SCAPIN
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SCAPIN(Supreme Command for Allied Powers Instruction Note、スキャッピン)とは、SCAP(連合国軍最高司令官総司令部、日本では通称「GHQ」)から日本政府宛てに出された訓令。公式には連合軍最高司令部訓令と訳されるが、連合国軍総司令部覚書や対日指令集 (SCAP Instructions、SCAPINs) と呼称されることもある。
第二次世界大戦の戦後処理において、アメリカ合衆国が主導する連合国軍最高司令官総司令部より様々な指令が出された。その内容は新聞検閲(日本における検閲)の規定や国旗掲揚の許可、漁業権の範囲を定めるものなど多岐に渡る。
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[編集] 日本との領土問題に引用されるSCAPIN
[編集] SCAPIN-677
日本の行政権の行使に関する範囲に言及した第677号において、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島が除かれているため、戦後竹島を占拠する韓国と、千島の択捉島・国後島と歯舞群島・色丹島を占拠するロシアは、この文書を自国の領有根拠の一つとしており、日本との間で領土問題が続いている。
しかし、この文書の6には「この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。」と、暫定的な指令であることを明示しているため、日本政府は「SCAPIN」に示された日本の範囲は暫定的な指令であり確定されたものではないとしている。日本は、この文書で日本から除外されアメリカに占拠されていた琉球列島をはじめとする島々が、実際に返還されていることもその根拠としており、そもそもSCAPに領土を定める権限は無いとしている。
- 連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号
1946年1月29日
1 日本国外の総ての地域に対し、又その地域にある政府役人、雇傭員その他総ての者に対して、政治上又は行政上の権力を行使すること、及、行使しようと企てることは総て停止するよう日本帝国政府に指令する。2 日本帝国政府は、巳に認可されている船舶の運航、通信、気象関係の常軌の作業を除き、当司令部から認可のない限り、日本帝国外の政府の役人、雇傭人其の他総ての者との間に目的の如何を問わず、通信を行うことは出来ない。
3 この指令の目的から日本と言ふ場合は次の定義による。
- 日本の範囲に含まれる地域として
- 日本の四主要島嶼(北海道、本州、四国、九州)と、対馬諸島、北緯30度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約1千の隣接小島嶼
- 日本の範囲から除かれる地域として
- (a)欝陵島、竹島、済州島。(b)北緯30度以南の琉球(南西)列島(口之島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黄群島、及び大東群島、沖ノ鳥島、南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。(c)千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発、多楽島を含む)、色丹島。
4 更に、日本帝国政府の政治上行政上の管轄権から特に除外せられる地域は次の通りである。
- (a)1914年の世界大戦以来、日本が委任統治その他の方法で、奪取又は占領した全太平洋諸島。(b)満洲、台湾、澎湖列島。(c)朝鮮及び(d)樺太。
5 この指令にある日本の定義は、特に指定する場合以外、今後当司令部から発せられるすべての指令、覚書又は命令に適用せられる。
6 この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。
7 日本帝国政府は、日本国内の政府機関にして、この指令の定義による日本国外の地域に関する機能を有する総てのものの報告を調整して当指令部に提出することを要する。この報告は関係各機関の機能、組織及職員の状態を含まなくてはならない。
8 右第7項に述べられた機関に関する報告は、総てこれを保持し何時でも当司令部の検閲を受けられるようにしておくことを要する。
また、SCAPIN677が発令された半月後の1946年2月13日に行われた日本との会談において、GHQはSCAPINが領土に関する決定ではないこと及び領土の決定は講和会議にてなされると回答している。[1]
- 行政の分離に関する第一回会談録(終戦第一部第一課)
- (昭和二十一年)二月十三日黄田連絡官GS「ロッヂ」大尉及び「プール」中尉と標記の件に関し第一回会談を行ひたり要旨左の如し
- 黄「本日は領土の歸屬問題乃至は本指令の妥当性等に付いては触れさることとし単に疑義に付質問を為さんか為参上せり」
- 米「本指令は単なる連合国側の行政的便宜より出てたるに過きす従来行はれ来りたることを本指令に依り確認せるものなり即ち其の他はSCAPの所管するところにあらす例えは大島はCINPACの所管。鬱陵島は第二十四軍団の指揮下に在り従って本指令に依る日本の範囲の決定は何等領土問題とは関連を有せす之は他日講和会議にて決定さるへき問題なり
[編集] SCAPIN-1033
第1033号「日本の漁業及び捕鯨業に認可された区域に関する覚書」によって、太平洋戦争終戦後の日本漁船の活動可能領域が定められた。マッカーサー・ラインとして知られる。この覚書では、竹島周囲12海里以内の地域を日本の操業区域から除外する一方、「この認可は、関係地域またはその他どの地域に関しても、日本の管轄権、国際境界線または漁業権についての最終決定に関する連合国側の政策の表明ではない」との文言も盛り込まれており、主に領土問題において頻繁に議論の的となる。
なお、後に韓国の李承晩大統領によって宣言された「李承晩ライン」はこの第1033号によって画定されたマッカーサー・ラインを踏襲したものである。
- 竹島問題に関係する原文
- SCAPIN 1033
- 22 June 1946
- SUBJECT : Area Authorized for Japanese Fishing and Whaling.
