭教師等に教えてもらうというスタイルが出来上がっている。授業といっても、各カリキュラムの導入の部分をさらりと行うだけであり、実質的な勉強は、家庭学習、自習に委ねられることとなる。つまり、授業は、家庭学習のためのカリキュラムを決めるための場所である。なお、予習が推奨されないとはいうものの上位レベルでは、かなりの子供が先取りなどにより、前もってその学習範囲を終えている。
Daily SAPIX等の教材は、分冊形式という体裁だけでなく内容に関しても復習のことを重視した作りになっている。たとえば算数では、2ページにわたって同じ問題が2問ずつ掲載されている。これは、1回目は授業内の演習で解き、2回目に家庭学習において全く同じものをもう一度やり直すというやり方をとるためである。公文と同様のパターン学習、反復学習を採用していると言える。
[編集] 黒板授業
黒板授業とは、予習をせずに講師の話と板書で学習し、復習に力を入れる学習形態のことである。講師が黒板に問題やテーマなどを板書し、それを生徒たちがテキストやノートに書き写し、自分なりの考えで解答を書き、生徒の考え方や解き方について講師が解説する、とsapixは言っている。
実際には、教材からピックアップしたマニュアル的な事項を黒板に書き写し、生徒にそれをさらに書き写すさせるだけの授業であるため、ただでさえ貴重な時間が浪費されているという問題もある。また、生徒は単元の内容の意味を理解することよりも黒板の内容を書き写すだけという単調な作業が重視されるので忍耐力が高くないと対応できない。なお、この黒板授業はかつてのTAP進学教室の下位のクラスの授業形態でもある。
[編集] 授業スタイル
SAPIXは授業スピードが極めて速い事でも有名であり、欠席を取り戻すのに苦労するシステムである。授業中での解説は少なく、暗記物等の小テストが多い。それを補うために、家庭学習での問題演習量が多い。家庭学習(SAPIXでは宿題のことをこう呼ぶ)においてはプリント類や授業で扱わない問題集などを指定される事が多い。
SAPIXでの学習においては効率が重視される。例えば算数における無駄な計算の省略や、社会の歴史における年号暗記が挙げられる(後者は、年号の暗記は流れを掴むのに繋がり効率が上がるという理論に基づくものである)。
かつては授業の延長が日常茶飯事であり、定刻に授業が終了しないことも多かったが、最近では授業の延長は禁止されている。ただし、これは授業終了時刻が遅いことなどによる、小学生の塾通いへの社会不安の高まりが主な背景である。
質問教室が用意されているが、決まった曜日、決まった時間にしか質問を認めないという体制になっており、生徒にとってはシステムを利用しずらい側面もある。また、質問教室自体も、講師の都合などで、事前の予告なく休講となることが多い。
[編集] 各教科の授業
- 算数
- A,Bの2種類の授業が存在し、B授業は新出事項の解説、A授業は前回のB授業の復習と応用が中心となる。また、6年生になると、上位クラスの算数Aでは入試問題演習というものが登場する。
- 国語
- 算数同様A,B2種類の授業がある。A授業は慣用句、ことわざ、文法などの基礎知識を身につけることを目的としている。B授業は長文読解を行い、記述問題を書けるようにすることを目的としている。授業中に生徒が記述問題を解き、挙手して講師に知らせ、それを講師が添削している。
- 理科
- まず最初にコアプラス720という基礎知識確認用の教材を用いて範囲の指定されている確認ミニテストのようなものを行う。
この教材は解説はほとんどなく、平常授業との関連性が乏しい独自教材である。そして授業の内容では毎回テキストがくばられる。そのないように関しての解説を行うことがほとんどだが、講師によって異なる場合もある。5年生までは理科の基礎力トレーニングも存在する。授業はコースによって違いがあるものの、だいたいは解説中心となっている。
- 社会
- 理科と同様であるが、コアプラス720等はない。社会は、ノートにうつす→解説というやり方が多く、結果として、文字をただ書き写す時間が多く、解説の時間が少なくなっている。
[編集] 小テスト
授業の内外で行われる小テストが多数存在する。各教科の授業内で行われる「デイリーチェック」と呼ばれる確認テストや、毎回の授業前30分を利用して行われる算数の「基礎力定着テスト」などがある。