- 3.
- (b) Japanese vessels or personnel thereof will not approach closer than twelve (12) miles to Takeshima (37°15' North Latitude, 131°53' East Longitude) nor have any contact with said island.
- 5. The present authorization is not an expression of allied policy relative to ultimate determination of national jurisdiction, international boundaries or fishing rights in the area concerned or in any other area.
- 翻訳
- SCAPIN 1033
- 1946年6月22日
- 主題:日本の漁業と捕鯨に認可される区域。
- 3.
- (b) 日本の船またはその人員は、竹島(北緯37°15′、東経131°53′)へ12マイルより近くに接近しない、またその島とのいかなる接触もしない。
- 5. この認可は、関係する区域や他のどの区域の国の管轄権・国境・漁業権の最終的な決定に係わる連合国の政策の表明ではない。
[編集] 米国務省の見解
サンフランシスコ条約後の1952年11月14日に、SCAPIN677を根拠とした韓国の主張について、米国務省は駐韓米国大使に以下の書簡を送付している。[2][3]
- 原文
- The Korean claim, based on SCAPIN 677 of January 29, 1946, which suspended Japanese administration of various island areas, including Takeshima (Liancourt Rocks), did not preclude Japan from exercising sovereignty over this area permanently. A later SCAPIN, No. 1778 of September 16, 1947 designated the islets as a bombing range for the Far East Air Force and further provided that use of the range would be made only after notification through Japanese civil authorities to the inhabitants of the Oki Islands and certain ports on Western Honsu.
- 翻訳
- 韓国は、竹島(リアンクール岩)を含む様々な島嶼地域に対する日本の施政を停止した1946年1月29日のSCAPIN677に基づいた権利の主張をしていますが、日本をこの地域における永続的な主権の行使から排除したものではありません。後続のSCAPINである1947年9月16日付け第1778号は、同島を極東空軍の射爆場として指定し、さらに当該射爆場の使用は、日本の文民当局を通じて隠岐及び本州西部の住民に通告した後にはじめて行われると規定しました。
[編集] 占領中の統治権と占有
国際法学者のブラウンリーは、連合国のドイツ統治権の掌握はドイツの主権を著しく毀損したが主権の移転はなされていないとした。更に、ヤルタ協定やポツダム宣言の決定として行われた占有といった領土処分は法的根拠が与えられておらず、多数国間の平和条約等によってその違法性を相殺することが重要としている。また、サンフランシスコ条約における日本の放棄については、別の国家が既に権原を有していることの承認として分類せず、別の国家集団が行使する処分権の承認若しくは処分権を与えることへの同意であるとしている。[4]
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Supreme Commander for the Allied Powers Directives to the Japanese Government (SCAPINs), 国立国会図書館憲政資料室
- 竹前栄治 監修 『GHQ 指令 總集成』15冊, エムティ出版, 1993-1994. ISBN 978-4-89614-316-4
- 竹前栄治 『GHQ指令「SCAPIN-A」総集成』18冊, エムティ出版, 1997. ISBN 978-4-89614-610-3
- 連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号
- 国立国会図書館 日本占領関係資料:極東委員会資料概要
- SCAP/GHQの統治とSCAPIN 『国際法からみる竹島問題』
最終更新 2009年10月18日 (日) 16:53 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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