[編集] 教材
- Daily SAPIX
「平常授業」では学期を通してのテキストは存在せず、1回の授業で扱う内容ごとに分冊形式になった「Daily SAPIX」という冊子が各回の授業ごとに配布される。春期、夏期、冬期の各講習でも同様であるが、このときはタイトルが「Spring(Summer,Winter) Sapix」となる。他塾の様に、1冊の「本」の体裁をなしていないのが大きな特徴である。これは、前述の復習主義とも関連する。
- 基礎力トレーニング(キソトレ)
算数・理科の毎日の課題として指定されるもの。理科の基礎力トレーニングが存在するのは5年生までであり、6年生は算数のみになる。算数の基礎トレは、外部から入塾する生徒を考慮して、2月~4月は極端に簡単になっている。
- 副教材
副教材は多数存在する。たとえば算数だけでも、5年生の算数Aの授業で使用される「算数A 復習と演習」や5・6年生の算数Bの授業で使用される「Daily Support」、6年生の算数Bで使用される「デイリーアプローチ」「算数B 導入と基本」と様々なものが存在する。
[編集] 講師陣
講師の授業スタイルが統一され、マニュアル化されている。それに起因する長短がみられる。
長所としては、
- 経験不足の講師でも雇用することができる。
- 全ての質問に対し、マニュアル化された回答が用意され、責任を容易に回避することができる。
- クラス変動に伴う講師の変更による負担は小さい(どんな講師でもつとまる)。
短所としては、
- 下位クラスや4年生クラス、地方クラスに割り当てられる極端に経験不足の新人講師やいわゆるハズレ講師などに当たると学習効率が落ちる。
- 講師が頻繁に変更されるため、講師と生徒の距離が遠く、信頼関係を築きにくい。
- 個性を生かすことがなく授業が単調である。
といった点が挙げられる。
近年の拡大路線のもと校舎数が増加しており、それに伴い急増する講師の質の確保のため、月一回の科目別集合研修や、マニュアルの整備を行うなどしている。一方でかつて特色とされた、独自プリントや授業延長などは禁止されているため、講師ごとの個性を生かすことは不可能である。
[編集] 競争の奨励
競争は奨励される。例えば頻繁に実施されるクラス分けテストや授業中の演習プリントである。この方法で伸びる生徒はどこまでも伸びていける。 授業点(授業内で扱う問題や小テスト等をすべて点数化するもの)でクラスの昇降があったりもする。この競争は6年生において時に顕著であり、たとえば夏期講習では6年生は2日おきに授業点でクラスが入れ替わる。 しかし、過度の競争が精神的に未熟な子供達に負荷をかけ、点数やクラスの昇降でイジメを誘発するほか、授業の進度の遅い通学中の小学校で教師を軽んじるなど、受験競争の古くて解決できない問題を助長している面もある。
[編集] 出版物
社会・理科の分野別問題集(書店での販売はなし)、算数の分野別問題集、社会の地理、歴史カード、重大ニュースなどさまざまである。
[編集] 校舎
- 東京都:東京校(日本橋)・中野校・吉祥寺校・渋谷校・自由が丘校・用賀校・成城校・下高井戸校・練馬校・王子校・国立校・高田馬場校・町田校・永福町校
- 神奈川県:横浜校・日吉校・たまプラーザ校・青葉台校・センター南校・上大岡校・大船校・茅ヶ崎校・宮前平校・若葉台校
- 千葉県:松戸校・柏校・西船校・千葉校
- 埼玉県:南浦和校・北越谷校・大宮校・所沢校
[編集] 著作権侵害問題
松谷みよ子・谷川俊太郎・五味太郎をはじめとする作家・詩人が、同社と希学園がそれぞれ発行している問題集に、勝手に作品を掲載され、著作権を侵害されたとして、2007年6月21日に、両社に対して、東京地裁に出版差し止めの仮処分を申請した。また、希学園に対しては、約2,400万円の損害賠償請求訴訟も起こしている[1]。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 脚注
最終更新 2009年11月15日 (日) 09:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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